10年前のドラマ「女王の教室」での指摘、現在の日本の姿と完全に一致していることが明らかに | BUZZAP!(バザップ!)

アーカイブされた 2015年7月15日 00:33:49 UTC

10年前のドラマ「女王の教室」での指摘、現在の日本の姿と完全に一致していることが明らかに

by 深海 | カテゴリー 社会 | タグ コラム, 政治
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2005年に放送され、衝撃的な内容で話題を集めたテレビドラマ「女王の教室」の第1話でのセリフがぞっとするほどに2015年現在の日本の姿を描写していることが明らかになりました。

女王の教室」は2005年7月2日より9月17日まで日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ。天海祐希が悪魔のような小学校の鬼教師を演じ、6年生の児童たちに苛烈な言動で試練を与えていくという、熱血教師もののドラマの真逆をゆく展開で大きな話題になりました。
この中で教師が児童たちに日本という国のあり方を一切歯に衣着せずに語る場面があります。その内容が以下のもの。
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いい加減、目覚めなさい。
日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでるか知ってる?
今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。世の中の仕組みや不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら上司の言うことをおとなしく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦ってくればいいの。
この衝撃的なセリフは過去に何度かネットで話題になったことがありましたが、どの時代よりも2015年の日本の現状をつぶさに表しています。
◆「安い給料で働き」
例えば「安い給料で働き」という部分に関しては、19日に衆議院を通過した派遣法改正案では、現在派遣期間が最長3年とされ、その後は正社員として雇用することが義務付け(※別の人であっても同一ポストでの派遣の受け入れは不可)られていた製造業や一般事務などの派遣労働者を、人さえ変えれば派遣の受け入れを継続できるようになりました。
これは派遣社員側からすると、3年後には正社員として雇用されなければ別の職場に移る他、同一雇用先の別の課で働くことも認められるため、一生派遣社員としてたらい回しにされながら働き続ける他なくなる可能性が強く指摘されています。
これまでは専門性が高いとして契約更新で無期限に働けていたソフトウエア開発や秘書、財務処理、書籍等の制作・編集、通訳などの「専門二十六業務」の区分も撤廃されることから、現在の職場から雇い止めを通告されるケースが法案成立前から相次いでおり、雇用の不安定化がさらに進むことが予想されています。
派遣社員は正社員より低賃金の場合がほとんど。社会保険やボーナスなどの福利厚生も正社員に比べて低いか全くない場合が多く、同一労働同一賃金という原則はズタズタに引き裂かれているのが現状です。この派遣法改正案はそうした身分の違いを固定化し、格差社会をさらに推し進め、ワーキングプアをこれまで以上に生み出すことは間違いありません。
◆「高い税金を払う」
「高い税金を払う」ことに関してはもはや何も言う必要がないでしょう。2014年4月1日に8%に引き上げられた消費税は2017年4月1日に10%にさらに引き上げられることを安倍政権が決定しています。景気条項も削除されており、先送りはありません。
6月18日に厚生労働省が発表した4月の毎月勤労統計調査の確報値によると、実質賃金指数は前年同月に比べて0.1%減。速報値では0.1%増とされ、「2年ぶりにプラスに転じた」とアベノミクスの成果にはしゃぐ声もありましたが、実際は24ヶ月連続の減少という結果に終わっています。
こうした増税と労働環境の悪化がさらに続けば景気がさらに悪化することは間違いありません。アベノミクスの成果として取りざたされる株価の上昇も、恩恵を受けられるのは株を保有できる企業や富裕層。つまり、将来にわたって格差や貧困はさらに拡大し、固定されることとなります。
◆「戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦ってくればいいの」
直接攻め込まれなくとも、集団的自衛権を発動して武力行使のできる国へと日本は現在変貌しようとしています。安倍政権は集団的自衛権の行使要件となる「存立危機事態」を石油不足にまで拡大。「国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じるかどうか」で判断するとしながらも極めて定義が曖昧なままとなっており、無制限の拡大が強く懸念されているのが現状です。
さらには「アメリカ合衆国へのサイバー攻撃であったとしても集団的自衛権を発動し、通常兵器での反撃も行う」と防衛省が答弁するなど、歯止めがかかる様子は全くありません。
