生成AIの子どもの性的画像「児童ポルノ」と定義へ 鳥取県

卒業アルバムやSNS上の子どもの顔写真を使い、AIの技術で、わいせつな画像や動画に加工する「性的ディープフェイク」が問題になっていることを受けて、平井知事は「青少年健全育成条例」を改正し、こうした画像や動画を「児童ポルノ」と定義して、取り締まりの対象としたいという考えを明らかにしました。

「性的ディープフェイク」をめぐっては、本物と酷似したわいせつ画像や動画を作成できる格安の加工サイトが現れるなどして、近年、国内でも被害が広がっています。
平井知事は14日の定例記者会見で、こうした被害を防ぐため「県青少年健全育成条例」を改正したいという考えを明らかにしました。
それによりますと、実在する18歳未満の子どもの顔写真などを使い、AIの技術でわいせつな画像や動画に加工されたものについても「児童ポルノ」と定義するということです。
そしてこうした画像や動画を子どもに送るよう要求した場合、条例に基づいて罰金を科すとしています。
こども家庭庁によりますと、日本の法規制の現状では「性的ディープフェイク」を明確に規制する法律はなく、こうした画像や動画を条例で「児童ポルノ」として定義するのは「聞いたことがない」としています。
平井知事は「こうした画像は一生の傷を子どもたちに負わせかねない。条例を強化することで鳥取から一石を投じていきたい」と述べました。

【専門家“県の意志を感じる”】
鳥取県の平井知事が条例を改正し「性的ディープフェイク」を「児童ポルノ」と定義して、取り締まりの対象としたいという考えを示したことについて専門家に話を聞きました。
このうち国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「性的なフェイク情報をめぐる事案はオンライン上で起き、加害者が県内にいるとは限らない。海外から性的フェイク情報を作っているケースもあり、条例の実効性という点でいうと難しい」と述べています。
そのうえで「本来は国レベルで考えるべきことだが、犯罪になるということを明示することは意味がある」として、こうした行為を抑止する一定の効果は期待でできると指摘しました。
一方、明治大学ガバナンス研究科の湯淺墾道教授は「国任せにしないで、やれることをやるという自治体としての強い意志を感じる」と評価しました。
そして「AIを使う側にも知識をつけてもらい、トラブルに巻き込まれないようにすることも必要で、学校や家庭におけるリテラシー教育を支援する取り組みが重要だ」として、教育面での対策の必要性を強調しました。

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