野球賭博は通信技術の発達に伴い、もはや法の網さえ及ばない時代に突入。日本球界は選手らに迫る“魔の手”を水際作戦で防ぐしかない。
警視庁組織犯罪対策特別捜査隊は15日までに、プロ野球を対象にした野球賭博をしたとして、東京・目黒区の土木建築会社会社役員の46歳の男を賭博開帳図利の疑いで、また福井市の山口組系暴力団幹部の37歳の男ら客3人を常習賭博の疑いで、それぞれ逮捕した。この3人も各自が、十数人の客を抱える“中胴元”だったとみられる。
手口は昨秋に巨人を舞台に起きた「平成の黒い霧」事件と同様、無料通信アプリ「LINE」やショートメールを介して1口1万円で賭けを行うもの。年間で少なくとも10億円の賭け金を集め、勝ち分の8%の手数料で5000万円もの利益を得たとみられている。
14日に都内で行われたプロ野球のオーナー会議では、任期満了となる日本野球機構(NPB)の熊崎コミッショナーの1年間の続投が決まった。次期コミッショナー選考の座長役を務めた巨人・老川オーナーは「野球賭博問題への手腕を高く評価している。事件自体は決着したが、なお捜査は続いている途中。暴力団絡みの選手との接触についての対応もある」と説明。喫緊の課題は、反社会的勢力の排除というのが球界の共通認識だ。
巨人球団幹部の危機感は強い。「昨秋の一件は、ウチにいた選手の相手の胴元が経営する飲食店や自宅があった新宿一帯が、『賭場』と認定されて立件できた。だがオンラインの賭けが合法な国を拠点にして、LINEでハンデ表を送ったら日本の法律では対処できない。もはや胴元を抑えるのは不可能じゃないか」と話す。
巻き込まれれば選手だけが野球協約や刑法で罰を受け、甘い汁を吸った悪玉は野放し。球界はこの絶望的な無法時代の到来を前に、どうやって野球賭博に対し“グレートウォール”を築くのか。 (笹森倫)