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恋 - arcaの小説 - pixiv
恋 - arcaの小説 - pixiv
2,166文字
78412
2020年2月15日 23:28

 恋したい。
 突如、
 脳内に電気がはしった。
 何かしらの神経から、
 脳に、
 恋をせよ、と、
 命令がくだされる。
 恋せねば、
 フランドールは、
 重たい体を、
 むくり、
 持ちあげた。

 恋とはなんぞ。
 フランドールは、
 恋を知らない。
 495年、生きてきて、
 恋をしたことなど、
 なかったからだ。
 恋とはなんぞや。
 調べるために、
 図書館へとむかった。
 図書館。
 図書館には、
 魔女がいる。
 魔女は、
 物知りだ。
 物知りな魔女は言う。
『恋とは、好きだという感情、
 大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情、
 と、あるわ』
『好き』
『そう、好き』
『好き』
『えっ、あ、うん、好きよ』
『好き』
『……まあ、そういうことよ』
 好き、
 という感情が、
 フランドールには、
 理解ができなかった。
 理解はできなかったが、
 パチュリーは、
 フランドールを好きだという。
 そういう感情のことを、
 好きだといった。
 フランドールは、
 どうなんだろう。
 ふにゃりとした頭で、
 図書館をあとにした。

 門。
 門の前には、
 門番。
 晴れた日も、
 雨の日も、
 そこには、
 彼女がいる。
『美鈴、恋したい』
『恋、ですか?』
『好き』
『好きですよ、フランドールお嬢さまのこと』
『好き』
『はい、好きです』
『……好き』
『なるほど。好きを知りたいんですね』
『そう、知らない』
『それなら、ぎゅうっとしてあげましょう』
 美鈴は、
 フランドールを、
 ぎゅうっと抱きしめた。
 大きくて、あたたかい、
 まるで、
 お布団にくるまれているような、
 そんな気持ちに、
 フランドールはなった。
『あったかい』
『はい、これが私の好きの気持ちです』
『好き』
『はい、好きですよ』
『ありがとう?』
『どういたしまして』
 フランドールは、
 なにか、
 ぽかぽかした体で、
 門をあとにした。

 好きとは、
 あたたかいんだなあ、
 フランドールは、
 好きを少し、
 理解できた気がした。
 館の、
 廊下を、
 ぽとぽとと歩く。
『あら、フランドールお嬢さま、どちらへ?』
『好き、探してたの』
『見つかりましたか?』
『うん、ううん、少しだけ』
『少しだけ? ですか』
『見せる』
 フランドールは、
 咲夜を、
 ぎゅっとした。
『あらまあ、可愛らしい好きですこと』
『あったかい?』
『暖かいですわ、お嬢さま』
『これが、好き、だって。美鈴が』
『そうですね、これは好きだと思います』
『好き』
『でも、もうちょっと好きを増やしましょう』
 咲夜は、
 フランドールの、
 髪をくしゃくしゃと撫でた。
 髪を撫で、
 頬を撫で、
 あごをさすった。
 なんだか、
 こそばゆい。
『これも、好き』
『そういうことです』
『なんだか、気持ちいい』
『好きとは、気持ちの良いものです』
 咲夜に可愛がられるままに、
 フランドールは、
 なんだか、
 頭が、
 ふわふわとして、
 咲夜とわかれた。

 こんこん。
 ノック。
 こんこん。
『だれー、開いてるわよ』
 レミリアの声。
 がちゃり、
 扉をひらく。
『おや、フランドール。めずらしいわね、どうしたの』
『恋をしたいの』
『恋』
『好きをしりたいの』
『好き』
『みんなから、教えてもらったけれど、
 それでも、まだ、わからない』
『……ふむ』
 レミリアは、
 一度頷くと、
 フランドールの、
 頭を撫でた、
『知ってる、好き、咲夜がした』
『んー』
 レミリアは、
 フランドールを、
 ぎゅっと抱きしめた。
『知ってる、好き、美鈴がした』
『んんー』
 レミリアは、
 頭をかかえた。
 かかえた頭から、
 ぴこん、と、
 思い浮かぶ。
『フランドール、こっちきなさい』
『あい』
 手まねきのままに、
 フランドールは、
 頬を染めた、
 レミリアの、
 そばに行った。
『目をつむりなさい』
『あい』
 言われるままに、
 目をつむった。
 瞬間、
 むにゅりと、
 唇にやわらかい感触。
 それは、
 キスだと、
 フランドールは認識した。
『キスも、好き?』
『私からあなたへの、精一杯の好きよ』
『私も、好き』
 今度は、
 フランドールから、
 レミリアへの、
 キス。
 唇が、
 あたたかくて、
 頭がどくんどくんと、
 高鳴る。
 なんだか、
 いけないことを、
 しているような、
 そんな気もして、
 でも、
 心が、
 ほかほかとした。
 フランドールは、
 これが恋なんだろうか、
 思った。

 夜、
 自室にて、
 フランドールは、
 思いかえす。
 恋とは、
 好きとは。
 みんなそれぞれ、
 好きがあった。
 でも、
 全部、
 あたたたかった。
 気持ちがよくて、
 心がぼうっとして、
 なんだか、
 不思議なもので、
 フランドールは、
 みんな、
 好きだった。
 好きだったから、
 今度は、
 自分から、
 みんなに、
 好き、を、
 プレゼントしよう、
 そう、思った。



 小悪魔『フランドールお嬢さまがキス魔になった』

78412
2020年2月15日 23:28
arca
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