『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾンズ、ガブ
Posted on 2024.12.18 Wed 19:25:54 edit
【2024年12月21日に、論文「『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー」などについて加筆完了】
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい(この2つが『ブラウンローの新聞』よりも明らかに重要)。
今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』です。
”
一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的なものを嗅ぎつけた批評家たちは、この作品を一種の煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。
”
(橋本槙矩「解説」、橋本槙矩、鈴木万里訳、H・G・ウエルズ原作『モロー博士の島 他九篇』に収録、岩波書店、1993年、岩波文庫 赤 二七六-三、 p.334)
(「煽情小説」のルビが「シヨツカー」であり、「ヨツ」は小さくないが、ショッカーと表記した。ルビは括弧で囲んだ)
(大きな文字と太字と赤字は引用者によるもの)
橋本槙矩, 鈴木万里訳『モロー博士の島 他九篇』岩波書店 (1993 岩波文庫)の備忘録(メモ)。
私以外の人の読書メモ記事に「解説によるとこの作品が発表された当時、批評家たちはこの作品を一種の「ショッカー(扇情小説)」として批判したらしい。」(後述)という旨が本当に書いてあるか確認のために読んだ。
『モロー博士の島』がショッカーだと批判されたって旨の箇所は実際に書かれているよ。
需要がありそうなので、収録順ではなく、解説とモロー博士の島の備忘録(メモ)を先に書く。
『モロー博士の島』は、動物(非人間)を人間化させて動物人間を作る狂気科学者(マッドサイエンティスト)というケツ社の本音担当の研究者が登場する。
人間に動物の要素を加える改造ではないのだが、『モロー博士の島』は初代仮面ライダー(と以降の作品)の元ネタだな。ショッカー博士の島(笑)
『モロー博士の島』って当時、煽情小説(ショッカー)だと批判されたから、元ネタ「だろう」ではなく「これ元ネタじゃん!」だよ。
モロー博士が狂気科学者(マッドサイエンティスト)なので、ショッカーに勧誘されそう(笑)
ただし、『モロー博士の島』には昆虫超人は登場しないので、昆虫超人は別の元ネタがあるだろうな。おそらくBEM(bug-eyed monster=昆虫の目を持つ怪物)が元ネタ。
昆虫型エイリアンが元ネタだろう。
ケツ社員が海外の作品を読んでいるのはおかしくないし、外国語ができる人に聞く手もある。それに、絵なら作品の言語がわからなくても造形(デザイン)に取り入れることは難しくないだろうな。
それと仮面ライダーシリーズの「悪こそ救世主(悪の力を使う。敵の力を使う。敵に似た力を使う)」思想の元ネタは、クラークの『幼年期の終わり』(1952年刊行)かもしれないな。このSFのオーバーロードの姿が悪魔そっくり。
なお、仮面シリーズの『鎧武』ではオーバーロードという名前の超人が登場する。
『鎧武』では主人公と、好敵手(赤属性)がオーバーロード化する。『鎧武』は、モロ幼年期の終わりだな。
https://x.com/kentaro666/status/1553896105414635520
”竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
画像
午前9:11 · 2022年8月1日
”
(上記の続き)
https://x.com/kentaro666/status/1553897174387560449
”「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
”
では目次だ。
目次
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい
・解説(煽情小説[ショッカー]だと『モロー博士の島』が批判されたと分かる箇所あり)
・『モロー博士の島』(その他の邦題『改造人間の島』)
The Island of Doctor Moreau (1896)
・『モロー博士の島』関連資料
・エピオルニス島
Aepyornis Island (1894)
(『イーピヨルスの島』『怪鳥イーピヨルニスの島』『怪鳥エピオルニス』など邦題が複数ある)
・『蛾』
The Moth (1895)
・『紫色のキノコ』
The Purple Pileus (1896)
(『赤むらさきのキノコ』って邦題もある)
・『パイクラフトの真実』
(他の邦題は『パイクラフトの真相』『パイクラフトの話』)
The Truth About Pyecraft (1903)
・ 『ブラウンローの新聞』
(その他の邦題が『未来新聞』)
The Queer Story of Brownlow's Newspaper (1932)
(1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』。赤組の予定表じゃん(笑))
・『故エルヴィシャム氏の物語』
(その他の邦題は『故エルヴシャム氏の話』『亡きエルヴシャム氏の物語』)
The Story of the Late Mr. Elvesham (1896)
・『マハラジャの財宝』
The Rajah's Treasure (1896)
・『デイヴィドソンの不思議な目』
(その他の邦題は『ダヴィドソンの眼の異様な体験』)
The Remarkable Case of Davidson's Eyes (1895)
・『アリの帝国』
The Empire of the Ants (1905)
解説
(最重要。煽情小説[ショッカー]だと『モロー博士の島』が批判されたと分かる箇所あり)
※【 】はルビの代役
p.333から
解説
(本書は、1993年11月16日 第1刷発行であることに注意して読んだ方がいいよ)
絶海の孤島は常に神秘的な謎を秘めて人間の想像力に訴えかけてきた。ギリシャ時代のアトランティス、中世のユートピアなどこれら蓬莱の島々は豊かな理想郷の夢を養ってきたのである。十八世紀という散文の時代に入ってもデフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719年)、スイフトの『ガリヴァー旅行記』(1726年)という代表的なユートピア文学が生み出されている。
しかし、冒険ユートピアの伝統の流れに位置する『モロー博士の島』はそれらの諸作品とは決定的に異なる特色を持っている。それはこの作品の主人公が科学者であり、物語が科学研究と進化論の妥当性をめぐって展開するところにある。H・G・ウエルズは『現代のユートピア』(1905年)の中で次のように言っている。「現代のユートピアはダーウィン以前のユートピアとはある根本的な点で区別される。従来のユートピアが完璧で静的なものであるのに対し、現代のそれは動的でなければならない」
ここには科学の発達と進化論が大きな影響を与えた【進歩】の時代の予言者ウエルズが顔を出している。キリスト教思想は動物と人間と神との間に一線を画す。ところが、進化論は動物から進化した人間がさらに進歩して神に近い完全な存在になる可能性を夢みさせるのである。人間が動物から進化したのなら、科学の力で疑似的神になった人間が、動物から人間を造り出すことだって可能ではないのだろうか……ここにモロー博士の島がひとつの実験室として登場するのである。
進化論を生体解剖学的に実証しようと研究の鬼となった博士は他のことは省みず「芸術品としての人間」を造ることに没頭する。節度と倫理を忘れた科学研究はやがて恐ろしい結果を生むのである。
(略。既にp.334)
”
一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的なものを嗅ぎつけた批評家たちは、この作品を一種の煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。
”
(橋本槙矩「解説」、橋本槙矩、鈴木万里訳、H・G・ウエルズ原作『モロー博士の島 他九篇』に収録、岩波書店、1993年、岩波文庫 赤 二七六-三、 p.334)
(「煽情小説」のルビが「シヨツカー」であり、「ヨツ」は小さくないが、ショッカーと表記した。ルビは括弧で囲んだ)
ショッカーの綴りはShockerか、shockerだろう。「衝撃的な、ショッキングな小説」という意味だろう。
大衆小説 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A1%86%E5%B0%8F%E8%AA%AC
”大衆小説(たいしゅうしょうせつ)、大衆文学(たいしゅうぶんがく)は、純文学に対して「芸術性」よりも通俗的で「娯楽性」に重きを置いている小説の総称で、時代物(現代物は通俗小説という)を指す。ただし、時代や論者によって、便宜上その語が意味するものが異なり、双方の区別なく「大衆文学」「大衆小説」と呼ばれることも多い。さらに今日では推理小説(探偵小説)やSF小説などを含めることも多く、その意味では「娯楽小説」「エンターテインメント小説」も同義語である。なお、純文学と大衆文学は必ずしも対極に位置するものと定義されているわけではなく、両立可能であるとする説もある。
(中略)
第一次世界大戦後のヨーロッパではミステリ小説、ピカレスク小説、「外套と短剣(Cloak and Dagger)」や恋愛小説がマスコミの発達とともに量産された。ホール・ケインなどによる、恋愛や家庭的事件を扱った問題小説(problem story)という分野は女性に人気を持ち、Sugar coated problem storyとも呼ばれた。エドガー・ウォレスの探偵小説は非常な人気を得たが、その多作ぶりのためバーナード・ショーには"Cheap Literature"、共産党の新聞からは"Shocker"といった悪評も受けた。
(中略)
最終更新 2024年7月25日 (木) 11:46 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
” ※着色は引用者
「煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。」の直後から開始。
煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。次にこの作品の出版直後に『サタディ・レヴュー』に載ったP・C・ミッチェルというウエルズの知人でもあった動物学者の書評の一部を引用しよう。
「最後にモロー博士の実験の科学的妥当性にについて一言述べよう。私は物語の筋としてはこの作品に盛り込まれている科学的説明で十分だと思う。しかしウエルズ氏が注の中で次のように書いているのは少しやり過ぎだと思う。すなわち氏は「この作品にどれほど科学的信憑性が与えられているかが問題になるにせよ、動物人間が生体解剖学上可能であることは明白だ」と言うのである。ハイネマンから出版の予定されているオスカー・ハートヴィッヒの論文はこの移植と輸血の最近の学説を紹介しているが、それによれば、最近ではあの有名なハンターの移植の実験は不可能だとのことである。人間同士の皮膚の移植や輸血は可能だが、異なった動物間の移植は不可能だということだ」
真面目に移植や動物人間の可能性が論じられているところが現代の我々には少し滑稽でもある。我々はこの作品を読んで、むしろメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)を思い浮かべるのである。怪奇小説の古典のひとつであるこの小説のあらすじでは、モロー博士が自分の作品である動物人間に殺されるように、主人公フランケンシュタインも自分の造った怪物に殺されるという点で類似がある。事実、ウエルズは『モロー博士の島』を書く前に『フランケンシュタイン』を読んでその影響を受けているのである。しかし、それだけでは十九世紀末のフランケンシュタインたるモロー博士はできあがらない。ウエルズは博士の実験とその学説に現実性を持たせるために、十八世紀の解剖学者、ジョン・ハンターなどの諸説も取り入れているわけである。したがってモロー博士は当代の学者を論争に巻き込むほどの生理学上の知識を身に付けた新しいタイプの魔術師あるいは錬金術師なのである。
p.336から
進化論によれば、宇宙を支配しているのは神の摂理ではなく、盲目の【偶然】である。【進化】はこの盲目の【偶然】に左右される結果にすぎない。動物も人間もこの【偶然】に振り回されながら生存競争を生き延びなければならない。
英国に還った(原文ママ)プレンディックは思う…あらゆる人間は仮面の下に獣性を隠しているのではないか。否、人間はもしかしたら猫であり、豹そのものではないのか。「彼らの顔に獣性が現れて、モロー博士の島の堕落が英国全土で繰り返されるのではないか」と彼は考えるのである。ここに痛切な皮肉があるのではないか! 動物の人間への改造が企てられている島で、人間の動物への退化が予見されているのである。となるとウエルズは単なる進歩主義者ではなく、進化と同時に退化を深刻に危惧した複眼的作家ということになろう。
(退化って進化の一種だから、進化の対義語じゃないんだけどな。
進化ではなく進歩だな。
理学エッセイ 第50回 退化も進化 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
土松 隆志(生物科学専攻 准教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/7213
”初学者向けの進化生物学の講義の初回では,いつも「進化とは何か」というテーマをあつかうのだが,そこで触れるのが「退化も進化」という話である。
一般に進化というと,能力や性能が向上したり進歩したりといったニュアンスがある。一方,生物学的な進化は,「世代を通じて生物集団の性質が変化していくこと」とだけ定義されており,そこに進歩的な意味合いはまったくない。たとえば,暗い洞窟に生きる魚では視力が失われているなど,器官の欠損や消失のような「退化」的現象は生物の世界ではよく知られている。これらも世代を経る過程で徐々に生じてきたものであり,定義上は進化の一種ということになる。
(略)
花粉を減らすことも花が小さくなることも,一見「退化」のようにも見えるが,実は植物の賢い生存戦略である。 冒頭で触れた洞窟魚が視力を失う話も,眼の神経組織をつくるためにはかなりのエネルギーが必要であることが明ら かになってきた。洞窟魚の眼は,なくてもよいから錆びついていったというよりは,むしろなくなることにメリットがあったのである。退化とみなすかどうかは,あくまで人間の恣意的な印象に過ぎないことが分かる。進化というレンズを通してみることで,はじめて浮かび上がる生物の巧みな生き様があるように思う。
” ※着色は引用者
)
最後に再度強調したいのは『モロー博士の島』はダーウィンの『種の起源』(1859年)や『人類の起源』(1871年)の影響を強く受けている点である。人間の起源が狭鼻猿類にあるというダーウィンの説がなぜこれほどの衝撃を与えたのか仏教に慣れ親しんだ我々には理解しがたいが、その最大の理由はキリスト教が神と人間と動物の間に越えられない断絶を措定してきたからである。
西洋のキリスト教思想では神との断絶が信仰を、動物との断絶が人間の矜持を支えてきた。しかし世紀末には神の死が宣告され、動物と人間の断絶の垣根が取り払われたのである。その狼狽と恐怖の影が世紀末の文学に深い影を落としており、語り手のプレンディックのペシミズムも以上の歴史的文脈で理解すべきものである。
p.338から
『マハラジャの財宝』と『ブラウンローの新聞』は日本に初紹介の作品である。前者はインドの藩王国を舞台にした権力と財宝を巡る骨肉の争いと滑稽で意外な結末のコントラストが魅力である。後者は不思議な現象が起きて、未来の新聞を読めるようになった男の物語である。1932年の作品で、新聞は1971年のものという設定なので、ウエルズが我々の時代をどのように予想していたかが分かって興味深い。
『蛾』『紫色のキノコ』『アリの帝国』の三篇は鈴木が分担し、他の作品は橋本が分担したが、文体の統一は橋本が行なった。
本文庫の『タイム・マシン』『透明人間』に続いて、この度もいろいろと御尽力いただいた岩波書店の平田賢一氏に御礼申し上げる。
1993年10月
橋本槙矩
(本書は数字が漢数字なのだが、横書きだと読みにくい気がするのでアラビア数字に変えている)
[橋本槙矩(まきのり)と鈴木万里(まり)。『モロー博士の島』の担当は橋本槙矩(まきのり)]
(『モロー博士の島』は、1989年の旺文社文庫版だと『改造人間の島』という題名。
「仮面ライダーの影響を受けたのか?」って思える題名だな(笑)
日本語訳はウィキだと最初の和訳は、『モロー博士の島』 木村信次訳、大正13年。
つまり大正時代には和訳がすでにある。この時点で『モロー博士の島』という題名。
『改造人間の島』という題名なのは、 橋本槙矩訳、旺文社〈旺文社文庫〉、1977年のみ。
他はすべて『モロー博士の島』 だ。
ということは、初代仮面ライダーの改造人間という単語は『モロー博士の島』の邦題の1つ『改造人間の島』由来ではないな。
『仮面ライダー』の放送期間は、1971年4月3日から1973年2月10日までなので、1977年の『改造人間の島』より先だ。もしかしたら、仮面ライダーの元ネタが『モロー博士の島』だと気づいた翻訳者が『改造人間の島』と名付けたのかもしれない。
「改造人間」だと人間主体だと思ってしまうのは仮面ライダーの影響かもな。
人間主体っていうのは、人間を改造して、他の生物の性質を加えるって意味ね)
モロー博士の島 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E3%81%AE%E5%B3%B6
”『モロー博士の島』(モローはかせのしま、The Island of Dr. Moreau)は、イギリスの小説家ハーバート・ジョージ・ウェルズが1896年に発表した小説。
ウェルズの人気を高めた小説のひとつであり、『タイム・マシン』や『透明人間』と同じく1890年代に発表された。他の生物を人間のように改造するという設定が話題を呼び、発表当時はアーサー・マッケンの『パンの大神』(1894年)と比較された[1]。何度か映画化もされている。
(略)
日本語訳
• 『モロー博士の島』 木村信次訳、大正13年。
• 『モロー博士の島』 土屋光司訳、三邦出版社、昭和16年。
• 『モロー博士の島 H.G.ウエルズ傑作集 1』 宇野利泰訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1977年
• 『モロー博士の島』 能島武文訳、岩波書店〈岩波文庫〉、昭和42年。
• 『改造人間の島』 橋本槙矩訳、旺文社〈旺文社文庫〉、1977年。 - ウェルズ年譜あり
• 『モロー博士の島 他九篇』 橋本槙矩・鈴木万里訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1993年11月、ISBN 4-00-322763-8
• 『モロー博士の島』 中村融訳、東京創元社〈創元SF文庫〉、1996年9月、ISBN 4-488-60707-1
• 『モロー博士の島』 雨沢泰訳、偕成社〈偕成社文庫〉、1996年。 - 児童向け版、ISBN 4-03-652140-3
本作品には、プレンディックの甥で遺産相続人であるチャールズによる前書きがついているが、この前書きが訳されていない版がある。
映画化
• Island of Lost Souls (1933) 邦題『獣人島』 - 主演はチャールズ・ロートン、ベラ・ルゴシ。
• The Island of Dr. Moreau (1977) 邦題『ドクター・モローの島』 - 主演はバート・ランカスター、マイケル・ヨーク.
