不動産物件やショールーム、モデルハウスなどでよく耳にする「サニタリー」。サニタリーとは、衛生を保つための水まわりを指します。サニタリースペースは、洗面室やトイレ、浴室を指すのが一般的です。サニタリールームは、スペースが限られていることから収納が難しい場所です。
そこで今回は、サニタリーやサニタリー収納について、整理収納アドバイザーの清水幸子さんにお話を伺いました。
清水さんは「サニタリーは『衛生的な』という意味で、明確な定義はない」と言います。ただ、ハウスメーカーやショールームなどでは、一般的に洗面室やトイレ、浴室などをサニタリーと称しています。
サニタリーの語源は「衛生的な」「衛生の」「公衆衛生の」といった意味を持つ「sanitary」という英語です。「sanitary」は形容詞ですが、日本で特化し、衛生を保つ場所やそのために必要な設備を指すようになりました。
サニタリーと近しい言葉の一つとして「水まわり」が挙げられます。清水さんは、水まわりとサニタリーの違いについて次のように解説します。
「『水まわり』とは、住宅の中で水が使われる部分を指します。洗面室やトイレ、浴室とともにキッチンも水まわりに含まれます。水まわりの中の分類として『サニタリー』があると考えるとわかりやすいと思います」(清水さん、以下同)
サニタリーと混同しやすいもう一つの言葉として「ユーティリティ」が挙げられます。水まわりとの関係とは異なり、ユーティリティとサニタリーは別物です。
ユーティリティスペースは、家事作業のための設備を置いたスペースのことを指します。洗濯機やアイロン、ミシン、食器棚、食料品貯蔵庫などが置かれ、キッチンや浴室に接続して設け、合理的に家事ができるようにしつらえた場所です。ユーティリティの語源である「utility」には「役に立つもの」「有用性」といった意味があります。
サニタリールームとは、住まいの中で衛生を保つ場所の総称です。一般的には、浴室(バスルーム)や洗面室(洗面所)、トイレがサニタリールームと呼ばれます。最近では玄関に手洗いスペースを設ける間取りも増えており、ベランダなどにスロップシンクが設けられている物件もありますが、これらも含めて「サニタリー」と呼ぶかはハウスメーカーや工務店によります。
サニタリールームは、トイレや浴室、洗面室など各々が近くなるように設計されることが多いものです。これは、1カ所にまとめたほうが給排水菅の工事費が抑えられ、排水時の音の問題も解消しやすいためです。
「サニタリールームは、ライフスタイルに合った場所にあると便利です。私は以前、海の近くに住んでいたのですが、玄関から入ってすぐの場所に洗面室や浴室がある物件を選びました。海に入って汚れても、廊下を通らずに手を洗ったり、お風呂に入ったりすることができるからです」
特にマンションは、上下階をつなぐパイプスペースの位置や建築効率などの理由から浴室や洗面室、トイレが近くにまとまっている物件が多い傾向にあります。一戸建ても、生活動線や家事動線を考えれば、近くにまとめて配置したほうが便利でしょう。
「マンションも一戸建ても、サニタリールームが玄関から入ってすぐの廊下にある物件と、リビングドアのさらに奥にある物件に大別されます。来客者や子どもの友達が来たときにリビングを見られたくないのであれば、廊下にサニタリールームのある物件を選んだほうがよいでしょう。ただ、リビングから近い場所にサニタリールームがあると家事動線はスムーズです。いずれにしても、ご自身の意向や家族のライフスタイルに合っている場所かどうかを見るべきでしょう」
コロナ禍になってから、洗面室だけでなく、玄関スペースに手洗い場を設けるケースも増えているようです。
「小さな子どもがいるご家庭などは、玄関脇に手洗い場があると帰宅してすぐに手を洗えるので便利です。しかし、サニタリースペースが増えると大変になるのが、掃除。玄関脇にシンクがあると、水まわりのお掃除箇所が増えることになりますからね。また家づくりや物件選びの際には『今』だけでなく将来もずっと使い続けるのかという視点も持ってください。子どもが成長した後も、玄関に手洗いスペースが必要なのか検討するべきでしょう。もちろん、玄関脇の手洗い場は子どもだけが使うものではありません。来客者が多い場合や、菌を家の中に持ち込みたくないといった考えがあるのであれば、重宝するものだと思います」
一戸建ての庭先やマンションのベランダなどに設置する底の深い流しを「スロップシンク」と呼びます。洗車や植栽の水やり、ペットの洗い場などとして活用できますが、これもライフスタイル次第だと清水さんは言います。
