拡散するバッシング、描きにくい皇室像 SNS時代のメディアの役割は 河西秀哉氏に聞く
■メディアの役割は
象徴天皇制を形作ってきたのは皇室と国民の相互のコミュニケーションであり、そこに果たしてきたメディアの役割は大きい。時に協調し、時に批判的な視点も持って皇室を見つめるメディアを通じて、国民は皇室と「共に生きる」感覚を持ち、反対に皇室も、求められる在り方をメディアを通じて模索し、投影してきたのではないか。
宮内庁は昨年からSNSの活用も進めているが、見せたい姿を一方的に発信するだけでは不十分だ。秋篠宮さまのバッシングに対するご見解や「皇族は生身の人間」という率直な言葉は、メディアとのやりとりの中で明らかになった。
既存メディアには、「消費」ではなくジャーナリズムの観点から、国民が皇室について考え、議論していくのに必要な情報を引き出していく力が求められている。(聞き手 緒方優子)
◇河西秀哉(かわにし・ひでや) 名古屋大大学院人文学研究科准教授(近現代史)。近著に「皇室とメディア-『権威』と『消費』をめぐる一五〇年史」(新潮社)。
■30年で繰り返し問題に 宮内庁、反論から発信強化へ
皇室へのバッシングはこの30年ほど、繰り返し問題となってきた。宮内庁は平成11年にホームページ(HP)を開設して以降、個別に抗議や反論を掲載してきたが、ネット上で急速に拡散する投稿への対応は難しく、近年は情報発信強化にかじを切っている。
昭和から平成への代替わり後、上皇ご夫妻のなさりようなどを巡ってバッシングが相次ぎ、上皇后さまが倒れられた。宮内庁は6年、「報道室」を新設し、11年にはHPを開設。19年以降、報道や書籍への反論や訂正要求も掲載してきた。
29年の小室眞子さんの婚約内定では、相手側の金銭トラブルなどを巡る雑誌報道を契機に、ネット上などで誹謗(ひぼう)中傷とみられる投稿が広がった。眞子さんは複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、令和3年、宮内庁は「情報発信の研究」を行うと表明。5年に「広報室」を新設し、6年にはインスタグラムの運用を開始した。フォロワーは現在180万人を超え、幅広い世代への発信強化を進めている。