米連邦当局、CIAハッキング技術めぐる情報漏えいで捜査開始
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米連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)は8日、内部告発サイトのウィキリークスがCIAのハッキング技術に関する文書を入手し公開したことを受けて刑事捜査を開始した。米政府筋が明らかにした。
ウィキリークスが公開した大量の文書によると、CIAはインターネットに接続されたスマートフォンやスマートテレビを使って盗聴する技術を開発している。
CIAとFBI、ホワイトハウスは文書が本物かどうかについての確認を避けた。
CIAの報道官は8日、BBCの取材に対し、「テロリストなどの敵から米国民を守る情報機関の能力を損なおうとするウィキリークスのあらゆる情報公開について、米国民は深く懸念すべきだ」と述べた。「このような情報公開は、米政府の職員や作戦を危険に陥れるだけでなく、我々に危害を加えるすべと情報を我々の敵に与えることになる」。
「きわめて重大な損害」
米政府関係者は8日、匿名を条件として米メディアの取材に応じ、刑事捜査ではウィキリークスが文書を入手した経緯を調べると述べた。さらに、情報漏えいが起きたのがCIA内部からなのか外部なのかを特定するという。
CIAはウィキリークスが公開した2013~16年のものとされる文書の真偽を確認していない。
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しかし、CIA元長官のマイケル・ヘイデン氏はウィキリークスによる文書公開に懸念を示している。ヘイデン氏はBBCに対し、「もしあの内容が本当ならば、CIAが合法的な海外の情報収集で使う戦術や技術、手順、道具について、極めて大きな損害をもたらす漏えいだ」と語った。「言い換えれば、私の国と私の国の友人の安全を損なったのだ」。
「ゼロ・デイ」
8日には、CIAによるハッキングが可能だとされたテクノロジー企業の一部が報道内容への反応を示した。
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アップルは、iPhoneなどの脆弱(ぜいじゃく)性はすでに対応済みだと述べた。同社は、「現在のiPhoneには、消費者が入手可能な最高水準のデータ保護技術が盛り込まれている。我々はその状態が維持できるよういつも努力している」とした。
韓国・サムスンのスマートテレビ「F8000」シリーズへのハッキング技術が存在すると伝えられたことについて同社は、「消費者のプライバシー保護と製品の安全性を最優先している」と述べた。
OS(基本ソフト)ウィンドウズを使った製品に侵入できるマルウェア(悪意のあるソフト)を開発したと伝えられたことについて、マイクロソフトの広報担当者は、「報道内容は認識しており、調査を進めている」と語った。
グーグル社のアンドロイドについても、CIAはこれまで知られていなかった「ゼロ・デイ」と名付けられた脆弱性を発見し、アンドロイドを使った電話で「侵入し、ウイルス感染させ、操作する」ことを可能にしたと伝えられているが、同社はコメントを避けた。
インターネットのプライバシー擁護を訴えるワールド・ワイド・ウェブ財団は、今回の情報漏えいを受けた米政府による詳細な説明が必要だと指摘した。