Part 01: 千雨(冬服): ……なぁ美雪、よく聞け。人は生まれと育ちによって色々な違いというか、すべからく差異ができるものなんだと私は思う。 千雨(冬服): たとえば、貧富の差だ。毎日の家計のやりくりに頭が痛い思いをしている、私たちのような一般人もいれば……。 千雨(冬服): 園崎の連中のように、金を湯水のように使いまくっても有り余るブルジョワなやつらも存在する。 魅音(エンジェルモート): ……ちょっと、人聞きの悪いこと言わないでよ。私は一昔前の風刺画に描かれた、紙幣に火をつけて灯にするような成金ジジイと同類だってのっ? 詩音(エンジェルモート): そうですよ。1万円を10円のような感覚で扱うお姉はともかくとして、私は実家からの援助もない苦学生なんですからね? 一緒にしないでください。 魅音(エンジェルモート): いつどこで、誰がそんな真似をしたのさっ?……詩音、あんたちょっと店の裏まで来な。じっくり話し合おうじゃないか。 千雨(冬服): あ、いや……思わぬところに飛び火してしまった。すまん、言い方を変えよう。 千雨(冬服): たとえば、そう……運動における才能だな。好きこそものの上手なれ、とは指導者たちがよく口にする言葉だが……。 千雨(冬服): あれは、一定のレベルに達するまでの話だ。高みに至った超一流ともなると、才能が全てに優先され……厳然たる結果として現れる。 千雨(冬服): 双方ともに努力と根性に満ちた状態で対峙する真剣勝負だから、油断や隙が生じることなども滅多にない。身も蓋もない言い方になるが……。 千雨(冬服): 熱意や気合いだけではどうしようもない世界が存在するということだけは……どうかわかってほしい。 美雪(エンジェルモート): ……。要するに千雨、キミは何が言いたいのさ? 千雨(冬服): 何事にも適正、あるいは得手と不得手……本人に合う、合わないというものがある。 千雨(冬服): だから止めとけ、美雪。いざやってみてから自分がみじめになるだけだぞ。 美雪(エンジェルモート): そこまで言うっ? 鬼かキミは?!それでも私の親友か、見損なったよ!! 千雨(冬服): あぁ、腐れ縁のダチだ。……口に出すのも小っ恥ずかしいが、私はお前との関係がなにより貴重で大切なものだと思ってる。 千雨(冬服): だからこそ、他の連中が憚って躊躇するようなことであってもあえて指摘して、注意してやるのが……私の役目ってわけだ。 美雪(エンジェルモート): うっ……うううぅぅぅぅうっっ……!! 菜央(エンジェルモート): ちょっと千雨、いくら何でも言いすぎよ。たとえ美雪の心臓が形状記憶合金製とはいえ、小さな傷くらいは残っちゃうかも……かも。 美雪(エンジェルモート): 私は未来からやってきた謎の暗殺ロボットか?! 一穂(エンジェルモート): ま、まぁまぁ……2人とも落ち着いて。 千雨(冬服): ふむ……そうだな。確かに主観に頼って断定するのは、早計かもしれん。遺憾の意を示して前言を撤回しよう。 美雪(エンジェルモート): 政治家や企業のお偉いさんがその言い方をする時って、たいてい本心では絶対悪いとは思ってないんだよね……? 千雨(冬服): で……一穂に、菜央ちゃん。今の美雪の姿を見てどんな感想を持ったか、忌憚なく本音を語ってくれ。 一穂(エンジェルモート): あ、あの……えっと……。 菜央(エンジェルモート): ……以前、みんなと一緒に部活をした時に前原さんがぶっちぎりの最下位になって、その罰ゲームとして女装したことがあったわよね。 圭一(冬服): うっ……うおおおぉぉぉおぉっ?止めてくれ菜央ちゃん、思い出させないでくれぇぇ!!