また、10日には改正防衛省設置法が成立。武器の輸出や他国との共同開発を原則解禁とした「防衛装備移転三原則」を受け、国内の防衛企業の海外戦略の支援や他国との交渉窓口となるなど、武器輸出の司令塔的な役割を担う「防衛装備庁」が新設されることとなり、軍需産業のさらなる強化を目指しています。
◆「今のままずーっと愚かでいてくれればいいの」
さらに6月8日、文部科学省は全国に86ある国立大に対して文系学部の廃止などの組織改革を進めることを求める通知を出しました。
「日本を取り巻く社会経済状況が急激に変化する中、大学は社会が必要とする人材を育てる必要がある」との言い分ですが、実学のみに特化して哲学や文学、社会学などを学ぶ機会を失わせることは、国民自らが社会にある問題点を見出し、自ら考える知性などは不要だと言っているようなもので、大学を単に交換可能な人材を大量生産するだけの装置へと変貌させて行くことになります。
これに対しては当の産業界側からも以下のように批判が出ているほど。そもそも企業が人材に求めるのは「論理的な考えができること」であるため、理系・文系のいずれかを偏重ないし軽視すればいいというものではありません。
「国立大から文系をなくそうなんて愚の骨頂です。我々が学生に求めているのは論理的に問題を解決する力、人の話を理解する能力、つまり文系でこそ学べる教養です。英語は話せた方がいいに決まっていますが、人とコミュニケーションがとれなければ、何にもならないじゃないですか。スキルだけ持った学生なんて企業はいらない。必要なスキルなら、入社後に企業側が教えればいい」
神戸女学院大学名誉教授で哲学や倫理学研究者としても知られる思想家の内田樹氏は、国の制度や文化を支え続ける責任感の持ち主たる「成熟した市民」が育たなくなると批判。
国立大学が自国の歴史や文化に対する愛着も関心もなく、ひたすら「グローバル資本主義」に自分を最適化させ、高い地位と年収をめざす学生たちの競争と格付けのためだけの場になった国に未来はあるのでしょうか。(中略)そんな人間ばかりになったら、国に明日はないからです。「次世代を担う成熟した市民」は、自分の共同体に対する強い愛情や帰属意識を持ち、国の制度や文化を支え続ける責任感の持ち主でなければならないからです。
実際、現在の安倍政権の「戦争法案」を違憲であるとして退けているのは200人を超える憲法学者たち。文系学部を企業の要請に合わせる形で廃止していくのだとすれば、文系を廃止した未来の社会では、こうした歯止めがさらに失われ、為政者や経済界の思うままに社会構造が作り替えられやすくなることは想像に難くありません。
◆「特権階級」
仮にも身分制度の廃止された日本での特権階級とは何か。オキュパイウォールストリートでは「1%の富裕層とそれ以外の庶民」という構図が示されましたが、ごく一部の富裕層に多くの富が集中していることはこれまでBUZZAP!でも何度も記事化してきました。
内田樹氏は上記の記事でそうした人々や財界の発想について以下のように説明します。
「次世代を担う成熟した市民の育成」を放棄した国に未来がないことは誰の目にも明らかです。しかし、「それでいい」というのが大学の「株主」たる財界の意向です。彼らにとって重要なのは国の未来よりも自社の利益・株主の利益です。彼らは四半期タームでの収益や株価だけに興味があり、「国家百年の計」は一顧だにしない。
彼らが当面必要としているのは、「グローバル人材」という名の、能力が高く、安い賃金で体を壊すまで働いてくれて、いくらでも「換えがいる」労働者たちです。
こうした富裕層が富を貯めこみ、起こりもしないトリクルダウンという幻想を振りまきつつ社会やそこに属する個人への富の再分配を最小化しようとしている現状は世界各地で起こっており、日本も同じ道を歩みつつあることは言うまでもありません。
◆ファシズムと新自由主義
ここで挙げられている要素を見てみると、大きく分けて2つの潮流を目にすることができます。そのひとつは、かつて大日本帝国時代に陥った「ファシズム(全体主義)」。
第二次世界大戦への反省から生まれた最高法規である憲法を蔑ろにして、時の内閣の閣議決定のみでその解釈を大幅に変更しようとする安倍政権の姿勢は、自民党の村上誠一郎元行革担当相が指摘したようにファシズムと呼ばざるを得ないもの。
「戦争法案」を改憲という正規の手続きを経ず、既存の政府見解やほぼすべての憲法学者の「違憲」という指摘を振りきって成立させようとする行為は民主主義の無視に他なりません。
これと時に絡み合いながらも確実に日本に根を生やしているのが「新自由主義」です。
労働環境が企業により有利に、労働者に不利に変わる派遣法改正案や、累進課税制度の真逆を行く消費税の相次ぐ増税。アベノミクスによる株価高が大企業や富裕層に恩恵をもたらすのとは好対照です。
さらに大学を企業の下請けのように扱い、国民が社会の問題点に目を向け、自ら考える機会を奪う文系廃止の通達など、いわゆる「特権階級」のための制度と言えるでしょう。
こうして見てみると、「女王の教室」で予言された社会が、おそらく当時からその萌芽はあったにせよ、この10年で身も蓋もない程にあからさまに日本社会を覆い尽くしていることがよく分かります。
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