源田實という、よくも悪くも時代を象徴する、カリスマ性のある軍人を司令に戴いたこと、その源田が回想記を書いたことが、後世に残る三四三空のイメージを決定づけたのは間違いない。
そして、実績を顧みればけっして名指揮官とはいえない司令を、志賀淑雄という紫電改「育ての親」とも呼べる名パイロットが飛行長として支えたこと、じっさいに空で戦った飛行隊長に、部下たちを惹きつける個性豊かな人材が揃ったことで、部隊の結束が戦後にいたるまで保たれた。
三四三空の歴史はけっして華々しいものではなく、トータルで見れば敵に与えた損害よりも犠牲のほうがはるかに多い、苦難に満ちた血みどろの戦いだった。そこで命を散らしたのは漫画の「キャラ」などではなく、血も涙もあり、悩みもあれば家族もいる、実在した若者たちであることだけは忘れたくないものである。