第32話 一心覚悟
「暁人、俺は母さんに会ってくる。家は任せたぞ。あと、俺の書斎は荒らさないように」
一月六日、健一郎は実家にいる今年九十二歳になる母・
龍人の子を産むという肉体に負担がかかることを何度もしてきた女性であり、その後遺症もあってそろそろ天寿を迎えてもおかしくない。
会えるうちに会っておくという健一郎を邪魔することはできず、暁人は「わかった」と言って頷いた。
白奈はモンスターバスター・ライジングで暁人が徹夜して揃えた天井装備を取っ替え引っ替えしてモンスターに挑んでいる。モニターには豪奢な装備のバスターが双刀を両手に握り、暴れ回っている。
健一郎は家を出ると鍵を上下二つ閉める几帳面を発揮し、出ていった。
「おじさんはー?」
「一旦実家に帰るってさ」
「へー」
時刻は九時。みんな七時には起きて、八時に朝食を摂っている。昼はどこかに食べに行こうと決めていた。梶原と井上にも声をかけていて、ちょっとした広い定食屋にでもいかないか、と言っている。
井上がファミリーカーを所有しているらしく、七人でも乗れる車があるらしい。この島では運転免許は十六で取得できる。ただし、大型バイクは十八からだ。そこが暁人の納得のいかないところだが、仕方ない。
黒継に言われたことが脳を回っている。
『とはいえ暁人、とか言ったか。お前の甘い考えを許したわけじゃないし、認めたわけじゃない。その認識がいずれお前を殺すと言うのは、揺るがぬ事実だ』
『ガキだね。認識が甘い。大方僕が呪術師ではないとわかっているから殺せないんだろうけど、術師同士、妖怪同士の衝突はそのまま殺し合いを意味する。君のその甘い考えはいつか君を殺す』
『ご立派。だけどそんなんじゃ陰陽師やっていけないよ』
——そんなことくらい俺がよくわかってる。
正義と対立するのは悪ではなく、立場を変えた正義だ。散々擦られた言葉だが、真実、世の中の対立は九割とはいかなくとも六割はそれが原因である。残る四割は経済的な動機の必要悪が火種となった戦争だったり、政治家の保身というどうしようもない極悪なものだが、少なくとも半分以上は、正義と正義の対立構造からなる。
暁人はそれをわかっていて目を背けていた。
暁人が未だ呪具を持たないのもそれが理由だ。呪具は加減の仕様なく人を殺す。それが嫌だった。己の罪を血の通わない他者に委ねている気がして、気に食わない。
本土の裁判ではよく凶器を使った側が悪いのか、売った側が悪いのかなんてことが取り沙汰されるという。いうまでもなく両方悪い。暁人はそう思っている。凶器という器物に責任の所在を押し付け合うような無意味な問答が、昔から嫌いだった。
麻薬の売人にしたってそうだ。末端の売人だって犯罪者だし、知らずに運ぼうが運び人だって犯罪に加担した犯罪者である。それで不当に利益を上げる非合法組織がおり、苦しむ人間がいる以上、知らぬ存ぜぬは押し通せない。
悪いなら、罰する。悪党は殺す。呪術師という魔道に堕ちたものは、救いようのない極悪党だ。一つ悪の芽を摘むことで多くが救われるならと、暁人はその意思で秋田を殺した。
常闇之神社——神闇道においても救いようのない悪はその毒を広げる前に斬るべしとしており、一人の悪を斬り千の善人を生かす一殺多生を是としている。
だが、敵対するのが同じ陰陽師だったなら。
同じ、正義を信じるものが相手だったなら、自分は本気で戦えるだろうか。
「暁人、そろそろ準備しないと千代が迎えに来る」
「あ、ああ……」
暁人は考え事に耽っていて時間が経っていることを忘れていた。
焜に声をかけられなければ今頃まだ思考のドツボにハマっていただろう。
二階に上がって冬物の外着に着替えると、財布とエレフォンをポケットに突っ込み、アイテムボックス化の術をかけたポーチを二つ、肩と腰に備える。
陰陽師たるものオフのお出かけでも最低限戦闘の用意は欠かさないものだ。特に現在は護衛任務の真っ最中。丸腰で移動などありえない。
いざとなれば術をもつ肉体自体が武器になるとはいえ、結界符や縛妖索、浄式神召喚符なんかがあるとないとでは利便性が段違いである。