あの時の俺は、俺は……ぎゃ、ぎゃぁぁぁああぁっ?! レナ(エンジェルモート): け、圭一くん……っ? 沙都子(エンジェルモート): ……頭を抱えながら転げ回っていますわね。あの時の記憶が、よほどトラウマになって残っているようでしてよ。 梨花(エンジェルモート): みー、富竹に頼んであの姿を写真に残してあるのです。何かの時に役立つ必殺アイテムなのですよ。にぱー☆ 羽入(エンジェルモート): あ、あぅあぅ……いったいどんな時に役立てるつもりなのですか、この鬼は……?! 菜央(エンジェルモート): つまり鋼のように強メンタルな前原さんが、あそこまで心的外傷を受けてるくらいの恥ずかしい格好……。 菜央(エンジェルモート): それくらいに、似合ってないと言えばいいのかしら? 美雪(エンジェルモート): キミもかブルータス、じゃなかった菜央ッ!! 一穂(エンジェルモート): あ、あははは……。 ……という感じに、今回初めてエンジェルモートのウェイトレスさんの衣装を着た美雪ちゃんに対する全員の感想は……。 予想通りというか狙い通りというか、はっきり言って「ボロクソ」という表現がぴたりとはまるくらいに酷いものだった。 美雪(エンジェルモート): ……一穂っ!キミなら、この格好は「似合う」って言ってくれるよね?そうでなくても、「悪くない」くらいに感じるよねッ? 一穂(エンジェルモート): わ、私は……えっと……。 美雪(エンジェルモート): ……っ……! 一穂(エンジェルモート): ……。ごめんなさい……。 私もまた……同じ感想を持った全員の中のひとりだと正直に言ったらまずいかもしれない。 そう思って、言葉を濁したつもりだったんだけど……。私の反応だけでしっかり気づかれてしまったようで、美雪ちゃんは傷ついたような表情を浮かべていた。 Part 02: 魅音: あのさー、レナ。あと、一穂と千雨も。3人に相談があるんだけど……いい? レナ: どうしたの、魅ぃちゃん?また何か困ったことでもあったのかな……かな? 魅音: ぐっ……? ま、まぁ確かに「また」ではあるんだけど……。 レナ: はぅっ……ご、ごめんね魅ぃちゃん?嫌だとかの気持ちが全然あったわけじゃなくて、その……えっと……。 千雨(制服): ここ最近は、ほぼ毎週のように「相談」……だろ?思わずそう言ってしまうのも仕方がないと思うぞ。 魅音: うーん……言われてみれば、その通りだね。けど、今回は本当に困っているんだよ……。 一穂: うん……いいよ、魅音さん。これまでにも私たち、#p雛見沢#sひなみざわ#rでの暮らしで何かとお世話になってるからね。 千雨(制服): あぁ……一穂の言う通りといえば、確かにそうだな。で、今回私たちは何を手伝えばいいんだ? 魅音: 例によって、#p興宮#sおきのみや#rのエンジェルモートのヘルプをね。ちょうど今、穀倉の店で就活だの受験の準備だので大量にバイトの欠員が発生しちゃってさ。 魅音: それで、興宮のベテラン組を穀倉へ派遣することに決まったのはいいんだけど……今度は興宮のお店が当分の間人員不足になっちゃったんだよ。 梨花: みー……典型的な玉突き人事の弊害なのです。 魅音: 取り急ぎ、穀倉の店では新人バイトの募集をかけているんだけど……勤務指導やマニュアル教育をある程度行うには一定期間が必要だしね。 魅音: ……だから、お願い!今週と来週だけでもいいから、ウェイトレスを手伝ってもらえないかな……っ? レナ: うん、もちろんレナはいいよ。一穂ちゃんと千雨ちゃんは……? 一穂: あの衣装は、ちょっと恥ずかしいけど……非常事態だったら仕方ないよね。 千雨(制服): ……ん、そうか?私は全身のラインがくっきり見えざるをえないダイビングスーツより、はるかにマシなんだが。 