北米

2025.01.13 09:00

米国が中国製ドローンの禁止を検討 「強すぎるDJI」の行方は

中国DJI製の小型ドローン「Mavic 3T」(S.Galindo / Shutterstock.com)

商務省はとくに、中国製ドローンの使用は「米国における情報通信技術・サービスの設計、完全性、製造、生産、流通、導入、運用、保守を妨害もしくは破壊する過度なリスクをもたらす」のかどうか、あるいは「米国の重要インフラやデジタル経済の安全性や強靭性に破滅的な影響を与える過度なリスクをもたらす」のかどうかを見極めようとしている。

最大の問題は、ドローンがインターネットを通じて定期的にメーカー側と通信したり、メーカー側が定期的にファームウェアの更新を行ったりしていることだ。

このためメーカーは、さらにはメーカーを介して中国政府も、ドローンがいつどこを飛行したかを示す飛行ログを入手可能なはずだ。理論的には、スパイ目的でドローンから画像をダウンロードすることも可能かもしれない。

現実にもっとあり得そうなのは、ファームウェアの更新に際して、特定のエリアにドローンが侵入できないようにする「ジオフェンシング」情報が追加されるというものだ。ジオフェンシング機能では通常、空港のようなセキュリティー上重要な施設からドローンを遠ざけるが、より広い範囲を遮断することもできる。DJIは2017年、過激派組織「イスラム国(IS)」が同社製ドローンで爆弾を投下したという報告を受けて、イラクとシリアの多くの場所にジオフェンスを張った。同様のアップデートを施せば、米国内でも中国製ドローンを事実上、飛行できなくすることも可能かもしれない。

ホビー用ドローンは問題ではない。ドローンはスマート農業での活用も広がっていて、農地に関するデータを日々提供している。また、パイプラインや送電線、橋といったインフラの点検でも活躍しているほか、山火事の追跡や、洪水をはじめとする自然災害の監視でも重要な役割を果たすようになっている。さらに、ドローンは医薬品や貨物の配送にも使われ始めている。これらすべての分野で、ドローンの利用は向こう数年でさらに増えていくだろうし、それに伴ってドローンへの依存度はますます高まっていくに違いない。これらの能力を、敵対者が意のままに無効にできるような状況は誰しも望んでいない。

DJIをはじめとする中国のドローンメーカーは、中国政府に支配されていないと主張している。だが、米国の新政権は今年3月にも、そうした主張を退けて、中国製ドローンの米国への輸入を禁じるルールを課す可能性がある。
次ページ > 米メーカーは中国製品に代わり得る製品を投入できるか

翻訳・編集=江戸伸禎

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欧州

2024.12.19 09:00

ウクライナ軍で広がる「光ファイバードローン」 元米海兵隊員が普及へ奔走

Shutterstock.com

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元米海兵隊員のトロイ・スマザースは今年3月8日、無線ではなく光ファイバーケーブルを通じて操縦士と通信するロシアの実験的な新しいFPV(一人称視点)ドローンに関するフォーブスの記事を読んだ。このドローンは無線を使わないので、探知することもジャミング(電波妨害)することも不可能だった。自身のウェブサイト「Drone Reaper」でウクライナへのドローン提供やそのための資金集めをしているスマザーズは、そこに可能性を見いだした。

「即座に、これこそウクライナ軍が必要としているものだと気づきました」とスマザーズは筆者に語った。

光ファイバードローンはゲームチェンジャーになり得る。だが当時、それを手にしているのはロシアだけだった。

スマザーズは、ウクライナもジャミング不可能なドローンを配備できるようにすることをみずからの使命と考えた。

7カ月後、彼はそれに見事に成功する。

光ファイバードローンという「福音」

ウクライナ側の関係者と記事を共有するだけでは不十分だった。また、裏づけとなる技術文献やウェブサイトを探し出して伝えても、アイデアが採用される保証はなかった。ウクライナのドローンをめぐっては数々の「素晴らしいアイデア」が語られている。その中で耳を傾けてもらうには、「特別な何か」が必要なのだ。

光ファイバードローンというアイデアは埋没しかねなかった。実際、懐疑的な人たちは端から、現実にはうまくいかないと考えられる理由を挙げがちだった。ケーブルは絡まったり切れたりするだろうし、操縦できる距離も短すぎる。装置は重すぎ、ドローンを機動的に飛ばせなくなる。コストも高すぎる。もっと有望なプロジェクトはほかにある、と。

だがウクライナには、このアイデアを前に進めるべき大きな理由がひとつあった。ロシア軍の電子戦は着実に激しくなっており、前線にますます多くの電子戦システムが投入されるようになっていたのだ。

報告によれば、ウクライナ軍のFPVドローンの50%超がジャミングで落とされていた。場所によってはそれ以上の墜落率になることもある。ウクライナ軍の操縦士たちは、対ドローン防御がとりわけ堅固な陣地に対する攻撃を断念せざるを得なくなっていた。ジャミングの「壁」にぶつかったためだ。

