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宇宙開発利用部会(第72回) 議事録

1.日時

令和5年2月9日(木曜日) 16時00分~18時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全確認について【審査対象(Int-Ball2)】調査審議結果について【審議事項】
  2. 令和5年度文部科学省宇宙関連予算について【報告事項】
  3. 衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)「提言 衛星地球観測の全体戦略に関する考え方」(案)の中間報告について【報告事項】
  4. 宇宙利用拡大・産業振興に係る新事業促進部の取り組みについて【報告事項】
  5. 宇宙探査イノベーションハブ状況報告【報告事項】
  6. その他

4.出席者

委員

部会長 村山 裕三
部会長代理 鈴木 桂子
臨時委員 井川 陽次郎
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 髙橋 德行
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 松岡 彩子
臨時委員 山崎 直子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 米澤 千夏

文部科学省

研究開発局長 千原 由幸
大臣官房審議官 原 克彦
研究開発局宇宙開発利用課長 上田 光幸
研究開発局宇宙利用推進室長 池田 一郎
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 横井 奈央
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 橋本 郁也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一
研究開発局宇宙利用推進室室長補佐 館下 博昭

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 佐々木 宏
 有人宇宙技術部門有人システム安全・ミッション保証室 室長 小林 亮二
 第一宇宙技術部門地球観測 統括 平林 毅
 新事業促進部 部長 伊達木 香子
 国際宇宙探査センター宇宙探査イノベーションハブ ハブ長 船木 一幸

5.議事録

【村山部会長】 それでは、定刻になりましたので、第72回の宇宙開発利用部会を開催いたします。
 本日も前回同様、オンラインでの開催になっております。委員の皆様には御多忙のところお集りいただきまして、誠にありがとうございます。
 まずは事務局から、本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。本日、宇宙開発利用部会に御所属をいただいている16名の委員のうち、都合により途中参加される方含め12名に御出席いただく予定としております。資料につきましては、議事次第に記載のとおりでございます。オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。事務連絡は以上でございます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、議題に入らせていただきます。
 最初の議題は、ISS構成要素及び搭載物の安全確認について、審査対象をInt-Ball2とした第45回調査安全小委員会での調査審議結果の報告です。
 小委員会は、先週2月3日に開催されました。
 本日はあいにく小委員会の木村主査の出席がかないませんので、かわりに事務局から報告をお願いいたします。
 よろしくお願いいたします。
 
【木元補佐(事務局)】 それでは、資料72-1-1と72-1-2を使って、事務局から御説明させていただきます。
 まず、この安全審査プロセスの評価というものは例年行っていまして、調査・安全小委員会でJAXAの安全審査プロセスを評価した結果を、宇宙開発利用部会に報告して、評価決定いただくというプロセスになっております。
 今回は、今、画面に表示しておりますInt-Ball2、先ほど部会長から紹介がありましたが、正式名称が「JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機」というものをInt-Ball2と呼んでいるものが対象になります。
 どんなものかというのを簡単に御紹介しますと、ここにありますように、丸いボールの形をした、実際カメラとか、録音もできるそうですが、記録装置です。これがJEMの中を浮遊して、8か所にプロペラがついているのですが、その推進力によって移動するというもので、指定した場所に行ってカメラで写真を撮るといったことをします。
 もう一つ、組み合わせて使っているのがドッキングステーションというものでして、ここに接続して充電を行う、またソフトウエアのアップロードもできるというものになっております。
 実際、このように船内にドッキングステーションを据付けまして、これはクルーによって取付けられるのですが、そこに自分で取りついて充電を行うということになります。
 先ほど、プロペラで推進すると申しましたが、プロペラはモジュール状になっておりまして、8か所のプロペラモジュールが交換可能となっております。この部分については、後ほどハザードの評価のところで出てきますので、覚えておいてください。
 実際の飛行のイメージはこんな感じで、顔のイメージで、目がついているように見えますが、こういうのが浮遊して写真を撮っているというものになります。
 先に資料72-1-2のほうを御紹介します。
 先週、2月3日に調査・安全小委員会が行われまして、その中でJAXAが実施した安全審査について、そのプロセスが妥当かどうかについて評価をいただきました。
 全般として、考え方は適切に機能していると判断するということで、プロセスについては評価をいただいております。
 調査審議の観点では、安全確保の考え方と安全審査プロセス、これについては、例年と同じように妥当であるということが確認されています。
 今回特に、主査も注目されていた部分ですが、ハザード及びハザード原因の抽出方法として、FTA、故障の木解析によるハザード抽出について紹介されたわけですけれども、その前段階として、設計開発段階でのFMEA的なアプローチによる故障解析と影響度解析とすり合わせて、整合性をとった中で評価が行われているということが説明されて、これを確認しております。
 ハザードについては、ユニークハザードが幾つかありまして、それについての説明がありました。Int-Ball2は、もともとオリジナルのInt-Ballがあって、その改良品というか設計変更を行った新しいものですが、プロペラをモジュールとして交換可能にした、という変更点がございます。これについては、交換に伴うコネクタの勘合不良が生じた場合に、ピンが折損して短絡などのハザードが考えられる、ということがありました。これについては、以下のような対策が施されていて、リスクが抑制されているということが確認されております。
 まずは、そもそも長さの短いピンを使用しておりまして、勘合不良によってピンが曲がっても、ピン同士が接触して短絡したりするリスクが小さいということが示されております。
 もう一つは、プロペラモジュール自体、ケーシングが位置合わせの機能を持っているということ、またコネクタは磁力で吸い付くタイプを使用していて、位置決めが正しく行われて、勘合不良そのものが発生しにくいという構造になっているということで、リスクが抑制されているということでした。
 また、磁石を使っているということで、電磁適合性についても確認がなされておりまして、モーターを8台全部駆動した状態で、有害な電磁波等の発生がないことが示されております。
 調査・安全小委員会としては、3番にありますように、JAXAが実施したInt-Ball2に関わる安全審査の方法や結果などについて、安全審査体制、プロセス、安全解析及びそれへの対処の観点から調査審議した結果、JAXAが実施したInt-Ball2に係る安全審査の方法や結果などは妥当であると評価し、JAXAが実施している安全審査のプロセスや考え方は適切に機能していると判断する、という結果を導いております。
 報告としては、以上になります。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
 いつもどおり、挙手願えれば幸いです。いかがでしょうか。
 御意見がないようですので、よろしいでしょうか。
 それでは、資料72-1-1については、小委員会からの提案通り決定するということでよろしいでしょうか。
 御異論がないようですので、それでは決定とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 次の議題に移らせていただきます。
 二つ目の議題は、令和5年度文部科学省宇宙関連予算についてです。
 それでは、これも事務局のほうから説明をお願いいたします。
 
【上田課長】 事務局、宇宙開発利用課長、上田でございます。
 資料72-2に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。
 まず、冒頭、1枚紙でございます。
 文科省令和5年度宇宙関係予算案ということですが、小さい字になりますが、次の行を御覧ください。
 令和5年度予算額に加え、令和4年度補正予算額、この補正予算額639億円のほうにつきましては、12月のこの部会で御報告したとおりでございます。これに加えまして、令和5年度予算案が閣議決定されて、昨年度よりも1億円増の1,527億円ということで総計2,166億円となってございます。12月にも御報告差し上げたとおり、必要な活動に伴う予算を必要な分確保できたと、私どもとしては考えてございます。
 いつもどおり、大きな項目としては三つございまして、イノベーションの強化につきましては483億円ということ。
 また、右のほうにかぎ括弧で令和4年補正と書かれているのが306億円ということで、この令和5年予算額と令和4年補正、この二つが組み合わさって進んでいく形になります。
 また、左下、宇宙安全保障など、課題解決の件につきましては、209億円、補正額38億円となってございます。
 また、右上、宇宙科学探査でございますが、405億円、令和4年度補正266億円という規模感になってございます。
 3ページ目以降に参考資料がございますので、簡単ではございますが、こちらを説明しながら個々に触れてまいりたいと考えております。
 3ページ目を御覧ください。イノベーションの強化といったところ。
 まずは輸送関係でございます。
 H3ロケットの開発・高度化といったところに、52億円の措置がなされています。205億円が、12月に御説明した補正額でございまして、この205億円の内数86億円は、射場の、打ち上げ高頻度化の整備として措置されているものでございます。
 御案内のとおり、試験機1号機、初号機ですが、来週の打ち上げということで、先ほどJAXAより、来週15日水曜日の打ち上げということが発表されましたが、開発・高度化をきちっと進めてまいりたいと考えています。
 二つ目の項目です。
 イプシロンSロケットの開発は、補正予算のほうできちんと60億円確保できてございます。こちらにつきましては、イプシロン6号機の原因究明、先週も小委員会で行われましたけれども、原因箇所が特定されまして、現在、詳細要因の究明に入ってございます。
 一方、イプシロンSロケット、後継ロケットの開発自体は全体的に進めさせていただくと。6号機の原因究明については、その原因究明結果をきちんと反映させていただくといったことで進めさせていただければと考えてございます。
 下のほうは将来宇宙輸送の部分でございまして、将来宇宙輸送システムプログラム、こちらの20億円、昨年度から始まったものですけれども、35億円の予算案の措置という増要求が、確保ができることになりました。抜本的低コスト化を含めた要素技術開発といったものを進めてまいりたいと考えています。
 また、下にありますCALLISTOでございます。右下にある絵のように、黄色のDLR、ドイツです。青色のCNES、フランスです。赤がJAXA、日本分ですけれども、3か国が共同しての再使用実験機の開発が2020年頃から進んでいます。現在、製作・地上試験フェーズに入ろうとしています。各国と歩調を合わせて、恐らくは数年後に実証をするということになろうと思いますが、製作が本格化するといったところの予算増でございます。
 次のページに参ります。
 ETS-9の衛星につきましては、令和7年度打ち上げ要請に必要な開発の進捗ということで、予算確保してございます。
 デブリ除去技術の実証ミッションでございますけれども、増額となってございますが、これはフェーズ2の部分に入っていくといったところの増額になります。
 一つ飛ばしまして、衛星コンステレーション関係でございます。
 革新的衛星技術実証プログラム、予算としては前年と同じですけれども、補正予算で0.3億円を措置させてもらっています。こちらは、先ほどのイプシロン6号機、昨年10月の打ち上げ失敗がございまして、今、開発している4号機の前の3号機が失敗となったものですから、そこに搭載されていました部品・機器、あるいは超小型衛星、キューブサット、こちらの方々に対して、再実証の御要望があるかどうかをお聞きし、再実証の御要望がある方につきましては、それに伴う技術的支援をJAXAのほうできちんとさせてもらうといったことで、補正予算で0.3億円が措置されているものでございます。この4号機にも、その再チャレンジテーマが採択されることになりまして、令和6年度打ち上げに向けて開発を進めてまいりたいと考えています。
 また、次の小型技術刷新プログラム、そしてその下の衛星コンステレーション共創プログラム、ともに2022年度から開始させてもらってきた新しい取組でございますが、こちらも増予算を確保してございます。
 次のページに参ります。
 課題解決への貢献ということで、温室効果ガス・水循環観測技術衛星につきましては、令和6年度打ち上げ予定のもと、開発を進めてまいります。
 宇宙状況把握システムにつきましては、今年度、2022年度に試行運用が終わりまして、来年から実運用に入るといった計画の進捗に伴う予算措置でございます。
 次のページに参ります。宇宙科学・探査でございます。
 アルテミス計画におきまして、月周回有人拠点ゲートウエイについて、有人滞在技術・バッテリーを、米・欧のモジュールに提供するというプログラムも、進捗分の予算措置をつけてございます。
 また、HTV-X、「こうのとり」を改良して宇宙ステーションへの輸送コストの大幅な削減をするといった新型機の開発も、令和5年度以降打ち上げ予定となってございますが、計画の進捗に伴う予算措置がされております。
 次のページに参ります。
 月極域探査機LUPEX、令和6年度打ち上げに向けた予算措置がされています。
 二つ下、MMX、火星衛星探査計画につきましても、令和6年度打ち上げといったものをキープしつつ、予算を措置させてもらっています。
 その下、有人与圧ローバーのフロントローディングの概算要求を今年からさせてもらいました。こちらは、補正におきまして15億円といったことがつきまして、この項目として本格的な予算が初めて措置できたということになります。
 次のページに参ります。
 深宇宙探査実証機、令和6年度打ち上げ予定に向けて予算措置がなされています。
 また、戦略的海外共同計画、小規模プロジェクト、こちらも、それぞれ、下のほうにございますけれども、JUICE、Hera、Roman、こういったものを打ち上げていくという予算措置がなされてございます。
 また、「はやぶさ2」拡張ミッションについても、引き続き予算措置がなされているといったことでございます。
 以上で私の説明になりますが、御理解・御支援を賜りながら、こういった予算をきちんと確保し、宇宙関係の活動を進めてまいりたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いします。
 
