中国の習近平国家主席の「国賓」来日延期が5日、正式に発表された。
産経新聞は1日朝刊1面トップで「習主席来日 延期へ-新型肺炎、環境整わず-秋以降が有力」と報じていた。スクープである。
安倍晋三首相は2月28日夜、官邸で中国の外交トップである楊潔チ共産党政治局員と面会した際、「十分な成果を挙げるために入念な準備を行わなければならない」と述べた。来日時期よりも成果を重視する考えを強調することで、延期の方向を示唆したものとみられる、と同紙は指摘していたのだ。
たとえ「へ」付きの見出しであれ、他紙に先駆けて報じたのは「官邸に強い産経」の面目躍如である。
そもそも、新型コロナウイルスの収束のメドが立たない今、習主席の4月初旬来日が実現できれば、それは日中両国が「新型コロナウイルス制圧に成功している」というメッセージになると判断していた。
とりわけ日本では、新型コロナウイルスについて、よく知られていないことへの恐怖がパニックを引き起こしつつあった。ここでコロナは抑制できるとの認識が広まれば、一部の国で集団感染が散発的に発生してもヒステリックな反応は沈静化すると見通していたのである。
ところが、その思惑は大きく狂った。
2月26日の「大規模イベントの2週間自粛」に続く、翌日の「春休みまで全国小中高校の一斉休校」要請によって、数週間内の収束がほぼ無理であることを印象付けてしまった。