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いまいる場所だけが世界ではない。

神奈川在住の女性T様から「息子に電話しろと言われて電話した」と電話が来た。私の正しい使い方である。シングルマザーのT様は、息子と一緒に私の記事を愛読してくれている。軽度の知的障害を持つ息子さんは、私の文章がやたら好きで、記事が更新されるたびに「またお母さんのことが書いてあるよ」と報告をしてくれる。心配は最悪のエネルギーだって書いてあるよ、お母さんは僕の心配ばかりするよね、太るのは隠したいことがあるからだって書いてあるよ、お母さんも太っているよねとか言われるから「ひえ〜!」となる。

T様は言った。坂爪さんが家の近くにいるのを見ると、息子から「泊めてあげなよ」と言われる。だけど、我が家は散らかりまくっているから、こんな家に泊まらせたら迷惑かなと思って、遠慮をしていた。息子に電話しろと言われたから、あなたが電話すればいいじゃないと言ったら「それはちょっと恥ずかしい」と言われた。坂爪さんに電話しても何を話したらいいかわからない、僕はスターウォーズの話しかできない、だけど坂爪さんはスターウォーズには興味がないと思う。そう言って、息子は風呂に入っている。なかなか、勘のいい息子さんである。息子よ、君は素晴らしい。

T様は言った。体調不良で倒れているのをずっと見ていた。シングルマザーだからお金に余裕があるわけじゃないけど、ほんの少しだけカンパをさせて欲しい。本当に、本当にほんの少しだけど、どこに送ったらいいか教えてください。私は「なんて素晴らしい親子なんだ」と感激した。心があたたまる話である。数ヶ月にわたる体調不良で身動きが取れず、所持金はあっという間に底をついた。一張羅の革ジャンを売ることで光熱費を工面していたが、着るものがなくて肌寒く、毎日ぶるぶる震えていた私の心は、急速にあたたまった。

無事に回復し、シベリアのヤクーツクという冬場は氷点下七十度まで下がる都市を研究していた。エンジンやガソリンが凍るために、冬場は車のエンジンを切らない。エンジンを切ると車が凍る。街は排気ガスであふれている。屋外を十五分以上歩くと凍傷になる。通学中のこどもたちは、バスが遅れると心細くなって泣く。涙は、あっというまに氷柱となって頬を冷やす。こどもたちは「泣くことは得策ではない」と学ぶ。こんな都市にもホームレスはいる。ホームレスが暮らすボロボロのテントの上に、オーロラが輝いている。だが、誰もオーロラを見ない。オーロラに飽きている。

テクノロジーの発達により、辺境の暮らしが手に取るようにわかる。行かなければわからないと思っていたが、行かなくてもわかるようになった。世界はフラットになり、自己や意識が拡張して、誰を見ても「あの人は私だったのかもしれない」と思う。人間の一生には限りがあるから、自分がやれることには限度がある。他者は、自分の代わりに生きてくれている、もう一人の自分だ。ヤクーツクを見ていたら、日本の寒さはイージーだと思った。不思議と、寒さが気にならなくなった。比べないことは難しい。何と比べるかだなと思った。日本にいて、日本語を使える。それだけで、イージーだ。いまいる場所だけが世界ではない。どこにいても、人間は生を営む。いまいる場所だけが世界だと思うと、どこにいても、自滅する。再び熱海の家を開放する。夜は焚き火をしたり、焚き火で調理をしたり、酒を飲んだりしたい。AIが話し相手役を務めるようになり、いよいよ人間は何もやらなくてよくなった。いままでのやり方が見事に通用をしなくなった。面白い時代だ。

坂爪圭吾様

拝啓 初春にふさわしく、のどかな天気が続いています。

昨年、ホタテ忘年会でお世話になりました⚪︎⚪︎です。当日は体調が優れないなか、快く場所を提供し開催していただき、本当にありがとうございました。

その後体調はいかがでしょうか?割れたガラスがいつ直るのか気がかりでなりません。

あれからも坂爪さんのnoteを読ませていただき、当日あの場所に居合わせたことの意味や自身のあり方を内省しておりました。主催者の方がホタテを買うお金がなくなっていたことも知りませんでした。当日、集い騒いで、遅れてきた方の分のホタテを取っておくことなく全部食べ、ガラスを破損し、部屋を汚し、ゴミを残していった自分たちの行い。

坂爪さんに一度お会いしてみたいという気持ちで深く何も考えず、浮かれてのこのこ出かけて行った自分を今はただ恥ずかしく感じています。

2022年の5月に息子がコロナに罹患して私もうつり後遺症になり、仕事も家も失い、体調が思うように快復しないなか、残りの人生をいかに生きるかずっと考えていました。

昨年の夏に三年ぶりに実家に帰省し、90歳と89歳の両親を不衛生で物が異様に多い劣悪な環境ながら、近くに住む統合失調症の兄が世話をしている姿を見たことが転機になりました。自分の中で問いかけました。ネグレクト状態で私を育てた親をこれからも恨み憎んで、これからも一生うまくいかないことに出くわすたび人のせいにして生きるか、変えられない過去は仕方がないと、生きたいように生きることを許すのか。私はほんとうはどう生きたかったのか・・・等。

それで決めました。もう親を恨むのではなく、自分自身を大切にしよう、自分と仲良くなろう、やりたいことを一つずつやっていこうと。

そんな時、坂爪さんの文章を読み「君も人生を棒に振ってみないか」「正しく生きるとつまらなくなる」などの言葉に出会い、背中を押されたような励まされているような気持ちになりました。

17年程前に、当時まだ小さかった息子を連れて森のイスキアを訪れた経験があります。坂爪さんは初女さんに佇まいがとても似ていました。逢初庵も森のイスキアのような場所でした。余計なことを言わず聞かず、ただ坂爪さんご自身であられてその場にいる。そのことがどれだけ静かで心強いのだろうと思いました。その間合いに触れるだけで皆さん自分自身を思い出すのだと思います。

特に会話はしませんでしたが、横になっている時に聴いた坂爪さんのギターの音色は子守唄のようで、どんな言葉や態度よりも心に響きました。一生忘れないと思います。

乱筆乱文の長文をお許しください。せめて何かお礼をと思い、お花を贈らせていただきます。最後になりましたが、一日も早く体調が快復されますことをお祈りしております。

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おおまかな予定

1月12日(日)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

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坂爪圭吾
バッチ来い人類!うおおおおお〜!

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いまいる場所だけが世界ではない。|坂爪圭吾
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