深緑戦域の超克者 — プランターワールド・ザ・ヴァンクイッシャー —
夢咲蕾花
Introduction:ある科学者のボイスメモ
今日から友人が用意してくれた口述筆記アプリで記録を取っていこうと思う。
去年交通事故で腕が麻痺した私への配慮だと思うが、口下手な友人らしく、彼は「記録をとれば正気を保てる」とだけ行って、アプリをインストールした端末を投げてよこしてきただけだったが、その無愛想な気遣いがちょうどいい塩梅だった。
コーパル研究を開始して早くも四年。成果は遅々として上がらず、政府からの助成金が打ち切られるという話も出ている。幸い、ある企業が多額の投資をしてくれているが、それでも年内に何らかの成果を示さねばそうそうに見切りをつけられるだろう。
私は半年間植物状態だった。その時の意識が不思議とある。周りの速度が異常に早く、自分が生きているのか幽霊になったのかわからない状態だ。科学者らしからぬことを言ったかもしれない。だが私は昔からロマンチストだったと弁明しておこうか。
とにかく私は、コーパル研究の活路を植物に見出した。
投資企業が行なっている次世代種子計画の種子サンプルを借り受けることに成功した。場所も環境も選ばず、さまざまな植物を生み出す種子だ。
ここに秘められた膨大なエネルギーをどうにか結晶化すれば、コーパルは実現できる。人類の夢の琥珀が、実現するのだ。
その日が待ち遠しく、そして、楽しみでならない。
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