「ペットを飼っている家庭ばかりではなく、最近では車を所有しない世帯も増えました。植栽があるお住まいばかりでもありません。スロップシンクは、あれば便利かもしれませんが、使わないご家庭にとっては掃除や管理の手間が増えるだけです。トイレや浴室、洗面室はどのご家庭でも必要でしょうが、その他の水まわりが必要かどうかはライフスタイル次第です。とはいえ、後から簡単につけられるものではありませんから、物件選びの段階で必要か不要か考えましょう」
衛生を保つための場所であるサニタリールーム。家の中でも、特に清潔に保っていたいものです。しかし、水を使うため湿気が高く、水あかやカビ、ぬめりが発生しやすい場所でもあります。清水さんに、サニタリールームにおすすめの収納方法を伺いました。
サニタリールームの収納といえば棚やラックを思い浮かべますが、清水さんによれば、サニタリールームの収納は基本的に「浮かせる収納」がおすすめだと言います。浮かせる収納とは「置く」のではなく「壁などに掛ける収納」を指します。
「洗面台や浴室は、水しぶきや歯磨き粉、シャンプーやせっけんカスが飛び散るので、住まいの中でも汚れやすい代表のような場所です。放っておくと、シャンプーボトルや歯ブラシ入れの下にぬめりや赤カビが出てきてしまいます。そのため、まずはむき出しで置いておくものを厳選しましょう。洗面台であれば、ハンドソープや歯ブラシは使用頻度が高いので出しておきたいですよね。これらも、洗面台に直に置くのではなく『浮かせる』ことをおすすめしています。つまり、洗面台には何も置かないということです」
「洗面台に何ものっていない状態にしておけば、お掃除もさっと拭くだけですから簡単です。最近では浮かせる収納が一般的になってきているので、必要なものは100円ショップでも手に入ります。わが家では、お風呂も同様に、シャンプーボトルやお掃除道具を浮かせて収納しています。床や棚に何も置いていなければ、お掃除も楽です」
洗面台の下のチェストに小物類を収納している人も多いでしょうが、清水さんはタオルを収納しているそうです。
「わが家には、バスタオルがありません。こう言うと驚かれるのですが、独身時代から私はフェイスタオルで体を拭いていました。子どもや主人に強要していたわけでもなく、気づけばみんながバスタオルではなくフェイスタオルで体を拭くように。洗面台下のチェストにもすっきり収まって省スペースですし、洗濯も楽です。サニタリールームにラックなどを置かれる人もいますが、床に物があると掃除が大変になってしまいます。わが家では、洗濯カゴも壁に引っ掛けて浮かせています」
トイレは、サニタリールームの中でも特に限られた空間です。それでも、トイレットペーパーや掃除用品、タオルなどは収納したいところ。清水さんに、狭い空間でも上手に収納できるポイントを伺いました。
「スペースがあれば必要なものは収納できますが、備え付けの収納がないトイレもあります。そんなときは、収納スペースをDIYやリフォームでつくってしまいましょう。突っ張り棚があれば、トイレットペーパーのストックやタオルを収納できます。このとき気をつけてほしいのが、最近のトイレットペーパーは分厚いものもあるということ。長持ちする3倍巻き、5倍巻きタイプのものを収納するには、従来以上の奥行きと幅が必要です。既製品の収納、あるいは収納ボックスの中には、分厚いトイレットペーパーに対応していないものもあります」
「マンションのサニタリールームは特にスペースが限られますので、無理にサニタリールームの中に収納する必要はないと思います。トイレットペーパーや消臭スプレー、ハンドソープや歯ブラシなど家族の使用頻度が高いものだけを出しておいて、後は別の場所に収納することも考えてみましょう。わが家では、洗剤やシャンプー、トイレットペーパーなどのストックは全て廊下のクローゼットに収納しています。ストックする場所が1カ所であれば家族もどこにあるかすぐにわかりますし、在庫管理も楽です。ボックスを活用すると、収納の中もすっきりします。後は、収納できないものは買わないということも大切です。入る分だけストックし、しっかり管理していれば『あれがない』『収まらない』ということもなくなるでしょう」
浴室やトイレ、洗面室などのサニタリールームは、住まいの中でも特に清潔を保ちたい場所です。清水さんは、掃除をしやすくし、水あかやカビの発生を防ぐためには「浮かせる収納」がおすすめだと言います。サニタリールームの場所は、生活動線や家事動線にも大きくかかわってきます。物件選び、家づくりの際には、ライフスタイルに合った間取りを選びましょう。
サニタリーとは水まわり設備を持ち衛生を保つ場所の総称
サニタリールームはライフスタイルに合った場所だと便利
「浮かせる収納」なら清潔で掃除も楽