pixivは2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

arca
ちゃぶ台返し - arcaの小説 - pixiv
ちゃぶ台返し - arcaの小説 - pixiv
2,823文字
ちゃぶ台返し
10250
2018年9月24日 22:39

 椅子がない。

 私の部屋には椅子がない。

 机はあるんだけどね。

 椅子がないんだよ。

 まあ必要ではない。

 椅子がなくとも困りはしない。

 けど椅子がない。

 机はあるんだよ。

 四つあるんだ。

 椅子は一つもないんだけどね。

 ちゃぶ台だから椅子はいらないんだけどね。

 ちゃぶ台四つもいらないんだけどね。

 私が四人になった時に一つじゃ寂しいだろうって。

 姉がくれたんだけどね。

 ちゃぶ台だから一つで事足りるんだけどね。

 四つあるんだよ。

 いらないね。

 私の部屋の五分の四がちゃぶ台なんだよ。

 部屋がちゃぶ台。

 残りの一はベッドだしね。

 足の踏み場がないんだよ。

 椅子とかいらないよ。

 椅子とか置けないよ。

 部屋に入ればちゃぶ台とベッド。

 基本的にちゃぶ台の上で生活しています。

 つまり机として機能はしていない。

 ちゃぶ台の上でお茶を飲む。

 ちゃぶ台が床ってことだね。

 結局、私の部屋にまともな机は存在しない。

 机が欲しいな。

 でもそうなると椅子も欲しい。

 机。

 椅子。

 ちゃぶ台の上に机。

 ちゃぶ台の上に椅子。

 うーん。

 ちゃぶ台をどかすか。

 諸悪の根源はちゃぶ台だ。

 ちゃぶ台が私を惑わす。

 惑わすちゃぶ台。

 いや。

 ちゃぶ台は大切な存在だ。

 何せ、姉からの送り物だしね。

 ちゃぶ台を生かした部屋をつくる。

 リフォームだね。

 思いついた。

 ちゃぶ台を乗せよう。

 ちゃぶ台に。

 ちゃぶ台にちゃぶ台を乗せよう。

 ちゃぶ台の上にちゃぶ台。

 その上にちゃぶ台。

 もう一つちゃぶ台。

 ちゃぶ台のウエディングケーキをつくるのだ。

 部屋を暗くしたら綺麗じゃないかしら。

 うん。

 結構良いアイディアじゃないかな。

 重ねることでスペースも出来るし。

 何よりかっこよくはないだろうか。

 ただ問題が。

 そんなに重ねると机として使えない。

 本当に意味のないオブジェ化する。

 ……。

 問題があるだろうか?

 今までも特に机として使っていなかったちゃぶ台。

 無駄に場所をとっていたちゃぶ台。

 うん。

 まだ、重ねた方がマシだね。

 という訳で重ねてみた。

 ……案外とちゃぶ台だな。

 まだちゃぶ台らしさが残っている。

 初見でもちゃぶ台と解るちゃぶ台。

 はい。

 もういいや。

 スペースができたな。

 ちゃぶ台三つ分のスペースができた。

 何を置こうか。

 ……。

 駄目だ。

 今、私はここにまたちゃぶ台を置こうとか考えてた。

 どれだけ、ちゃぶ台に毒されてるんだ。

 私の頭の中のどれだけをちゃぶ台が占めてるんだろうか。

 実験してみた。

 ちゃぶ台と姉が崖から落ちそうです。

 ですが、どちらか一方しか助けることはできません。

 私はどちらを助けますか?

 いや。

 普通にちゃぶ台だろ。

 姉は大丈夫だよ。

 飛べるし。

 うん。

 問題が悪い。

 姉なら大概のトラブルを自力で乗り切れる。

 しぶといし。

 死んでも死ななさそうだし。

 ……強いしね。

 姉とちゃぶ台は比べられないよ。

 なら。

 ちゃぶ台とイコールな物ってなんだろう。

 ないな。

 私の頭の中には姉とちゃぶ台くらいしかないし。

 ああ。

 あと椅子もあるか。

 椅子だ。

 忘れてた。

 椅子どうするか。

 スぺースあるから椅子置きたいね。

 あれが欲しいな。

 前後に揺れる椅子。

 ロッキングチェア?

 欲しい。

 優雅に揺れながら本でも読みたいね。

 河童の所で買えるのかな?

 何となくだけど家具とか取り扱ってそうな気がする。

 河童だからね。

 今度、頼んでみるか。

 さて。

 部屋も片付いた訳で。

 あれ?

 片付いてはいないか。

 ちゃぶ台重ねただけだし。

 ……。

 思いついた。

 私さ。

 二段ベッドに憧れてたんだよ。

 特に上の段のベッドにね。

 今、ちゃぶ台が四段重ねになっています。

 そこにベッドも乗せてしまおう。

 そうしたら五段ベッドの出来上がりだ。

 憧れを越えた五段ベッド。

 夢の存在、五段ベッド。

 良い夢が見れそうだね。

 早速、乗せてみた。

 ……不安定だな。

 ベッドの方が大きいからね。

 ちゃぶちゃぶちゃぶちゃぶベッドだからね。

 揺れそうで怖いな。

 あ。

 ロッキングベッドだ。

 ロッキングなのか分らないけど。

 これは楽しそうだ。

 取りあえず上るか。

 ちゃぶ台に足をかけつつ手でちゃぶ台の足を掴みよじ上る。

 あまり揺らさない様にベッドにダイブ。

 ロッキンッ!!

 グー!

 うん。

 良い感じ。

 中々ロック。

 うん。

 寝てみるか。

 起きた時、私はベッドの上に居るだろうか?

 床へ真っ逆さまだろうか。

 大穴としてちゃぶ台とちゃぶ台の隙間に挟まっているも加えよう。

 暖かいしね。

 よし。

 あとで寝よう。

 今は駄目だ。

 決心がつかない。

 あ。

 スペース開いたな。

 部屋の五分の四を占めてたちゃぶ台は一つに纏めたし。

 その上にベッドを置いたから更に広くなった。

 寂しい部屋だ。

 何にもないね。

 はあ。

 ……あら?

 お姉さま、どうしたの。

 ああ。

 うるさかった?

 ドタバタしてたからね。

 ごめんなさい。

 うん。

 重ねてみたの。

 結構かっこいいでしょ。

 ちゃぶ台重ね。

 え?




『フランドール、それはコタツよ』

 フランドールはレミリアの言葉にショックを受けていた。

 それはそうだろう。

 今まで愛してきたちゃぶ台が実はコタツだったのだ。

 これほどまでの裏切りはない。

 しかし、しょうがないではないか。

 フランドールはコタツという言葉は知っていても実物は知らなかったのだ。

 いや。

 実物は見ていた。

 今までちゃぶ台だと思っていた物はコタツだったのだ。

 それである。

 もう何も信じられない。

 フランドールは一人、部屋のコタツで丸くなっていた。

 季節は冬である。

 当たり前だが寒い。

 だが、コタツは暖かかった。

 温もりを感じていた。

 いつしか眠るフランドールの顔に安堵の表情が浮かんできた。

 きっと夢の中でちゃぶ台(コタツ)と戯れているのだろう。

 そんな、素敵な寝顔で。

 フランドールを包むコタツも少し幸せそうであった。

 

ちゃぶ台返し
10250
2018年9月24日 22:39
arca
コメント
作者に感想を伝えてみよう

ディスカバリー

好きな小説と出会える小説総合サイト

pixivノベルの注目小説

関連百科事典記事