農村のラオス少女が売春を迫られる理由、人身売買の闇とは 日本法で処罰も渡航増加か【東南アジア少女買春の罪(下)】
▽乏しい就職先、通貨価値は半減。苦しい経済悪化 1899年からフランス領インドシナに編入されていたラオスは、1945年にラオス王国として独立を宣言。その後、内戦や隣国のベトナム戦争による混乱などを経て、1975年に現在のラオス人民民主共和国が成立し、ラオス人民革命党の一党独裁体制となった。国を支える基幹産業がなく、最近は外交・経済の両面で北部の国境を接する中国の影響力が増している。 山田氏によると、地方で若者は農業に従事するか、飲食店や工場などで限られた職に就くしかない。ラオスは新型コロナウイルス禍以降、最近数年で物価は2~3倍に上昇。通貨キップの価値はおよそ半減、輸入に多く頼るため庶民の生活は厳しくなり続けている。金銭的な理由で就学を断念する児童、生徒も増えている。 ラオスでも児童売春は禁じられているが、当局が売春拠点の営業を黙認しているのはほぼ確実と言える。交通違反の取り締まりなどでも見逃してもらうための賄賂が横行している。売春拠点も便宜を図ってもらっているとみられる。 ▽国際イメージの悪化、摘発強化の動機に
解決策はあるのか。山田氏は、国際的な圧力が取り締まり強化につながるとみる。「特に少女売春はラオスのイメージが対外的に非常に悪化するため、横行しているとの情報が広まることを指導部は嫌う」と指摘。タイも国際的な圧力の高まりを受け摘発を強化した経緯があり、ラオスも今後対応を迫られる可能性がある。 ラオスには古都ルアンプラバンなど魅力的な観光地も多く、ラオス当局も健全な観光産業を活性化させて経済発展を目指したいはずだと山田氏は期待する。強権を用いれば、一党独裁体制下では一気に摘発することも可能だ。実際に2024年の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議の開催期間中は、風俗店などが一斉に営業を取りやめた。店の関係者は、当局の指示があったと明かした。 山田氏は「ラオスの児童売春の現状が各国の報道では十分には伝わっておらず、国際的な注目度がまだ低い」とみる。日本の児童買春・ポルノ禁止法では刑法の国外犯規定により海外での18歳未満の買春も処罰対象になる。警視庁も児童買春や児童ポルノ関連の情報提供を呼びかけているが、日本の警察当局がラオスでの事案を捜査するのはハードルも高い。「日本とラオス両国の協力で、買春した男性がもっと逮捕されるような事例が出てくれば抑止力にもなる。客が増え、従事する少女が増える悪循環は止める必要がある」
× × × 伊藤元輝 大学卒業後、短期間の証券会社勤務を経て、2011年に共同通信。大阪社会部、神戸支局などを経て23年末からバンコク支局記者。著作に「性転師―「性転換ビジネス」に従事する日本人たち」(柏書房)。好きなタイ料理は豚トロを焼いたコムヤーン。 × × × 関連の情報提供を求めています。internationalnews★kyodonews.jpまで。★印は@に変換してください。