暁人は部屋を出ると、妹の輝子がパンクなメイクをし終えていて、胸の真ん中に星型の穴が空いた黒いニットを着ていた。中学生とは思えない成長した体は龍の恩恵であり、暁人は変な男が寄ってこないか内心冷や冷やだが、彼女も龍に目覚めている。よほどのことはないだろう。
「お兄ちゃん、見惚れてる?」
「バカ言え」
階段を降りて一階に降りると、美琴が白奈を着替えさせていた。ウィングホールのある洋服を着せ、防寒着に袖を通させる。若干着膨れしているが、寒い思いをするくらいなら多少もこもこした見た目のがいいだろう。背中からモコモコした毛に覆われた翼を出させ、翼を二、三回ばたつかせる。
白奈はやけにテンションが高い。外食という経験自体が滅多にないからと言っていたが、暁人があれくらいの頃はそこそこ頻繁にファミレスとかに言っていたものだし、今でもラーメン屋や牛丼屋とかに行く。
戸締りをしてガスの元栓を閉め、玄関を出る。鍵を上下かけた。叔父には昼から出かける旨を伝えてあり、帰りは遅くなるかもしれないとも告げていた。
健一郎は若者の夜遊びにもある程度寛容であり、「他人に迷惑をかけなければ、そこに責任を持てるのなら何をしようと自由」という主義であり、暁人たちにあれこれ干渉してこない。本人が幼い頃散々干渉されて育った反動だろう。
「寒いねえ」
白奈が手袋をした手を揉みながら言った。輝子は弟ができたみたいで嬉しいのか、後ろから抱きすくめながら「寒いねえ」と応じる。思い切り輝子の巨乳が白奈の頭の上に乗っているが、白奈自身は興味がないのか「寒い寒い」と言いながら手を揉んでいる。
「ほう、おねショタですか」と美琴が余計なことを言っていたが、暁人は無視して家の外にあるドッグランを見た。小さい頃シェパードを飼っていたのだが、子宮頸がんで死んでしまった。火葬した後、骨は桜坂寺に納骨している。
家の前に一台の白いファミリーカーが停まった。星鉄重工社製、
井上のものというよりは井上家の兄のものらしいが、妹を溺愛する兄は一声かければ快く貸してくれるらしい。
運転席の窓が開いて「乗って」と言った。助手席には梶原が乗っていて、手を振っている。
暁人と白奈、挟んで焜は一番後ろに、輝子と美琴は真ん中の列に座る。
「ほないくでえ」
井上がアクセルを踏み込んだ。暁人は考えることが多く、頭を悩ませていた。
黒継のことももちろんそうだが、白奈の背後関係が色々と厄介なのだ。
聖蚕の血を生む子種は精通と同時に搾精が始まる。女にも機械にも搾り取られ、削られた体力は精力剤をはじめとする薬品で強引に引き伸ばされる。
無茶苦茶な妖力——生命エネルギーの浪費ゆえに彼らは妖怪としての力に恵まれず、一般的な人間並の身体能力しか持たない。
白奈を狙うのは黒継だけではない。
おそらくは金を出し、白奈を捕まえろという命令を出した非合法な連中は多いだろう。それが単純な呪術師連中であればこちらとしても容赦なく返り討ちにできるが、万が一雇い主の裏の裏を知らない純粋な陰陽師だった場合が厄介だった。
黒継は白奈が割って入ることで理解を得られただけ良かったが、普通は鴨がネギを背負ってきたとばかりに白奈をさらうだろう。
「聞いたか、最近変な溟人が見つかってるって話。陰陽掲示板のスレッドに一個立っててさ、進化種情報スレってのがあるんだよ」
ゴシップ好きの梶原がそんな話題を繰り出した。
焜が「何それ」と食いつく。暁人も聞き耳を立てた。
「なんでも術式に適応するらしい。そして珠が一個浮かんで、法陣が展開されんだと。情報をまとめると、術式適応は一回だけ、適応までにストックした妖力で法陣を維持し、法陣が肉体の治癒力の助けになる。治癒力を削り切ると法陣が崩れて、術式適応も解除される……とか」
「術式に適応する? 暁人みたいにってこと?」
「龍の力を溟人が手に入れたって言いたいのか? どうやって、そんな」
「さあな。でも二等級以上の溟人にはこれが見られるみたいだぜ。みんな軒並み口封じ的に口を縫い付けられてたり、サンプルからの解析を防ぐ末端終末因子が組み込まれてるとかで詳細がわかってないとかって」
「いつ頃見られ始めた?」
「一月頭くらいからだ。それくらいから目撃の書き込みが上がってる」
暁人が羅剛を祓ったのが十二月二十九日。その数日後だ。
偶然と見るにはでき過ぎている——か?