• The Island of Dr. Moreau (1996) 邦題『D.N.A./ドクター・モローの島』 - 主演はマーロン・ブランド、ヴァル・キルマー
(略)
関連項目
• マッド・サイエンティスト
• リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン - モロー博士が、アルフォンス・モローという名で登場する。なお、同作者の『タイム・マシン』のキャラクターも登場する。
• 獣人
• おぼっちゃまくん - モロー博士と007シリーズ第1作『007 ドクター・ノオ』のジュリアス・ノオ博士のパロディキャラクーであるBCG(ブラック・チューシャ・グンダン)首領ドクター・モオが登場する。
• ブラジルから来た少年 (映画) - ヒトラーのクローンを問題化した映画。
• ドラえもん のび太の南海大冒険 - モロー博士をモデルにしたDr.クロンが登場する。
• 星のカービィ (アニメ) - 第75話「夢の恐竜天国!(前編)」と第76話「夢の恐竜天国!(後編)」に、モロー博士のパロディキャラクターであるドクター・モロが登場する。
(略)
最終更新 2021年12月25日 (土) 22:10 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
” ※着色は引用者
(上記に仮面ライダーシリーズや『けものフレンズ』が無いな)
『モロー博士の島』(その他の邦題『改造人間の島』)
The Island of Doctor Moreau (1896)
『モロー博士の島』については、朗読動画や全文和訳がネットにあるから『モロー博士の島』だけを内容確認したいなら本書を読む必要はない。
だが、私が読んだ岩波文庫版は解説が優れている。優れた解説は以下では読めない。
【朗読/小説/SF】モロー博士の島1(H.G.ウェルズ)【リマスター版】
https://www.youtube.com/watch?v=rPP6qUECuXI
文章版(和訳)はこちら
モロー博士の島
https://open-shelf.appspot.com/TheIslandOfDoctorMoreau/index.html
これより、『モロー博士の島』の箇所に入る。
p.208から
まえがき
レディ・ヴェイン号が(略)で漂流船と衝突し沈没したのは、1887年2月1日だった。南米、ペルーのカヤオでこの帆船に乗りこんだ私の叔父、エドワード・プレンディックは、溺死したと思われていた。ところが1888年1月5日、すなわち遭難から十一ヵ月と五日後、彼は(略)で無事救助されたのである。
(年代特定のために記した)
p.215
「君は死にかけていたんだ。危ういところだったが注射をしたのがよかったんだろう。腕が痛くないか? なにしろ二日ちかく意識不明だったのだからな」
私の思考力は、まだ回復していなかった。
(略)
「なにか固形物を食べてもいいだろうか」
「いいとも。いま羊肉(マトン)が煮えているところだ」
「羊肉なら食べられると思う…」
[
「私」とは本作の語り手にして主人公のエドワード・プレンディック (Edward Prendick)のことだ。
二日ちかくか。三日ならキリストが元ネタかもしれなかったのにな。
考えすぎだって? だって、直後に羊肉だぞ? 羊。
後述するが、この主人公の設定にウェルズが自身の経歴を混ぜているから、三日は避けたのかもな(笑) さすがに自分がキリストなのは傲慢すぎるもんな
]
p234
[モロー博士 (Doctor Moreau)の見た目の描写が登場]
(白髪の男=)彼は秀でた額をした重々しい目鼻立ちのがっしりした体格の男だった。年配の人によく見られるようなうわまぶたの皮膚が垂れた男で、きつく結んだ口の端(は)がへの字に曲がっているところは頑固な性格を思わせた。彼がモントゴメリに語りかける声は低すぎて私には聞き取れなかった。
[
モンゴメリー (Montgomery)はモロー博士の助手
]
p236
彼は私の目をじっと見た。
「プレンディックさん。君が教養のある紳士であることは聞きましたよ」
そう言われて私は科学師範学校で何年間か勉強したこと、T・H・ハクスリーのもとで生物学の研究をしたことなどを話した。彼は驚いたようだった。
「そうですか、それなら話は違ってきますな。プレンディックさん」
そこで彼は少しもったいをつけてから先を続けた。
「実はわしも生物学者でね。この島にはわしの実験室があるのだよ」
[
科学師範学校で学んだことや、T・H・ハクスリーのもとで生物学の研究をした設定の元ネタはおそらく、ウェルズが科学師範学校でT・H・ハクスリーの講義で学んだことだろうな。
つまり、主人公にはウェルズが混ざっている。
トマス・ヘンリー・ハクスリー(Thomas Henry Huxley。1825年5月4日~1895年6月29日)は生物学者。ダーウィンの進化論の賛同者。
トマス・ヘンリー・ハクスリーの息子の1人がレナード・ハクスリー。
レナードの息子の1人がオルダス・ハクスリーだ。
レナードの息子は他にもいて、例えば、ジュリアンはユネスコの初代事務局長であり世界自然保護基金の創設メンバーだ。
同じくレナードの息子アンドリューはノーベル生理学・医学賞を1963年に受賞した。
ケツ社員の家だな(笑)
ハーバート ジョージ ウェルズ | 糖尿病サイト
https://www.club-dm.jp/novocare_all_in/novocare-circle/celebrity/celebrity13.html
”ハーバート ジョージ ウェルズ (1866~1946)
NO.13
ウェルズはケント州ブロムリー(現在のブロムリー・ロンドン特別区)の下層階級の商人の家に生まれました。貧しかったため、十分な教育も受けられず、父の死後は反物商や薬局などに働きに出ますが、どれも長続きしませんでした。その後、奨学金でサウス・ケンジントンの科学師範学校(現インペリアル・カレッジ)に入学しました。そこでトマス・ヘンリー・ハクスリーの下、生物学などを学び、特に進化論はウェルズに大きな影響を与えました。進化論と当時の最新科学を学んだことが、「タイム・マシン」、「モロー博士の島」、「透明人間」、「宇宙戦争」などのSF小説を生み出すことに繋がりました。
作家活動だけでなく、社会活動にも熱心だったウェルズは、第一次世界大戦中に「戦争を根絶する戦争」という論文で、大戦後に戦争と主権国家の根絶を考え、国際連盟を樹立すべく尽力しました。
ウェルズは生涯を通して気管支炎や神経炎など、様々な病気を患いましたが、1930年代初頭に60歳代で糖尿病と診断されます。そして1934年、ウェルズは糖尿病協会の設立をタイムズ紙上で市民に呼びかけます。「糖尿病協会とは、豊かな人も貧しい人も隔たりなく、全ての糖尿病のある方の相互支援を助け、糖尿病の研究や広報活動を支援する…… 」そしてその結果、英国では糖尿病協会が設立されました。
19世紀後半に人目を驚かす斬新なSF小説を発表したウェルズは、1946年8月、ロンドンの邸宅で肝臓がんのために、静かに息を引き取りました。その遺灰は彼の子どもたちの手で大海原にまかれました。
” ※着色は引用者
ウェルズ(うぇるず)とは? 意味や使い方 - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E3%81%86%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%9A-1507504
”
日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェルズ」の意味・わかりやすい解説
ウェルズ(Herbert George Wells)
うぇるず
Herbert George Wells
(1866―1946)
イギリスの小説家、文明批評家。20世紀初頭の思想界に大きな影響を与えた。9月21日、ケント州ブロムリー(現、ロンドンの一部)の貧しい商家に生まれ、8歳から13歳まで商業学校に通ったのち、徒弟奉公に出され、服地屋の丁稚(でっち)、薬剤師助手など職を転々とした。1884年奨学金を得てサウス・ケンジントンの理科師範学校(現、ロンドン大学理学部)に入学、T・H・ハクスリーなどの講義を聞き、科学万能の世界に浸った。1888年優等で同校を卒業、理科教師の生活に入ったが、まもなくジャーナリズムの世界に転じた。このころから小説を書き始め、1895年に発表した処女作『タイム・マシン』は好評を博し、いまでもSFの古典となっている。その後も『驚くべき来訪』(1895)、『モロウ博士の島』(1896)、『透明人間』(1897)、『宇宙戦争』(1898)などの科学小説を精力的に発表した。これらの作品すべてに、日常生活の不安定さと未来の人類の位置とその没落が暗示されていることは注目に値する。
20世紀に入ると文明批評的な関心が深まる。世相に対する風刺とユーモアを特徴とし、彼の貧しい少年時代を詳しく描いた普通の小説『キップス』(1905)、『ポリー氏』(1910)や自伝的傾向の強い『トノ・バンゲイ』(1909)などはすべて彼の社会思想の告白でもある。1903年フェビアン協会に参加、この協会の穏健な社会主義綱領に飽き足らず、G・B・ショーなどと対立しながら、彼独自の合理主義的社会観を表明し続けた。これらを小説の形で示したものが、人類の理想と進歩に関する一群の思想小説『予想』(1901)、『完成中の人類』(1903)、『近代的理想郷』(1905)、『新マキアベリ』(1911)であるが、この時期にすでに原爆を使用した科学小説『解放された世界』(1914)を書いている。その後、彼の社会的関心はますます強まり、知的国際連盟とも称すべき彼の理想を、『世界文化史大系』20巻(1920)や続編『生命の科学』(1929)などの形で精力的に表現。1946年8月13日、ロンドンで没。著書100冊を超える彼の生涯をひとことでいうならば、後期のペシミスティックな傾向にもかかわらずビクトリア朝の上昇階級であった下層中産階級の一員として、普通教育の普及の波のなかで科学と知性による迷信の排除と人類の合理的進歩という信念を語り続けたものということができる。
[鈴木建三 2015年7月21日]
『阿部知二訳『ウェルズSF傑作集』全3冊(創元推理文庫)』▽『マッケンジー著、村松仙太郎訳『時の旅人』(1978・早川書房/上下・ハヤカワ文庫)』
” ※着色は引用者
ウェルズは上流階級出身ではない。
]
p241から
私はモントゴメリの手下の醜い男の目を思い出していた。
ちょうどそのとき黒ずんだ顔の男が入ってきた。コーヒーとゆでた野菜を載せた皿を運んできたのである。彼は愛想よく頭を下げ、食卓に持ってきたものを並べてくれた。おじぎをしたとき、私は彼の剛い頭髪の下の耳が異常に尖って、黄色い毛が生えているのを見た。
「ダンナ、朝食デス」
と彼は言って、おどおどした落ち着きのない目で私を見てそれから出て行った。そのときふとあることが記憶によみがえった。モローいやホローだったかな? いや確かにモローだ。私の記憶は十年前に遡った。「モロー博士の恐怖」という言葉が脳裏に鮮明に浮かんできた。あれは確か薄黄色の小冊子に印刷された赤い文字だった。そうだ! 思い出したぞ。あの当時、私はまだ若かった。モロー博士は五十歳くらいだったはずだ。彼は傑出した生理学者でそのすばらしい想像力と弁舌によって科学者の間でも名を知られていた。
[
モロー博士は現時点で60歳くらいなのだろう
]
同一人物だろうか? 同じモロー博士なら輸血と腫瘍についての貴重な研究でも有名だったはずである。しかしある事件によってモロー博士のロンドンでの華々しい人生は突然閉ざされたのだった。あるジャーナリストが実験助手に化けて博士の研究室に入りこんだ。むろん博士の研究の秘密を暴露しようという腹づもりであった。しかしこの男が何もしないうちに偶然が博士の秘密をもらしてしまった。例の小冊子が発表されたのと同じ日に、皮を剝がれ、身体の一部を切断された犬が博士の研究室から逃げだして来たのだった。それはちょうど運悪く人々が醜聞(スキャンダル)に飢えていた時節だった。このジャーナリストの従兄(いとこ)で名を知られた編集者がこれを大袈裟に書きたてた。人々は待ってましたとばかりにモロー博士を非難しはじめ、博士は英国から出奔してしまったのだった。博士を弁護する科学者はひとりもいなかったのだ。
ここまで思い出して私は白髪の男がモロー博士であることを確信した。
[
輸血はケツ社で重要分野なのだろうな
]
p249から
私の目の前の茸のはえた倒木の上に三人のグロテスクな人影が座っている。私には気づいていないようだ。そのうちの一人は明らかに女である。腰に巻いた紅色の腰巻を除いて裸である。肌はくすんだピンクである。こんな色の肌をしている未開人は初めて見た。顎のない丸い顔、後退している額、頭のわずかな剛毛。こんなに動物的な人間を見るのは初めてだ。
(略)
彼らは円を描いて踊りながら足を踏み鳴らし、腕を振った。彼らの唱和にリズムが生まれた。
(略)
これらのなぞの儀式に熱中している連中は、姿は人間だがどこか見慣れた動物の雰囲気を持っているのだ。彼らはその装いにもかかわらずまごうかたなく豚を思わせるところがあった。
p260から
一本の椰子の木に猿がぶら下がっている。いやよく見ると猿ではなくて、先日浜辺で見かけた男である。彼はさかんに話しかけてくるが「ユー、ユー」としか聞こえない。この猿男にはどことなく愛敬(あいきょう)があった。(略)
「いち、にい、さん、しい、ごう」私の指の数と自分の指の数が同じだとわかるとにっこり笑った。後に判明したことだが、動物人間の大多数は変形した手をしていて指さえもないことがあった。私は聞いた。
(略)
ほとんど白痴に近い知能しかないらしかった。
[
猿男は西洋思想では重大な意味を持つ。人間が科学技術で人工的に猿を人間化した。
猿から人間になったという進化論が元の話だから、猿男を登場させたのだろうな。
]
p262から
第十二章 動物人間の掟
[
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html
によると、動物人間の原語はthe Beast Folk。
]
まるで生皮を剥がれた子供のような小さい桃色の生き物がいた。それはナマケモノに似た低い額を持ち、ゆっくりした動作で動いていた。その生き物は立ち上がって私を見た。
桃色の生き物は入口に立っていた。他にくすんだ茶色の顔をして目が光る生き物が私を肩越しに見ていた。
向かいの暗がりにいる者が「おい!」と声をかけた。
「人間! おいらと同じ人間だよ」私を案内した男が行った。
「黙れ!」暗闇の男が言った。私はココナツを齧った。目を凝らしたが何も見えない。
「四本足で歩くなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「水を啜るなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「肉、魚を食うなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「木の幹をひっ掻くなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
これらの愚行の戒めの掟の後に常識では考えられないような、そして口にするのは憚られるような戒律が続いた。
(
食人や共食いを防止するために肉食禁止の戒律があるのだろう。
単なる菜食主義ではない。
四本足で歩くなかれって、オーウェルの、1945年8月17日に刊行された『動物農場』の「よつあしいい、ふたつあしだめ」に影響してそうだな。『動物農場』だと「二足で歩くものはすべて敵である」なので、『モロー博士の島』の戒律と真逆だ。あくまで発想元なのだろう。
『動物農場』のナポレオンって豚は最終的に2本足で立つ。『モロー博士の島』には豚人が登場する。これはモロモロー博士だな。
『動物農場 おとぎばなし』 『1984年』。新語法の実例
Posted on 2024.05.24 Fri 22:14:27
http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-325.html
中出 佳範
@NEOSBREAK
動物農場読みました。
ナポレオンと名乗るブタ達が農場から人間を追い出し、徐々に平等をなくしていき、最後は二本足で歩き、太った人間と見分けがつかなくなってしまう。馬はその名の通り馬鹿、馬車馬の様に働き、犬は忠犬で、羊は叫ぶ奴隷。動物なのでブタ以外は考えること自体が苦手な描写が切ない
午後9:53 · 2019年2月13日
星野真志
@masasihosino