魅音: ありがとー、助かるよ!あと、裏方と万が一のバックアップに……。 菜央: ……あたしたちにも手伝ってほしいってことね。まぁお姉ちゃんが参加するんだったら、条件付きでOKよ。 魅音: ……大丈夫。菜央ちゃんがそう言うと思って、すでに富竹さんにブツを借りてきているから。 そう言って魅音さんが菜央ちゃんに差し出したのは……少し小さめのカメラだった。 菜央: くすくす……魅音さん、あなたもワルよね……? 魅音: くっくっくっ……お代官様にはかないませんよ。 千雨(制服): なるほど……隠し撮りの機材と交換条件ってわけか。 菜央: 失礼ね、隠し撮りじゃないわ!これは正々堂々、お姉ちゃんを撮影するためのものよ! 一穂: 撮影すること自体は、否定しないんだね……。 魅音: あとは……うん、助っ人が4人もいれば十分だよ。それじゃ、よろしくお願い――。 美雪: ……あのー、ちょっと魅音? 魅音: ? どうしたの、美雪? 美雪: いや、レナと一穂に声をかけてるのに……私のことを完全無視なのは、どうして?十分戦力になると思うんだけどなー。 魅音: いや、えっと……厨房のお手伝いとバックアップは、菜央ちゃんひとりで十分すぎるくらいだと思うし……。 魅音: あと、美雪にエンジェルモートの制服は、デザイン的に酷というか気の毒というか、って思って……その……。 沙都子: 確かに……魅音さんのおっしゃりたいことはよくわかりますわ。 羽入: 真実はときに、残酷な事実となって本人に悲しい現実を突きつけるのですよ。あぅあぅ。 梨花: ……美雪。魅ぃは美雪を傷つけないようにと思って、珍しく空気を読んだだけなのですよ。 魅音: ……あの梨花ちゃん、「珍しく」って言い方はなんか引っかかるんだけど。 美雪: は……空気?よくわかんないけど、友達が困ってるなら放っておけないよ。ねっ、魅音? 魅音: ……わかったよ。今は1人でも、人手が欲しいところだし。 魅音: その代わり、衣装を着てみて「嘘だぁぁぁっ?」なんて大声で叫んで天を仰いだりしないでよ、いいね? 美雪: はいはい、わかってるって。そりゃまぁ、私の体型は平均よりもすこーし成長が足りてないってことは自覚してるけどさ。 美雪: けど、あれくらいだったらキミの手で補正すればなんとか収まったりする……よね、菜央? 菜央: 善処はするわ。……補正を通り越して、改造になりそうだけど。 羽入: り、梨花ぁ……。 梨花: 面白そうだから、ボクたちも見に行くのですよ。にぱ~。 美雪(エンジェルモート): 嘘だ……嘘だ!これは何かの間違いだぁぁぁあああっっ?! 魅音(エンジェルモート): はぁ……やっぱりね。エンジェルモートで用意できる最小サイズなんだけど、菜央ちゃんの手をもってしても無理だったかぁ……。 菜央(エンジェルモート): ……ごめんなさい。あれ以上に寸法を変えると、衣装全体のバランスがおかしくなっちゃうから。 梨花: 予定調和というやつなのですよ、にぱ~♪ 美雪(エンジェルモート): っていうか、これで本当に最小サイズっ?ここに勤めてる連中は、いったいどれだけ胸を盛ってるんだよ?! 菜央(エンジェルモート): そんなの、別に今さらでしょ。あんただってこれまで何度も手伝いにかり出された時、他の子たちのこの格好をたっぷり見てきたじゃない。 魅音(エンジェルモート): あの……菜央ちゃん。その「何度も」と「たっぷり」ってのは止めてくれる?私の胸に突き刺さって、すごく痛いからさ……。 千雨(制服): というわけだから……諦めろ、美雪。お前のやる気だけは私たちも理解してるから、潔く厨房の人として頑張れ。 詩音(エンジェルモート): えぇ、もちろんです。