投票率が上昇する、とりわけ若者が投票に行けば、民主主義はより強いものになるのか。
ただ、海外の事情をよく知る専門家はむしろ、投票の「量」よりも「質」が大事な時代になっているという。
この記事では、次の内容を知ることができます。
・実際の候補に投票 ドイツの学校で行われる模擬投票
・ナチスの反省、定められた3原則
・「ブラック校則」は生徒が変える 校内民主主義とは
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「中立」が過ぎる主権者教育
「本校での各党の得票率は……」
「本校の生徒が投票した候補者の政党は、ドイツのための選択肢66票、キリスト教民主同盟57票、社会民主党37票……。投票総数230票、投票率は57・64%」
2024年9月にあったドイツ・ザクセン州議選の後、あるギムナジウム(日本の中高一貫校に相当)は、自校の生徒による模擬投票の結果をホームページで公開していた。
ドイツでは連邦議会や州議会などの選挙に合わせて、実際の候補者に票を投じる「ジュニア選挙」という模擬投票が学校で行われる。
17年の連邦議会選では全国3000を超える学校の生徒約100万人が参加するほどだ。
参加校が独自に結果を公表するのも珍しくなく、これが主権者教育に熱心な学校としてのアピールにもなるのだという。
模擬投票で特に重視されるのが、投票に先立つ事前学習。
実際に政党や候補者の政策を学んだり、現実の社会問題を取り扱ったりして、生徒に考えさせる。
ナチスの反省、定められた3原則
ドイツがこうした政治教育に力を入れるのは、第二次世界大戦の引き金を引いたナチス・ドイツが民主主義的なプロセスで生まれたという反省がある。
有権者一人一人が「自由」や「寛容」、「個人の権利」といった民主主義的な価値観を学び、学校教育で生徒が自分自身の政治的スタンスを持てるようにすることを狙いとしている。
ただし、政治的なテーマを巡る教育の中立性を巡っては、ドイツも保守・革新の対立を経験した。
そこで政治教育関係者らが議論を重ね、基本原則「ボイテルスバッハ・コンセンサス」が1976年に定められた。
この原則は、①教員は生徒を圧倒し、…
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