影法師が新たな一手を打ってきた。
——ヤマタノオロチの心臓は、確かに貰い受けた。小僧、貴様には用はない。何処へなりとも去るがいい。
長髪の般若面——恐らくはあいつが、羅剛のいう空亡だろうが——が言っていた台詞。
父を殺し、もしも奴がヤマタノオロチの心臓を奪い去ったのなら。
術式の適応に法陣、治癒、それが、ヤマタノオロチの力の片鱗によるものだとしたら。
暁人の拳が強く握り込まれる。
影法師——どこまで父さんを……俺の友を汚せば気が済むんだ。
白奈はシートベルト越しに窓の外を見て、触覚をぴこぴこ動かしていた。モフモフした羽が揺れ、暁人はその無邪気な様子を眺める。
暁人の左肩から八岐が現れた。仔竜サイズの八岐だ。五つの目に八色の八つの角。毛に覆われた頭部と首周り。胴から半ばは半霊体だが暁人の左肩甲骨と繋がっており、暁人とは思考を共有する。
「何考えてるかはわかるぜ兄弟」
「進化種溟人を狩れば影法師の尻尾を掴める。奴らはこそこそする必要がないくらいの戦力を揃えたんだ。俺たちもおちおちしてられない」
「ならよう、座卓ってのに所属した方がいいんじゃねえのか?」と梶原が言った。
梶原と井上には八岐の存在を明かしているので特段驚きはしなかったが、八岐としてはそれが気に食わないらしい。少し不服そうに鼻を鳴らしている。
「そこの小僧の言うとおりだぜ。どっかに属した方がいい。自由はなくなるが」
「社長を裏切れるかよ」
「武士は二君に仕えず、か。ご立派だぜ、兄弟」
天城は臥龍家嫡男というどこの事務所も持て余した暁人を拾ってくれた大恩ある人物だ。修行中の依頼でポカをやらかしたのだって一度や二度ではないし、その都度禮子に尻拭いをしてもらっている。
迷惑をかけるだけかけて鞍替えというのは、自分にいかに言い訳したところで納得できるものではない。
世の中にはそれもまた自己投資、ここではダメだったからよその移るだっけ、という自己啓発するセミナーもあって、その全てを否定する気はないが、暁人は他人の好意に甘んじて啜るだけ啜っておいて、台無しにして立つ鳥跡を濁しまくるのは大間違いだと思っている。
日本からの移民には理解できないだろうが、純粋な溟月人には多い考え方だ。あるいは、二君に仕えずというのは極めて妖怪的な考えと言えるだろう。彼らはとにかく一途だ。生き方を決めると、それを最低でも百年単位をかけて貫き通す。
溟月人の思考のベースにあるのは妖怪的な思考であり、感情的とか本能的と言われる一方、一定のロジックに従った極めて論理的な理屈で動いている。
井上が「そろそろつくで。楽しい話してや」と話題を切り替える。
すると輝子が「ライブが明後日にあってね、みんなに来て欲しいんだよね」と言い出した。
梶原が「おっ、いいじゃん。ライブハウスっていつものとこ?」と聞く。
「そうそう、ライブハウス・ダンシングオウガ」
普段は臥龍家から
「明後日っていうと、一月八日か。白奈、ライブって知ってるか?」
「生配信のこと? ゲームとかの」
「そうじゃなくて、生演奏。バンドの」
「知らない。見たことないよ」
「明後日見に行こう。妹がガールズパンクバンドをやってるんだ」
「すげー!」
白奈の食いつきは凄まじかった。車が大衆定食屋の駐車場に入る。座敷席に予約を入れているらしく、駐車場も予約のパーキングが空いていた。
ファミリーカーのバック駐車もなんのその、井上は勝手知ったる風に車を軽やかに停め、エンジンを切る。