むしろお気持ちだけですごくありがたいですよ。 美雪(エンジェルモート): ……なんで同情されてるの、私?すっごく腹立つんだけど……今すぐこの場で、惨劇を引き起こしてやりたいくらいにっ……! レナ(エンジェルモート): あの……美雪ちゃん? そんなふうに前かがみの姿勢になっちゃうと、胸のあたりが……その……。 沙都子: 少し……ではなく、かなり寂しい感じですわ。 美雪(エンジェルモート): なにそれ、嫌味っ? 私に喧嘩売ってる?!あぁ受けてやろうじゃないか、その宣戦布告をッ!! 菜央(エンジェルモート): はぁ……落ち着きなさい、美雪。そんなこともあろうと思って、これを持ってきたわ。 美雪(エンジェルモート): えっ、菜央? 何を持ってきたって……ななっ?こ、これはまさか……?! 一穂(エンジェルモート): 確かに、これを使えば問題は解決できる……けど、どうする、美雪ちゃん? 菜央(エンジェルモート): ……プライドを取るか、それでも働くか。二つに一つよ、美雪。 美雪(エンジェルモート): ぐっ……う、ううっ……?! Part 03: 赤坂: ……大石さん。おいしい昼食の店があると言っていましたが、それはどのあたりにあるんですか? 大石: んっふっふっふっ……まぁ任せてください。きっと気に入っていただけると思いますので。 赤坂: は、はぁ……。 大石: それにしても赤坂さん、最近は結構な頻度でこの#p興宮#sおきのみや#rへ出張でお越しになっていますねぇ。何か理由でもあったりするんですか? 赤坂: あ、いえ……別に目的があって、というわけではないんですが……その……。 大石: なっはっはっ、どうぞお気になさらず!同じ警察であっても、公安の捜査内容を詮索するのは野暮を通り越した御法度でもありますしね! 赤坂: ……申し訳ありません、大石さん。これまでに色々とご協力をいただいておきながら、実に勝手都合だと重々理解しているんですが。 赤坂: ただ、私としても正直雲を掴むような話なので……もう少し具体的になってから相談させてもらいます。 大石: えぇ、ぜひとも。とはいえ定年間際のこんなジジイが、どれほどあなたのお役に立てるかはわかりませんがね~。 大石: ……っと、見えてきました。あちらにあるお店です。 赤坂: ここは……ファミレス?確かエンジェルモートってお店でしたよね。まだ入ったことはありませんでしたが。 大石: んっふっふっふっ……!そうやって戸惑われるのも無理はないとは思いますが、だまされたと思って中に入ってみてください。 大石: まぁ私も最初の頃は、単なるイロモノの店だと正直高をくくっていたんですが……近頃はどういうわけか、メニューが大幅に改善されたりしましてね。 大石: この興宮だとわりとすんなり入れるんですが、穀倉にある系列店は飯時だと1時間以上待たされることもあるくらいなんですよ……んっふっふっふっ! 赤坂: なるほど、それは楽しみですね。 赤坂: ……うん? ちなみに大石さん、このお店のどういうところがイロモノだと……? 大石: まぁまぁ、その目で見ればわかりますって。ささ、入った入った。 赤坂: あ、ちょっと大石さんっ……? 美雪(エンジェルモート): えぇい、こうなったらヤケだ!いらっしゃいませ~。ご注文はいかがですか~♪ 美雪(エンジェルモート): お冷やのお代わりですねー?うけたまわりました、ただいまお持ちしまーす♪ 一穂(エンジェルモート): さ、さすが美雪ちゃん……!接客する時の営業スマイルは完璧だねっ。 千雨(冬服): いや……あれはむしろ、やけくそというか開き直りに等しい雰囲気に見えるんだがな。 