pixivは2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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『……』
『……』
『…………』
『……んだお前』
『……?』
『虫好きなの?』
『うん』
『ふーん』
『……』
『……』
『バッタ、おいしい?』
『んー? 美味しくはないなあ、食ってみるか?』
『いいの? うれしい』
『ん……ほれ』
『おいしい、おいしい、セミよりおいしい』
ばりぼりばりぼり。
『みたいな、出会いだったと思うんだよね!』
などとはしゃぎながら先生とこまちゃんの出会いを妄想きらきらに語るたんちゃんに呆れながらも、以前こまちゃんから聞いた話とあまり大差ない気がしてはあとため息を吐く。
『……ねえ、たんちゃん』
『なにさ、ありす』
声色は反抗的。
くちびるはつきだして。
でも、
少し垂れた甘えた目。
……たんちゃんは、私と二人きりの時すこし『素』に戻る。素のたんちゃんはいつものたんちゃんより少しだけ『幼く』て少しだけ『素直』それも可愛いのだけど、どうもこの子とふたりきりで喋っていると自分の中身が、私が歪んでいく気がする、この子が本来の自分に戻っていくのとは逆に私は本来の自分から遠ざかって……この気持ちは何なのでしょうか。
最近では梅くんと一緒のときもその兆候が見えるけど……良いことなのかな、でも少し──
『ねえ! ありすったら! 聞いてるの?』
『はいはい、だから、ねえ、ええと何だったかしら、そうたんちゃん? もう少しこまちゃんに優しくしませんか?』
『してるよ』
即答。
『ボク、こまのこと嫌いじゃないもん』
はい。
『き、嫌いじゃないっていうのは! 好きとかそういうのじゃなくて……!
そう、せっかく素材はいいんだから、ボクと肩を並べる可愛さになるまで引き上げてあげるのが先輩としてのつとめ? っていうか!』
『一応ですが、こまちゃんの方が先輩ですからね……?』
『ボクがカワイイの先輩なの!』
んん?
『たんちゃん、後輩が欲しいのですか?』
『そ、そう! いっつもみんなボクのこと年下扱いして!』
『年下のほうがカワイイのでは?』
『ううー、それはそうだけどもっとうらまやれたい』
なるほど、面倒くさい子。
『なら』
『……?』
『私がコウハイになってあげましょうか? 尾鳥センパイ』
たんちゃんに精一杯後輩っぽいカワイイポーズを見せてウィンクした、
瞬間、
がらりと生徒会室の扉があいて、梅君と閉じていない方の目があった。
『お疲れ様です……あっ』
目と目が合いお互い固まる。
『うめ、タイミングわるすぎ~、折角有栖がカワイかったのに~』
『す、すみません、照井先輩、 え、ええと俺も可愛いと思いますよ!』
停止していた脳がいっきにくるくる高速にまわって熱が体を赤くそめる、
『……う、梅センパイのえっち~!』
『あははは、変な有栖が変にカワイイ~』
『後輩は俺で俺は断じてえっちではないです!』
『えーん、私の開いた穴じっくり見られた~』
『そっちですか!? というか誤解を与えるような単語は──』
『う、梅くん……?』
『『『会長!!!』』』
※泣いてしまった会長はこの後みんなで優しくなぐさめました。
というかみんな可愛いので私は幸せ。