こうした防御を完全に無効化するのが、光ファイバーFPVドローンだった。

スマザーズは独自の光ファイバードローンの製作に取りかかる。そして3カ月後、彼はでき上がった試作機と、数千ドル相当の光ファイバーケーブルなどの機材を携え、ウクライナへ向かった。光ファイバードローンという「福音」を伝える使命を帯びた「宣教師」として。
次ページ > ウクライナの各方面に働きかけた

翻訳・編集=江戸伸禎

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北米

2024.09.10 08:00

米議会が成立目指す「中国製ドローン排除法案」が愚策である理由

中国のDJI製のドローン(Getty Images)

中国のDJI製のドローン(Getty Images)

米議会の上院は、今月後半にCountering CCP Drones Act(中国共産党ドローン対策法)と呼ばれる法案の投票を行おうとしている。

この法案は6月に下院で可決されたもので、中国のDJI製のドローンの使用を禁止し、同社を国家の安全保障上の「許容できないリスクを持つ機器の製造元」のリストに追加することを目的としている。

この法案の提案者であるエリス・ステファニック議員は声明で、「DJIのドローンは、TikTokに翼が加わったような安全保障上の脅威をもたらす」と述べている。しかし、この法案の支持者たちはドローンによる国家の安全保障上の脅威を示す具体的な証拠を示しておらず、この法案が、趣味や公共の安全のためのDJI製品の利用にどのような影響を与えるかはまだ明らかになっていない。

DJIのドローンは、初心者にも使いやすく、信頼性が高い手頃な価格の製品として、米国の警察や消防署などでも利用されている。同社のドローンは、行方不明者の捜索や山火事の追跡などの公共安全ミッションにおいても広く使用されている。

ドローンの専門サイト、The Drone Girl創設者のサリー・フレンチによると、DJIのドローンの操作方法は約20分で習得可能だが、他社製品の場合は、より高度な技術的専門知識が必要だという。

この法案の提案者は、救命活動に従事する人々の間で中国製ドローンが人気があることを認識しているが、それを批判している。ステファニック議員が提案した別の法案のDrones for First Responders Act(ファーストレスポンダーのためのドローン法案)は、米国はこの分野で必要な無人航空機の供給を、「中国に頼るべきではない」と主張している。

しかし、2020年10月に米国土安全保障省(DHS)が公開した公共安全と緊急対応の目的でドローンを使用する場合のシステムテストでは、DJIの競合にあたる中国メーカーのAutel Robotics製ドローンが、「最軽量で最も速く、最も安価」だと評価されていた。

さらに、ドローンの研究で有名なニューヨーク州のバード大学は同年、DJIのドローンが公共安全機関の市場シェアの90%を占めており、香港のYuneecと中国のAutel Roboticsがそれに続いていると発表した。同大学はまた、公共安全機関が使用するドローンの大部分がコンシューマ向けのモデルだが、Skydio(スカイディオ)などの米国のメーカーが、利益率の低さからコンシューマ向け市場から撤退していると指摘した。
次ページ > 「過剰な禁止措置」という主張

編集=上田裕資

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欧州

2024.12.27 10:00

ウクライナ、ロシアで自爆ドローン400機分の部品破壊か 憂慮すべき新機能も発覚

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ウクライナ国防省情報総局(HUR)は、ロシア国内の倉庫で発生した火災によってシャヘド136(ロシア名・ゲラニ2)自爆ドローンの部品多数が破壊されたと主張した。どのように出火したのかは説明していないものの、これは破壊工作やドローン攻撃などによってロシアで相次いでいる数多くの火災のひとつである。

HURの公式ウェブサイトに23日に掲載された報告によれば、倉庫にはシャヘド400機分の部品が保管されており、そのすべてが焼失したという。これはHURがこの件に関して詳細な情報を持っていることを示唆する。

報告では、焼失した部品にサーマルイメージングカメラ(赤外線を検知し、温度差を可視化して画像表示するカメラ)が含まれていたことにも言及している。シャヘドにサーマルイメージングカメラが搭載されていることはこれまで知られていなかった。シャヘドについては衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」の端末が搭載されたものがあることがすでに明らかになっており、これとサーマルイメージングカメラを組み合わせることで、ロシアはより高性能で危険なバージョンのシャヘドを開発した可能性がある。

拡大する国内生産

シャヘド136はイランが開発した使い捨て攻撃ドローンで、翼幅は2.5mほどあり、約50kgの弾頭を積んで950km超航続できる(航続距離は最大で2500kmに達するとも言われるが根拠はない)。ピストンエンジンでプロペラを回して推力を生み出すので巡航速度は時速185kmほどにとどまり、その音から「モペッド(原付き)」や「芝刈り機」とも呼ばれている。

ロシアは当初シャヘドをイランから輸入していたが、徐々に国内での組み立て、さらには生産を進めるようになった。西部タタールスタン共和国エラブガ(タタール語・アラブガ)に新設した巨大な工場で、地元の学生や、奇妙な話だが、サービス業の仕事があると騙されて出稼ぎに来たアフリカの女性など、安価な労働力を用いて製造している。
次ページ > ロシアはシャヘドの改良を重ねている

翻訳・編集=江戸伸禎

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