pixivは2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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フランドールは激怒した。
お腹が空いたからだ。
そんな事で怒るなやと美鈴は思った。
しかしおこってしまった事はしょうがない。
美鈴は料理をつくる事に決めた。
取り出したるは血液パック。
中華鍋にそれを注ぎ込む。
煮る、煮る、煮込む。
完成。
一品目は『血液の煮込み』でございます。
フランドールは激怒した。
血液を煮込んだだけだったからだ。
怒りつつも飲む。
飲めない。
熱かったからである。
フランドールは激怒した。
猫舌だったからだ。
冷ましてから飲めやと美鈴は思った。
しかし料理は完成した瞬間から味が落ちていく。
今この状態が最高なのだ。
無理やりにでも飲んで頂かないといけない。
流し込んだ。
フランドールは激怒した。
お口の中が沸騰したからだ。
しかし、気付く。
美味しいではないか。
凄く血の味がして吸血鬼好みであった。
美味しいぞー。
フランドールは叫んだ。
少々うるさかった。
美鈴は思った。
うるさいと思った。
しかし、もしここで『うるさい』などと言えば怒るのではないか。
うるさい。
美鈴は言ってしまった。
でもしょうがないのだ。
うるさいものはうるさいのだ。
フランドールは激怒した。
うるさいのはうるさいのだろうがうるさいとは何事だ。
でも……ごめんね。
フランドールは反省のできるイイ女であった。
それならば仕方がない。
美鈴は寛大な心を持った許せるイイ女であった。
お互い顔を見合わせてほほ笑みあう。
二人は笑顔が似合うイイ女たちであった。
そんな事はさておきと美鈴は二皿目をとりだした。
二品目は『血液のサラダ』でございます。
ドレッシングは血である。
更に野菜は水の代わりに血液で育てた紅魔館特製であった。
歓喜。
巻き起こるレタスコール。
吹き乱れるキャベツ旋風。
しかし現れたのはニンジンであった。
フランドールは激怒した。
ニンジンを愛していたからだ。
愛するものが血を滴らせ横たわっている姿に涙。
あまりにも軽率であった美鈴は自身の行動を恥じた。
しかしと思う。
何でフランドール嬢はニンジン愛しとるん、と。
理由は無かった。
ただ、そこにニンジンがあれば愛してしまうのが吸血鬼という種であった。
理不尽。
あまりにも理不尽。
美鈴は面倒くさくなったので次の皿を出した。
三品目は『血魚』でございます。
今回はマグロの血液であった。
マグロ、ご期待下さい。
フランドールは激怒するのも芸が無いと気付き飲んだ。
飲んだ。
飲んだ、美味しかったです。
いよいよメインディッシュである。
気分は否応なしに盛り上がる。
それに答えようと、美鈴はムードの調整を試みる。
消される照明、閉まるカーテン。
暗い。
点けられる照明、開くカーテン。
美鈴がんばる。
鳴り響くドラム、あとシンバル。
うるさい。
鳴りやむドラム、あとシンバル。
静寂が辺りを包む。
蝉の声だけが異様に響いていた。
そんな中で現れたるメインディッシュ。
四品目は『血の滴る血液』でございます。
簡単にいうと皿に血が溢れていた。
凄い。
ナイフとフォークで器用にすくってみる。
すくえない。
再度チャレンジ。
すくえなかった。
フランドールはすくいを求めるように美鈴を見た。
首を振る美鈴。
自分の力で何とかしろとのことであろう。
フランドールはすくいようのない血の皿を見た。
はっと、そこで気付いた。
俊敏な動きで皿を掴む。
それが正解だ、とサムズアップする美鈴。
フランドールはそれに頷くだけで答えた。
そのまま口に流し込む。
さっきより熱かった。
フランドールは激怒した。
でもさっきよりうめえ!!!!