【村山部会長】 上田課長、どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
 12月は補正予算でしたけれども、今回は令和5年度の本予算ということですので、いかがでしょうか。
 山崎委員、お手が挙がっております。
 山崎委員、お願いいたします。
 
【山崎委員】 御説明くださいまして、ありがとうございます。
 2点ほど確認をさせていただければ幸いです。
 まず、1点目ですけれども、イプシロンの6号機、原因解明が、めどが立ってきたということで、こちら、革新的衛星技術実証の3号機に搭載されていた実証で再実験を望む方に関しては技術支援をということで御説明いただきましたけれども、具体的には再搭載まで見越した予算を確保されているということでしょうか。その場合には、次機のイプシロンSのほうで打ち上げるということで、イプシロン6号機でやろうとしていたことは、次のイプシロンの打ち上げのときにカバーしつつ、次に進んでいくという理解で合っているでしょうかというのが1点です。
 あと、2点目ですけれども、将来宇宙輸送に関しまして、次世代に向けた取組ということで35億円ほどということですけれども、そちらに関しても、どういう方向に向けているのか、もう少し御説明いただければ幸いです。
 以上です。
 
【上田課長】 御質問ありがとうございます。
 1点目、全く御指摘のとおりでございます。イプシロンSロケットになります。そして、実証4号機といったものは公募に基づき選定させてもらいますが、去年の打ち上げ失敗を受けて、その公募の委員会にお諮りしまして、再実証の機会があったら、という御要望がある方々に対しては、再搭載するという機会を優先的に差し上げようという、有識者委員会の方向性になりました。
 それで、コンポーネントにつきましては、コンポーネントを各社が仕上げてJAXAに届けてもらって、小さい衛星に積んでいく。また、キューブサットにつきましても、大学等あるいは高専もございますけれども、そちら、おつくりになって、また、お届けいただいて、イプシロンSに載せるということになります。
 先ほどの0.3億円、正確に言うと2,500万円ですけれども、こちらは、そういった方々の試験のサポートをきちんとして、確実な再実証を宇宙空間でさせていただくといった意味での支援をきちんとさせてもらうということになります。
 2番目の御質問をいただきました将来輸送、35億円に2年度目で増えました。大まかに申し上げて、この2020年度からの最初の数年間で、要素技術開発を進めさせていただくことになっています。
 一つは、全くJAXAに技術がなくても、外、大学、あるいは民間企業にある要素技術をブレークダウンした上で公募のスタイル、リクエスト・フォー・プロポーザルのスタイルで採択させていただいて、そこでその技術を、フロントローディング的に要素技術を研究してもらう。
 また、同じ要素技術でも、一部JAXAに技術がございますものは、JAXAと共同研究する形で進めるといった要素技術。
 もう一つは、全般的な環境整備としてシステム検討のための予算も、この35億円の中に入っています。
 こういった、この三つぐらいの項目でまずは数年進めさせていただくというような計画になってございます。
 
【村山部会長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 
【山崎委員】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 ほか、御質問があれば……。
 白井委員、お願いいたします。
 
【白井委員】 よろしくお願いします。
 最初に御説明いただいたH3についての簡単な質問です。
 来週、打ち上げがあって、成功してくれるものと期待を当然持っているわけですが、来年度の予算で、初号機の成功を前提にした上で、どのような開発をされる予定か、言及がなかったと思いますので、簡単で結構ですので教えていただけるとありがたいと思います。
 
【上田課長】 ありがとうございます。
 項目名が、H3の開発、そして高度化といったことになってございます。これは私どもの中の予算的な仕切りでもあるのですけれども、開発は、試験機1号機、2号機の打ち上げまで含めたところまでを開発と呼ばせてもらって、3号機以降の信頼性向上ですとか、そういったものを高度化と呼ばせてもらっています。これは両方、予算的に措置されてございます。
 H3の開発につきましては、試験機1号機の後、試験機2号機が2023年度に予定されてございます。こちらは、地上燃焼試験を含め、1号機、2号機と段階的にエンジンの機能をアップさせていくといったことが予定されていますので、そのための必要な予算がH3の開発に含まれています。
 H3の高度化につきましては、3号機以降の技術の成熟ですとか信頼性向上に向けた地道な活動もありますし、あるいはフェアリングの中に搭載できる衛星が、例えば小型衛星を含め多様化していくだろうといったことから、フェアリングの中の搭載能力の柔軟化といったものも、H3の高度化といった項目で予算措置させてもらっていまして、その両方をきちっと進めさせてもらおうと考えています。
 
【白井委員】 よく分かりました。ありがとうございました。
 
【村山部会長】 ほかの方、御意見、御質問、いかがでしょうか。
 笠原委員、手が挙がっております。
 よろしくお願いします。
 
【笠原委員】 御説明、どうもありがとうございます。
 全般、非常にきちんとしたプログラムを立ち上げられていて、次年度もしっかり全てのことが進んでいく、力強い予算構成だと感じております。
 ただ一方で、2点、お聞きしたい点があります。1点目は、今回イプシロンロケットのことがございまして、その展開がどの部分に生かされていくのかということ。やはり日本の技術を今後発展させる上で非常に重要なのではないかなと、私みたいなものが言うことではないのかもしれませんが、強く感じております。
 ですので、例えばイプシロンSロケットであったり、あるいは、もちろんH3ロケットの高度化であったり、HTV-Xであったり、あるいは月の、月面での活動であったり、そういうところへの今回の教訓の生かされ方というのが、どのようにこのプロジェクトの中に組み込まれていくのかというところが、やはり気にかかっております。
 もう1点は、CALLISTO等で国外との協力と、あるいは月面の活動等で米国との協力というのがあって、これは非常に前向きなことだとは思うのですが、非常に競争下にもあると、一歩間違えると、本当にいろんな面で置いていかれるような危機感を、特に米国の学会等に参加しますと感じているところでございます。
 全体で結構ですので、そういう戦略的な日本の宇宙開発の在り方、国際的な戦略というものは、どのように考えられているのか。この点も併せてお答えいただけると、大変ありがたく思います。
 以上2点でございます。よろしくお願いします。
 
【上田課長】 笠原先生、ありがとうございます。
 イプシロン6号機の原因究明結果を受け、原因究明がなされた上で、そこに伴う背後要因も含めた分析が必要と考えています。水平展開はもちろんですが、そういった背後要因も含めた水平展開をきちんとやった上で、宇宙開発全般を進めていくことが大事だと考えています。
 特に関連するものが今この予算の中に必ずしもあるわけではないんですけれども、少なくともイプシロンSロケットは、直接要因の水平展開先といったことで当然想定されますので、きちっとした原因究明を進めた上で、それを全体の開発の中できちんと反映させていくといったふうに考えてございます。
 笠原先生も小委員会に御参加いただいていますとおり、この小委員会はもう少し続くと思いますが、ぜひ御協力もいただきまして、きちんと進めたいと考えています。
 2点目にございました国外との協力といったことで、米国あるいは欧州との協力、様々進んでございますが、笠原先生の御言及あったとおり、競争もあれば協調もあるといったことだと私どもも認識していますし、JAXAのプロジェクトマネージャも、各局と対話するときにそういったことを意識して分担を決めていただいているのだろうなと、私も思っています。
 このページの右下にございますCALLISTOも、各国、これはフランスとドイツと日本で分担したわけですけれども、それぞれどの部分がやりたいかというのが現場ではあった上での調整がなされた結果だと受け止めていますし、例えば私どもの課から見ますと、第1弾のロケット、再使用のポイントの第1のエンジン、再使用のポイントとなるコンポーネントだと思いますが、ここが、JAXAがおとりになって進めていらっしゃるといったことは大事だと思いますし、あと、こちらのロケットの打ち上げはフランス側が行うということで、仏領ギアナから打ち上げます。なので、フランスもなかなか、そういったところでは主導権を握っていらっしゃるところがあると思いますが、そういった中で現場でも、競争と協調を考えながら調整されていると思います。
 以上です。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 両点とも非常に重要なポイントですので、御配慮のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、ほかの方、いかがでしょうか。
 鈴木委員の手が挙がっております。
 よろしくお願いします。
 
【鈴木健吾委員】 鈴木でございます。
 このたびの予算の構成も非常に分かりやすくて、予算の執行をする予定のものに関しても有意義なものかなと思いました。
 笠原さんのお話にもあったのですけれども、やっぱり国際的な競争力という部分をどの部分で生かしていくかみたいなところに関して、定性的な表現ですとか定量的な表現みたいな部分とかを駆使して、予算の執行に当たっていってもらえればなと思う次第です。
 というのも、今回も、世界的な予算状況について、どれぐらいほかの国が宇宙関連の予算を組んでいるかなどについて、自分が全て理解をすることができていないのですが、その中で、どの領域をどういう形で上回って、それで国際的なポジションを築いて、協力関係をどこで結ぶのかといった状況がマッピングされて理解できるようになると、予算を執行するプレーヤーの人たちや、あとは、予算を確認して確保する人たちにとっても分かりやすくなるかなと考えているからです。
 これは、次年度以降御検討いただければなと思っているのと、予算執行に当たって留意いただければと思う次第です。
 以上です。コメントだけになりますけれども。
 ありがとうございました。
 