気晴らしにH.G.ウェルズのThe History of Mr. Pollyを読み始めた。ウェルズの下層中産階級小説はオーウェルに多大な影響を与えているらしいですが、読んでなるほど、Coming Up for Airにそっくり。読みやすい、短い、笑えるという三拍子揃った作品です。
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午前1:50 · 2012年7月30日
https://x.com/uxskf/status/1751639860874805432
”ワクワクさん
@uxskf
結局 未来予告、計画表として露骨にディストピアを小説をやり出したのウェルズだからね 新百科全書運動
オーウェルもハクスリーも影響されてるのは間違いないし
タイムマシンとかループみたいな設定入ったディストピアものとか要注意
午前1:14 · 2024年1月29日·2,308 件の表示”
https://x.com/uxskf/status/1829593381171081367
”ワクワクさん
@uxskf
後世への影響なら間違いなくその基盤、赤の聖典を書いたウェルズだろうけど
ハクスリーなんかも凄い
オーウェルは重要だけど実はここら辺の人たちの後の人だからね
タイムマシン、解放された世界にモダンユートピア、すばらしい新世界あたりを超える影響を持つSFはあるかな
午前3:53 · 2024年8月31日
·
639 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1727969067674615879
”ワクワクさん
@uxskf
オーウェルが思いっきり影響受けました、彼が居なかったら私達の世界はなかったと言ってる
ウェルズのモダンユートピアや公然たる陰謀という今の陰謀及び陰謀論の基盤を読んでほしいのだがどっちも和訳されてないはずなんだよなぁ
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午後5:35 · 2023年11月24日
·
5,186
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”
https://x.com/uxskf/status/1727969631066063039
”アレが未来の予定表であり今の陰謀論と多くのその後の創作物の基盤であり
当時の赤の最重要クラスの本だったはずなので
紐付き陰謀論者の本なんかより1番に手に取って欲しいのだけどね
なんせこの国の戦後の基盤の1つでもあるので
午後5:37 · 2023年11月24日
·
3,510 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1727969067674615879
”ワクワクさん
@uxskf
オーウェルが思いっきり影響受けました、彼が居なかったら私達の世界はなかったと言ってる
ウェルズのモダンユートピアや公然たる陰謀という今の陰謀及び陰謀論の基盤を読んでほしいのだがどっちも和訳されてないはずなんだよなぁ
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午後5:35 · 2023年11月24日
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5,186
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”
[上記から始まる会話]
鯵水 葉一郎
@wanderingmemes
調べたら、「未だ和訳のない問題作」とありました。Kindleで英語版が無料でした😂
午後5:38 · 2023年11月24日
·
473
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ワクワクさん
@uxskf
和訳のない問題作ですか笑
アレが意図的に書かれた今のエリートによる世界統一やら完全管理社会だかNWOだかの陰謀論の元祖だと思うんですけどね
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午後5:40 · 2023年11月24日
·
515
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鯵水 葉一郎
@wanderingmemes
作家自身にそのような理念、もしくは先見の明があったのは、ほぼ間違いないように想像します。
まだ一冊も読んでいないので、早く読みたいと思っています。
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午後5:46 · 2023年11月24日
·
190 件の表示
)
p265から
ついに歌が終わった。猿男の顔に汗が光っている。暗闇に慣れたせいか私は奥の片隅にいる人物の姿をもっとはっきりと見ることができた。それは人間の大きさだったが、スカイ島のテリア犬に似た灰色の毛で覆われていた。
「彼は五本指だ。おいらみたいに」と猿男が言った。
私は指を突き出してみせた。灰色の男が身を乗り出した。「四本足で歩くなかれ。我らはニンゲンならずや」と彼は言って奇妙に歪んだ自分の鉤爪で私の手をつかんだ。それは鹿のひづめのような手だった。
ぞっとしたことには、彼は人間とも獣ともつかぬ顔をしていた。全体を灰色の手が覆っていて、目と口の位置に影のような弓なりの穴が開いているだけなのだ。
入り口に立っていた斑の動物人間が言った。
「歯で嚙みきるなかれ、地面を嗅ぐなかれ」
p272から
第十四章 モロー博士の告白
「さて、プレンディック、よく聞いてくれ」
家に戻って食事が終わるとモロー博士が口をきった。
「君の気が強いのには、わしも参ったよ。今度、同じことが起きても助けてやらんぞ」
彼は椅子に座って煙草を吸っていたが、煙草を持つ手は博士のずんぐりした身体つきに似合わず、非常に器用そうに見えた。揺れるランプの灯が彼の白髪を照らしていた。
「わしが生体解剖したのはピューマだということは認めてくれるね」
彼はすでに実験室を私に見せてくれていた。
彼らは動物から改造された人間だったのだ。生体解剖学上の奇蹟的成果だとモロー博士は語った。
「君は腕のたつ解剖学者の業績のことを忘れているようだ。しかしわしはこんなことはとうの昔にやられていても不思議ではなかったと思っている。手足の切断や舌の切除などは今までも行なわれてきたし、斜視が手術で治ることは周知のとおりだ。切除の場合、色素が変化したり、情緒に変異が見られることは君も知っているだろう。ときには脂肪組織が変化するような合併症も見られる」
「もちろん知ってますとも。しかしあなたの動物人間は醜い……」
「まあそうあせらずに聞きたまえ。外科手術は切除だけでなく、移植もやる。たとえば鼻の整形手術を知っているだろう? 顔の皮膚を鼻に移すやつだ。わしのやっているのもこれと同じで動物の移植手術なんだよ。種類の異なる動物の間の移植も可能だ。皮膚と骨の移植を同時にやると治癒が早い。外科医は時に怪我の個所に動物の皮膚を移植したりしている。牛の首に雄鶏のけづめを移植して成功した例もある。ああそうだ。君はアルジェリアの犀鼠(さいねずみ)のことを知らないか。あれは尾を鼻に移植して作られた改造動物なのだ」
「すると私が見たのは…」
「そう、君が見たのはわしが作った動物人間なんだよ。動物を生かしたままどこまで改造できるか――これがわしの生涯をかけた研究課題なのだ。永年の研究でいろいろの新しい発見があった。君は驚いたような顔をしてるな。しかしわしのやっていることは新しいことではないのだ。もう何年も前から論じられたことを実行してみる勇気のある解剖学者がいなかっただけのことだよ。整形だけじゃない。生理的にも改造し、身体の化学的リズムを変えることだって可能だ。ワクチンその他の予防接種があるだろう。あれに似た方法だと思えばいい。
わしが最初に手がけたのは輸血だった。現在では忘れられてしまったが、中世には汎(ひろ)く行なわれていた手術がある。
(略)
そろそろ君にもわかってきたかな、動物の身体の組織の移植はもちろん、化学的反応能力や成長過程までも変えられるのさ、手足の関節を変形させるくらい朝めしまえだよ。
しかしこの分野を一貫して組織的に研究した者は現代医学者の中ではわしひとりだ! 昔、暴君や犯罪者の中には偶然に初歩的な生体実験を行なった者もいただろう。馬や犬の育種家(ブリーダー)、実利を求める未熟な職人たちもいただろう。だがわしのように生理学と衛生学の両方の知識を武器として取り組んだ者はいなかったのだ。
(略)
生体解剖の可能性は肉体的なものだけではない。精神構造を変えることも可能なのだ。豚だって教育できないわけではない。わしは催眠術を利用して動物の本能を取り去り、代わりに別の思考能力を植えつけることに成功したのだ。いわゆる道徳教育というものも人工的に本能を抑えて訓導するところに意味がある。たとえば闘争性を自己犠牲の精神に、性欲を宗教感情へと昇華させるようにね。人間と猿の最も大きな相違は実は喉頭(こうとう)にあるのだ。つまり人間の喉頭は思想を表すために微妙な音を出せるのに猿にはそれができないところに違いがあるのだよ」
私は彼が一息ついたところで聞いた。
「あなたはなぜ動物を人間に変えることを思いついたのですか?」
「わしは羊をラマに、ラマを羊に改造することもできたろう。しかし人間を造ること以上に芸術的なことがあろうか。実は人間以外のものを一度試みたのだが。一、二度……」
彼はしばらく物思いに耽(ふけ)っていた。
[
ウェルズも催眠術に注目していたようだな。
]
p276から
私は口をはさんだ。
「動物を虐待してよいものでしょうか? 生体解剖は治療に利用されるときだけ許されるべきだと思うのですが」
「そのとおり。しかしわしの考え方は他の人たちと違うのだ。君は物質主義者だろうが」
「私は物質主義者なんかではありません」
「いや、わしの目からみればほとんどの人間は物質主義者だ。物質主義者は苦痛を虐待と結びつけて考える。あるいは罪と結びつけて考える。そこに誤解があるのだ」
私は彼の詭弁に腹が立った。
「プレンディック、科学者にとって苦痛などというものは意味がない。苦痛なんてこの宇宙の塵の如き地球上で問題になるだけさ……。それにいったい苦痛とは何か真剣に考えたことはあるかね」
[
この箇所あたりは、倫理皆無科学者(マッドサイエンティスト)であることが分かる場面だ
]
「(略)
人間は知性的だからそれだけ危険を予防する能力も備わっており、痛みのような本能的防禦装置は必要としない。無用なものは遅かれ早かれ消滅するというのが進化の論理だ。
(略)
苦痛と快楽は天国とか地獄とは無関係なのさ。神学者の言う法悦なんて回教の楽園の美女と大差ない。苦痛も快楽も進化論によれば人間の中の動物性の名残にすぎない。
わしは研究の命ずるままに研究を続けてきた。
(略)
目の前の対象はもはや生き物ではなく課題であるということが。実験材料に同情して心をいためるなどということは、もう過去の思い出となってしまった。私は生物における可塑性の限界を極めたかったのだ」
「しかし」と私は言った「残酷な実験ですね」
「今日まで、わしは研究の倫理について頭を悩ませたことはない。自然を研究していると、自然と同じように冷淡になるものさ。わしらがこの島に来て十一年になる。わしらとはわしとモントゴメリと六人のカナカ原住民だ。最初のうちは失敗の連続だった。羊から手がけたが一匹目は執刀のミスで殺してしまったっけ。二匹目でやっと人間に近いものを完成したので包帯でぐるぐる巻いて治癒を待った。しかしそいつはもとの羊ほどの知恵もないしろものだったよ。臆病な動物は適当でないらしいので次にゴリラでやってみた。苦心惨憺、やっと動物人間第一号が完成した。大変だったのは頭脳の整形手術だった。
[
動物人間第一号は類人猿(ゴリラ)を改造して人間化させた改造人間。ダーウィンの進化論の影響だろうな。人工的に類人猿(霊長目ヒト上科に属するサル)を人間にできたら、進化論の科学的な証明になるだろうからだ。
人為的に、つまり強制的に人にするのと、進化は違うけどね
]
わしはゴリラ人間の教育には時間をかけた。まず英語の初歩、それから数の数え方というふうに教えこんでいった。彼の脳は白紙と同じだった。傷が癒ると(原文ママ)、会話も少しながらできるようになったので、わしは渓谷に住みついたカナカ原住民たちのところへ連れてゆき、密航者だといって紹介した。
カナカ原住民たちははじめゴリラ人間を恐れていたが、おとなしい性質だとわかると仲間に入れてくれ、教育も引き受けてくれた。やがてゴリラ人間はカナカ原住民よりも上手に小屋をつくるまでになった。わしは数日実験を休んでゴリラ人間について論文を書きあげ、英国の生理学会の迷妄を覚ますつもりでいた。ところがわしはたまたまゴリラ人間が木に登って、下にいる二人のカナカ原住民を罵っているところを目撃したのだ。彼はわしの理想とする動物人間にはほど遠かったのだ。英国へ連れ帰るにはもっと優れた動物人間を造る必要があった。どういうわけかゴリラ人間はもとのゴリラへ戻りつつあった。胸部の筋肉が再び異常にもりあがって、日ましに……。今度はピューマで実験することにしたのだ。
カナカ原住民は全員死んでしまったよ。ひとりはボートから海に落ちて、もうひとりは傷口が毒草に触れてね。ヨットで逃げた三人はおそらく溺死してしまったろう。残るもうひとりも殺された!」
(ここからp.280)
私は殺されたと聞いて不吉な予感がした。
「殺されたんですか!」
「実はわしは動物人間の他にあるものを造ったのだ。そいつが最後のカナカ原住民を殺してしまったのさ。そいつは手術がまだ完成しないうちに逃げ出したのだ。手足のない恐ろしい形相の生物で、蛇のように地面を這って進むのだ。もの凄い力を持ち、まるでイルカのように身体をくねらせて前進することもある。思い出しても恐ろしい奴だった。奴はジャングルに潜行して、生物を待ち伏せして襲った。わしらが捕獲に出かけると、奴は島の北部に逃げこんでしまった。わしらは二手に分かれて追いつけて行った。モントゴメリはわしと一緒に行動した。カナカ原住民はライフルを持っていた。しかし彼の死体が発見されたとき、ライフルの銃身は嚙み砕かれていた。そいつはモントゴメリが撃ち殺した。わしはあの事件以来、小さな動物を除いては人間だけを造ることにしたのだよ」
彼は溜息をついた。私は黙って彼の顔を見ていた。
[
蛇? レプティリアン(蛇人)かと思い、原文も確認。
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html
” “The fact is, after I had made a number of human creatures I made a Thing—” He hesitated.
“Yes?” said I.
“It was killed.”
“I don’t understand,” said I; “do you mean to say—”
“It killed the Kanaka—yes. It killed several other things that it caught. We chased it for a couple of days. It only got loose by accident—I never meant it to get away. It wasn’t finished. It was purely an experiment. It was a limbless thing, with a horrible face, that writhed along the ground in a serpentine fashion. It was immensely strong, and in infuriating pain. It lurked in the woods for some days, until we hunted it; and then it wriggled into the northern part of the island, and we divided the party to close in upon it. Montgomery insisted upon coming with me. The man had a rifle; and when his body was found, one of the barrels was curved into the shape of an S and very nearly bitten through. Montgomery shot the thing. After that I stuck to the ideal of humanity—except for little things.”
