山花郁夫 山花郁夫
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表現の自由をめぐって #コミケ街宣 #表現の自由 #表現の自由を守るための約束 #C105 #AFEE

以前、憲法学者の木村草太先生から、「憲法の人権規定というのは貼紙のようなものである」というお話を伺ったことがあります。

つまり、「不法投棄禁止」という貼紙があれば、「これはだれかが勝手にごみを捨てたことがあるのだな」ということがわかるし、「立小便禁止」という貼紙があれば、「ここで以前しでかした人がいるのだな」ということがわかるのと同じように、憲法に人権が規定されているのは、かつて国家権力が信教の自由を弾圧したり、表現の自由だとかを抑圧したことが理解できる、というのです。

私もよく言っていることですが、人権規定というのは、法学者や哲学者が論理的に考えて体系的に規定したものではありません。世界を見ても憲法が制定された時というのは革命や戦後など、歴史的に激動の時に作られていますから、必ずしもロジカルに完ぺきなものであることはもともと期待できないものだということができます。

したがって、憲法に規定されている人権カタログだけが人権として保障されるということではなく、古典的な人権と同等の価値を有する新しい権利が人権として保障されてゆくこともありえます。また、憲法制定時には存在していなかった新しい技術をどのように評価すべきか、ということが議論になることもあります。

表現の自由の保障はもともと、検閲を禁止することを内容としていました。そして、アメリカやイギリスでは禁止される検閲というのは文書による表現を対象とするものと考えられていました。イギリスでは演劇に対する検閲は長く続いていたようですし、アメリカでは20世紀半ばまで映画フィルムの検閲は当然のこととされていました。

現在では、演劇や映画も表現の自由を構成するもので、これに対する検閲をしてはならないと考えられています。このことは、新しい人権ではありませんが、表現の自由の内容も憲法制定時よりも豊富になってきていることを意味しています。

日本国憲法が制定されたときには、映画フィルムは存在していたでしょうけれども、インターネットやSNSのような類のものは存在していませんでした。私たちはこの場合、憲法制定時に想定されていなかったから保障されないのだ、とは考えません。むしろ、表現の手段が多様になり、同時に表現の自由の保障内容もそれだけ豊富になったのだ、と考えます。

とかく新たな技術が出現すると、これまで想定されなかったような弊害が生じることもあります。SNSでの誹謗中傷などがその例と言えるでしょう。新しい技術が出てきてこれまでにない弊害が生じると、素朴な感覚から規制すべきだという議論が起こりがちです。しかし、SNSも表現の自由の保障を受けるのだとすると、表現の自由が保障された趣旨、歴史に思いを致さなければならないということになります。

民主主義の発達とともに表現の自由にとって匿名性の保障ということはあまり強調されることはなくなってきました。憲法の教科書にも匿名表現の自由ということはほとんど記述されていません。しかし、専制君主や独裁国などから表現の自由が獲得される過程では自らの名を名乗って権力批判をすることがどれだけ危険なことか、そして匿名での表現が保障されることがどれだけ重要だったか、ということに思いを致さなければならないはずです。

先程、木村草太先生の「貼り紙」の例を出したのは、各種の人権はどのような歴史的背景があって規定されたのか、ということが解釈にとってとても重要だ、ということをうまく表現されているからです。

最近、表現の自由をめぐっては、生成AIによる表現の規制についての議論があります。しかしこの問題についても、表現の自由の規制に関する原則に立ち返って議論がされるべきだと考えます。

表現の自由も決して無制約なのではなく、規制される可能性もあります。しかし、それは他者加害禁止、すなわち他人の名誉権やプライバシー権などを侵害してはならない、ということであって、実在しない人物については他者加害に当たらない、ということです。見たくない側の権利が仮にあるとしても、販売方法などにより制限的でない手段規制によるべきであって、内容規制にわたるべきでないというのが基本的な考え方になるはずです。

表現の自由を守る、皆様の活動に敬意を表して、私の訴えを終了します。

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