【上田課長】 御意見ありがとうございます。
 
【村山部会長】 その他、もしも何かポイントがあれば、上田課長、お願いいたします。なければ結構ですので。
 
【上田課長】 御指摘はごもっともだと思っていますし、JAXAの現場も含めて、やっぱり国際動向を見ながら、各国はどこに力を入れているかを見ながら、それぞれ輸送も衛星も有人活動も、あるいはアルテミスも進めなければいけないと思っていますので、御指摘ごもっともと考えています。反映していきたいと考えます。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 ほかの方はいかがでしょうか。
 もう手は挙がってないようですので、それでは、次の議題に移らせていただきます。
 三つ目の議題は、衛星地球観測コンソーシアム、CONSEOからの、衛星地球観測の全体戦略に関する考え方についての提言案です。
 それでは、JAXA第一宇宙部門の平林統括より説明をお願いいたします。
 
【平林統括(JAXA)】 JAXAの平林でございます。
 産学官によります衛星地球観測コンソーシアム、CONSEOの事務局をJAXAが務めておりますので、私のほうからCONSEO提言案について中間報告させていただきます。
 次のページをお願いいたします。
 まず、これまでの経緯でございます。
 昨年7月に、宇宙開発利用部会にて、CONSEOの設立に向けまして、その設立の趣旨や準備状況について報告させていただきました。その後、9月にCONSEOが設立されまして、10月から12月にかけまして、提言の取りまとめに向けて、幹事会、四つの専門会合、会員コメント等により議論を行ってきたところでございます。
 そして本年1月の総会にて、「提言 衛星地球観測の全体戦略に関する考え方」の案について議論を行っておりまして、本日はその際の提言案について説明をいたします。
 なお、この案に対する会員の皆様からの意見や、本日の宇宙開発利用部会等での議論を踏まえた上で最終案を作成し、3月の総会にて会員合意を目指す予定でございます。
 なお、CONSEOにつきましては、1月時点で、法人会員167社、最新値ですと現在170社になっておりますけれども、有識者26名、オブザーバー14団体で構成されておりまして、会長には笹川平和財団の角南先生が就任されております。
 次のページをお願いいたします。
 提言取りまとめに向けた議論の主要な論点をこのスライドでは示しておりますけれども、まず、先に、提言案の主な点を次ページ以降で御説明した後に、このスライドについては後ほど改めて説明させていただきます。
 5ページ目をお願いいたします。
 提言といたしましては、ここに示した五つの項立てで構成されております。背景、目指すべき将来像、その実現に当たっての課題、それから我が国の設置地球観測を推進する上での基本方針、そして推進戦略でございます。
 次のページをお願いいたします。
 最初に、背景についてであります。
 これまでも衛星地球観測は、安全保障、気象防災、気候変動などの様々な領域で利用されてまいりました。
 一方で、このスライドに示しておりますように、安全保障環境の変化、気候変動の深刻化、風水害の激甚化、あるいは南海トラフをはじめとした大規模災害への備え、そして下段にありますように、DXや再生可能エネルギー、ESG、GXといった流れの中で、衛星地球観測の果たす役割の重要性はますます高くなってきております。
 次のページをお願いいたします。
 このページでは、2040年頃を念頭に、目指すべき衛星地球観測の全体像を示しております。
 まず、左側には、国が主体となって取り組む安全保障、防災減災、農林水産業や、気候危機対策などの課題対応に、衛星地球観測が不可欠なツールとして役割を果たしているという将来像をあらわしております。
 一方で右側には、AIやDX、グリーン分野など、今後一層の成長が期待される分野と融合し、民需を主体として、衛星観測産業が持続的に拡大する、また、それに伴いまして、右下に書きましたように、衛星機器産業も、日本の強みを生かして、世界的なシェアを獲得していくとともに、衛星データを利用したソリューション事業につきましても、アジア太平洋地域を中心にグローバル展開され、大きな経済価値を創出するという未来像を描いております。
 また、スライドの真ん中の下では、これらを支える基盤・土台として、産学官連携により自立的かつ競争力のある衛星地球観測網や、デジタルツイン、AIなどのデータ基盤が構築されている将来像を描いております。
 次のページをお願いいたします。
 次に、将来の衛星地球観測により実現を目指す未来の社会像として、ここに示したような「見通せる」社会の実現を、将来像として描いております。
 まず、左上からでございますけれども、高精度な予測によりまして、自然、社会、経済などの将来を見通して、合理的な判断、意思決定ができる社会。
 また、事前の予測が困難な、突発的な自然災害や安全保障の変化などについては、その変化を迅速に把握できる安心安全な社会。
 また、下段のほうで、AIやロボットによる自動化により、事故がほとんどない社会や継承者問題が緩和された持続的な社会。
 そして、カーボンクレジット、自然資本などの新たな価値を可視化することや、地球デジタルツインによって、台風制御や気象気候制御などの新たな活動に挑戦する社会。
 この四つを「見通せる」社会の具体像として描いております。
 次のページをお願いいたします。
 衛星地球観測の将来像、あるべき姿を実現する上では、様々な課題に直面しておりますけれども、その根源的な課題といたしましては、持続的なエコシステムを構築する上で必須となりますビジネス創出と社会実装に苦戦しているということが、会員の皆様から指摘されているところでございます。
 そのビジネス創出と社会実装における課題といたしましては、水色部分に示したように三つの領域に大別されます。まず、新たな利用を創出する上での課題。次に、生み出した利用例を社会実装、グローバル展開する上での課題。そして、ニーズに対して衛星観測能力が足りていない課題。観測能力として分解能、頻度、精度等の不足、また、衛星データ提供の継続性、予見性の不足などがございます。
 加えまして、衛星開発利用の継続性が担保されておらず、衛星開発メーカー等における体制、技術レベルの維持や新規技術開発への挑戦が困難となり、競争力低下や自立的な技術基盤、産業基盤維持に対する懸念が指摘されているところでございます。
 次のページをお願いいたします。
 欧米におきましては、Decadal Survey、コペルニクスといった、戦略的・統合的な衛星地球観測プログラムが推進されており、我が国におきましても、安全保障、防災、気候危機など様々な重点課題への対応や成長産業の創出に貢献するために、戦略的な衛星地球観測プログラム、仮称としてVISIONEOと言っておりますけれども、これを産学官連携で推進すべきということを全体戦略提言の柱として掲げております。
 目標といたしましては、衛星地球観測を活用して、よりよい未来として、先ほど御説明した四つの「見通せる」社会の実現に貢献し、新たな価値を創出することであります。
 また、このプログラムの中で推進する取組といたしましては、下の四つのボックスに示したように、実用的な衛星観測インフラの構築、新規参入促進、新規ソリューションの創出、社会実装・グローバル展開の促進、そして科学技術・産業基盤の強化を提案しております。
 本日は時間の都合もありまして、幾つか主要点を、後ろにつけております提言書、サマリーの本体から簡単に御紹介させていただければと思います。
 それでは、スライドの下のページ番号で31ページをお願いできますでしょうか。
 これはVISIONEOの全体システム構想を示したものでございまして、2030年代には3次元計測、複数機化、実用インフラ化と、民間コンステレーション衛星群と融合した高頻度把握による4次元観測を実現し、また、右側に示しているような、その他のセンシングデータ、AIやモデルとの融合、各分野のデータプラットフォームとの融合により、実用的な全体システムの構築を目指すという構想を提案してございます。
 次に、37ページをお願いできますでしょうか。
 技術戦略でございます。技術戦略としては、五つの取組方針をまとめております。
 まず、1点目としては、4次元情報の取得、予測の高度化、デジタルツイン構築、AIや多様なデータとの融合のための基盤技術や科学分野の研究開発を強化すること。
 2点目として、我が国の自立的な衛星地球観測能力を確保する上で必要な技術について、継続的に高度化を進めていくということ。
 3点目といたしまして、衛星地球観測分野における流通ロードマップを策定共有し、産学官連携により戦略的に研究開発を推進すること。
 4点目といたしまして、イノベーション創出、技術革新等に対応するための研究開発の推進、また、ステージゲート型など新たな研究開発の取組の導入。
 そして5点目といたしまして、産業基盤を強化するために、政府衛星のインフラ化、あるいはアンカーテナントの強化、重要技術に対するフロントローディング等に向けた取組の強化を取りまとめてございます。
 次に、39ページをお願いいたします。人材育成に関してでございます。
 中ほどに書きましたように、人材育成につきましては、我が国の衛星地球観測に関する様々な取組を持続的に推進する上での最重要課題の一つであるとの認識に基づきまして、中長期的な戦略的視点で人材育成施策を推進する必要があるとの提言を記載してございます。
 それでは、冒頭の3ページ目に戻っていただけますでしょうか。
 議論の主要ポイントでございます。
 まず、根源的な課題であります、社会実装とビジネス創出の解決策は何かという点に関して、本日御意見をいただければと考えている次第でございます。
 なお、CONSEOでの議論、本件に関する議論を紹介させていただきますと、また、飛んで恐縮でございますが24ページをお願いいたします。
 まず、新規参入に関して、でございますけれども、我々の活動に対しての認知度が非宇宙業界に対して不足しているのではないか、あるいは、我々のメリット提示が不足しているのではないか、さらには、宇宙分野が外に出ていってないではないか、といったようなことや、データの取扱いに関しまして、技術的に扱いが難しいのではないか、継続性・予見性が不足しているのではないか、さらには、新たな参入者に対してその支援が不足しているのではないか、と言ったような問題が指摘されております。
 次に、新規ソリューション創出という観点につきましては、差別化するための技術のR&Dが不足しているのではないか、他分野との技術の融合のためのR&Dが不足しているのではないか、さらには、データがそもそも高価であり、精度や量的に不足もしているのではないか、そして、社会実装・グローバル展開という観点では、最終的なユーザーの使い勝手の向上等の研究開発機会が不足しているのではないか、さらには、PoC、実証ばかりで、社会実装・グローバル展開の段階の支援が不足しているのではないか、あるいは、国のマニュアル等で衛星利用記載が進まないのではないか、さらには、政府のアンカーテナンシーが生まれていないとか、国内事業がメインで海外に出ていっていないのではないかといったような指摘がされているところでございます。
 恐縮でございますが、3ページに戻っていただけますでしょうか。
 また、衛星地球観測に係る取組として、四つの論点、官民連携・国際連携も考慮した実用的な政府観測インフラの構築の在り方や官民役割の在り方。それから、新規参入促進、新規ソリューション創出の取組の在り方。社会実装・グローバル展開の取組の在り方。そして、科学技術・産業基盤の強化に向けた取組の方向性などについても御意見をいただければと思います。
 私の説明は以上でございます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。
 本件に関しましては、事務局から補足説明があるとのことですので、お願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局より1点、本日の意見交換に当たっての補足説明がございます。ただいまJAXAから、CONSEOの検討状況を説明いただきました。既に御案内のことかと思うのですが、昨年12月の宇宙開発戦略本部で、総理から、この夏をめどとした宇宙基本計画の改定に関する指示があり、現在、内閣府の宇宙政策委員会、及びその下にある基本政策部会等において、夏の基本計画改定に向けた議論が、関係省庁も含めて実施されているところでございます。そうした動きがある中で、本日、観測衛星政策全般に関する産学官の議論の状況を御紹介いただいておりますので、本日、この資料への御意見のみならず、より幅広く、観測衛星政策全般に御意見をいただければ、事務局のほうで、もちろん内閣府やJAXAの皆様とも御相談しながらですけれども、次の基本計画改定に向けた検討の参考にぜひさせていただければと考えております。
 また、この議題3のみならず、次の議題4や5に関しても、JAXA新事業部の取組の中から、J-SPARCであるとか探査ハブ事業の報告を予定いただいていますけれども、そこの意見交換でも、民間支援策全般であるとか、宇宙探査政策全般について、本日いろいろ御意見をいただければ、同様に、しっかりと基本計画の議論や検討に活用させていただきたいと思っておりますので、基本計画改定の動きを念頭に置いて、本日、意見交換していただければ幸いでございます。事務局からは以上です。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
 また、今、事務局から提案がありましたように、JAXAからの説明にとどまらず、観測衛星政策全般について、広く御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 この部会も今期はこれが最後ですので、そういうこともありますので、御意見があれば言っていただければと思います。いかがでしょうか。
 観測衛星政策全般について、いかがでしょうか。
 いいでしょうか。
 それでは、また、別の、この後の議題で、関係する部分も出てくるかも分かりませんので、そのときでも結構ですので、思いついた時点でまた御意見をいただければと思います。
 それでは、次の議題のほうに移らせていただきます。
 四つ目の議題は、宇宙利用拡大・産業振興に係る新事業推進部の取組についてです。
 それでは、JAXA新事業促進部の伊達木部長、説明をお願いいたします。
 