”
上記をDeepL和訳したものを私がさらに修正したのが以下:
『「事実、私は多くの人間の形の生物を作った後、”そいつ”を作ったんだ」彼はためらった。
「はい?」と私は言った。
「それは殺された」
「理解できない」と私は言った。「つまり……」
「それはカナカを殺した。他にも何匹か捕まえたものを殺した。私たちは2、3日それを追いかけた。たまたま逃げただけだ。逃がすつもりはなかった。あれは未完成だった。純粋に実験だったんだ。それは手足のない、恐ろしい顔をしたもので、蛇のように地面を這っていた。その力は絶大で、腹立たしいほどの痛みに苦しんでいた。私たちが狩りをするまで、それは何日も森の中に潜んでいた。その後、それは島の北部に蠢き出したので、私たちはパーティを分けてそれに迫った。モンゴメリーは私と一緒に行くと言い張った。その男はライフル銃を持っていたが、死体が発見されたとき、銃身の1つがS字型に曲がっていて、ほとんど噛み切られていた。モンゴメリはそれを撃ち殺した。それ以来、小さな動物を除いては、私は人間性の理想に忠実になった。』
serpentine:形や動きが蛇のような、蛇に似た。
蛇に似ているだけであるようだ。蛇属性ありだが蛇自体を改造したのではなさそうだ。
動物人間が何の動物が元なのかわかる箇所を、この記事で記しているのは、爬虫類人(レプティリアン)がいないか確かめるためだ。
本作には、爬虫類を改造したという意味での爬虫類人はいない。
が、蛇属性の動物人間はいる。蛇属性なら爬虫類人とみなせるので、爬虫類人(蛇属性。だが蛇を改造していないだろう)ならいる。
哺乳類しか改造しなかったのだろうな。
へー、蛇属性の動物人間(四肢無し)は登場するけど、爬虫類を直接改造した爬虫類人は登場しないんだ。意外だな。動物人間ではない存在として造ったってことは、最初から四肢が無かったのだろうな。最終的に四肢をつけて人型にする前に逃げ出したってことは無いだろうってことね。
改造手術が完了する前に脱走って初代仮面ライダーを想起させるな(笑) 元ネタの1つだな。
後に、手術完了前に脱走する動物人間が登場するよ。こちらは人型だろうから、モロに仮面ライダー1号の元ネタだな。
爬虫類人ってのは、人間を基礎に爬虫類の性質を合わせて強化された改造人間や、最初からホモ・サピエンスではない爬虫類系の人型生物のことだよ。場合によっては、ただのホモ・サピエンスであっても、爬虫類の属性持ちってだけで爬虫類人だとみなすよ。
それと、龍は爬虫類とみなすよ。
爬虫類「属性」だけでもそうみなすようにしないと、『仮面ライダー龍騎』みたいな仮面ライダーへの変身方法が武装型(肉体はホモ・サピエンスのまま)の作品に爬虫類人が登場しないことになるからだよ。
主人公が龍属性で、強敵が蛇属性で、明らかなケツ社系作品なのに、「本作に爬虫類人の仮面ライダーはいません」ってのはさすがにおかしいからね。
訳文にあるイルカは訳者が付け加えた表現だ。
]
「英国での九年の研究も数えると足かけ二十年になる。しかしまだすべての研究に必ず欠点があって不満だ。さらに努力しなくてはならない。予想以上のときと以下のときがある。しかしいつもわしが夢見る水準には届かないのだ。人間の形は簡単に造れるようになった。しなやかに、優雅にもできる。無骨で強くもできる。しかし手と指先が難しい。手間がかかって思うようには造れない。しかし最大の問題は脳の移植と再形成だ。予測できない空白や隙間ができて知能が低くなってしまう。どこか私の手の届かないところに脳の感情を司る部分があってうまくいかないのだ。欲望、本能、人間性を損う情欲、突然はじけて怒りや憎悪や恐怖で人間を包んでしまう不思議な貯水池のようなものだ。
よく観察すると君には不気味に見えるかもしれない(原文ママ。句点なし)私の作品は造った直後には紛れもない人間なのさ。しかししばらくして眺めると確信は揺らいでくる。次々と動物の特徴が表面に出てきて、私を睨むような気がする。しかし克服するつもりだ。私は動物を苦痛の実験にかけるたびに自分に向かって言っている。よし、今度こそ、動物性を消滅させて、理性的生き物を造るのだと。十年がどうだというのだ。人類はここまで来るのに十万年はかかっているのだ」
彼は暗い顔をして考え込んだ。
「しかし彼らは元に戻ってしまう。私の手を離れると動物性がいつのまにか戻ってくる……」
「それであなたは彼らをあの住処(すみか)に連れていくのですね?」
「いや、勝手に行ったのだ。彼らに獣性が認められるとわしはここを追い出す。やがて彼らはあそこに集まるようになった。彼らはわしたちとこの家を怖がっている。あそこには人間生活の真似事のようなものがある。モントゴメリが彼らを管轄しているのでよく知っている。彼は彼らのひとりふたりを私らの召使として訓練したのだ。彼は恥ずかしいと思っているらしいが、彼らのいく人かを好きらしい。わしは彼らを見ると自分の失敗を思い出して胸がむかつくんだ。わしは奴らに何の関心もない。奴らはカナカに来た伝道士(原文ママ)のおしえにしたがっているらしい……合理的生活の真似事のようなものがあるらしい。掟とやらがある。「すべて汝の」という讃美歌もな。住処を作り、果物を採取して、結婚もする。しかし私はすべてを見通す。彼らの魂を見ると、そこには滅ぶべき獣の心しか見えない。怒り、情欲、貪欲そんなものだけだ。しかし奇妙だ。彼らはすべての生物と同じように複雑だ。向上心というものが見られる。虚栄心、性欲、好奇心、そんなものから成り立っているのだが。彼らを見ると馬鹿にされたような気になる。しかしピューマには希望を持っている。頭部と頭脳に力を注いだのだから……」
[
じゃああの掟って博士が自分やモントゴメリが食い殺されないために作ったのではなさそうだな。
]
p283から
第十五章 動物人間
モントゴメリの部下ムリングのもつれたような声がした。
その日、ピューマの手術は完了したらしかったがモロー博士は姿を見せなかった。私はモントゴメリから動物人間たちの生活についていろいろ聞かされた。私が特に知りたかったのは、動物人間が博士たちを襲わない理由と彼らが共食いをしない理由だった。モントゴメリは次のように説明してくれた。
「博士と俺が安心していられるのはだね、彼らが低能で、物の考え方が限定されているおかげなんだよ。彼らは博士が植えつけたいくつかの固定観念に縛られているのさ。手術中に催眠術をかけられ、禁忌(タブー)を教えこまれたからね。しかし彼らの獣性が払拭されたわけではないので、掟を与えてそれから外れないように教育しているわけだ」
私は動物人間たちがこの掟を朗誦しているのを一度聞いていた。彼らはこの掟を厳格に守っているわけでもないらしいかった。博士とモントゴメリが特に気を遣っているのは彼らに血の味を覚えさせないということだった。彼らが一度血の味を覚えたらどんなことになるか、考えるだけでも身の毛がよだった。
モントゴメリの話ではネコ科の動物人間は夜になると掟を無視するという。動物性が強くなり、冒険心が目覚める。昼間は思いもかけないようなことをする。私が到着した晩に私のそばに忍び寄った豹人間はその例である。初期の頃は掟は秘かに夜だけ破られた。昼間はいろいろなタブーに対して遵守の精神があった。
[
ピューマは哺乳綱食肉目ネコ科ピューマ属。ネコ科。だから逃げ出したのかもね。
モントゴメリと書いているのでその通りに記しているのだが、Montgomery で調べるとモンゴメリーというtは発音しない読み方が出てくる。発音は「mən(t)gˈʌm(ə)ri 」なので、
モン(ト)ゴメリー。なのでモントゴメリでも間違いではないらしい。
]
p285から
ここで私は島の概略を書いておく。不規則な海岸線のこの島は周囲が七ないし八マイルの孤島である。(原注――これによるとこの島はノーブル島ではないかと思われる。)海底火山の噴火によってできたらしいが、今では三方を珊瑚礁に囲まれている。北のほうに火山の噴火口が残っている。その名残が温泉である。時々地震がある。噴煙が蒸気と共に噴き上がるのが見られる。島の人口はモントゴメリによればモローの作品だけでも六十人以上を数える。下草の中にいる人間になり損ねた小型の怪物は数えていない。
モローは全部で百二十人以上を造ったが、多くは死んだ。いつかの足のない化け物のように非業の死を遂げたものが多い。子孫が生まれても死亡率が高いそうだ。後天的な人間の特性は遺伝しないという。子供たちが生きのびたらモローは人間に改造する。女性は男性より数が少ないが、一夫一婦制にもかかわらず、女性はこっそり掟を犯す傾向があるらしい。
動物人間の特徴を詳細に説明することは容易ではない。また不幸なことに私はスケッチが苦手である。彼らに共通する顕著な特色は長い胴体に続く脚部が異常に短いことである。彼らは常に頭を前に傾けているが、これはおそらく背部が湾曲しているせいだろう。もちろん顔にも共通した点があった。突き出した下顎、尖った耳、巨大な突起物のような鼻、顔全体に生える毛などである。
猿男がクスクスと笑うのは例外だが、動物人間は笑うことができない。またモロー博士がいかに巧みに整形しようとも豹や牛や豚の原型をすべて隠しおおせるわけではなかった。声の質にはそれぞれ動物の特徴が残っていた。
最も醜く、見ただけで総毛だつのは豹人間とハイエナ男だった。身体がずばぬけて大きいのは牛人間で、ヨットに乗っていた三人がそうだった。それから掟の暗誦を指導している灰色の毛の動物人間がいたが、彼の原型が何であったかわからない。次に類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間、豚男と豚女、馬と犀の合成人間、猿男、熊と牛の合成人間、セント・バーナード人間などがいた。鼻をつまみたくなるような匂いの雌狐(めぎつね)人間もいたが、彼女は掟の熱烈な信奉者だと言われていた。
[
1国際マイル = 1760 ヤード = 1609.344 メートル。だいたい1.6km。
7マイルで11㎞ぐらい
]
p.287
モントゴメリと最も親しいムリングは他の動物人間と違ってモロー博士の家の裏手にある小屋に棲んでいた。この男の知能は低かったがモントゴメリの訓練のおかげで、食事の仕度の他に雑務を果たすことができた。
島に永くいるにつれて、人間とはそもそも何であるかということについての私の概念も変化してきたらしい。
(中略)
雌たちは自分たちの外見の見苦しさを本能的に気づくせいなのかどうかわからないが、結果として人間以上に身だしなみに気を遣っていた。
[そして直後に
第十六章 血の味
に続く。15章の「モントゴメリと最も親しいムリングは他の動物人間と違ってモロー博士の家の裏手にある小屋に棲んでいた 」あたりにあたる原文にはムリングが熊と犬と雄牛の合成生物であることが記述されているのだが、この訳文にはない。
意図的に訳者が省いたか、翻訳元の原文自体に省略があるかだろうな。なので岩波文庫版は、解説以外はお勧めできないな。
英語版ウィキに、本作に登場する動物人間の一覧があるので便利だ。何の動物が元かわかる場合は書いてくれているのでありがたい。
The Island of Doctor Moreau - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Island_of_Doctor_Moreau#Beast_Folk
15章の終わりかけの箇所↓
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://www.gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html#chap15
“M’ling, the black-faced man, Montgomery’s attendant, the first of the Beast Folk I had encountered, did not live with the others across the island, but in a small kennel at the back of the enclosure. The creature was scarcely so intelligent as the Ape-man, but far more docile, and the most human-looking of all the Beast Folk; and Montgomery had trained it to prepare food, and indeed to discharge all the trivial domestic offices that were required. It was a complex trophy of Moreau’s horrible skill,—a bear, tainted with dog and ox, and one of the most elaborately made of all his creatures.
”
私の和訳(最初はDeepLを使ったのだが、おかしな箇所が複数あるので結局、私が修正しないと使い物にならない):
モンゴメリの従者である黒い顔の男、ムリングは、私が出会った最初の動物人間(ビースト・フォーク)だったが、島の向こうの他の動物人間とは一緒に住んでいない。だが、ムリングは囲いの奥にある小さな犬小屋で暮らしていた。この生き物は猿男(Ape-man)ほど知能は高くない。だが、はるかに従順で、動物人間の中で最も人間らしい顔をしていた。モンゴメリはこの生き物を調教し、食事の支度をさせたり、実際に、必要な些細な家事全般をさせるようにした。ムリングはモローの恐ろしい技術の複雑な戦利品であり、犬と雄牛に汚染された熊であり、モロー博士が造った全ての生き物(クリーチャーズ)の中で最も精巧に作られたものの一つであった。
(訳文は終わり。ムリングは熊が主体であるようだ。犬と牛を混ぜるのが悪いことであるかのような表現だな。
oxは雄牛なのだが、通例は去勢された雄牛だ。が、彼[ムリング]は熊が主体なので去勢はされていないだろな)
]
第十六章 血の味
ものを書くことに慣れていないのでどうも脱線してしまったらしい。
モントゴメリが指さすほうを見ると草むらの中を小さな桃色の生物がぴょんぴょんと跳めていく。それはモロー博士が食肉用に造った生物だったが、産んだ子を食べてしまうのが欠点だということだった。偶然、一匹が倒れた木の根元の穴に飛び込んだ。私たちはそれを急いで捕まえた。それはネコのように唸り、後脚で跳ねたり、引っ掻いたりした。私は手を嚙まれたが、痛くはなかった。モントゴメリによれば、清潔好きな生物だそうで、普通の兎の代用として庭園で飼うのに適しているのではないかと思われた。
(
食用の新生物まで造っているモロー博士。嚙む力が弱くなるように改造したのかもね
)
p288から
しばらくして私たちはサチュロスと猿男に出遇った(原文ママ)。サチュロスはギリシャ神話の半獣半人にヒントを得てモロー博士が造ったものだった。表情や鳴き声は山羊にそっくりだった。四肢は悪魔のそれを思わせた。彼は莢(さや)のついた果実を食べていた。彼は私たちに気づくと敬礼した。
「鞭を持つ第二の人、コンニチハ」
モントゴメリは私を指さして、
「ここに鞭をもつ第三の人がいるぞ」
と言った。猿男が言った。
「このヒトはオレたちのナカマ」
サチュロスが珍しいものでも凝視(みつ)めるように私を見た。
「このヒトは泣きながら海に入った。キノウは血を出した」
[
先述の「類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間」と、
「四肢は悪魔のそれを思わせた」を合わせると、元ネタはサチュロスだけでなくバフォメットも元ネタなのだろうな。ウェルズは、少なくともレヴィのバフォメットは悪魔ではないことは知っていただろうけどね。レヴィのバフォメットの見た目は山羊と人間を含む合成生物だから、「類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間」にバフォメットの意味も込めていると判断した。
Satyr-Man(サテュロス男)については原文にもしっかりと、 "Satanic" と書かれているから、訳者が付加した箇所ではない。
先述の原文サイトより:
https://www.gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html#chap16
”It was after this, I think, that we met the Satyr and the Ape-man. The Satyr was a gleam of classical memory on the part of Moreau,—his face ovine in expression, like the coarser Hebrew type; his voice a harsh bleat, his nether extremities Satanic. He was gnawing the husk of a pod-like fruit as he passed us. Both of them saluted Montgomery.