暁人たちはベルトを外して車を降りる。八岐が周囲を索敵し、念話で暁人と焜に「敵影はねえぜ」と告げた。
焜は白奈の手を引いて、「寒いねー」と言いながら店に入っていく。白奈も「さみー」と言いながら着膨れした上着をふさふさ揺らしながら歩いて行った。
定食屋は桜坂区繁華街にある大衆定食屋、屋号は「捨て屋」とあり、元々は戦後の混乱期に細々と営む大衆食堂だったらしいと、表の御影石の石板に沿革が彫られている。
「暁人行くぞー」
焜が声をかけ、暁人が慌てて店に入った。
井上が「井上で予約していた七人です」と言って、店員が「座敷席ですね。こちらへどうぞ」と案内する。
店内は昭和モダンな作りで、当時の歌謡曲がレコードで流れている。客の賑わい声、厨房の喧騒、何かを炒める音や揚げる音が響いている。
厨房は三六〇度を見回せるオープンな作りで、料理をエンタメとして見せている節があった。これは大衆食堂時代、食堂と客席の間に仕切りすらなかったことに由来するらしい。また、調理現場をオープンにすることで心理的にも食べやすいよう心がけているという。
座敷席の前の下駄箱に、暁人は履いていたショートブーツをしまった。白奈の子供靴は蛾王が持たせてくれたもので、純白のスニーカーに黄色のラインが入っているかっこいいものだった。白奈はそれを大事そうにしまい、暁人たちは座敷席に上がり込む。
四つの座席があり、うち二つは家族連れで埋まっていた。
一般人的には暁人たちは若い遊び仲間と思われているのだろうか。その認識で全然間違いはないが、うち四人は同じ家に暮らす家族だ。
窓際の席に暁人、白奈、焜、対面に井上、梶原、美琴、輝子が座った。
梶原は右に井上、左に美琴という状況にデレデレした様子で「いやいや、暁人は家でいっつもこれだろ?」と余計なことを言う。
「何が」
「可愛い妹に、家政婦さんに、相棒に。おまけに今は可愛い弟分がいるんだろ? 一人分けてくれよ」
「お前だって姉貴いるだろ。美人の」
「あんなおっかねえのやだよ。そうだ、お前らに言っとくことがある」
梶原が突然井上の肩を抱いた。
「俺と千代、付き合うことになりました!」
周りは、シン……としていた。
「あ、あれ。千代、ひょっとしてフライングした?」
「焜だけには言ったけど」
「聞いた聞いた。でも言ってないわよ」
「いや俺は正直意外でもない、つか、順当な組み合わせだなって思っただけ」
「僕は恋愛ってよくわかんないし、そんなことよりご飯食べたい」
「私は驚いたって言うより三周回って腑に落ちた感じ」
「私も周りの空気で落ち着いた感じですね。あ、メニューありますよ白奈君」
美琴が腕を伸ばしてメニューを出し、白奈に差し出す。暁人がわの三人はそれを眺め、暁人は少し考えたのち、とらふぐ定食を選んだ。値段は八五働貨(日本円で八五〇〇円)。自前で出す、というルールなので暁人は自腹でこの額を払うが、陰陽師事務所の月のバイト代はこなす依頼によってばらつきはあれど、大体八〇〇働貨から一〇〇〇働貨(八万円から十万円)。おまけに影法師の一角を崩した特別報奨金が出されているので、暁人は現在、少しリッチである。
「暁人、ふぐ、一切れくれよ」
「いいぜ。写真見た感じすげえ量だわこれ。巨漢のレスラーが食う量だぞ」
「まじ? どんなん?」
「フグの刺身だろ、フグのフライに、煮付け、汁物……一個一個、でかい」
「うおっ♡ でっか……♡」