【伊達木部長(JAXA)】 ありがとうございます。
 それでは、JAXA新事業促進部の伊達木から、宇宙利用拡大・産業振興に係りますJAXA新事業促進部の取組について、本日は御報告、御紹介したいと思います。
 全体像を、まずは御紹介したいと思います。
 これは、国の施策、特に事業を初めて始められた、宇宙ビジネスを始める方たちに対する支援策が、政府のほうでも、その初期段階、スタートアップ段階から徐々に成長していくに従って、施策を打たれているところです。それに対して、これは私どもで、JAXAのほうで上から矢印をつけているのですけれども、JAXAのほうでも各種施策を、その成長段階に応じた形で実施しているという状況になります。
 今日は、この中の少し幾つかを、具体的に御紹介していきたいと思います。
 次のページをお願いいたします。
 まずは、J-SPARC、宇宙イノベーションパートナシップというプログラムです。2018年からもう始めておりまして、トータル39の共同プロジェクトということで、企業とパートナーシップを組んだ事業となります。
 民間事業者から、しっかりと事業化に向けたコミットメント、彼らも出口を見据え、JAXAと事業者、相互がリソースを持ち寄って共同でコンセプトの検討、特にその出口志向というところで、技術開発実証まで行い、JAXAもこれに参画することによって技術や知見の獲得を目指しますし、当然民間事業者の方も事業の創出・拡大を目指すということを目的にしたプログラムでございます。
 JAXAのほうでは、新事業促進部10名ほどのプロデューサーと呼ぶ職員が、これを頑張ってオーガナイズしているのですけれども、さらに、各部門、JAXAの中の技術部門の中からも、今、100名以上になりますけれども、共創メンバー、一緒に参画するメンバーとして、ともにこのプロジェクトに入っていただいております。
 特にこの、ちょっと小さくなっておりますけれども、4象限で表しております表では、宇宙と言いますと皆さん当然、衛星とかロケットとか、これを開発したい、つくりたい、ビジネス化していくというところもあれば、今まだ出てきていない、見えない、宇宙の技術を使ったビジネスというところで、顕在化している市場と顕在化してない市場に対しても、参画する、このビジネス化を目指していくというところで、特にこの左側、「非宇宙」と書いてあるのがちょっと小さいかもしれませんけれども、これまで宇宙には関わられてこなかった企業の方たち、民間の方たちを、このプログラムでJAXAとともに実施していくことで、宇宙ビジネスに参画していただく、宇宙産業の裾野を広げる、という活動を進めているものになります。
 次のページをお願いします。
 具体的に、近年の、我々は「成果」と呼んでおります、企業との実施状況です。かなりいっぱいありますので、個別に一つ一つ御紹介できないので今日は割愛させていただこうと思いますが、例えば、ISTというのはインターステラテクノロジズ社、ソニーCSL社、GITAI社、アバターイン社、QPS研究所、バスキュール社といった、新しい、新興の会社の方たちと、……新興でない、今までド宇宙ではなかった方たちもいらっしゃるわけですけれども、そういう方たちと一緒になりまして、JAXAは主に、共通的にはやはり技術的な、JAXAがこれまで培ってきた知見・経験で貢献しながら、新しいビジネスに向けての研究開発にも関わっていくという内容になっております。
 それで、少し右のほうに表を書きましたけれども、ここで申し上げておきたいのは、民間企業も多くの投資をしているというところですけれども、自己投資額という形で実施されていますが、JAXAも当然JAXAの、先ほどの持ち寄りという形で投資している中で、かなりレバレッジの利いた、JAXAは1.1億円に対して企業は、これは共同事業活動における企業に教えていただいた範囲になりますけれども、11億円の投資があったというような形で、より多くの民間の投資を呼び込むような形が実現できていると考えております。
 この中には、既に事業化、サービスインして、実際に宇宙のビジネスとして実施されているという例も、今、数多く出てきておりますので、さらに、この今中期計画で、我々も成果を出していきたいと考えているところです。
 では、次のページに行っていただいて、同じく、このJ-SPARCで少し特徴的なものとして御紹介したいのが二つございます。この図で見ていただきますと、左側は食の分野、それから右側は暮らし・ヘルスケアの分野になります。
 こちらは、コンソーシアムの形というのでしょうか、コミュニティーを結成し、多くの方たちに参加いただく、特に、既に宇宙事業ではなくて地上で多くの事業に参加されている方たちが、こういった宇宙の食、宇宙での暮らし・ヘルスケアという観点から参画いただいておりますので、数多くの会社、60社、200社といった数に及ぶ参画を得ているところです。
 上のほうで少し御紹介しますと、食分野ではこのSPACE FOODSPHEREという活動が、今は農水省からの受託にも着手しておりますし、ここから生み出された製品が全国販売をされるというようなサービス化、製品化というのもかなっております。
 それから、衣食住の分野、200社にも及ぶ参画を得ておりますけれども、多くの方がいらっしゃる一方で、具体的に、地上にあるものを宇宙に持っていくというところからは、さらにこれを実現化するためのアクセラレータープログラムを実施しており、95%の方が非宇宙企業というデータもありますけれども、多くの参画を得て活動している、宇宙を目指した活動というところを実施しています。
 次のページにいっていただきます。
 お願いします。
 これは、こういったJ-SPARCによる活動によって、今60社、200社といった数もありますけれども、こんなにも多くの、御覧になったこともある会社たちが入っていただいている、大企業、中小企業、それからコンソーシアム、プラットフォームというところでの、JAXAの主導の中での参画をいただいているものになります。
 次、お願いいたします。
 新しい施策としまして、これは2021年4月から、法律で、科技イノベ法の改正によりまして、JAXAは出資ができるようになりました。出資は、もともと意義としまして、研究開発成果の最大化と社会実装を実現しようということと、産業競争力並びに科学技術基盤の維持強化というところを目的にしてまいりました。この実施を検討してきたというのが、実はこの2年間の活動になります。
 2021年の法改正のあと、我々の中でどのように出資すべきかと、いろんな準備を重ねまして、2022年、昨年の12月、第1号の出資案件をつくることができました。
 これは、出資先というのは、JAXAの技術を使った会社を認定するJAXAベンチャーという制度がJAXAの中にございますけれども、そこで認定されている会社の一つ、天地人という会社です。この会社は、JAXA衛星をはじめとする地球観測衛星のデータを使っての評価サービスを行うという、データ利用をする会社ですけれども、今後、展開していただくため、拡大していくため、JAXAの出資も力にして進めていただきたいという案件となります。
 もう一つ、今のは、直接JAXAが企業に出資をするという直接出資というほうでしたけれど、もう一つ、間接出資ということで、JAXAがいわゆるファンドに対して、投資事業有限責任組合ですけれども、こちらに投資をするというところを予定します間接出資につきましても、情報提供要請を昨年の夏に発出して、そこから複数の提案をいただいておりますので、そのいただいた提案内容、情報に基づきまして、現在、対話と、その中から、出資ができるかという組成に向けて準備をしているというのが、現在進行形で直接出資以外に間接出資の成立を目指して、準備しているというところでございます。
 続いて、次のページをお願いします。
 続きまして、これも2022年から始めました、新事業促進部の新規の施策になります。産学官による輸送超小型衛星ミッション拡充プログラム、これは愛称をJAXA-SMASHと決めたばかりですけれども、これまで「拡充プログラム」と短縮して、この1年ほど呼んでおります。このプログラムは、三位一体、スライドのこの図の中で左のほうに書いておりますが、大学、企業、それにJAXAと、この3者が一体となって、超小型衛星ミッションを共同研究の形で進めていただき、そこから衛星を打ち上げていく。JAXAがまた民間輸送サービスを調達してすることによって、ここにこのミッションを乗せて実証するところまでを計画したプログラムになります。今年も既に2022年度の公募を始めまして、4件、選定しております。もちろん、衛星のフィージビリティースタディーから始める案件もありますので、今後、打ち上げも含めた準備を進めていくことになりますが、この右側に書きましたけれども、最終的にJAXAも当然その共同研究に入りまして、技術の開発、実証の先導といったところ、さらにその他事業への展開というところも目指しますし、大学の方たちも、超小型衛星ミッションを使っての多様化、人材や基盤強化といったところ、そして企業にも、この超小型衛星に関する技術を高めていただくことで競争力強化、事業化を進めるといったところ、さらに民間の小型ロケットの事業化というところに、このプログラムが役立っていくというところまで、盛りだくさんに狙っているプログラムになります。
 その次をお願いします。
 こちらは、先ほどのCONSEOのように、やはり衛星に関係するところで、新事業促進部でも一つプログラムを進めております。2022年から始めました。
 これは、衛星コンステレーションによる革新的衛星観測ミッション共創プログラムということで、今年度、新たに始めていますけれども、主はこのコンステレーションというところです。衛星コンステには、もちろん、多くのニーズや使い方があるところだと思っております。そこで、この、政府、JAXAが持っている大型衛星と、民間が開発・運用を進めている小型衛星、これらの相互補完であるとか、さらにそのコンステレーションに必要となるような観測技術の向上等といったことを進めていく、ということを考えているプログラムです。
 今年度、令和4年度で何をやったかといいますと、この事業コンセプトをどのような事業で、相互補完であったり技術向上であったり、幾つかコンステレーションに必要となってくる要素がございますけれども、これを事業としてどのように進めていくか、行きたいかというところのコンセプトを求める公募を、まずいたしました。多くの提案をいただきまして、その中から4社との間で、具体的に事業コンセプトを検討していくというのを共創と我々は呼んでいますけれども、ともにつくり上げていくというコンセプト共創というフェーズを進めております。
 一方で、このコンステレーションの構築に向けては、必要となるべき技術開発の部分もございまして、これにつきましては、第一宇宙技術部門や、研究開発部門、我々JAXAの技術を蓄積している部門との連携によって、個別の案件、技術検討ということを進めている状況です。
 次のページをお願いします。
 さらに、高頻度往還飛行型宇宙輸送システムに関する事業コンセプト共創というのも、今年進めております。これも研究開発部門と共にやっているものになりますけれども、革新的な将来宇宙輸送システムの候補である高頻度往還飛行型宇宙輸送システムにつきましての事業アイデア、ビジネスモデルを実現していくための検討を進めたいと考えている次第です。
 JAXAのほうでも当然その検討をしており、技術ロードマップにこの企業の技術検討課題を取り込んでいくことによって、今後の民間のビジネスモデルの検討ということと、JAXAが支援できる技術課題に関する研究開発を一体となって進めるというための共創機会として進めております。現在は、この公募に対して応募いただいた9社の中から対話を進め、5社4グループとの間での検討、コンセプト共創というのを進めております。
 先ほど、研究開発部門と御紹介しましたけれども、ほかにも、有人宇宙技術部門、それから航空技術部門等との連携、検討に参画するということで進めております。
 次のページをお願いします。
 幾つか、JAXA新事業促進部で実施しております施策を簡単に紹介したいと思いますが、今までのようなプログラム、大きな施策以外にも、やはり宇宙利用を拡大していただく、特に産業界、それから一般の方も出てきますけれども、産業の裾野拡大、それから産業としての競争力強化という目的のもとに考えている施策になります。
 まずは、JAXAがこれまで持ってきた成果を活用していく、活用の促進をするということで、こういった商標、COSMODEとか、今年は新しくJAXA LABELというものにリニューアルしたのですけれども、こういった商標をつけて製品を売っていただくことで、宇宙技術、宇宙利用の認知度を高めていただきたいということとか、JAXAベンチャー、これは先ほどの出資のところでも出てまいりましたけれども、JAXAの保有する成果を活用した、企業を立ち上げたものを認定ができる制度がございます。現在9社に認定をしておりますので、この人たちと一緒に活動したりもしております。
 それから、宇宙産業のグローバル化、どうしても、海外の動向や海外企業とのやり取りがあるかと思いますし、市場はもう日本だけにとどまらないということで、実際、実は海外からいろんな宇宙機関を通じて、こういった産業関係の交流・育成であったり、声かけを宇宙機関からいただくことも増えておりますし、日本のほうでも、日本の企業もやはり海外で活動していく、展開するという意思を持っていらっしゃる方も多くございますので、JAXAのほうで、例えば展示会だったり、国際会議の関係であったり、それから展示会に共同出展していくとか、企業の活動を支援するというもの以外にも、2か国間でのイベントで、各国の産業振興政策、もしくはその連携の理解を深め、こちらからも、我々の施策や考え方を発信していくというような形でのイベント等の実施もしております。
 ほかに人材育成、ビジネスインキュベーション、これは内閣府でやられているS-Boosterですけれども、こちらにも我々も参画させていただいていますし、それから今日はあまりお話できないですが、地方連携、これも、各地方自治体の方で積極的に宇宙を利用されたいという方が今増えておりますので、各地方自治体との連携といいますか、我々との対話をし、いろんなツールを利用していただいて、利用拡大に向けての支援をさせていただいているというような内容になります。
 最後ですね。最後は、もう御紹介になります。
 我々新事業促進部で、産業振興に係る予算ということでいただいておりますJ-SPARCが2018年から、それから先ほどの拡充プログラムで今年度、それからコンステ共創プログラムPで今年度から、というところで、あとは職員もこれぐらいの人数レベルでやっておりますというところの御紹介でございます。
 以上、長くなりましたが、私からの御報告は以上とさせていただきます。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明あるいは広く事業化、産業支援策全般について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 井川委員、お願いいたします。
 