”
私による、上記の一部の和訳(最初はDeepLを使ったのだが、私が修正しないと使い物にならない):
サテュロス男はモロー(博士)の古典的な記憶の輝きだった。サテュロス男の顔の表情は卵のようであり、ヘブライ人の粗野なタイプに似ている。サテュロス男の声は耳障りなメーって鳴き声であり、下肢は悪魔的だ。
和訳は以上。
extremitiesは「複数の先端」すなわち「四肢」。
netherは「下の」。よって下肢。岩波文庫の和訳の「四肢」は駄目でしょ。これだと上半身も「悪魔的」になってしまう。
そういえば、けものフレンズも元ネタの1つがモロー博士の島かもね
]
p289から
噴火口を見物した帰路、私たちは兎の死体を見つけた。
「肉食獣から造られた奴がかつての性質を取りもどしたのだろう。この骨は嚙みくだかれている」と私が言った。
モントゴメリは「けしからん」と言ったが、その顔は蒼ざめている。
「私は小川でじかに水を啜っている奴も見ましたよ」
「それは肉食獣の特徴だ。獲物を殺した後で水を飲む習性があるのだ。血の味を知ったな。これはまずい」
モロー博士の角笛が高らかに鳴った。
(動物人間らが集まってくる描写が登場)
最初に到着したのはサチュロスだった。その背後から藁を嚙みながら出てきたのは馬犀人間である。次には赫(あか)ら顔に赤い目の魔女のような狐女…彼らは私たちに近づくとモロー博士に向かってペコペコと頭を下げ、それぞれ勝手に掟の朗誦を始めた。
彼らはモローから三十ヤードのところに来ると、膝と肘をついてお辞儀をして、頭に白い土を振りかける。
(1ヤード=3フート=0.9144m。
10ヤードで9mぐらい。30ヤードで27mぐらい)
モローは数え続けていた。
「六十二、六十三」
「あと四人だ」
とモントゴメリが言った。
「豹人間がいない」
と私が言った。博士が再び角笛を吹くと、それを合図に彼らは腹這いになった。頭に硫黄の粉末をふりかける者もいる。何かの呪いだろうか。竹藪からこっそり豹人間が出てきた。彼の額には深い傷があった。
「掟の暗誦者はどこか?」
と博士が尋ねた。例の【灰色の毛】が地面に頭をこすりつけた。
(【 】は傍点の代役)
「掟を逃れる者はいない」
と【灰色の毛】が言った。
「犯人は誰か?」
と言いながら、博士は鞭を鳴らし、ひとりひとりの顔をながめわたした。ハイエナ男と豹人間は下を向いて身をすくめていた。
p.294から
「掟を破る者は苦しみの家に戻される」
モローに睨みつけられていた豹人間は立ち上がり、目を爛々と輝かせて牙を剝いた。彼はモローに飛びかかった。
狼人間が舌を垂らし、ハアハア喘ぎながら走る。豚人間たちがブーブー鳴きながらそれに続く。ハイエナ男は並んで走る私をときどき盗み見しながら走る。帽子をなくしたモロー博士は白髪を風になびかせて走っている。豹人間は四本足で疾駆している。
(主人公が豹人間の眉間に狙いを定めて撃った。豹人間は死亡)
モントゴメリは肉食獣の素性を持つ興奮した者たち、特にムリングを、まだひくひくと動いている死体から遠ざけるのに必死だった。【灰色の毛】が私の腕に抱かれた死体を嗅いでいた。
p298から
第十七章 破局
島へ来て一カ月半経った。私はモロー博士の研究と実験に対し嫌悪感以外何の感情も抱くことができなくなった。
私は日付を数えていなかったので正確には覚えていないが、島へ来て二カ月も経ったころ破局が訪れた。朝食後、私はモロー博士の家の前に立ち、煙草(タバコ)を吸いながら朝の爽やかな空気を愉(たの)しんでいた。そのうちモロー博士がやってきて「おはよう」と私に挨拶した。そのまま彼は実験室に入って行った。ピューマの苦しそうな悲鳴が聞こえてきたが、私は何とも思わなくなっていた。それはヒステリーを起こしている口喧しい女の金切り声に似ていた。
その時、何が起きたのか今もってわからないが、背後で鋭い叫び声がした。振り返ると恐ろしい形相の顔が私めがけて突進してきた。それは人間のとも動物のともつかぬ奇怪な顔で、地獄の使者のもののようだった。いちめんに赤い傷痕が走り、まぶたのない目がカッと見開かれていた。血のにじむ包帯で身体をぐるぐる巻きにされているこの怪物は、腕を上げて身をかばっていた私に一撃を加えてからジャングルのほうへ走って行った。私は浜辺に倒れた。腕の骨が折れたらしく激痛のためしばらく起き上がることもできなかった。モロー博士が拳銃を片手に現れた。額から滴る血のせいで彼の顔は凄味(すごみ)をおびていた。彼は倒れている私に一瞥を与えただけで、ピューマの後を追って行った。
ピューマはモロー博士を見ると速度を上げて茂みに向かって走った。たちまち距離ができた。ピューマが茂みに飛び込むのを見て、後を追っていたモロー博士は拳銃を射った(原文ママ)が弾は外れた。モロー博士も続いて茂みに飛び込んだ。
私は腕の痛みに堪えて(原文ママ)、よろよろと立ち上がった。モントゴメリが拳銃を片手に持って戸口に現れた。
「大変だ! プレンディック。奴が逃げた。鉄枷を壁から引き抜いたんだ」
彼は私が腕を押さえているのを見た。
[
手術完了前に脱走したピューマの動物人間。初代仮面ライダーの元ネタになったんだろうな。手術完了前と判断したのは、手術が完了していたら拘束は解くだろうからだ。
英語版ウィキの登場人物と動物人間一覧の箇所によると、「Half-Finished Puma-Woman」なので女性である。このピューマ人が、モロー博士が造った最後の改造動物人間だ
]
p301から
遠くの浜辺にちいさな灰色の動物人間が現れた。
モントゴメリは動揺しながらも鞭を鳴らした。二人の豚人間は飛びかかってきた。こんなことは初めてだった。モントゴメリはもう一匹の頭を撃った。もう一匹はムリングと取っ組み合いになった。ムリングは相手を組み敷いて喉を嚙んだ。モントゴメリは拳銃を放った。
ムリングを説得して彼は一緒に戻ってきた。途中ムリングは突然藪に飛び込んで、山猫人間を追い出した。そいつも血だらけで、足には傷を負っていた。モントゴメリは追いつめて打ち(原文ママ)殺した。
「どうなっているのだろう?」私が聞いた。
モントゴメリは首をひねってブランディに手を延ばした。
第十八章 モロー博士の死
「オレたちは見た」
と合掌するような声。懐かしい人にでも会ったようにモントゴメリが「やあ!」と言った。すると、どうだろう、数人の動物人間たちの顔が茂みの間からのぞいたのである。猿男、斑(まだら)の奴、【灰色の男】、馬犀人間などであった。
p306から
「ピューマはどうした」
と私が聞くと【灰色の毛】は答えた。
「血を出し鳴きながら駆けて行った。そして死んだ」
「それはよかった」
とモントゴメリが言った。彼は私の考えを察したのか続けて言った。
「主は死んではいない。この俺と同じように生きている」
すかさず私も言った。
「おまえたちのなかに掟を破った者がいる。彼らは死ぬ。いや殺されるだろう。さあ、博士の身体はどこだ。主は空に昇る前に身体をどこかへ置いていったはずだ」
[
本郷じゃなくて、ピューマ改造人間は脱走しても生き残れなかった
]
私たちはようやく島の西端にたどり着いた。ピューマの死体はすぐ見つかった。肩に銃弾が貫通した痕があった。ピューマから約二十ヤードほど離れたところにモロー博士は俯(うつぶ)せに倒れていた。片方の手首が咬みちぎられ、白髪は血溜りに浸っていた。ピューマの鉄枷で殴られたらしい頭蓋骨はめちゃくちゃだった。彼の拳銃はどこにも見当たらなかった。
私たちはモロー博士の亡骸を動物人間たちに担がせて家に帰った。私とモントゴメリはその亡骸を枯枝(原文ママ)の束の上に安置した。それから私たちは実験室に入り、博士が実験中だったすべての動物を殺したのだった。
[
1ヤード=3フート=0.9144m。
10ヤードで9mぐらい。20ヤードで18mぐらい
]
第十九章 モントゴメリの”公休日”
p309から
「おい、モントゴメリ、動物人間に酒なぞ飲ますなよ」
[
この後の悲劇はモントゴメリのせい。酒を飲ませたら理性を失うのは当然なのにな
]
彼は月光の青白く照らす浜辺へ出て行った。私は戸口に立ってモントゴメリと動物人間たちが酒をくみかわすのを見ていた。
モントゴメリの上に例の【灰色の毛】が馬乗りになっていた。近づいてみるとそいつは鉤爪でモントゴメリの喉をつかんだままの格好で死んでいた。近くに首を咬み切られたムリングの死体も転がっていた。
顔が脹(は)れあがったモントゴメリは虫の息だった。
「すまなかった。この愚かな世界ともおさらばだ。なんという……」
私は次の言葉を待った。しかし彼の頭はがくりと垂れた。
私は屈み込んで彼のシャツの隙間から手を入れた。死んでいた。
[
とんでもない勢いで死んでいく。名前がある主要キャラが主人公だけになってしまった。
]
p313から
第二十章 動物人間との生活
私は文字どおり片腕ひとつで彼らと運命をかけた対決をしなければならなかった。
振り返るとハイエナ男が立っていた。
[
ハイエナと豚の合成男 (Hyena-Swine)なんだけどな。ハイエナ豚男
]
狼女が振り向いた。
「食べ物を欲しい」(原文ママ)私は申し訳なさそうに言った。
「小屋の中にある」と牛男が眠たそうに言った。
p319から
第二十一章 退化
このようにして私はモロー博士の島の動物人間の仲間入りをした。
「ご主人のおっしゃるとおりにします」犬らしい本性を発揮して彼が答えた。
「しかしひとりだけすでに罪を犯しているものがいる。私がそいつを見つけて、かかれと合図をしたら飛びかかるのだ、いいか。よし向こうに集まっている連中の所にいこう(原文ママ)」
一瞬、戸口を出る犬人間の影で暗くなった。
「そうだ、そうだ」と犬人間が相槌を打った。
彼らはうろたえた。動物は獰猛でずるがしこい。しかし嘘をつけるのは人間だけだ。
[
確かに、動物人間が嘘をついた場面はなかったな
]
サチュロスが疑問を投げかけた。私が答えた。すると今度は斑(まだら)の動物が反対意見を言った。
セント・バーナードから造られた犬人間は私に忠実そのものだった。
例の桃色の生き物は特になついて、私のそばから離れなかった。猿男は自分の指も五本あるから私と同等だと考えたのか、私に途方もなく馬鹿げたことを話すのだった。彼は物の名を羅列することがすばらしい会話だと思い込んでいて、それを「偉大な思考」と呼んでいた。彼は意味もわからない私の言葉を丸暗記して他の者に聞かせることがよくあった。
私が可愛がっていた犬人間はいつの間にかセント・バーナード犬へと退化していった。だんだんに無口になり、全身に毛が生え、四本足で歩くようになった。
セント・バーナードが殺され、その死体をハイエナ男が咬んだり、引っ掻いたりしていたのである。私が近づくとハイエナ男は唸ったがその歯は血で真っ赤であった。それはすでに一匹のハイエナそのものであった。私は拳銃をかまえた。相手は怯むようすもみせず、毛を逆立てて、飛びかかってきた。しかしそれよりも一瞬早く私の拳銃が火を噴いて、ハイエナは苦悶の咆哮をあげて倒れた。
p.328から
獣たちのうち二匹は狼、残りは熊と牛の合の子のようだった。
その夜は岩礁と島の間に停泊し、翌朝、小川の流れ込んでいるところで空の小樽に水を詰めると次にたくさんの果物を集めた。最後の三発の弾で兎をしとめた。その間、私は獣たちの襲来を恐れて岩礁の内側に船を繋いでおいた。
第二十二章 孤独な男
夕方になって私は南西の穏やかな風を受けて船に乗り出した。
(以下、帰還後)
脇に逸れて教会に入ってみると、牧師の巫山戯(ふざけ)た説教はあの猿男の言葉と大差なく聞こえる。
[
ウェルズは牧師が嫌いなのかもな
]
私は都会と群衆から離れて、書物と明るい窓の光に包まれて静かに暮らしている。他人にはめったに会わないでささやかな家庭を楽しんでいる。読書と化学の実験に日々を費やし、夜は天文学に打ち込んでいる。
[ケツ社的にも物語的にも面白かった。謀議追及的にも重要なSF小説だ。
『モロー博士の島』の備忘録は以上だ]
『モロー博士の島』関連資料
読書メモ(怪奇系多め/ネタバレあり)
2013-12-11
H・G・ウエルズ『モロー博士の島』
http://serpentsea.blog.fc2.com/blog-entry-217.html
”
H・G・ウエルズ(Herbert George Wells)著, 橋本槙矩訳『モロー博士の島』("The Island of Dr. Moreau" 橋本槙矩, 鈴木万里訳『モロー博士の島 他九篇』岩波書店 1993 岩波文庫 所収)
超有名な作品。色々な翻訳で各社から出ているし、『獣人島』(1933)『ドクター・モローの島』(1977)『D.N.A./ドクター・モローの島』(1996)と、三度も映画化されている。最初の『獣人島』は見たことがないんだけど、『ドクター・モローの島』と『D.N.A./ドクター・モローの島』はしっかり見た。映画の出来はさて置き、獣人のメイクがなぁ……って印象だった。決して不出来なわけじゃないんだけど、なんかピンとこない。やっぱ『ハウリング』(1981)や『狼男アメリカン』(1981)みたいに、メリメリメリって変形しないと燃えられないのかもしれない。あと『ドクター・モリスの島/フィッシュマン』(1979)ってイタリアの亜流映画もあったけど、こっちは本家を凌ぐほどの良作だったように記憶している。
……そんな獣人が原作ではどんな風に描かれているのかというと、まずはごく簡単にストーリーから↓
漂流していた主人公「プレンディック」は、多くの動物を乗せた船に救助される。船の目的地は「名もない無人島」だという。その島に上陸した主人公は、希代のマッド・サイエンティスト「モロー博士」による、動物を人間に改造する実験を目の当たりにする。島には多くの「獣人」が人間社会をモデルに生活を営んでいたが、彼らの畏怖の対象としていたモロー博士の殺害をきっかけに、人間らしさを失い暴走をはじめる……。
古典中の古典の古典的なストーリーだが、この恐ろしい物語のD.N.A.は現在もなお様々な作品に受け継がれている。劇中、色々なタイプの獣人が登場するが、どれも生々しく奇怪で、「獣人」と聞いて連想される「体形はほぼ人間で頭部や体表が獣」(『ストライク・ザ・ブラッド』の「獣人」とか)という形態ではなく、より病的に怪物チックに描写されている。博士の角笛に呼ばれて島中の獣人が集まってくるシーンなんて、まさに地獄の魔物の群れって感じ。
シンプルな「馬→人間」という改造にとどまらず、「馬+犀→人間」なんて実験をしているあたりに、博士の狂いっぷりがよく表れていると思う。また博士は過去に「動物人間の他にあるものを造った」こともあるらしく、完成前に逃げ出したそいつ(本郷ライダーみたいだ)は「手足のない恐ろしい形相の生物で、蛇のように地面を這って進む」(p.280)という。なんだかものすごい怪物のようで、回想で語られるだけなのが惜しい。
この作品には寝る前にぼけーっと読んでいても分かるくらいはっきりと、進化論や文明論、科学研究をめぐる思想的な要素が散りばめられている。物語の最後でロンドンに戻ったプレンディックは、目にする人々がみな「いつかは退化して獣性を露にするのではないか」(p.330)という不安を抱いている。このあたりがどうやら主要テーマらしいのだけれど、そこはあまり注意を払わずに怪物がわらわら出てくるモンスター小説として読んだ。解説によるとこの作品が発表された当時、批評家たちはこの作品を一種の「ショッカー(扇情小説)」として批判したらしい。今となっては、え、ショッカーで悪いの? って感じだけど……。そういったジャンルのことはさて置き、一世紀以上前に書かれたとは思えないほど、色褪せない楽しさの詰まった作品だと思う。
” ※着色は引用者
(ショッカーって実際に書かれているのか確認したら書いてあった)
シーア兄貴(イラソのアレ来世触手と良呟きや記事の保管庫)2022/11/18~12/2。原ネ申。すず目イシス戸締り。デンノコ男。ジャンケッ卜。ハイパーインフレ-ショタ。魔術カード。昆虫型宇宙人の元ネタはBEM。時計じかけ●オレンジ。DS陰謀論は浅すぎる
Posted on 2022.11.25 Fri 23:21:08
http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-502.html
”(
https://twitter.com/kentaro666/status/1553888746856394752 と続き
”竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
舞台演出家で映画監督のピーター・ブルック死去。この人20世紀最大のオカルティストと言われるグルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」も作っているんだよな。
引用ツイート
シネフィルDVD
@cinefilDVD
·
7月3日
演劇界の巨人にして、『蝿の王』(83)など監督した映画もある演出家ピーター・ブルック、97歳で死去。
https://lemonde.fr/disparitions/article/2022/07/03/le-metteur-en-scene-britannique-peter-brook-est-mort_6133145_3382.html?fbclid=IwAR0CeCcAZZi6PUP9WCUfdTfmigTmeiyQxRYc7Pa7f9MYskUPbF60p_qr-rc
午前8:42 · 2022年8月1日
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グルジェフの自伝を映画化した「注目すべき人々との出会い」。ロシアと中東の二つの文明に挟まれたアルメニアに生まれたグルジェフは、西洋と中東の神秘主義を吸収した独自の神秘思想とワークと呼ばれる実践テクニックを編み出し、その普及活動に入る。
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午前8:50 · 2022年8月1日
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グルジェフの人生は謎に包まれており、各地の宗教者・神秘思想を求めて放浪の旅をしてチベットまで赴くが、ロシアのスパイだった説もある。私は明治時代に日本人として初めて鎖国をしていたチベットに潜入した仏教者・河口慧海の「チベット旅行記」を読んでいて、
午前8:54 · 2022年8月1日
