農村のラオス少女が売春を迫られる理由、人身売買の闇とは 日本法で処罰も渡航増加か【東南アジア少女買春の罪(下)】
パムさんの村には、中国人の中年男性が現れて結婚相手を探すことも度々あった。ブローカーが仲介し、村長が少女や若い女性を呼び集める。パムさんは実際に、結婚相手を探す中国人男性の前に、複数の女性とともに並んだ経験がある。これも貧困が背景にある。 中国人からの多額の結納金が親に歓迎されるのだという。ただ、ドメスティックバイオレンス(DV)に遭った子が逃げ帰ってきたり、音信不通になったりする例もあったと証言した。 ウドンタニのバーで働く別のラオス人女性、ボンさん(29)=仮名=も出身地の村について、貧しい家庭で少女が身売りする現状や、中国人の結婚相手探しを巡って同様の証言をした。農村では16、17歳で結婚することも珍しくないとも説明した。 人口約760万人のラオスは、1人当たりの国民総所得が日本の20分の1ほどの2120ドルに過ぎない。農村での生活は特に厳しく、親は子の出稼ぎを当てにする傾向も強いという。ボンさんも実家はコメとトウモロコシの農家で「弟と妹が高校を卒業できるように仕送りしている」と語った。 ▽需要と供給の悪循環とは
いつから少女買春を目当てにラオスを訪れる日本人が増えたのか。アジア経済研究所地域研究センターの山田紀彦・動向分析研究グループ長は「ラオス政治」が専門だが、児童売春問題について今回取材に応じた。長年の研究とラオス各地への訪問を通じて、日本人ら外国人による少女買春の実態を一定程度把握し、問題意識を持ってきたと明かした。 山田氏によると、2010年代半ばには少女買春を目的に訪れる日本人客が増えていった。最近はソーシャルメディアの浸透に伴って、こうした情報が拡散している。新型コロナウイルス禍前には、日本人買春客のラオス現地での存在感が際立つようになったという。コロナ禍の渡航制限を経て、一時沈静化した買春客の訪問は復活。日本人同士で少女たちの売春拠点の位置情報を売買するようなやりとりも散見されるという。 懸念されるのは、需要と供給の悪循環だ。「少女を求める外国人客が増えた結果、需要があると判断したラオスの売春拠点側が少女のリクルートを活発化させているようだ」と危惧する。「10代前半の少女が自分の意思で働き始めることは考えられず、親や友人に促され、嫌々従事している場合が多い」と指摘。タイやカンボジアは児童売春の取り締まりを最近強化しており、客がラオスに集まる構図となっているという。