【井川委員】 すみません、聞こえますか。
 
【村山部会長】 大丈夫です。
 
【井川委員】 井川です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 ちょっと、今のもさっきのも、見ていて、お話を伺っていて、やや懸念するところですけれども、最後のほうにちょっとおっしゃいましたが、国際連携の話をされておりまして、日本で、宇宙ビジネスであるとか、先ほどの衛星の話もそうですけれども、圧倒的にマーケットが小さいですよね。だから、日本でそれとともに、昔はどうも日本の宇宙分野の人って、海外、特にアメリカとかの大学へ行ったり研究機関へ行ったりして、向こうで主役となって活躍される方もいたような記憶があるのですけれど、今どうも、文部科学省の委員会でこんなこと言って怒られちゃうかもしれないけれども、文部科学省が非常に頑張って……それと、大学の先生がいるので怒られてしまうかもしれないけれども、日本の国内の大学の居心地がよくなってしまって、なかなか海外に行って活躍するよりも、国内に戻ってきてしまう人のほうが多いと、よく指摘もされると思いますけれども、なかなか日本の人は海外で、いろいろ主導的に企業で活躍したり大学で活躍したりというのを最近聞かないということもありまして、だから、決定的に重要な部分が、一つ一つのプロジェクトが小さい上に、マーケットとしてどうなのだろう、というのも、狙えないなというのを非常に感じるところであります。
 で、何を言いたいかというと、最後のほうに宇宙産業のグローバル化促進とおっしゃったのですが、この部分の、この国際的なところに日本の技術者なり、学生、若い人なりをもっと派遣するなり、それで行って向こうで中心的に技術を活用したり人脈を作ったり、そういうのからグローバル展開できるビジネスを考えないと、どうしてもやっぱり日本だけで宇宙ビジネスとか言っても、あまりにマーケットが小粒もいいところで、ペイしないでしょうというのが、どうしても思われるのです。幾らいい技術があったり、知恵があったりしても。だから、もうちょっとこれは、人材を海外に派遣して活躍してもらうというプログラムを、さっきのもそうですけれども、円安になって大変なこともありますけれども、もっと金をつぎ込んで、とにかく、そういう若い人の海外でのチャレンジを後押しするシステムというのを組み込んで、それと、こういう国内の知恵、人材とか技術を連携させるという、ちょっと中長期的なこともにらんだ対策を盛り込んでいただけたらいいなと思います。
 以上です。
 
【村山部会長】 その点いかがでしょうか。
 
【伊達木部長(JAXA)】 ありがとうございます。
 おっしゃられるとおりだと認識しております。我々、先ほどの海外のグローバル展開を支援するという施策としても、いわゆる展示会であるとかイベントみたいなところもありますが、ほかにも、途中で御紹介した、例えば拡充プログラムで実施していく中で、もう少し人材育成に近づくような形での、まさに海外へ押し出していくような、そういった絡ませ方もできないかなと。ぜひ有効に、我々が持っている施策とか、今おっしゃられた海外の状況認識を踏まえまして、有効に施策を展開していきたいですし、企業、それから学生、皆さん頑張っていただきたいと思いますので、引き続き御支援いただければと思います。
 ありがとうございます。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 ほかの方、いかがでしょうか。
 ちょっと、私のほうから一つ質問させていただきたいのですけれども、J-SPARCには非常に私も注目しておりまして、JAXAの新しいミッションとして非常に重要だと思うのです。特に、民間とどうJAXAがかけ橋を架けるかということで、これからのJAXAの行く末を担うような部門と思うのですけれども、その中でやっぱり重要なのが、プロデューサーというかプロジェクトマネージャですよね。これは10名おられるということですけれども、もう4、5年活動されてきまして、プロデューサーがかかえる課題とか問題はどういうところにあるかと考えておるか、この辺りをちょっと御説明いただけますか。
 
【伊達木部長(JAXA)】 ありがとうございます。
 現状、今動いているのは17のプロジェクトがあって、プロデューサー9名が活動しています。実際には、企業のいろいろな事業化されたいテーマというのも、もちろん一つではなく様々な分野に及ぶことから、このJAXAの新事業促進部のプロデューサー9名では実は足りていなくて、各部門から人もエキスパートの人を借り出してというか、一緒になって働くということをやっています。
 多分、彼らの悩みを私が代弁すると、まさにその様々な専門知識であったり、それは技術的なものだけで、それは逆に彼らは持っていたりもするのですけれども、事業的なものであったり……それは企業の悩みでもあるのですが、事業的なものを進めるためのステップとして、機構内のほかの技術の協力が必要であったり、数々の要素がある中で、1人で賄い切れない、全てを解決できない中で、プロデューサーとして、司令塔として、この案件をうまく、複雑な、困難な要素を乗り切るための、うまい船頭として、といいますか、いろんな漕ぎ手を連れてきて、船を前に進めて、何とか事業化という島にたどり着く活動をしているというところで、かなり漕ぐ力が必要でして、彼らはいろんな情報、それから協力者を求め、そして力いっぱいプロジェクトを動かしているという状況だと思います。その、多くの要素のあるところの乗り切り方、彼らはうまい船頭で、今一生懸命事業化しているものもありますけれども、その要素の集め方、それをどうやって組立てて島へたどり着くかというところに苦労しながらやっているところだと思います。
 具体的には、例えば人材です。JAXAの中、いろいろなみんな忙しい中で、人を連れてくる、そして一緒に船を漕いでもらうというところで、社内の人の借り出し方、もしくは社内になければ外から連れてくる。そういった人材の集め方に苦労しているかな、というのは強く思うところです。
 以上です。
 
【村山部会長】 まさに、そういうマルチな能力が必要なのが、このプロデューサーだと思うのです。それで私は懸念するのは、5年、6年とこれをやっておられて、それで人事異動になったら、そういう知識だとか経験が失われてしまうわけですよね。JAXAとしては、こういう人が一生プロデューサーとして進めるキャリアパスというのはあるのでしょうか。
 
【伊達木部長(JAXA)】 キャリアパスとして明確にはないと言っていいかなと思いますが、それでも人事部のほうから人事配置は配慮していただいていると思いますし、行った先でも、今おっしゃられた、失われてしまわずに、逆にその部門内でも新たなこういったプロデューサーの活動を生かして、事業連携、民間企業との付き合い方とか、そういったプロジェクトのオーガナイズの仕方というところで活躍してくれるものと思っておりますので、ずっと引き留めたい気持ちと、逆にJAXA内にどんどん拡げてもらうために異動することもありかなと考えている次第です。
 