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国王に取り入ったロシアのスパイ・ドルジェという怪しい人物がいるという記述を見て仰天したことがある。間違いなくグルジェフのことだろう。「注目すべき人々との出会い」は、冒険に明け暮れたグルジェフの前半生を描き、最後に独自のダンスで宇宙の神秘を現す中東の秘密教団と出会う場面で終わる。
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午前9:00 · 2022年8月1日
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ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
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午前9:11 · 2022年8月1日
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「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
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クラークが「幼年期の終わり」を書くにあたって「ベルゼバブ」に影響されたことは大いにあり得ると思った。ロシア亡命後、グルジェフは著作を通してヨーロッパの知識人にかなり影響を与えている。コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」ではグルジェフ思想の紹介にかなりページを割いているし。
午前9:19 · 2022年8月1日
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ピーター・ブルックも、たぶんアーサー・C・クラークもその一人ではないかと思う。
午前9:20 · 2022年8月1日
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別リンクになるのでここにリンクします。「グルジェフの残影」の著者である小森健太朗氏から「チベット王室に取り入ったロシア人スパイのドルジェフはグルジェフとは別人」だと言われました。ドルジェフの写真があって、グルジェフとは明らかに別人だそうです。
午前10:02 · 2022年8月1日
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ただ、ドルジェフが組織したチベット調査団の中にグルジェフも入っていたそうなので、ここからドルジェフとの混同が生まれたとのこと。紛らわしいですね。
午前10:02 · 2022年8月1日
·Twitter Web App
”
グルジェフ『ベルゼバブの孫への話』のベルゼバブが地球で言う悪魔とそっくりな姿で、地球人の進化を促すために地球に来たという設定。これがクラーク『地球幼年期の終わり』におけるオーバーロード(見た目が悪魔)の設定に採用されたのだろう。
「悪(魔)こそ救世主」思想(の流れの1つ)はグルジェフ→クラーク。
グノーシス主義の偽の劣悪神思想の影響もあるだろう。
上記を書いてから以下を書いたというかコピペした。
なかだち⛰️ネット難民📡
@madaraiguana
昆虫型宇宙人の元ネタグルジェフだったでござるの巻き。
↓
午後7:55 · 2022年11月23日
·Twitter for Android
[「悪こそ救世主」の元ネタの1つだろうけど、昆虫型の根拠ではなさそう。
昆虫型の元ネタはエイリアンのデザインで昆虫型があったのを取り入れたのだろう。前になかだちさんがRTしてたやつね]
なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
·Twitter for iPhone
なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
画像
午前9:11 · 2022年8月1日
·Twitter for iPhone
なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
小野 満麿
@onomaro
■4■グルジェフが欧米に紹介したスーフィズムは「ナクシュバンディー教団」の教えの一部であり、その教義は用語に違いがあるだけで、ブラバッキーやアリス・ベイリーの教義と本質・定式化・組織化手法などはみな同じである。ブラバッキーの教義もスーフィズムも、共に「東方神智学」と呼ばれている。
午後3:26 · 2014年2月25日
·Twitter Web Client
[なかだちさんがRTしていないので、昆虫型宇宙人の元ネタ紹介を見つけた。
https://twitter.com/jyunsuiisiki/status/1560641280861884417
”001 (am001)薄い月明かり
@jyunsuiisiki
BUG EYED MONSTERS
=BEM
妖怪人間ベムのBEMのモデルとも言われています。
昆虫型エイリアン
画像
午後11:54 · 2022年8月19日
·Twitter for Android”
(上記の続き)
https://twitter.com/jyunsuiisiki/status/1560887620221423618
”001 (am001)薄い月明かり
@jyunsuiisiki
ベム(BEM)は、bug-eyed monsterの略語で、初期のサイエンス・フィクションに登場する宇宙人あるいは宇宙怪物の総称である。
BEMは直訳すれば「昆虫の目玉を持った怪物」であり、その名の通り、昆虫の複眼のような目や、飛び出した目を備えたグロテスクな怪物として描かれる。
ベムーWikipedia
画像
午後4:13 · 2022年8月20日
·Twitter for Android”
以上をまとめなおす。
グルジェフ『ベルゼバブの孫への話』のベルゼバブが地球でいう悪魔とそっくりな姿で、地球人の進化を促すために地球に来たという設定。これがクラーク『幼年期の終わり』(1952年に刊行)におけるオーバーロード(見た目が悪魔)の設定に採用されたのだろう。
「悪(魔)こそ[霊性]進化を促す善なる存在、または救世主」思想(の流れの1つ)はグルジェフ→クラーク。
グノーシス主義の偽の劣悪神思想の影響もあるだろう。
昆虫超人の元ネタはエイリアンのデザインで昆虫型があったのを取り入れたのだろう。
BEM=bug-eyed monster=昆虫の目を持つ怪物(うちゅうじん)。
上記のグルジェフとクラーク思想と合わせて仮面ラ亻ダ―。
仮面ラ亻ダ―は昆虫型宇宙人教の子孫。私が考察した通りだ(BEMを知るより前。
ご支援用⑨(無料公開は危険な『税リブ』考察)
https://yomenainickname.booth.pm/items/4054454
における、『初代仮面ラ亻ダ-』の特撮と漫画版の第1話と昆虫超人、
『税リブ』が元ネタの『食量人類』と昆虫型宇宙人の個所で扱った)。
しかも、上記のウィキであろう画像ではBEMは
「20世紀前半に粗製濫造されたスペースオペラ作品においてはしばしば敵役として登場する。その類型は、主人公たるヒーローに襲いかかり、ヒロインを拉致しては裸に剥く、いかにも非人道的な、あまり知性の見られない怪物というものである。ベムの呼称は、類人猿やトカゲなど地球に見られる動物に昆虫の複眼をくっつけた、安直なアイデアによる造形から来ている。」
悪役なのでますます仮免ラ亻ダ―だ。トカゲはレプティリアン教の影響だろう。
https://twitter.com/SENGPIE/status/734793628120285184
”𝑺𝑬𝑵𝑮𝑷𝑰𝑬(先輩)@COMITIA/G45b
@SENGPIE
これが幼年期の終わりのオーバーロード
こんな見た目やけどSF小説に出てくる、
地球よりずっと高度な文明を持った宇宙人
地球で言う「悪魔」のような見た目をしておるけど
とても思慮深く人類を次の段階へ進化させようとする存在やねんで
画像
午前2:10 · 2016年5月24日
·Twitter Web Client”
” ※着色は引用者
https://x.com/toyo_ue/status/1595259713746522112
”上田豊太
@toyo_ue
大元はウェルズの「モロー博士の島」だと思うんだけど(村山槐多の「悪魔の舌」もある)、乱歩の「人間豹」や横溝の「怪獣男爵」「獣人魔島」は、「仮面ライダー」などに先行する獣人タイプの怪人小説として、特記する必要がある。
#江戸川乱歩
#横溝正史
#仮面ライダー
#hgウェルズ
#ミステリ
#ホラー
画像
午後0:35 · 2022年11月23日”
https://x.com/uxskf/status/1720339225030308332
”ワクワクさん
@uxskf
https://youtu.be/ArV2BAsvg-8?si=z7XRa_WKY03esI3G
そういや仮面乗り手を私は1話から少し見たけど思ったよりもモロモロー博士で笑った
昔見たことはあってほぼ忘れてたけど今見ると面白いですね
youtube.com
仮面ライダー 第01話[公式]
昭和・平成・令和…時代とともに歩んできた仮面ライダーシリーズの歴史、ここに在り!仮面ライダーシリーズ第1~2話を無料配信!仮面ライダーの歴史を紐解けば、どの世代にとっても共感できるテーマが必ずあるはず。ぜひこの機会をお見逃しなく。ご家族揃ってお楽しみください!仮面ライダー 第1話「怪奇蜘蛛男」若き科学者で天才レー...
午後4:16 · 2023年11月3日
·
5,132
件の表示”
仮面ライダーX 第01話[公式]
https://www.youtube.com/watch?v=MppXLOpw5Z4
”2023/11/08に公開済み #昭和仮面ライダー #東映特撮 #石ノ森章太郎
仮面ライダーX 第1話「X.X.Xライダー誕生!!」
日本消滅を図る謎の組織・GODの手によって瀕死の重傷を負わされた大学生・神敬介は、父である海洋科学者・神啓太郎博士が命と引き換えに行った改造手術により、深海開発用改造人間(カイゾーグ)として蘇る。神敬介は父の命を奪い、日本殲滅を企むGODに仮面ライダーXとして敢然と立ち向かう。
”
(私が今度、V3が終わったからXの第1話を公式がようつべ配信する内容の呟きをRTした後:)
https://twitter.com/uxskf/status/1721491581180756387
”ワクワクさん
@uxskf
xのあらすじザッと見たけどまたモロモロー博士っぽい
島で不気味そうな研究してる博士w
まぁそもそも改造人間というのがアレだけど
午後8:35 · 2023年11月6日·436 件の表示
”
(この「モロモロー博士」って表現の響きが好き笑
モロにモロー博士って意味だよ。
仮面ガブはモロー博士への原点回帰でもある)
https://x.com/uxskf/status/1809555573626867818
”ワクワクさん
@uxskf
仮面ライダーって初期はどことなく赤の匂いがするんだよなぁ
ショッカー=ナチスかつモロー博士なのは見てれば分かるけど
とは言え石ノ森は青らしいからやっぱ赤に育てられた後に転向したんだろうか
午後8:50 · 2024年7月6日·1,040 件の表示”
https://x.com/uxskf/status/1722331166567780698
”ワクワクさん
@uxskf
http://toei.co.jp/tv/amazons/story/1207969_2582.html
仮面ライダーアマゾンズとかだと普通に裏テーマとかで言っとるんだね
野性テイストって、何の味がするんでしょう? 「野性」と「野生」は何がちがう?
企画時のそんな話から、生き物としてのアマゾン、という、ひそかな裏テーマが浮上しました。
toei.co.jpから
午前4:12 · 2023年11月9日·4,009 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1722331404774879285
”『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに『モロー博士の島』という小説があります。野生動物を改造して人間にというお話。改造人間みたいなコンセプトが仮面ライダー等でおなじみになる何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが改造の先輩だったりするのかも。
午前4:13 · 2023年11月9日·3,126 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1720339225030308332
”ワクワクさん
@uxskf
https://youtu.be/ArV2BAsvg-8?si=z7XRa_WKY03esI3G
そういや仮面乗り手を私は1話から少し見たけど思ったよりもモロモロー博士で笑った
昔見たことはあってほぼ忘れてたけど今見ると面白いですね
youtube.com
仮面ライダー 第01話[公式]
昭和・平成・令和…時代とともに歩んできた仮面ライダーシリーズの歴史、ここに在り!仮面ライダーシリーズ第1~2話を無料配信!仮面ライダーの歴史を紐解けば、どの世代にとっても共感できるテーマが必ずあるはず。ぜひこの機会をお見逃しなく。ご家族揃ってお楽しみください!仮面ライダー 第1話「怪奇蜘蛛男」若き科学者で天才レー...
午後4:16 · 2023年11月3日
·
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”
https://x.com/EpisodeNeo/status/1771539731035140319
”Deep Forest
@EpisodeNeo
映画も良いよ、ドクター・モローの島。
引用
ワクワクさん
@uxskf
·
2023年11月9日
返信先: @uxskfさん
『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに『モロー博士の島』という小説があります。野生動物を改造して人間にというお話。改造人間みたいなコンセプトが仮面ライダー等でおなじみになる何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが改造の先輩だったりするのかも。
さらに表示
午後11:09 · 2024年3月23日·1,891 件の表示
”
(上記のリンク先はリンク切れ。
保存しておいてよかったよ↓
上記のリンク先:
仮面ライダーアマゾンズ Episode7 GAME OF THE BUTCHERS | 東映[テレビ]
https://www.toei.co.jp/tv/amazons/story/1207969_2582.html
”アマゾンライダーの特徴といえば、野性味。
野性テイストって、何の味がするんでしょう? 「野性」と「野生」は何がちがう?
企画時のそんな話から、生き物としてのアマゾン、という、ひそかな裏テーマが浮上しました。
『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに、『モロー博士の島』という小説があります。
野生動物を改造して人間に……というお話。
改造人間みたいなコンセプトが、仮面ライダー等でおなじみになる、何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが、改造の先輩だったりするのかも。
てことで、アマゾンさんたちの生態もひとつの軸。
幼虫→サナギ→成虫と華麗に変態した、Episode 6 の蝶さんも目を引きましたが、今度の敵・モズさんも本能覚醒・野性解放!
オトナの事情的に、メジャーどころの動物さんが出てきづらい敵アマゾンさん。貴重な鳥類です。
1・2話以来の石田演出カムバック、悠(はるか)×仁の対決、ゆげっちこと弓削智久さんの出演と、お盆も盛りだくさんな Episode 7。ぜひ敵さんにもご注目!
(文責・白倉伸一郎)
” ※着色は引用者
白い倉だ! この人がわざわざ言及しているってことは初代もモロー博士の島が元ネタだと考えているんだろうな。
公式がマジで言っている。少なくとも尼ゾンズはモロー博士が元ネタで確定だろう。尼ゾンズのショッカー枠は製薬会社。
主人公の1人(緑のキリスト)は、尼ゾン細胞に人間の遺伝子を組み込んで生まれたからもろモロー博士が元ネタだろう。モロー博士は非人間を人間化させていたからだ。
)
https://x.com/kakure_365_elvo/status/1722507739291889879
”見lvo
@kakure_365_elvo
アマゾンズ面白いですよ
マックを食べて凌いでたモグラのフレンズが、空腹でうっかりハンバーグを食べて人の味を覚えちゃったり
ウォーターサーバーにアマゾン細胞が混ぜられてて、気付かずに飲んだら人間じゃ無くなったり
どっかで聞いたような話満載です🍖
午後3:53 · 2023年11月9日
·
779
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”
https://x.com/uncle_dagon/status/1704977231146278929
”朝松健ニュース
@uncle_dagon
「獣人島」はご覧になりましたか?ドクター・モローの最初の映画化です。チャールズ・ロートンのモロー博士が太って怪しげで良い味を出してます。獣人たちもカーニバルのフリークス芸人をメイクされた俳優に混ぜてて不気味でhorrorしてますよ。
さらに表示
午前6:53 · 2023年9月22日·44 件の表示
”
(へー、この人がウェルズ原作の映画をお勧めしているんだ(笑))
仮面ライダーガヴ 第14話[公式]
https://www.youtube.com/watch?v=s_0QF5GBxmI
"2024/12/08 #ガヴ #令和仮面ライダー #見逃し配信
DX変身ベルトガヴ大ヒット&DXガヴホイッピア発売記念!
ガヴが初めて仮面ライダーガヴ ケーキングフォームに変身した第14話「奇跡の覚醒!ケーキング」を2024年12月31日(火)23:59まで期間限定無料配信!
