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浮気騒動

 私、金子真優が風呂から上がると、リビングで淳史と遥さんが、ベビーバスケットの中ですやすやと眠る遊人ゆうとちゃんを見ながら談笑していた。


「あれ、今日って、淳史、美和ちんの日じゃなかったっけ」


「そうなんだけど、美和ちゃん、まだ帰ってこないんだよね」と遥さん


「へー、美和ちんにしては珍しいね。無断欠席なら、私、ピンチヒッターに立候補しちゃおうかな」


「ま、もう少し待ってみるよ」と淳史。


「ふーん。私、コンビニ行くから、ついでにその辺見てくるね」


 コンビニに行く道すがら、私は男とキスをしている山上美和に遭遇した! 

 

「美和ちん、あんた何やってんのよ!」

 私は酔って隙だらけの彼女を怒鳴りつけ、首根っこを摑まえてハウスに連れ帰った。


 淳史と遥さんには席を外してもらって、美和ちんを問い詰めた。きっと二人には丸聞こえだろうが、構いやしない。


「もう、ちょっと男とキスしたくらいで、なんで真優にそこまで怒鳴られなきゃいけないのよ」 

 まだほろ酔いの美和ちんが口をとがらせる。


「あんたねー、遥さんのことを考えたら、そんなこと言えないはずよ」


「なんでよ。私にだって、その、それくらいの相手がいたっていいじゃない。そっちこそ、ちょっと男性経験が豊富だからって、見下さないでよね!」


 この一言を、私は、酔っ払いのたわごとと聞き捨てにすることができなかった。


「あんたがあまりに淳史一筋だったから、私とひなたは、後から来たあんたのことを受け入れたんだよ」

 さらに私は畳みかけた。

「私らのあんたに対する評価は淳史に対する絶対的な貞操。それを忘れたあんたなんか、私らは一切認めない!」


 私たちの怒鳴り合いをこれ以上放置できなくなったのだろう。淳史が部屋から出てくると、のんびりとした調子で声をかけてきた。


「おう、美和、明日の土曜日にかのんの大会があるんだけど、一緒に応援に行かん?」


「明日、明日はちょっと…」

 と言葉を濁す美和ちん。

 せっかくの淳史の助け舟を愚かにもふぃにした彼女に、私は完全に切れた。


「はん、どうせあのキス男とデートの約束でもしてるんでしょ」


 私の口が止まらない。

「淳史! ひなたに続いて美和ちんにまで浮気されるなんて、無敵のモテ男の神通力、衰えたんじゃない?」


 そして、とうとう、そこまでは言うまいと思っていたことばを口にしてしまった。

「ねえ、淳史。こんな浮気女とっとと見限って、私にしなよ。私はこのハウスに来てからずっと淳史一筋、こう見えて結構つくすタイプだよ」


 この一言が、場を完全に凍りつかせてしまった。

 シェアハウス始まって以来の、最悪に気まずい雰囲気のまま、この日はお開きとなった。

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