アフガニスタンで実権を握るイスラム原理主義勢力タリバンによるジャーナリストへの迫害が続いている。事態を憂慮する国際社会は状況改善を迫るが、タリバンは無視を決め込んでいる。アフガンでは女子に対する就労・教育制限も強まっており、2025年も人権状況の改善は見込めなさそうだ。
3年間で記者拷問130件 タリバンは「誇張」と反発
国連アフガン支援団(UNAMA)は昨年11月26日、タリバンが政権を奪取した21年8月から24年9月末までに、記者らメディア関係者計336人が人権侵害を受けたと発表した。このうち、逮捕・拘束が256件、拷問が130件、脅迫が75件に上ったという。
UNAMAのオトゥンバエワ代表は「どの国にとっても、報道の自由は必要だ」と強調、記者らの安全を保証するようタリバンに強く求めた。ターク国連人権高等弁務官も「記者は日常生活に関する事柄を人々に伝える重要な任務を負う」と力説した上で、記者迫害に深刻な懸念を表明した。
タリバン政権はこれに対し、国連が把握する人数に「誇張」があると反論。拘束された記者たちには〝違法行為〟があったと主張する。
10年ほど前、アフガンの独立系メディア「トロ・ニュース」の記者が搭乗するバスがタリバンに爆破された際、UNAMAは同社とタリバンとの協議を仲介したことがある。
山本忠通・元国連事務総長特別代表兼UNAMA代表は産経新聞の取材に対し、「タリバンは『言論の自由』を認めていると言いつつも、イスラム精神に反しない限りと条件付ける独自のロジックで、実質的に制約している」と言明。「彼らに『言論の自由』がないと指摘すると、反発する。われわれの常識が通じない」と話す。