【村山部会長】 了解いたしました。
 ほかはいかがでしょうか。
 事務局のほうから手が挙がっていますけれども、お願いします。
 
【上田課長】 事務局、上田でございます。まさに今お話があったJ-SPARCにも関連するのですけれども、井川委員からお話があった、国際的な人材の活躍といったことについて、私からも、伊達木部長に加えてちょっと補足させてもらいますと、6ページ目を開いていただくと、このJ-SPARC活動は、JAXAが初めてベンチャー、随分とJAXAも私どもも接点が多くなってまいりました。こちらにいろんな企業がございますが、あくまで例になりますが、例えば左上の宇宙輸送の下にありますペールブルー。非常に若い企業ですし、経営者も若いですし、水を使ったいわゆるスラスターを、各国のコンステレーション企業に売り込むというような活動をされています。
 その次の、衛星のところにあるアクセルスペースは、画像を売っていらっしゃるのですけれども、経営者も若いですし、エンジニアも国際色豊かですし、画像データをこれまた海外、グローバル市場で売っていらっしゃると。
 3番目の軌道上サービスにある、例えば上から二つ目のアストロスケールはデブリ除去の会社でございますけれども、この企業も今成長途上にあって、そもそも事業部が日本だけではなくて海外にもある。
 また、次のロボット技術のGITAIですけれども、これももともとは大学発のベンチャーですけれども、こちらも活動の拠点は日本だけではなくてアメリカにも大きく拡大している、というような状況を伊達木部長の部署とともに、今、感じていまして、J-SPARCを通じて、こういったベンチャーの活動を促進していくといったことででも、若い人がグローバルな視野を持って活躍することにつながるのではないかなと現在認識しているところでございます。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 ほかに、御意見、コメント、いかがでしょうか。
 いいでしょうか。誰も手は挙がっていませんが。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 五つ目の議題は、宇宙探査イノベーションハブ状況報告です。
 JAXAの佐々木理事、宇宙探査イノベーションハブの船木ハブ長、よろしくお願いいたします。
 
【佐々木理事(JAXA)】 ありがとうございます。
 イノベーションハブ事業につきましては、2015年にJSTのイノベーションハブ構築支援事業に伴いましてスタートしています。支援事業は2020年に終わりましたけれども、非常に成果が上がったということで、JAXAとしては継続して取り組ませていただいています。
 前回、2020年に、この委員会でも報告させていただきましたけれども、今回、いろいろと取組をしてまいりましたので、再度御報告させていただいて、皆さんの御意見を賜りたいと思っております。
 それでは、説明のほうはハブ長のほうからさせていただきます。
 よろしくお願いします。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 お時間いただき、ありがとうございます。
 ハブ長を引き受けております船木と申します。
 状況報告ということで、我々の宇宙探査イノベーションハブ、通称探査ハブと呼んでいますけれども、そちらのほうの概要から始まりまして、最近の取組、それから将来どんな方向へ進むかといったところを簡潔にまとめてまいりましたので、御意見いただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。
 次のページをお願いしてよろしいでしょうか。
 先ほど紹介いたしました、今日のプレゼンテーションの概要になります。
 次のページをお願いいたします。
 さらに次のページに行っていただきまして、こちらは探査ハブの目指すところ、探査ハブの概要等、それから探査ハブの状況を簡単な資料にまとめて、数ページで御紹介させていただいています。
 探査ハブは、この上のほうの四角の中にあります、世界をリードするような宇宙探査技術の研究開発に取り組むための、オープンイノベーション拠点というのを目指して活動しております。ただ、探査というのは、先ほど、宇宙ビジネスについて難しさの議論があったと思いますけれども、探査というのはビジネスからすると一番遠いところにあるのかなと思います。
 その探査に様々な企業、あるいは大学の皆さんに来ていただくためには、何か工夫が必要でしょうというところを考えまして、我々はこの箱の中で上のほうに書いております、これは、社会的課題の解決、あるいは地上産業に必要な技術課題と、それから宇宙でも使える技術というものの共通項を探してあげましょうと。その共通項にフォーカスして、研究開発を展開すれば、宇宙でも使える、それから地上でも役に立つ、企業にとって、ベネフィットのある研究開発ができるのではないかということで、研究開発を進めているところです。
 下の図が、そのアイデアを絵にしたものですけれども、真ん中に、JAXAの探査ハブがございまして、左は青色歯車ですけれども、こちらは宇宙の研究開発が進む、宇宙探査シナリオミッションを実現するということ、それから右側の緑の歯車は、そうではない、JAXA以外の、企業、大学、研究機関の活動でして、こちらは事業化というところを目指してやっていくと。この緑の歯車と青の歯車が、探査ハブを介して高速に回転することで、双方の相乗効果を生かした研究開発がなされ、参加者の拡大が進むというところを目標にしております。
 次のページをお願いいたします。
 次のページには、探査ハブの研究のスコープ、あるいは、どのくらいの時間スケールで物事を考えているんですかということを示そうとしておりますが、図の左側には、現在及び当面の月面探査活動ということで、JAXAの大部分、あるいは民間の大部分の研究活動、ここにフォーカスしているわけですけれども、探査ハブはこの図で右上の方向、本格的な月面活動、あるいはそれに至るまでの様々な将来ミッション、今から10から20年先の、そうしたミッションを目指した研究開発、ですからJAXAの中では、若干異質かもしれません。かなり将来に寄せた研究開発を下のほうに、類似の研究の枠組みを示させていただいておりますが、ムーンショットやスターダストというところが、ある意味、探査ハブと類似した、考え方が少し違うんですけれども、探査ハブでは1番下の行にありますように、オープンイノベーションによる将来の月探査等の宇宙探査に向けた先行的な研究開発、芽出し研究をやるというところを目指しております。
 次のページから何ページかにわたっては、探査ハブのこうしたアイデア・構想の実現状況ということで、幾つかのKPI値を示しながら、これまでの成果をまとめてございます。
 探査ハブでは、大きな二つのアプローチ上の工夫がありまして、まず、一つ目が、1番上の四角ですけれども、研究課題の設定段階から民間企業等のニーズを取り込む参画機関にしたいと。JAXAからオーダーするのではなくて、うまく企業等のニーズを取り入れて、これを研究課題に仕立てていくと。
 それからその中では、先ほど申し上げた、宇宙と地上の共通の研究課題を解決するような研究課題、こちらに特化しましょうと。先ほどもお話ししましたが、我々が、宇宙と地上のデュアルユーティライゼイションと呼んでいるものですけれども、こうした枠組みをつくりまして、ここに書いてあるような、非常に多くの情報提供ですとか、それに基づく共同研究・142件を実施してきたところです。
 KPIとしては、この上のほうの図の右側に示してございますが、これはこの図の上のほうが、いわゆる国費の投入、探査ハブ並びに2019年度までのJSTの投資に相当する部分ですが、こちらは合計で、毎年およそ6.2億円、6億円程度ございますが、これに対して図の下のほう、各参画企業の自己投資が非常に増えておりまして、最近では、JAXAあるいはJSTからの投資、あるいは研究ファンドの提出に対して、それを上回る投資が得られるということで、非常に多くの企業にとってこのシステムが魅力的で、自社投資を盛んにしていただくことに役立っているということが分かるかと思います。
 それから下のほうには、人材糾合、異分野融合によるオープンイノベーションの実現ということで、こちらは幾つかクロスアポイント制度等を利用しました研究開発を一緒にやらせていただきまして、右側には、9割が、宇宙・非宇宙業界と書いてありますが、多くの参加企業が実は宇宙分野ではなく、違う業界からやってきていらしていまして、そうした企業とがっぷり四つに組んだJAXAとの共同研究を実施しているということになっております。
 次のページをお願いします。
 こちらは参加企業の、地方にどれぐらい分布しているかという状態でして、見ていただいて分かるとおり、非常にバラエティーに富んだ地域からの参画企業がございます。
 次のページをお願いいたします。
 また、この資料はちょっと読み取りづらいですが、非常に多くの企業が、宇宙ではない、非宇宙業界からの参入であるということを示そうとしているものです。宇宙業界の参入企業は、この図の右下の灰色の部分にとどまっておりまして、ものすごく少ないです。上のほうの青い部分は、いわゆる宇宙業界からではない、宇宙にとっては新しい業界からの参画で、多くは、右の緑の枠の中に書いてありますが、中小のベンチャーということになっております。
 また、左下のほうには、大学等からの参画も示させていただいておりまして、非常に新しいニューカマーが、このシステムを使って、たくさん共同研究に参画していただいているということが見てとれるかと思います。
 次のページは、非常に細かい、トラックマップと呼んでいるものですが、これまで様々な研究をどんな分野について、どんな粒度でやってきましたかというところを示そうとしているもので、ちょっと分かりづらいですね。実施中のものが緑になっております。それから、赤のものが4月からスタートするというもので、常時3から40件ぐらいのこうした共同研究を実施しておりまして、非常に多くの参加企業の協力を得ているということが、この図から見ていただけると思います。
 ここまでが探査ハブのKPIについて、あるいは取組を目指すところについての紹介ですが、こちらからは、少し時間をいただきまして、研究活動状況、それから主な成果について、ただしかいつまんで紹介していきたいと思います。
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 探査ハブはどんな研究領域を持っているかというところを簡単にまとめたものですけれども、アルテミス計画等が本格化しましたので、有人宇宙探査技術といった分野を含んだ五つの分野、広域未踏峰、自動・自律、それから地産地消、月面のその場で物をつくるような技術、これもちょっと先になるような技術開発ですが、それに有人、それから共通技術と、5分野で研究開発を実施しております。
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 それをさらに書きくだすとこのようになりまして、我々は、先ほどの広域未踏峰とか地産地消という言い方をすると、なかなか、特に一般の企業からぴんとこないと言われますので、ここに書いてあるように、月面を探ると。それからその次、月面でつくると。それから右側、月面で物を建てると、そして住むという言い方をしまして、1番下の「住む」は有人技術、あるいはインフラ技術に関係するわけですけれども、日本が得意とする技術を発展させて、将来の宇宙探査にも応用しつつ、産業共創力を向上出来る、こうしたテーマを日々探しているということになります。
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 次のページのスライドには、最近の成果ということで、先ほど紹介した、「探る」左上、「作る」左下、「建てる」右上、それから「住む」右下といった分野での、それぞれの分野からのハイライト活動をとらせていただいておりますが、ちょっと一つ一つを説明する時間が今日はないので、もし御興味がある分野・テーマがあれば御指摘いただきたいですが、ロボティクス、それから月面で食物をつくる、あるいは月面でものをつくる、それから月面に居住区を展開する、そのための建築技術という形で、非常に多様な、ただし地上の産業と親和性の高い分野での研究開発が非常に進んでいるということが、見てとれるかなと思います。
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 探査ハブでは、幾つかの重点分野を置かせていただいておりますが、その中での一つが、やはりロボティクスの中でもAI分野です。
 まだJAXAのミッションではAIを本格的に使ったミッションというのがないですが、次のまた次の世代のローバーには、ぜひ、このAI技術を導入しまして、このスライドの左上は、少ないデータで学習する環境認識技術の研究開発の成果を書いておりますが、AIを宇宙で利用する場合に問題なのは、あらかじめ多くの学習をしてから宇宙に行きたいわけですけれども、ただ、宇宙に行くと、地上で学習したデータと全く違う、あるいはかなり違う状況になっています、ということが予想されます。そうした状態でAIをいかに機能させるかというのが非常に重要なテーマ、宇宙になっておりまして、これは例えば、スマートシティで、いろいろなロボットが動くのを学習させるのは簡単ですけれども、これが一歩シティの外へ出てしまうと、途端にロボットは動けなくなってしまいます。そういうのを、どう解消しましょうかという、地上での社会課題とも共通するところがありまして、そういうところを幾つか狙い目定めながら、幾つかのAIの研究を実施して成果が得られているというチャートになっております。
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 この次のページには、別の視点で、探査ハブの研究は、基本的には研究の芽出しをやっているつもりです。ですから、企業のビジネスにつながる、地上でのビジネスにつながるか、将来、少し将来、先になりますけれども、探査ミッションで使えるかというところですが、要するに探査ハブの研究をやった後、その先のステップアップの先が欲しいということになります。我々から見ると、現在、そのステップアップの先として非常に重要視しているのが、スターダストプログラムでして、このページの左側に御覧いただきますとおり、探査ハブでは、様々な建築技術、土木技術、それから居住区の展開技術等を研究してまいりましたが、ここで何らかの成果を得たものが、さらに、国交省、政府のほうのスターダストプログラムに採択されて、さらに大きな成果につながっているというところがございまして、こうした探査ハブは、一つ一つの研究テーマは、例えば500万円とか600万円とかいうような、非常に小さな研究規模ですけれども、ここを足がかりに、その先のプログラムを見つけるように努力しているところです。
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 そうした政府系プログラムへのつながりという意味では、ムーンショットも我々の大きな目標にもなっています。
 ムーンショットでは、例えばこのスライドの右上には、AIとロボットの共進化について書いてございますが、現在、今年度から、このAIロボティクスの分野で、1番上の「AIロボットにより開く新たな生命圏」というところで、こちらの探査ハブのプロマネが立ちまして、新しい研究計画をこれから立ち上げるということをやっております。
 幾つかの関連した研究テーマが、やはりこのAIとロボティクス並びに、別の分野について書いてございますが、下のほうにもありまして、こうしたムーンショットのプログラムにも、探査ハブ研究の芽出し研究の成果が接続しているというのが、ちらほら出てきました。
 こうしたプログラムへの接続性も、探査ハブにとっては非常に重要な目標ということになっております。
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 説明のほうが長くなって恐縮ですが、成果の紹介という意味ではこのページが最後になりますが、デュアルユーティライゼイション、ですから、地上での技術、それから宇宙での技術の共通項をうまくつくり出してというところが、我々の戦略になっているのですけれども、その成功例、あるいは探査に初めて使われた例が、このSORA-Qと呼んでいる小さなロボットです。手のひらサイズのロボットを多くのメンバーが抱えているところ、開発メンバーが抱えているところを右下の写真が示してありますが、これはちょうど野球のボールぐらいのロボットで、ロボットは月面にSLIM、来年度打ち上げられるJAXAのSLIM月探査機から、もう一つのロボットと一緒に放出されて、宇宙での実運用に供されることになっています。これは、タカラトミーという玩具メーカー、おもちゃメーカーが、JAXAと一緒に共同研究開発しているものでして、我々からすると、ロボットメーカーじゃなくて玩具メーカーの物づくりを学べて、JAXAが宇宙運用をタカラトミーに、指導と言ったらおこがましいですけれども、一緒に考えるという、これも非常にいいコラボレーションができまして、同様のロボットは、ispaceのミッションにも搭載されておりまして、来年度、これも、皆さんの目にとまるかと思っております。
 以上が成果の紹介で、最後のスライドになりますけれども、次のページの次、お願いします。
 今後の取組です。
 今日は、これまでの成果と、探査ハブの目指すところを御紹介してまいりましたが、多くの非宇宙企業の参画と、それから、将来の宇宙探査のブレークスルーになるはずの多様な技術の創出というのが実現しておりますが、今後さらなる発展をやはり目指したいところです。
 1番としては、イノベーション創出に向けた企業間連携の活性化、JAXAとある企業、JAXAとある企業ではなくて、企業間の連携がさらに強まることで、新しいイノベーションが生まれるのではないかという取組、こうした、いわゆるコンソーシアムの活動の強化といったところをやっていきたいと思っております。
 それから、成果の宇宙適用、これがやはり我々JAXA側のスタッフとしては一番熱が入るところですので、ここでは宇宙適用のところを宇宙道場という書き方をちょっとイレギュラーにしておりますが、宇宙探査ミッションへの適用に向けて、地上研究から巣立った成果を宇宙で実証する取組を積極的に活性化していきたいと思っています。非宇宙企業が宇宙ミッションに、実際に自分たちの、先ほど紹介したSORA-Qのように搭載されるというのは、非常に大きなモチベーションになるということが、我々もよく分かりましたので、この道場の実現のためには、先ほど報告していただいた新事業促進部そのほか、JAXAのいろんな部署と強く連携することが求められると思っておりますが、こうした取組を進めさせていただきまして、ぜひ、より多くの宇宙企業を新たにつくっていきたいかなと思っております。
 探査ハブからの取組の紹介は以上になります。もし、御質問、あるいは御意見、あるいはアドバイス等いただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明、あるいは宇宙探査政策全般に関して、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 鈴木委員、その後で松岡委員、お願いいたします。
 ます、鈴木委員のほうからお願いいたします。
 
