少し田舎の中学校。
月曜の4時間目の終了の鐘が鳴る。
それぞれの教室では給食が始まろうとしていた。
1年3組の教室では給食当番が準備していた。
「あっ」
男子生徒のタクマが言うと女子生徒の輪にいたルミに声をかけに来た。
ルミ「どうしたの?」
タクマ「悪い、エプロン家に忘れてきた、職員室に行って借りてくる」
そういうとタクマは職員室へと出て行った。
帰ってきたタクマは、
タクマ「悪い悪い、借りてきたよ」
そう言いエプロンが入った袋をルミに渡した。
ルミが袋からエプロンを出して広げるとルミの顔が引きつった。
それもそのはず、ルミが持っているエプロンは皆が着ている家で着るようなエプロンではなく、黄色い布地に、腕部分には袖があり手首の部分にはゴム、さらには首の部分にもゴムが取り付けられており、一周されていている。いわゆるスモックというものだ。こんな幼稚園児のようなものを着ることになってしまった。おまけに大きいうえに胸元には黒いマジックで大きく「忘」と書かれていた。また、ほかの生徒は三角巾なのに対してルミが持っていたものは黄色い布地にゴムが一周取り付けれられたシャワーキャップ型の帽子である。帽子の上の部分にも「忘」と黒いマジックではっきりと大きく書かれていた。
ルミ「こんなの着なくちゃいけないの!?」
ショックを受けていたルミに友人のアケミが
アケミ「早く着ないと怒られちゃうよ」
ルミ「でもこんなの着たくないよ」
渋々ルミはスモックを着る。スモックを手に持ち、ボタンもないので頭からかぶる。腕を通し腕が出ると裾の部分を引き、頭を出す。クラスで一番小さいルミはスモックを着ると、セーラー服の襟は隠れスカートが大きく隠れひざ下までかかった。首のゴムが幼稚園児のようになりなんとも情けなさを引き立たせる。
ルミ「・・・」
ついに恥ずかしさでしゃべらなくなってしまった。
そして帽子をかぶる。ゴム部分を大きく広げ、きれいな黒髪は帽子の中にすべてしまわれた。もともと、童顔のルミは残念な姿になっていた。
ルミ「私が忘れてないのに何で一人だけこんな格好しないといけないの」
皆白い三角巾とエプロンという中学生の給食当番の中に黄色いスモックとシャワーキャップという幼稚園児のような格好のルミが並び非常に目立つ。
クラスの男子からは「おもしれー恰好」と笑われ女子からは「大変だよね、かわいそう」と慰められる。
いざ廊下に出ると皆から指をさして笑われた。
何とかして教室に帰ってくると給食を配り始める。ルミはスープの担当だ。小さいルミが、配るため食缶の中をのぞくと帽子の「忘」という字が皆に見えるようになる。それを見ていたクラスの生徒からくすくす笑われながら配る。
ルミ「もー恥ずかしいから脱ぎたいよ」
そう思いながら首元のゴムをたまに伸ばして恥ずかしさをなんとか取ろうとしていた。恥ずかしい気持ちで頭が一杯になっているとたくさん配りすぎたせいか足りなくなってしまった。一人ひとりの席に行き
ルミ「少しちょうだい」
そう言いながら回収に行くと明らかに笑いをこらえながらスープの回収を見られていた。笑われながらもようやく配り終えた。しかし、この学校では食べるときにも、エプロンを着たまま三角巾もつけたまま食べることになっている。そのため、ルミもスモックを着たまま、帽子を被ったまま食べなくてはならない。控えめな性格のため、いつも話しを聞くことが多いが、この日は同じ班である、他の5人の生徒は触れてはいけないような雰囲気となり、ルミも恥ずかしさで頭の中がぐるぐる回り一言もしゃべらなかった。
給食も食べ終わり食器を給食室へ置きに行く時間になると再び廊下に出て指をさされ笑われた。普段の友達も声をかけずらそうに、見ているだけだった。この格好から解放され、普通の女子中学生に戻れたのは幼稚園児になってから1時間後だった。