男がふざけている間に白奈が「僕エビフライがいい!」と決め、サバサバしている焜も割とすぐに「とり天定食にしよ」と決めた。
井上は「どて焼き定食あるやん。ええやん」と言って、梶原は「俺やっぱ王道の唐揚げだわ。この定食な」と言う。
輝子は少し考えて、「鍋焼きうどんセットがいいかも」と言った。美琴は「私は刺身定食がいいですね」と、オーダーを決める。
机の上にあるデンモクで注文の品をオーダーする。飲み物は先に来るように頼み、(フリードリンクだったのでそれにした)、暁人たちはグラスが持ってこられると交代でドリンクを注ぎに行った。
「暁人と焜って、ぶっちゃけいくらくらい稼いでんの?」
梶原が聞いてきた。すぐに「もちろんオフレコで」と付け加える。
「事務所からの給料自体は、普通に時給のいいバイト代ってくらいだぞ。ただ溟人や呪術師によっては別個で懸賞金がかけられてるから、そこで入ってくる分がでかい」
「へえ。別途のボーナスが多いのか。その割に暁人も焜もバカバカ金遣い荒くならねえから、しっかりしてんなって思うんだよな」
「せやねん。しっかりもんっていうかなあ。輝子ちゃんも良い兄貴持ったわ。美琴ちゃんもいい職場やと思うで。外野が言うことちゃうかもだけど」
輝子美琴は恥ずかしそうに微笑む。
「ま、うちの兄貴が最高なのは今に始まったことじゃないけどね。ちょっとシスコン気味だけど」
「そうですね。それこそ家政婦の私を家族同然に接してくれるので。洗い物とか洗濯物とか全部任せてくれて良いのに、時々ご自分でされてしまいますから」
「癖って抜けねえんだよな。終わった後美琴の仕事取っちまった、って思うけど、まあいいかって。美琴は叔父さんのスケジュール管理もしてるみたいだし、取材について行って記録もしてんだろ?」
「はい。ボイスレコーダーと録視術で二重記録しています。私鬼なので力もありますから、荷物持ちと護衛も兼任です。ぶっちゃけ強さは健一郎さんの方が圧倒的なんですけどね」
「健一郎のおじさんって、そんな強いん? やっぱ臥龍の血筋って、作家でも強くなるんか?」
「パパは一応学生時代には陰陽師として鍛えられてたって言うしね。高校出て、すぐ家出したっぽいけど。聞いた話じゃ地下闘技で生活費稼いでた時期もあったみたいで、まあまあ武闘派」
「だからこそのアクション描写の巧さだよな。迫力が違うぜ」
暁人は持ってきたホットコーヒーを啜る。フリードリンクを頼んでいれば、ホット用のカップも貰える。豆にこだわったブレンドで、香りが飛んでいない、芳醇な味わい。焜が、「また変なもん飲んでる」と言いながらメロンソーダを啜った。
「井上、この後呪具屋に寄ってくれないか? 白奈にはもう言ってあるんだが、これを機に俺も呪具の一つくらい持とうと思ってな」
「ええで。この辺で二等級くらいの呪具屋ってどこやろ? 場所指定ある?」
「禮子さんから、東町の天灯屋が良いって聞いた。予算も、前のボーナスがあれば十分一括で買える。二等級ライセンス見せれば、十分ローンは組めるが月々給料が天引きされんのは癪だしな」
「お前将来車とか絶対一括で買うタイプだろ」
「輝子と同じこと言うな」
などと言い合っているうちに料理が並んだ。
「白奈もフグ食いたいだろ。少し分けてやるからな」
「ありがと!」
「マジ兄貴みたいじゃん。おもろ」
焜が笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます