厳重に管理されているはずが…
「貸金庫の正鍵は約3センチ足らずの小さなもの、もしくはカードタイプです。ひとつひとつを共通で開けられるマスターキーは存在しません」
未利用の貸金庫の場合、本鍵と副鍵(スペアキー)は封印された状態で、貸金庫の中の銀行専用貸金庫で管理されている。契約の際にスペアキーは封筒に入れ、契約者自身で封筒に割印。さらに透明なビニール製の封筒でカバーし、ホログラム入りのシールを貼り付け、担当課の課長が割印をする。銀行の人間はもちろん、第三者でも開けられないように工夫を施されている。
封筒に入れられた契約者のスペアキーは施錠付キャビネットに納められ、まとめて管理されている。
「このキャビネットの開閉は、貸金庫を管理する課の課長と支店長、副支店長しかできない。ただ、事件を起こした元行員は契約者のスペアキーが入った封筒を開けたのではないかと推測しています。
契約者のスペアキーが格納されているキャビネットを開けるための鍵は、重要鍵管理機で厳重に管理されています。『いつ、誰が何時何分から何時何分まで使用したのか』など利用履歴は、すべて記録されているはずです」
だが、重要鍵管理機には、使用者の変更ができるマスターキーも存在する。これは支店長、もしくは副支店長が管理しているというが、元行員は何かしらの方法でこのマスターキーを手に入れ、重要鍵管理機の設定を変更して犯行を重ねた可能性がある。