失墜した貸金庫サービスへの信頼
「支店長、副支店長もなんらかの処分を受けるでしょう。『その手口なら絶対に見抜けない』となれば、処分も軽い。ただ、元行員から軽んじられていたからこそ、4年半もバレずに不正を続けられたのではないでしょうか。行員から支店長や副支店長が舐められていなければ、これだけ長期にわたる犯行は困難だったはずです」
それにしても4年半もの間、なぜ誰にも気付かれずに犯行を重ねることができるのだろうか。
「貸金庫の契約者の中には、高齢のため、出かけるのが億劫になって金庫を開けに来なくなったり、認知症などが原因で貸金庫を借りていたことさえ忘れてしまう人もいます。そのため、何年も貸金庫を開閉しない契約者がいる。十分に考えられる話です」
今回の事件は、貸金庫サービスそのものの存続にも疑問を投げかけるものとなっている。
「貸金庫の管理ルールが大幅に見直される可能性もあります。行員が関与する限り、不正行為のリスクを完全に排除することは難しいでしょう。たとえ管理ルールを変えても新たな手口は生まれ、悪事は尽きないと思うんです。絶対に不正をしない、ということは銀行業務においては難しいと考えます」
また、今回の件で貸金庫自体の信頼が失墜し、利用者が減少する可能性もあるという。
「高額な手数料を支払って利用していたのに、『裏切られた』との思いを拭えない契約者はいるでしょう。“闇バイト”騒動で自宅に貴重品を置きたくないから、と貸金庫の利用を考える富裕層は増えていたはずです。しかし今回の事件を機に、銀行も信用できないことが露呈してしまった。自分の資産は自分で守らなくてはならないと感じた人もいるでしょう」
契約者の高齢化も、貸金庫利用の課題を深刻化させる。