【鈴木健吾委員】 鈴木でございます。
 まず、民間企業等の自己投資額が増加したというところのページ6にあるような記載というのが、やっぱり非常に印象的でして、こういう流れを生むことができた理由みたいな部分があれば教えていただきたいのと、併せて、これは探査ハブだけじゃなく、JAXA全体に適用できるようなことがあれば、宇宙開発が日本国において大きく進展する可能性があるのではないかなと思っていますので、その辺りの可能性について認識したいので、自己投資が増えた理由みたいな部分を教えていただきたいです。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 自己投資が増えた理由は、このページの一番下に、この探査ハブの事業がJSTのイノベーションハブ構築支援事業から始まったというところを書いてございますが、このJSTの進め方がJAXAにとっては非常に役に立ったと思っています。JAXAですと、先ほど新事業促進部のほうで、プロデューサーは大事だね、という話がありましたね。プロデューサーは確かに大事ですけれども、JSTからは、事業化アドバイザー、知財アドバイザー、といったような、事業化並びに知財を創出するために重要となる、しかもベテランで、キャリアを積んだスタッフを派遣いただきまして、そうした、事業化並びに知財を掘り起こすための重要なキーパーソンズとともに、先ほど、新事業促進部で言えばプロデューサーに相当する、我々で言うと研究インテグレーターと、それから研究領域リーダーというのを数名置いているのですが、そうした研究を実施するスタッフと、それから事業化を推進するために重要なスタッフをうまく混ざり合わせて、進められたというのが、自己投資を得ることができたまず一つ目の理由だと思っています。
 そのほかにも幾つかあるのですが、もう一つはここに書いてありますけれども、企業のニーズをやはり正確に取り込むというところです。企業が、例えば先ほどのSORA-Qですと、物づくりをして、おもちゃを販売したいというようなニーズというのでしょうか、出口ですね。それから、ソニーとやらせていただいた光通信の技術では、これはソニーグループが、今、衛星を作っていらっしゃいますけれども、将来、光通信事業をしたいと。そのための研究開発をしたいという明確なニーズが、メーカーにあります。こうしたニーズをきちんと取り込んで、研究テーマを設定する場合自己投資を促すことができると考えております。
 以上2点、体制の点と、それから企業のニーズを正確に取り込むことによって、自己投資を促すことができたのではないかという理由を二つ述べさせていただきました。
 あと、JAXAの中では、同様のシステム、今、輸送系のプログラム、革新輸送のプログラムで適用しています。これは、オープンイノベーションという探査ハブのやり方とかなり近いやり方を宇宙輸送分野にも使ってみましょうということで、こうしたオープンイノベーションのスキームを、やはり非常に有効に活用することで、JAXAの研究開発力をかなり加速することができるのではないかと思っております。
 御回答になってなければ、もうさらに質問いただければと思います。
 
【鈴木健吾委員】  いいえ、ありがとうございます。
 何か仕組みをきちんとつくったというところの、さらにキーになるのは、人に起因する部分で、ニーズの掘り起こしとかも的確に人ができないと駄目だと思うので、JAXAにおけるヒューマンリソース、HRに関する構想などもうまく運用していって、こういった流れというのを拡大していってもらえればなと期待しています。
 よろしくお願いします。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 続きまして、松岡委員、お願いいたします。
 
【松岡委員】 松岡です。
 船木先生、どうも、御説明ありがとうございました。
 地上の技術を宇宙でも利用できるようにするために、今御説明いただいた探査ハブは、非常にすばらしい活動をされているなと伺っていました。ただ、実際には、もちろん地上と宇宙では、環境や条件が大きく異なりますので、宇宙で利用できるようにするためには、大変多くの手を動かす作業が必要で、それには宇宙に物を持ってくことについての高度な専門知識も必要ではないかと思います。
 まだそういう御経験の浅い企業とJAXAの探査ハブとで取り組まれている、地上の技術を宇宙に持って行くことを、どこまでが企業がやって、どこからがJAXAの探査ハブでやられているのかというところに、関心を持ちました。たくさんの事例をやられているというお話で、それぞれにJAXAの探査ハブの方がどのくらい関わっていらっしゃるのか存じ上げないのですが、非常に大変ではないかということを思いました。当然ケースによって違うことはいろいろあると思うのですけれども、この取り組みをうまく回していくために、どのように役割分担を決めているのか、それが実際にうまくいっているかどうか、このようにしたらいいのではないかということがあれば教えていただけたらと思います。
 よろしくお願いします。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 ありがとうございます。
 御質問の確認ですが、一つ目は、JAXAと、それからメーカー、あるいは共同研究相手方との、宇宙で物を動かすという取組に対する役割分担ですか。
 