"
[
王冠を描いたのも母親だと確定。
ケーキングフォームのゴチゾウの形がいちごのショートケーキが元ネタなので△一つ目の変形だな。
△一つ目の力はそりゃ強いよな(笑) 王冠を強調しているのは、キング(強い)かつキングの王冠(ケテル)だろうな。
生贄(ゴチゾウ)を食べないと変身できない、王の形態。
他の形態でも変身に必要なのが生贄。
双子の内、女性の方だけを撃破。男性の方は生存。両性具有属性持ちの方が生き残った。
]
そめちめ🍑サブアカ
@Sametime1209
ニエルブと酸賀とデンテで闇の改造手術博士が3人もいるの、確かにすごい状況
午前9:34 · 2024年12月8日·1,640 件の表示
(今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』への原点回帰。モロー博士が3人もいる(笑) その内2人は非人間を改造するからモロモロー博士。)
https://x.com/latina_sama/status/1863183687510278625
”なたねさんがリポスト
ラテン語さん 2025年1月『座右のラテン語』『ラテン語でわかる英単語』発売
@latina_sama
「キリスト」は古代のギリシャ語で「聖油を注がれた者 (khrīstós)」という意味です。khrīstósは「聖油を注ぐ」という意味の動詞khríōの派生語で、他にもkhríōの派生語には英語creamの語源になっているkhrîsma「塗られた物」があります。
つまり、「キリスト」と「クリーム」は同じ語源に遡れるのです。
画像
午後8:29 · 2024年12月1日·6.8万 件の表示”
[
仮面ガヴのクリームを使う形態(ケーキングフォーム)にキリストの意味を込めているかもしれないってことだな
]
https://x.com/yomooog/status/1868084643985256612
”ジスロマック
@yomooog
仮面ライダー2に対してマッドサイエンティスト3、冷静に考えたらマッドサイエンティストの過剰供給だ
午前9:04 · 2024年12月15日·1.6万 件の表示”
(動物人間[人以外を改造]限定のライダーだと1人のみ。
人以外を改造したのは2人。モロー博士の方が多いな(笑)
名前は諸田みたいな名前ではないよ。諸田みたいなモロがつく名前なら爆笑してたと思う(笑)
実際は、酸賀研造[すが・けんぞう。人間]、
ニエルブ・ストマック[非人間]、
デンテ・ストマック[非人間]の、
魔ッドサイエンティ酢トマック三人衆だ!)
https://x.com/kawa_batayoshi/status/1868084074939846900
”カワバタヨシヒロ
@kawa_batayoshi
マッドサイエンティスト枠が3人いることが確定した仮面ライダーガヴ
マッドサイエンティストが仮面ライダーより多いのなんなんだよ!
さらに表示
午前9:02 · 2024年12月15日·9.2万 件の表示
”
https://x.com/waki_siri_suki/status/1865596977481908265
”こくり子
@waki_siri_suki
デンテ→人間とグラニュートのハーフを改造及び人間をスパイスにする技術の開発
ニエルブ→グラニュートを強化
酸賀→人間にグラニュート器官を移植
人体改造と一言に言ってもなぜか三者三様で差別化できているのなんなんだよ
午後0:19 · 2024年12月8日
·
222
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”
(グラニュートは『ガヴ』の怪人枠。グラニュー糖)
エピオルニス島
Aepyornis Island (1894)
(『イーピヨルスの島』『怪鳥イーピヨルニスの島』『怪鳥エピオルニス』など邦題が複数ある)
特に無し。
『蛾』
The Moth (1895)
特に無し。
『紫色のキノコ』(その他の邦題『赤むらさきのキノコ』)
The Purple Pileus (1896)
p48から
運命が、森に通じる小道に悪臭を放つキノコを植えつけていたのだ。
紫色のキノコが彼の目を捉えたのは、溺死を思い描いている時のことであった。
このキノコは本当に素晴らしいとクームズ氏は思った。父親がかつて言ったところによれば、このキノコは猛毒だそうだ。猛毒!
思い切った決心をするとしたら、今以上の好機はない。この場で死んでも構わないとクームズ氏は思った。彼は少し、本当に少し食べてみた。
脈が速くなった。耳の中では血液が水車のような轟音をたてた。「もうちょっと食べてみよう」クームズ氏は言った。周りを見回すと足元がふらついた。
今ではもう気持が沈んではいなかった――晴れやかで快活な気分だった。喉が燃えるようだった。
p54から
(クームズ氏の)
顔は蒼白、目は大きく見開いて不自然なほど輝き、青ざめた唇は引きつって陰気な笑いをたたえていた。「楽しくやろう」彼は言った。
(家で暴れ回る描写がある)
五年の歳月が流れた。
想像もつかんだろうが、家内はひどい浪費家で、いつも私につらく当たっていた。私も少々甘くて、優しくしすぎたんだ。そんなわけで、あいつは何でも自分中心に動いていると思い込んだのさ。
もしあの午後がなかったら、私は今頃、重い足取りで歩き、家内は不平を言い続け、家内の実家は私が貧乏暮らしをさせていると文句を言っているところだろうよ――奴らのやり口はわかっている。
「女は断固たる態度を望むものなのさ」クームズ氏が言った。
「このあたりにはなんてたくさんキノコが生えているんだろう」まもなくトムが言った。
「一体、何の役に立っているんだろうか」
クームズ氏は目をやって、こう言った。「きっと何か深遠な意図があってこの世に遣わされているんだろうよ」
この愚かな小男を逆上させて決定的な行動をとらせ、その結果、彼の人生を一変させてくれたことに対して、紫色のキノコが受けた感謝とは、結局この程度のものだったのである。
(毒キノコで異常な状態になり、主人公の問題が解決する話(笑) ケツ社ってキノコが好きっぽいんだよな)
『パイクラフトの真実』
(他の邦題は『パイクラフトの真相』『パイクラフトの話』)
The Truth About Pyecraft (1903)
p64から
可哀想なパイクラフト! ぶよぶよとして大きな図体。ロンドンで一番肥ったクラブ会員。
(語り手↓)
私は確かにスマートだ。痩せていると言えるかもしれない。肌はかなり黒い。私はヒンズー教徒の曾祖母を持つことを恥じてはいない。
(
インド大好き思想と有色容認思想に影響された設定だろうな。
インド属性の怪しいお薬でお悩み解決の話なので、
「インド=なんだか怪しい神秘的な何か」って通念があったのかもな
)
「是が非でも体重を減らしたい」パイクラフトは丸々として頬から息を吐き出しながら「なんとしても」とつけ加えた。
ある日彼は本題を持ち出した。「西洋の薬剤処方は決して完璧な医学ではない。私の聞くところによれば、東洋では……」
「いいか。一体誰が私の曾祖母の処方について君に教えたのだ?」
私の家系は代々、インドの官吏であったのでヒンズー語の知識を伝えていたが、私にはそのいくつかはまったく解読不能であった。
私の理解するかぎりこれは減量の処方だ。
(要は、パイクラフトが薬で自身の体重を軽くする話だ。体重が軽くなるどころか、ゼロになり、浮いてしまうほどだ)
p76から
「体重がなくなった。ほとんどゼロだ」
「薬膳を摂った」
「鉛の下着にすればいい」
鉛底の靴を履き、鉛のバッグを持て。
(これで解決した)
『ブラウンローの新聞』
(その他の邦題が『未来新聞』)
The Queer Story of Brownlow's Newspaper (1932)
(1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』。
赤組の予定表じゃん(笑))
(本記事の岩波文庫版だと「ロー」がlowでなくlaw表記なので、
The Queer Story of Brownlaw's Newspaperになっているが誤り)
p.86
「未来やアインシュタインやJ・W・ダン〔英国初の戦闘機を制作した軍人〕が話題に出たかい? 真面目な話題が?」と私はギフォードに聞いた。
(アインシュタイン登場)
p89から
それは見るからに普通の新聞とは異なっていた。しかし新聞であることは間違いなかった。それまでの存在に気がつかなかったのが不思議だった。淡い緑の包み紙に入っていたが、スタンプは押されていなかった。したがって郵便として配達されたのではないらしい。(包み紙は残っていて、私も見たことがある。)彼は包み紙を破ってしまった後で自分が宛名人でないことに気がついた。
しばらく彼は住所を見ていた。少し変だ。変わった活字である。『ミスタ―・エヴァン・オハラ・サセックス・コート四九』。名前が違う。住所は正しい。変だ。サセックス・コート四九。彼の『イヴニング・スタンダード』はこの人のほうに配達されてしまったのか。交換なら窃盗罪にはならない。
それは『イヴニング・スタンダード』であった。いや、正確には『イーヴン・スタンダード』であった。「馬鹿な! アイルランドの新聞じゃないか。あいつらときたら正しい綴りも書けないんだ……」
緑の包み紙、緑のインク〔緑はアイルランドを象徴する色である〕を見て、ブラウンローはふとそれがダブリンの宝籤(たからくじ)の宣伝紙ではないかと思った。
ともあれ読んでみた。第一面を眺めた。全段抜きの見出しがある。『ウイルトンのボーリング、七マイルに到達。成功確実』
「油田のことに違いない。文字を知らないやつらめ。成功(サクセス)のSを落とすなんて!」
(
アイルランドを馬鹿にしすぎだろ。当時はこういう露骨なアイルランド差別があったんだろうな
)
記事は石油のことではなかった。石油より珍しい物についてであることが次第に分かってきた。それは本物の夕刊紙であるが、一読したかぎりでは別世界の出来事を扱っていた。
手にしているものは疑いもなく印刷された新聞だ。活字が少しおかしい。普通の新聞紙とは感触が違う。しかし新聞であることは間違いない。三段か四段組であった……どうしても正確なところは思い出せない……。大見出しの下には段ごとに小見出しがついている。一つの段の下にはアール・ヌーヴォー風の挿絵がある。とてつもなく大きな帽子を被った女が描かれている。広告だろうか。左手の上部には明らかに西ヨーロッパのものとわかる天気図がある。カラーの等圧線、等温線などと一緒に『明日の天気』と書かれている。
彼は次に日付を見た。一九七一年十一月十日だ!
卓上カレンダーは今日が一九三一年十一月十日であることを証明している。
[
本作は 1932年の作品。
1971年11月10日の未来の新聞。
1931年11月10日が作中の時間。
ちょうど40年後だな。
赤組の重鎮の作品なのでケツ社の予定表が一部に含まれているだろうから、詳しく記すことことにする。
ちょうど40年後なのはケツ社が好む数字だからだろう。
それと、少なくとも40年後ぐらいまではすでにケツ社の計画が出来上がっていたのもあるだろうな。
カトリック河原町教会 - カトリックまめ知識~聖書における「数」のはなし~
http://catholickawaramachi.kyoto/000800-201506.shtml
”◆「1」
「1」は、唯一の神を指します。また、すべてのものは1つであり、一致を表しています。
◆「3」
「3」は、三位一体の神、神の世界を表しています。イエスは荒れ野で3回誘惑を受けられました。また、十字架で亡くなられた後、墓の中におられたのも3日間です。
◆「4」
「4」は、自然、神が造られた全世界を表す数とされています。四季、四方、四大元素などの自然があります。また、4福音書は世界の四方にイエスの福音を伝える書であり、救いのシンボルとなっています。
◆「6」
「6」は、完成を意味している「7」に1つ足りないので、不完全を表します。あまりよい数とはされていません。ヨハネ黙示録に獣の数字え666が出てきますが、これはキリスト教徒の敵を指していると言われています。
◆「7」
「7」は、聖書の中で最も大切な数で、完成、完全を意味しています。3は神の世界、4は自然を意味していますので、神の世界と自然の世界を合わせた完成が7ということです。7日目に神は天地創造の仕事を完成され、第7の日を祝福し、聖別され、1週間が7日となりました。聖書には7つのパン、7つの賜物など数多くの「7」という数字が出てきます。また秘蹟の数も7つです。
◆「8」
「8」は、新しいスタートを意味します。
洪水によって人類を滅ぼした神はノアを含む8人だけを助けて新しい人類を始めました。
また、ダビデ王は8人目の末っ子です。
主は週の初めの日、すなわち8日目の朝に復活され、その日こそが新しい時代の始まりとなりました。
◆「12」
「12」は、7と同じくらい重要な数です。ヤコブの12人の息子がイスラエルの12部族の祖となりました。
1年が12か月である、毎月神殿に奉仕する祭司も12グループに分けられていました。
イエスは12人を選び12使徒としました。
ヨハネの黙示録には新しいイスラエルを12の数で表しています。
◆「40」
「40」は、聖書の中であ一世代を表す数です。また、苦難、試練期間を表すとも言われています。
出エジプトの後の約40年間、シナイ半島を放浪したイスラエルの民は、たびたび神に背いたので、誰一人として約束されたカナンの地に入れませんでした。40年間は1つの世代が交代する期間だったのです。
ノアの洪水は40日間続き、モーセは40日間シナイ山上に留まり、イエスの荒れ野での断食は40日間でした。ですから40日間の四旬節があるのです。
2015年6月
” ※着色は引用者
]
(未来の新聞の詳細が語られていく)
p92から
あらゆる種類の色彩が使われていた。突然、イラストが目に飛び込んできた。現実の色そのものだ。このようなカラー・プリントは今まで見たこともない。写真の中の建物、風景、人々の服装、すべてが奇妙だ。しかし信じざるをえない。四十年後の現実のカラー写真である。他のものは信じることができなかったが、この写真だけは疑うわけにはいかなかった。
[
実は、カラー写真は本作が発表された頃よりも前に可能になっている。だが、「現実の色そのもの」ではなかっただろうな。
カラー写真技法伝−前編:フィルム以前(1839〜1930)
https://kashacamera.com/history/color-photography-technique-before-film/
”色再現の原理
年代:1861
人物:マクスウェル
キーワード:三原色
写真術が発明されてまもないころは、色を写真でどう記録するか、原理的にわかられていませんでした。ニュートンの時代は太陽の「白い」光を各色の光に分解できることまではわかりましたが、任意の色をどう生成するかはまだ知られていませんでした。
トマス・ヤングの研究結果を受け、1855年から、ジェームズ・クラーク・マクスウェル(マクスウェルの方程式を提出した人)が任意の色は三元色、赤、青、緑によって合成されることを提唱しました。色盲に対する研究から、「人間の目には3種類の特定波長(つまり、色)に敏感な視細胞が存在する」ことを支持する結果が得られました。さらに、三原色の加法混色の実験も行った上、三原色を波長と紐づいた厳密な定義を考案しました。
理論の土台ができたので、マクスウェルはさらなる挑戦に挑みました。1861年、イギリス王立学会を前に、マクスウェルは世界最初のカラー写真を披露します。
” ※着色は引用者
]
これは人をかつぐ冗談ではないと思い始めた。
現在の技術では、今手にしているような新聞を生み出すことは不可能だ。
p95から
私には七マイルに達したウイルトンのボーリングについての見出しが一番重要な記事に思えた。そのことについてはかなりよく理解できた。ブラウンローの言うには地熱を汲み出す試行掘削(原文ママ)らしい。私はいろいろと質問した。彼は笑って手をつきだし指をもぞもぞさせながら答えた。
「説明によれば、昔の方法は数百フィート掘って石炭を取り出すだけだった。もう少し深く掘削すると石炭ではなくそのまま地熱を取り出せるというのだ。自然の蒸気の圧力で地熱が吹き出て来るらしい。簡単なことなんだ。
彼らはそのことで大騒ぎしている。全段抜きの見出しだけじゃない。大きな活字の社説があった。どんな見出しだったっけな? そうだ。内燃エンジン時代の終焉というタイトルだった」
それはまさに人類にとっての大事件が1971年11月10日に起きていることを示している。
[
内燃エンジン。内燃機関は internal combustion engineの訳語。
内燃: 重油やガソリンなどを気筒(シリンダー)の「内」部で爆発「燃」焼させること。
内燃機関は、内燃で得た熱エネルギーを機械的エネルギーに変える装置。
(確かに内燃機関が無くなるなら大事件だな。今現在もよく使われているからね。
車や航空機や船などに内燃機関が使われている。
ケツ社の予定では、内燃機関ではない、新たなエネルギー変換装置が完成する予定だったのだろうな。内燃機関の時代が終焉するほどのものをね)
]
その記事の扱い方を見るとその時代の世界は今日より経済問題にこころを砕いているようだった。スケールの大きい、大胆な試みが経済問題に見られる。
ブラウンローが明確にしたところでは、地熱利用は実利的経済知識の増大を示しているだけではない。現代の新聞より、科学研究、発明に多くのスペースが与えられている。図表や数式がたくさん見られたが、どうせ理解できないと思ってブラウンローは詳細には見なかった。「ものすごく高踏なものだった。そのいくつかはね」と彼は言った。
私たちの孫の時代は明らかにもっと知的時代であり、写真によれば、より健康で幸せな世界であるらしい。
「ファッションはカラー時代だ」ブラウンローは急に話題を変えた。
「手の込んだものかね?」
「いいや」
衣服についての彼の説明は曖昧だった。社会面のイラストと広告に見られる人々は身につける衣服――チョッキ、パンツ、ソックスなど――を最小限にしているようだ。胸には何もつけていない。非常に大きな袖口バンドが左腕の肘まで伸びていて、ポケットの代わりの工夫がしてあるように見える。これらの腕飾りは小型の楯のように装飾が施してある。たいていの人は大きな帽子を巻いたものを手にしている。美しい色の、見るからに柔らかな生地でできた長いマントを身体に巻きつけていたり、バンドで留めて肩に流している。
世界各地の人々の写真がたくさん掲載されていた。「だれもが素晴らしい身なりで、豊かなようだ。きりっとしていた。女性たちは美しい」とブラウンローは言った。
私はインドを思い出した。
「インドはどうなっていた?」
「よく覚えていない。アンコールはインドだったかな? 太陽のそそぐアンコールの建物でカーニバルが行なわれていたよ。褐色の肌の人々だが、服装は他の国の人々とたいして変わりはなかった」
[
アンコール朝はカンボジア王国の王朝。
アンコール・ワットは、カンボジアにある。
インドではない。別のアンコールかもしれないけどね
]
私は中で政治への関心が蠢き出した。
「インドについて本当に何の記事もなかったのかい? 間違いなく?」
ブラウンローの記憶に残るようなことはなかったらしい。
「ソヴィエト・ロシアは?」
「ソヴィエト・ロシアという名は使われていなかった」
ソヴィエト連邦はとうに日常の関心事ではなくなっているらしい。
「フランスとドイツの関係は?」
この二つの大国についての言及はないと言う。大英帝国、アメリカについての記事もなかった。彼の記憶ではこれらの諸国間の交流、大使の交換、会議、優劣の比較、緊迫した関係についてなにも触れられていなかった。
彼が断固として主張したのは、選挙とか議会とか政治家とかジュネーヴとか軍備とか戦争というものについての言及は皆無であるということだ。現在のジャーナリズムの主たる関心事の多くは過去のこととなっている。ブラウンローが見過ごしたのではない。その点は確かだと彼は言う。
これは素晴らしいことだ。思うに今から四十年後には主権国家という大袈裟なものは消滅しているらしい。また議会もなくなっているらしい。それに代わって何か新しい方法で社会問題を処理しているようだ。愛国心、民族主義、政党という言葉はあとかたもない。たった四十年で! その時代には今生きている人間の半分はまだ存命しているというのに! 信じがたいことだった。私にも信じられなかったろう。もし二つの紙切れが存在しなかったら。
[
主権国家が消えて、戦争が無くなる予定だったのかもな。統一世界政府を創る予定はずっとこの頃からあるのだろうな。
第二次世界大戦を起こす予定はもともとはなかったのかもな(少なくとも赤組は、戦争は統一世界政府を創る手段として考えているだろうな)。
第二次世界大戦の開始は、1939年9月の英独戦争から。1945年8月日本の降伏で終わり。
本作の発表は1932年。
]
p99から
1831年に人々は鉄道や汽船による旅行など思いもしなかった。1871年には汽船で八十日で世界一周ができるようになった。またほんの数分で世界の各地に電報を打てるようになった。1831年には考えられないことだった。生活の革新はいったんスタートすると猛烈なスピードで進む。思想も技術も予測を超えて変化する。
しかもわずか四十年で!
