命を絶つ寸前も「スルー力が足りない」…大磯・小学生壮絶いじめ「母親が憤る」学校側の信じがたい言葉
「何を言っても期待できないため町議や町長にも相談しましたが、校長は『学校として対応しているから心配ない』と言うだけ。息子は10回以上も担任に助けを求めましたが、『しつこい、いじめる子供たちと目を合わせるな』と言われたそうです。そのうちいじめグループは下校時にも集団で暴言を吐くようになり、息子はストレスから心臓が痛い、手が震える、涙が出るなどの症状が表れ始めたんです。
5年生になるといじめによるストレスが原因で持病の気管支喘息が悪化し、『これ以上続くと心が壊れてもとに戻れなくなる』、『いじめられるために生きているんじゃない』と訴えるようになりました。『もう無理だ』と感じて(近隣の町の)小学校へ転校を決めたんです。それ以降はいじめに遭うこともなくなったため、逆に5年間の酷さが浮き彫りになりました」
文部科学省のいじめ重大事態のガイドラインでは、被害児童が転校した場合に学校は適切な対応を行う必要があると定めている。だが、学校は転校してしまった児童のことなど知らないとばかりにいじめの調査をしてこなかった。
「調査を申し入れても『息子のいじめに関して記録も記憶もない』と言われました。いじめグループの保護者に指導さえしていません。ここまでいじめの事実を隠す理由として考えられるのは、いじめグループに町議(当時)の息子がいて学校や教育委員会の管理職との関係性が強いことです。
小さな町なので、有力者の子供には何も言ってはいけないとの空気感があったのではないでしょうか。事実、夫が校長に町議の子の指導を頼んだ際には『親と仲が良いのでできない』と断られ、相談した別の町議からは『息子さんのいじめのことはみんな知っているけど(親が有力者だから)きちんとした対応はしないだろう』とも言われました」
「厳しく追及されるべき」
このままではいじめがなかったことにされてしまう危機感から、母親は証拠を求めて’23年4月、町に開示請求をする。すると一転して町の教育委員会はいじめ重大事態に認定。開示された資料からは、ずさんな管理体制だったことも明らかになる。
「開示された出席簿では、息子が4年生の時に早退した65日間がすべて出席扱いになっていたんです。これではいじめの事実を隠蔽していると思われても仕方がない。こんなことをしながらいじめの記録がないという学校は信じられないし、学校が変わらないとまた同じことが起きるでしょう。現在、第三者委員会で息子のいじめに関する調査が進んでいますが、起きた事実を明らかにして二度といじめが起きないような体制にしてほしいと思っています」
こうしたいじめの事実があったことを、当該の小学校はどう思っているのだろうか。適切な対応を取らなかった理由などを小学校の校長に尋ねたところ、「取材には町の教育委員会が対応する」との返答。あらためて大磯町教育委員会に質問を送ると、「現在いわゆる第三者委員による重大事態調査が行われているため、個別の案件についての回答は控えさせていただきます」(教育部学校教育課教育指導係)との回答だった。
文科省によると、’23年度に全国の小中学校で起きたいじめ重大事態は過去最高の1306件を記録。いじめが原因とみられる自殺も後を絶たない。いじめ問題に詳しい高橋知典弁護士は、適切な対応をしてこなかった学校側をこう批判する。
「本来なら、被害児童の保護者がいじめではないかと伝えた時点で学校は調査と対応を行わないといけない。今回のケースでは、子供が転校しなければならないほど精神的に追い詰められているのに、その段階になってもいじめ対策をしてこなかったことは厳しく追及されるべきです。調査の段階になると『問題だと思っていた』と手のひらを返す教師もいるため、録音などの証拠を残しておくことも必要です」
いじめが進めば、被害者が命を絶つような深刻な事態にもなりかねない。保護者だけでなく学校や教師もしっかり対応し、小さなうちにトラブルの芽を摘むことが大切だ。