【松岡委員】 そうです。今、示していただいている図に緑の矢印がありますけれども、当然、企業とJAXAとで相談して進めていると思うのですけれども、どこまでが企業がやらなければいけないところで、JAXAの探査ハブはどこからやられているかというころに興味があります。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 原則的には、企業には、宇宙実証での経費負担は求めてないです。なので、JAXAが、この図の左下に書いてございますが、宇宙実証はJAXAが担当ということになっておりまして、宇宙の実証までいったテーマというのは、まだ、両手で両指に入るぐらいの数しかないですけれども、いずれも宇宙実証というところでは、JAXAのほうから、かなりのマンパワーと、それからかなりの経費を出して、宇宙実証実験は実施しているということになります。
 ただ、少し流れが変わってきたのは、SORA-Q、先ほど紹介したロボットの分野ですかね。彼らは彼らの事業スタイルを持っていますので、一定額、かなりの額をその宇宙実証のためにも投資していただきまして、ものづくり、宇宙で使う実機の開発のかなりの部分まで、彼らの自社投資で開発に参加してくれています。ですので、当初、探査ハブが始まった頃は、まずは企業の皆様に来てほしいということで、企業の皆様は研究開発、将来、宇宙で使えるかもしれない研究開発、ただ、彼らの事業に対しては、この探査ハブでの取組を通して、さらに投資をして事業をきちんと進めてくださいというふうな言い方をして、宇宙実証はJAXAの役割だったのですが、宇宙実証をやりたいというメーカーも出てきておりますので、ちょっと流れが変わってきているところなのかなあと思っております。
 それから、松岡先生のもう一つの御質問は、恐らくJAXAの中のこうした、例えば私が宇宙道場と言った宇宙ミッションをやるためには、すごくリソース、あるいは負担の点で大変なのではないか、どういう工夫をしていますかという御質問だったと思いますけれども、おっしゃるとおりでして、これは、一つの解はありませんけれども、ただし探査ハブは、多くのJAXAの部門等のスタッフに支えられている部分があります。30名ぐらいの専任者を含む組織ですが、そのうち半分ぐらいは各部門から併任していただいておりまして、そういう併任先では、例えば有人宇宙技術部門では、ISSの技術運用に詳しいという人、こうした皆様に支えられて、例えば先ほど紹介したソニー様のSOLISSという光実験ができたりしました。そうした、やはり宇宙実験のプロは宇宙実験のプロとして必要ですので、ここは、限られたリソースかもしれませんが、JAXAの中のリソースをお願いして、今はやっているところです。
 それから、宇宙で動くかどうかというところは、先生も放射線とかプラズマ帯電とか専門だと思いますけれども、そういったところは確かに肝になるところで、昨今の研究は、小型衛星等のビジネスに直結させたいという研究も結構多いです。そうすると、JAXAでは放射線熱環境といったところの試験を担当して、こうした作り方をすれば宇宙で使えるようになりますよというところを一緒に学んでいただくということをして、できるだけメーカーに、その先の宇宙での利用についても、自立的にやっていただけるように工夫しているところです。
 以上2点で、目下の回答にはなっているかと思いますが、いかがですか。
 
【松岡委員】 詳しい御説明、どうもありがとうございました。
 やはり、いろいろ大変なことはあるけれども、全JAXA的に、船木先生のリーダーシップのもと、進められているということで理解しました。ますますの発展をお祈りしております。
 ありがとうございました。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 JAXAの皆様のサポートには、日頃から感謝しております。
 松岡先生、ありがとうございました。
 
【松岡委員】 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 ありがとうございます。
 ほかの方、いかがでしょうか。
 いかがでしょうか。
 山崎委員、お手が挙がっております。
 よろしくお願いいたします。
 
【山崎委員】 ありがとうございます。
 船木先生、御説明ありがとうございます。
 やはり、企業の参加される皆さんは、出口として宇宙実証を目指されている方が多いかと思うのですけれども、今回はその出口の一つとしてSLIMへの搭載という形をとっていらっしゃいます。今後に関して、ですけれども、どういった実証の出口を考えていらっしゃるでしょうか。もちろん、イノベーションハブと、それから先ほどのJ-SPARCとの間でもいろいろ連携はされているかと思うのですけれども、特に探査における実証というと、やはり月面への輸送などに関してはどのように考えていらっしゃるか、もう少し教えていただければ幸いです。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 恐らく難しい質問になっているかと思うのですけれども、でもまず、初めのステップは、宇宙ステーションISSの利用だと思っています。ISSは、今のISSの位置づけの一番、あるいは非常に重要なポイントは、探査のための実証の場であるというところかなと思っています。実際、探査ハブの宇宙実証のテーマでも、全固体電池、バイオ実験、ソニーのSOLISS、など四つぐらいのテーマについては、ISSを使った実証をやらせていただいておりまして、なかなか、まだ、今このタイミングでは、月への直接輸送をJAXAがサービスする、あるいはispaceがサービスするという状況にはなってないと思いますので、まずは国際宇宙ステーションの、十分な活用というところかなと思っています。
 やはり、月への輸送となると、どうしても現状では、コストの壁が非常に大きくなるので、ここはもう一段高いレベルのJAXA内の連携ですとか、あるいはファンディングの創設というところが必要になるのではないのかなと思っております。
 ちょっと難しい質問だったので、半分ぐらいしか答えていないと思いますけれども、いかがでしょうか。
 
【山崎委員】 いえいえ。やはり、低軌道における実証を経て、段階を経ていくということが大切ということがよく分かりました。
 どうもありがとうございます。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 御質問、ありがとうございました。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
 ほかの方、いかがでしょうか。
 笠原委員、お願いいたします。
 
【笠原委員】 笠原でございます。
 大学の立場で、1点申し上げさせていただきます。
 御発表を聞いていて、やはりJAXAの最大の魅力の一つは、未踏領域、宇宙探査、そういうところであるということを改めて認識いたしました。ですので、やはりそういう点も、今後はより一層極められて、もちろん今日御発表ありました、(4)の新事業部、マーケットも極めて重要、これ以上ない重要な観点かと思うんですが、宇宙探査というパイオニア、知のパイオニアとしての役割をまさに担っている御活動だなと、改めて認識を新たにしていますので、そういう観点では、大学や教育といったところと結びつきの強い活動のように拝見させていただきました。
 今後も、そういう観点で、人類を引っ張っていただくような、まさにそういう活動を盛り上げていただきたいなと、強く願っております。
 以上でございます。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 アドバイスをありがとうございます。
 大学の参画も非常に重要で、今日は紹介し切れなかったのですけれども、やはり大学としては、行ったことのない環境、それから未踏峰探査というところがやはりポイントかと思いますので、そして世の中にない技術、こうしたところを大事に、うまくシーズを育てていくような取組を、さらに加速していきたいと思います。
 ありがとうございました。
 
【村山部会長】 船木さん、どうもありがとうございました。
 
【船木ハブ長(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【村山部会長】 終了の時間が迫っておりますので、次の議題に移らせていただきます。
 それでは、最後の議題はその他ということですので、事務局からの説明をお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 事務局より2点ございます。1点目、資料72-6を御覧ください。文科省における第11期科学技術・学術審議会のもとに設置されております宇宙開発利用部会、この部会並びにその下にある二つの小委員会は、今月14日をもって委員の任期が一旦満了となり、第12期として設置できるまで公式な活動が一旦休止となります。そうした中、調査・安全小委員会にて現在進めていただいている、イプシロンロケット6号機の打上げ失敗原因調査につきましては、故障シナリオに基づく原因の特定及び背後要因も含めた再発防止策の策定までもう少し時間が必要な状況でありまして、外部有識者による確認を継続して実施していく必要がございます。そこで、第11期から12期への移行期間におきましても、イプシロンロケット6号機の打上げ失敗の原因究明状況を確認し、また、この間発生可能性のある宇宙関連の事故、異常事象などに対応できる体制を維持することを目的に、現在の小委員会と同一メンバーによる有識者会議を、ここに示された資料のとおり、別途立ち上げることといたしましたので、この部会の場でも御報告させていただきます。
 次に、2点目でございますけれども、資料はございませんが、前回12月の利用部会におきまして、スターダストプログラムにつきまして、継続案件の進捗状況並びに非公開審議の場を用いまして新規案件について御審議いただきました。その後、内閣府の衛星開発・実証小委員会に付議されまして、その結果も踏まえまして、現在、予算配分に関する政府内手続を進めているところでございます。先日いただいた御意見ですが、各案件の予算配分はまだ正式には確定していませんが、予算配分等が正式に確定次第、頂いた御意見を、スターダストプログラムの進め方への指摘のまとめとして、これは昨年もこの時期にまとめていただいておりますけれども、そうした形で、本部会で御決定いただきたいと考えております。本日の議題としては扱えていないのですが、今期が終わる14日までに、別途書面審議として部会開催という形をとりたいと考えております。既に皆様のところには、事務局の担当者より本件の連絡を差し上げているところかと思いますが、何とぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。なお、書面審議の結果は、後日ホームページに公表させていただきます。 事務局からは以上です。
 
【村山部会長】 どうもありがとうございます。
 ただいまの事務局からの報告について、何か御質問はございますか?
 いいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 本日の議事はこれで終了となります。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
 
【竹上企画官(事務局)】 引き続き事務局でございます。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は、文科省ホームページに既に掲載させていただいております。また、議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただいた後、文科省ホームページに掲載させていただきます。事務連絡は以上となりますが、第11期として、会議形式での開催は本日が最終回となりますので、事務局を代表しまして、研究開発局長の千原より、委員の皆様に一言御挨拶をさせていただければと思います。
 
【千原研究開発局長】 研究開発局長の千原でございます。
 本日も重要な御指摘、また、御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 今ありましたように、書面審議の案件を1件残してはございますけれども、第11期の宇宙開発利用部会の会議としては、本日が最終回ということで、一言御挨拶をさせていただきます。
 村山部会長はじめ委員の先生方におかれましては、コロナ禍の最中に御就任をいただきまして、それ以来ほぼ完全にオンラインでの会議開催という御不便もある中、JAXAの携わる様々なプロジェクトにつきまして、御審議をいただきました。この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げます。
 技術的な困難から、2度にわたり計画変更を余儀なくされましたH3ロケット開発に関しましては、貴重な御指摘とともに、担当者を勇気づけていただけるお言葉も賜りました。おかげさまで、先ほどありましたけれども、いよいよ来週、試験機1号機が打ち上げという運びとなってまいりました。無事に打ち上げが成功しますよう、先生方にも見守っていただけると幸いでございます。
 最後になりますけれども、委員の先生方には、これからも様々な場面で御指導いただくことがあろうかと思います。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、御礼の御挨拶とさせていただきます。
 大変ありがとうございました。
 
【村山部会長】 千原局長、どうもありがとうございました。
 局長や事務局からもお話がありましたとおり、書面審議が必要な案件を1件残していますが、本日が第11期の宇宙開発利用部会の会議形式での最終回となります。
 皆様の御協力により、部会を順調に進めることができたことを感謝いたします。本当にありがとうございました。
 以上をもちまして、閉会といたします。長時間にわたる御審議、誠にありがとうございました。
 

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課