親父が死んだ。
わたしはそれを断り続けていた。
親父に会いたくなかったわけじゃない。
正直、連絡がくる度に悩んでいた。
なにより、母の気持ちを考えると会えなかった。
母は「好きにしていい」と言っていたが
何十年も連絡すらとっていないのだ。
会って何を話せばよかったんだろう。
少なくとも、「会いたい」とは思えなかった。
葬儀で姉と会った。
姉にこれまでのことを謝ると、「いいよいいよ」と言ってくれた。
立派なお葬式をしてくれた。
葬儀に行っても、姉や親戚に「帰れ」と言われるんじゃないかと怖かった。
そう言われたら、大人しく帰ろうと思っていた。
それが当然だと思っていた。
どんな人だったのか思い出せない。
葬儀で集まった親戚から聞く親父の話は、知らない人の話みたいだった。
いま、1人になると涙が出る。
会っておけばよかった、という後悔ではない
なんで、親父の世話をしてくれている姉の力になってあげられなかったんだろうという後悔が止まらない。
きっと思うことはたくさんあったはずなのに
葛藤もあったはずなのに
お姉ちゃんごめんなさい。
遅くなってごめんなさい。