菜央(エンジェルモート): げんにお客さんたちって、笑顔を向けられてもなんか気圧されたように固まっちゃってるしね……。 レナ(エンジェルモート): はぅ……美雪ちゃーん、そっちのお客さんのオムライスのお絵かきをお任せしちゃっていいかな、かな……? 美雪(エンジェルモート): よしきたっ!んじゃ、渾身の力作を描き込んであげるよ~♪ 千雨(冬服): いや、美雪の絵画の腕はお世辞にもうまくないから菜央ちゃんに代わってもらった方がいいんじゃないか? 美雪(エンジェルモート): 大丈夫だよ。この美雪ちゃんの実力をとくとご覧じろっと……♪ 菜央(エンジェルモート): まぁ、せっかくやる気になってるんだからお手並み拝見といきましょう……っと、お客さんだわ。一穂、お席への案内をお願いね。 一穂(エンジェルモート): う、うん……わかった。いらっしゃいませー、お客様は2名ですか? 赤坂: あ、はい。できれば喫煙席を……って、ななっ? 大石: んっふっふっふっ……!どうです赤坂さん、このお店のウェイトレスさんってみんなすごい格好でしょう? 赤坂: い、いや……このきわどさはすごいを通り越して、もはや風俗店じゃないですか?! 赤坂: しかも……君は、公由さんだったね?以前に話をした時は確か中学生だと聞いたと思うんだが、親類の店の手伝いでそんな格好をしているのかいっ? 赤坂: それとも、まさかバイトで……?だとしたら明らかに労基法違反なんだが……なっ?! 美雪(エンジェルモート): はー、では絵を描きますよ~♪ここをこうして、目をちょんちょん、っと……。 赤坂: み、みみみ、美雪っ……?!なな、なんて格好をしているんだ……ッッ?? 美雪(エンジェルモート): えっ? お、おおお、お父さんっ……?いやその、これはえっと、深い理由があって……?! 赤坂: いいから、上を着なさい!そんなに肌を見せた衣装だと、風邪を引くぞッ!! 美雪(エンジェルモート): か……風邪っ?へ、平気だよ……ほら、空調もバッチリだしさ! 千雨(冬服): ……なんか、微妙にずれた会話のやり取りだな。 菜央(エンジェルモート): っていうか美雪のお父さんって、これまでに一度もエンジェルモートに入ったことがなかったのかしら……? 梨花(エンジェルモート): みー。そもそも赤坂はお酒の店が好きなので、ファミレスに立ち寄ることがそんなにないのですよー。 赤坂: り、梨花ちゃんまでそんな格好をッッ?!ここはいったい、どういう店なんだ?!責任者を連れてきなさい、今すぐにっ!! 詩音(エンジェルモート): しょ、少々お待ちを……って、お姉!忍び足でこっそり逃げ出そうとしないでください! 魅音(エンジェルモート): お姉……って、誰のことですか?私はついさっき頭を打って記憶喪失なので、あなたの姉でも園崎の親族でもありません。 魅音(エンジェルモート): あれ……私はどうして、こんな格好を?ここはどこ? 私は誰? 詩音(エンジェルモート): 下手すぎる嘘をついてごまかすな、このッ!!おまわりさん、これが諸悪の根源です!連れて行って尋問でも拷問でも、お好きにどうぞ! 魅音(エンジェルモート): いーやーだー! こんな歳で私はまだ前科持ちになんかなりたくないぃ~! 圭一(冬服): お……落ち着いてくれ、赤坂さん!クラウド……じゃなかった大石さん、なんでこの人を連れてきたんだよ?! 大石: あ、いや……夜のお姉ちゃんのお店にはどれだけ誘っても来てくれませんでしたからねぇ。 大石: だったらお昼のお姉ちゃんのお店なら、ぎりぎりセーフかなと思いまして。 赤坂: セーフどころか、完全にアウトです!まして美雪! お前がそんな破廉恥な格好、いや法に反するバイトをやるなんて……! 赤坂: 私は父として……そして、警察官として!……いや、警察官であれば取り締まらなくてはならないからやっぱり父限定の立場として、許すわけにはいかんッ!! 沙都子(エンジェルモート): ……カオス、ですわね。 羽入(エンジェルモート): 目も当てられない惨状とは、まさにこの状況のことなのですよ……あぅあぅ。 一穂(エンジェルモート): あ、あははは……。 美雪(エンジェルモート): はぁ……疲れたぁ……。 一穂(エンジェルモート): お、お疲れ様……大変だった、ね……。 美雪(エンジェルモート): まったくだよぉ……。大石さんたちには事情を話してわかってもらえたから、魅音たち全員がおとがめ無しで済んだけど……。 美雪(エンジェルモート): あの後でお父さん、本気で落ち込んじゃってさ。「美雪が成長したら、あんなバイトをするのか」「あんな破廉恥な格好で、衆目に晒されるのか」……。 美雪(エンジェルモート): 果ては、「いっそもう、家の中に閉じ込めて外に出さない方が……?」なんて言い出す始末だし。 梨花(エンジェルモート): ……赤坂には元々親バカ気質なところがありましたが、こんな流れで明るみになるとは思わなかったのですよ。 沙都子(エンジェルモート): まぁ、一時の気の迷いによる発言だとしても父親としてのさらなる成長を求めたいところではありますわねぇ……。 羽入(エンジェルモート): ……沙都子が言うと、妙な説得力があるのですよ。あぅあぅ。 一穂(エンジェルモート): あ、でも……美雪ちゃん、応対がすごくよかったよ。てきぱきしてて、的確だったし……。 レナ(エンジェルモート): うん、そうだね。あと美雪ちゃん、赤坂さんと並んで撮ってもらった時とってもかぁいい笑顔だったよ……はぅ。 美雪(エンジェルモート): か、勘弁してよね……それにかわいいってのも、菜央の貸してくれた「これ」のおかげでしょ。……胸パットなんて、生まれて初めてつけたよ。 一穂(エンジェルモート): よくできてるよね、それ……。ホントの胸みたいで、全然違和感がなかったもん。 沙都子(エンジェルモート): それにしても、菜央さん。よくそんな珍しいものをお持ちになっておられましたわね。 菜央(エンジェルモート): 服によっては、体形を合わせなきゃいけないものもあるからね。もしもの時のために持っておけ、って親から言われてたのよ。 羽入(エンジェルモート): 備えあれば患いなしなのですよ、あぅあぅ。 梨花(エンジェルモート): ……みー? そういえば時々、菜央の胸が大きく感じることがあったのですが、それは――。 菜央(エンジェルモート): よ、余計な詮索は、禁止っっ!! 魅音(エンジェルモート): いやー、3人ともありがとね!おかげでなんとか、修羅場を乗り切ることができたよ~! 詩音(エンジェルモート): そうですね。……それに今回は、美雪さんの意外な姿を見ることができて面白かったですよ。くっくっくっ……! 美雪(エンジェルモート): はぁ……忘れたい。酒でも飲んで、なかったことにしたい。……いや、飲めないけどさ。 一穂(エンジェルモート): あははは……けど、今日の美雪ちゃんは本当にかわいかったよ。ルックスはいいんだし、たまには女物の服を着ても、似合――。 美雪(エンジェルモート): あー、もう! それ以上はなし!もう私、着替えてくるから、じゃっ! 一穂(エンジェルモート): ……行っちゃった。褒めたつもりだったのに、怒らせちゃったかな? 梨花(エンジェルモート): きっと美雪は、かわいいと言われることにあまり慣れていないのですよ、にぱ~。 レナ(エンジェルモート): はぅ……かわいい衣装で恥ずかしがる美雪ちゃん、かぁいいよぉ~~♪ はぅはぅ☆