埼玉県小児医療センターに家族滞在施設 ドナルド・マクドナルド・ハウス

 さいたま新都心に12月、新築移転する県立小児医療センターに、難病の子供と家族が滞在できる宿泊施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」が県内で初めて開設される。全国12施設目で、病院内に設置されるのは初めて。開設を記念した座談会が県庁で開かれ、岩中督病院長が「長期入院する子供が、いつでも父母と会えるようにしてあげたい」と意義を語った。

 ハウスは公益財団法人「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」が「わが家のようにくつろげる第二の家」との理念で設置。各ハウスは企業や個人からの寄付や募金で運営し、電話対応や宿泊手続きなどをボランティアが担当している。

 さいたまハウス(約590平方メートル)は小児医療センター6階に設置され、共有キッチンや共有スペース、プレールームなどのほか寝室が7部屋(各約25平方メートル)ある。1人1泊1千円で経済的な負担を軽減し、滞在期間は最大4週間程度を検討。医師の外泊許可が出た場合には患者が無料で宿泊できるほか、外来時の前泊での利用も想定している。

 さいたま市岩槻区から中央区新都心に移転する同センター(316床)は8月末に建物が完成。さいたま赤十字病院と併設され、周産期医療の充実と小児救命救急医療の強化を図り、ハイリスク出産などの場合には同病院から渡り廊下で新生児を搬送して治療に当たる。

 また、白血病など小児がんに対応するため無菌病棟28床も新設。県内以外にも北関東など県外の子供や家族の利用増加が見込まれることから滞在施設の設置を決め、運営・管理を同財団に委託した。

 座談会には、岩中病院長のほか上田清司知事や同財団の柳沢正義理事長らが出席。上田知事は「周辺に宿泊施設が少ないので、ハウスの稼働率は高くなるだろう」と期待感を示し、柳沢理事長は「日常運営はボランティアが行っており、さいたまハウスでも大いに活躍してくれる」と話した。

 さいたまハウスはボランティア200人を募集しており、16日にハウスで説明会を開催する。【問】同ハウス(電)080・6774・9319。

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