珠洲市で活動する移動薬局車=昨年1月(ピースウィンズ・ジャパン提供)

 能登半島地震から1年が経過した奥能登地域で、病床が大きく減っている。県や病院関係者によると、地震前には公立と民間合わせて570床以上あったが、150床以上減少した。今月、さらに約50床減る。人口流出や看護師らスタッフ不足が背景にあり、関係者は「経営に直結する。このままでは地域医療が成り立たない」と頭を抱える。

 能登北部医師会によると地域には被災前、公立4病院と民間1病院、27の診療所があり、住民の健康を支えてきた。24年元日の地震のため手術室や検査機器が壊れた病院があり、入院患者を地域外に搬送するなどした。公立病院は同3月末までにおおむね復旧したが、民間の柳田温泉病院(能登町、三十数床)は建物が「全壊」と判定され診療を休止した。

 外来患者のほか、入院が必要な患者も減少。看護師らの不足に苦しむ病院もある。

 輪島市立輪島病院ではスタッフの離職が相次ぎ、稼働病床は175床から100床に減った。163床の珠洲市総合病院も同様で、今月以降、115床に。石井和公事務局長は「退職者が止まらず、維持できる病床が減っている。赤字は確実」と嘆く。

 一方、公立宇出津総合病院(能登町)は被災後、病床が埋まらず、100床を60床に減らした。患者数が回復せず、担当者は「スタッフが余る状況だ」と話す。

 財務基盤の弱い民間の状況はより深刻だ。医師会によると、地震で柳田温泉病院の他に6診療所が準半壊以上の被害を受けた。1診療所が機器の損壊などを理由に廃業、柳田温泉病院と1診療所が診療を休止している。9月の豪雨では、4診療所が床上や床下浸水した。

 奥能登では産婦人科医の確保が難しいことなどから、分娩(ぶんべん)が再開できていない。県地域医療推進室の細木信哉室次長は「どの医療機関も経営が厳しい。医療機関がなくなれば人が住めなくなる。できる限りのサポートを考えていきたい」と話した。

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