超党派の国会議員で作るスポーツ振興議員連盟が、サッカーくじ(toto)に加え、プロ野球での新クジ導入を検討している。2020年東京五輪に向けた新国立競技場の総事業費などにあてるのが狙いというが、黒い霧事件に苦しみ抜いてきたプロ野球界は、断固拒否する必要がある。
1969年、野球賭博に絡んだ選手の八百長事件が発覚。プロ野球史上に大汚点を残した黒い霧事件だ。その後遺症で球団身売りが続出しパ・リーグが消滅の危機に直面するなど球界が揺れた。当時、記者も東映→日拓→日本ハムと身売り騒動の取材に奔走し、球界の深刻な危機を体感した。
ところが「不正が一切できないことを打ち出せば売り上げは見込める。野球が対象になるのはインパクトがある」というのが、スポーツ議員連盟側の話という。他人のフンドシで相撲を取ろうとする、あきれるしかない言い分だ。
第2の黒い霧事件の温床になりかねない野球クジなど、とんでもない。球界では“カープ女子”人気に端を発し、女性ファン獲得に熱を入れているが、暴力団等排除活動に全力を傾けている成果だ。暴力団との関係が疑われる応援団を球場から排除。女性ファン、家族連れが楽しめる環境を作り上げたのだ。
それなのに、野球クジで賭博的な雰囲気を持ち込もうとするのは言語道断だ。熊崎コミッショナーはコミッショナー顧問時代から“暴排”活動に取り組んできている人だから、新クジには断固反対するだろう。
球団側も新規参入の楽天など目先の利益を最優先する一部球団を除けば、黒い霧事件の恐ろしさを忘れていないはずだ。それだけに歴史ある伝統球団が多いセ・リーグ側は足並みが揃うだろう。特に政界に影響力のある巨人・渡辺最高顧問は、野球クジ断固拒否の切り札的な存在になってくる。 (江尻良文)