[
40を非常に強調する作品だな。重要な数字なんだろうな、40って
]
各国の政治は夕刊から消えた。さらに根本的な変化がある。ビジネスも、主として、金融であるが、まったく現在とは様相を変えている。断定はできないが、どうもそういう印象を受けるのである。株式市場が見られず、シティ〔ロンドンの金融街〕のページもない。それにとって代わるものの記事もない。ページを繰ったブラウンローが現在と同じ経済関係を記事を読みとばしてしまったのではないかという可能性もあるので、確かめたが、そんなことはないという返事であった。世の常に漏れず、投資に神経を遣っている彼はシティの記事を探してみたが見つからなかった。
(ここからp.100)
1971年11月10日は月曜日かもしれない。カレンダーも大幅に改正されている可能性がある。しかし今はそのことに触れないでおこう。ともあれそのこととシティの記事がないこととは無関係だろう。金融も今から四十年後には一掃されてしまったのだ。
とすれば、大変革、大破局があったのだろうか? 投資、投機の息の根を止めるような? 世界はボルシェヴィキ(過激共産主義)に走ったのか? しかしそのようなことを示唆する記事は皆無だった。共産主義世界革命がなかった証拠にこのような大衆紙が何の妨害もされず個人のポストに配達されている。大変革の徴候は見られないのだ。日々の変化が少しずつ積み重なって、朝や春がやってくるように、革命の動乱なしに大きな変革が生じたらしい。
[
金融が存在しない。もしかしたら、貨幣制度すら無いのかもな
]
ヴェンティミグリア〔ニースに近いイタリアの町〕の地滑りの写真、ザルツブルクの新しい化学工場の写真、イルクーツク近郊の騒動の写真(後で説明するが、その色褪せた一部が残っている)がある。最後の写真についてブラウンローは考え込んだ末に指を鳴らして言った。「連邦警察による山賊の一斉検挙と書かれていた」
「連邦警察だって?」
「それは何のことか分からない。争っている両陣にいるのはほとんど中国人だが、アメリカ人か、イギリス人、あるいはスカンジナヴィア人らしい背の高い人種も混じっていた」
彼は話を続けた。
「かなり紙面を大きく占めていたのはゴリラの記事だった。大変な取り上げようだ。地熱の記事よりは小さかったが、写真と地図入りの特集記事だった」
それは地球最後のゴリラの死についてだった。アフリカのゴリラ保護区のできごとに対しての憤慨が示されている。世界のゴリラの数は長年の間に減少し、1931年には九百頭くらいと推定されていたものが、連邦議会が保護を引き継いだときは三百に減少していた。
「連邦議会とはなんだい?」
ブラウンローも知らなかった。連邦議会という言葉を読んだときは彼は違和感を覚えなかった。連邦議会は一度に様々なことを手がけているらしい。組織力や資金力が欠けているようだ。一見すると、絶滅の危機にある貴重種を保護するために応急に造られた保護機構のように思える。ゴリラは十分な保護の手が伸びなかったので、変種のインフルエンザによって絶滅した。気づいたときは遅かった。新聞は機構の調査と組織の根本的改組が必要だと書き立てて(原文ママ)いた。
連邦議会は1971年には非常に重要な働きをしているらしい。森林の回復についての記事にもその名前が出て来る。ブラウンローは木材会社の株を持っているのでこのことに関心があった。連邦議会は野生ゴリラの病気だけでなく、カナダ、ニューヨーク州、シベリア、アルジェリア、英国東部の植林にも関わっている。また害虫の駆除、植物の病気に対する処置を怠ったことで非難を浴びていた。その機能は驚くほど広範囲で現代の私たちが持っている既成の区分を超えた仕事をしている。世界に跨る組織であるらしい。
「建築、家具の大きな木材の使用制限条約が追加されたにもかかわらず、一九八五年以降、木材の不足が明白である。また、森林地帯の降雨量の不足も見込まれている。緊急の処置が必要であったにもかかわらず、連邦議会は措置を怠った。ジェイムズ調査委員会の報告によれば、議会の対応の後れ(原文ママ)と予測の甘さは弁解の余地がないと言う」
この記事が引用できるのは目の前に実物があるからである。後に説明するように、残ったのはこの記事だけだった。新聞の他の部分は存在しない。私たちの知り得るすべてはブラウンローの不確かなところがある記憶によるしかないのである。
p.102
5
日が経つにつれて連邦議会のことがますます気になってきた。連邦議会とはひょっとして世界連邦のことなのか?
(
ここを読んだ直後に笑ってしまった(笑)
)
わずか四十年後に科学的に世界を統制する科学的組織が生まれるのか? 私は思わずうろたえた。世界はやがて統一されるはずだと私は信じてきた。詩人のテニソンの言葉をかりれば、「人類の議会と世界の連邦」が生まれるはずだと。しかしそれには数百年かかるだろうと考えていた。しかし私の未来予想は間違っていた。変化の速さを読み誤っていた。1900年に私は「五十年後には」飛行機の時代がくると書いた。しかし実際は1920年にすでに飛行機は爆音を響かせて至る所で乗客を運んでいた。
〔
1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』
赤組の予定表じゃん(笑)
本作の書き手(作中人物)の名前がH・G・ウエルズなので、作中人物だけでなく作者としてのウェルズも、さすがに40年後には科学的に世界を統制する科学的組織は生まれないと考えていたのかもね。
〕
夕刊紙の他の部分について簡潔に説明したい。スポーツとファッション関係の記事が多かった。「スペクタクル」と呼ばれているものの正体は分からないが、たくさんの写真が出ている。装飾芸術と建築についてイラスト入りの批評が多い。ブラウンローが見た写真の建築は「高層の壮麗な建物で、摩天楼のようだ。ニューヨークに似ているが、さらに規模が大きい」そうである。不幸にして彼は絵がだめだ。彼にはよく理解できなかったが、ラジオ番組らしいものもあった。
すべてを総合すると現代と似ているようだが、おそらくもっと明るく快適な生活のようだ。
しかし別の問題がある。
「出生率が千人に七人だった」とブラウンローが言った。
私は声を上げた。ヨーロッパでは現在の出生率は低くても千人につき十六人以上である。ロシアでは四十人であるがゆっくりと低くなってきている。
「確かに七という数字を見た」
「しかしどこの出生率なんだ? 英国か? ヨーロッパ?」
「単に出生率とだけ出ていた」
私たちの孫の世代の世界について瞥見したところでは、一番奇妙なのは出生率だった。千人に七人というのは一定した人口の維持ではなく、もし死亡率がさらに下回るのでなければ急速な減少を意味する。おそらく寿命が伸びたのである。ブラウンローはよく分からない、写真で見たかぎりでは「老いぼれ」はいなかったという。子供と若者だけだったという。
〔
老い自体がない社会か、老いた者はどんどん死ぬ社会かだろうな
〕
「犯罪は?」
「あったとも。毒殺事件がでていた。でもどんな事件か分からない。この手の犯罪は初めから追わないと状況を理解するのが難しい。今だって新聞は毎日刻々と犯罪の解説を載せているわけじゃない。四十年後にもなかった。いや、ないだろうと未来形で言ったほうがいいかな。
いくつかの犯罪記事とジャーナリズムで言うところの【ねた】があった。現代の新聞記者より彼らは人間的で同情的だ。犯人探しよりは、動機に関心を寄せている。もっと心理学的といってもいい」
「書籍についてはどうだった?」
「なにも覚えていない」
それだけだった。一年に十三カ月目が加えられたらしいという些細なこと以外、他になにも分からなかった。私は苛立たしかった。以上がブラウンローの記憶のすべてである。
p108から
「それではこれは?」彼は震える手で切抜きを渡した。
「変だな」そう言って私は黒緑のインク、珍しい活字、変わったところのある綴りをじっと見ていた。裏返してみた。そこには写真の一部が載っていた。例の「連邦警察による山賊の一斉検挙」の写真だろう。
その時は写真はまだ色褪せていなかった。遠くに見える禿山(はげやま)を背景に、砂漠のなかに壊れた煉瓦の建物が写っている。冷たく澄んだ空気と雲一つなく照りつける午後の陽射しが完全に捉えられている。前景では褐色の制服を着て、マスクをした四人の男が車輪つきの小型機械を操作している。機械のチューブのノズルからは何かが噴き出していて建物の左手を壊している。何をしているのだろうか? ブラウンローが言うには建物の中の男たちをガス攻めにしているのだという。これほどリアルなカラー写真は初めて見た。
「一体これはなんだ?」
「例のものさ。僕は気が狂っていないだろう? これは本当に例のものなんだ」
包み紙は私が初めて見たとき以来今日まで少しも変わっていない。しかし森林回復についての記事は細かな粉のような物に分解し始めている。裏面の写真も色褪せ始めた。色彩の多くが消え、輪郭がぼやけてきた。私は紙の粉をロイヤル・コレッジにいる友人のライダーのところに持ち込んだ。彼は微粒分子化学の研究で知られている。彼によれば、それは紙ではなく、人工樹脂によって強化されたアルミだという。
ブラウンローが四十年先の新聞を入手して二時間もそれを読んだという事実はこれを書いている私の名前がH・G・ウエルズであるということと同じくらい確かだ。これ以上の確信がありえようか。
[
わざわざ語り手の名前をH・G・ウエルズにしたということは、本作がケツ社的な内容だということだな(笑)
]
『故エルヴィシャム氏の物語』
(その他の邦題は『故エルヴシャム氏の話』『亡きエルヴシャム氏の物語』)
The Story of the Late Mr. Elvesham (1896)
(薬品による精神と肉体の交換の話。薬によって肉体の中身が交換される話だ。
「肉体は魂(記憶を含む)の器にすぎないから入れ替えても良い」思想)
p114から
ぼくがこの物語を書きとめるのは、信じてもらえるだろうと考えるからではなくて、できることなら第二の犠牲者を出したくないからである。
ぼくはエドワード・イーデンという。
(黄色の顔の小柄な老人の名前がエルヴィシャム)
老人の声は感激でふるえていた。
「すべてけっこうじゃ、イーデン君。何から何まで満足じゃ。今夜こそ一緒に食事をして、君の相続を祝わなければ」
p121から
老人はエグバート・エルヴィシャムといった。偉大な哲学者で、その名前は学校通いの少年の頃から知っていた。
「君がわしの名前、地位を引きつぐのはかまわんだろう。しかしほんとうに、よろこんでわしの年齢も引きついでくれるかね?」
[
年齢も引きつぐから肉体交換だな
]
「あなたの輝かしい業績と一緒に」
ぼくは慇懃に答えた。相手は再び微笑した。
「キュンメル酒――二人にだ」
彼はポケットから取り出しておいた小さな紙包みに視線を移した。
「夕食後のこの時間はいろいろ飲むものがあってね。ほら、これはまだ未発表の発明なんだが」
彼は黄色い震える指で包みを開き、中のピンクがかった粉末を見せてくれた。
「これが何であるかは、想像にまかせよう。だがこれをほんの少し混ぜるとキュンメル酒は天国(ヒンメル)になるぞ」
彼は小さな二つのグラスに粉末を入れて、ふいに妙な威厳(もったい)をつけて立ち上がると片手をぼくの方へつき出した。ぼくも同じようにし、二人のグラスがカチンと合った。
ぼくたちは互いに瞳を見つめ合ってグラスを傾けた。彼の視線はぼくの目をまっすぐにのぞきこんでいた。ぼくは飲みほすときに奇妙な激しい感覚をおぼえた。飲みこむとすぐに効き目があらわれて、頭が激しくうずきだした。文字どおり頭蓋骨の中で脳がうごめくように感じられたし、何かたぎるような耳鳴りがした。
突然、大きな溜息をついてから彼はグラスを下に置いた。
「どうかね?」
「すばらしい味です」
(まだ入れ替わりは完了していない)
(老人いわく)
「11時7分じゃ! 今夜は二十五分までにウォタールー駅へ行かにゃあならん。すぐに行かねば」
「あの薬は」と言って、彼は自分の額に手を当てた。「君に飲ませないほうがよかったな。明日は頭が割れるように痛むじゃろう。ちょっと待て。ほら、ここに」
彼はぼくにセドリッツ沸騰散に似た平らなものをくれた。
「寝るときこれを水で飲みなされ。さっきのは薬の一種だよ。いいかね。寝るときまで飲んじゃいかんぞ。これを飲めば頭がすっきりするじゃろう。さあ、これでしまいだ。もう一度握手しよう。未来のために!」
心理的ダブリとでも言うのだろう。リージェント街を歩いているのに、ここはウォタールー駅だという奇妙な気がしてくるのだった。
(老人はウォタールー駅へ行ったから、この時点で入れ替わり始めている)
三十年前、兄と喧嘩したのはここだったな、と思った。しかしそれからぼくが大声で笑い出すと近くで夜の散策をしていた人々がびっくりし、一緒に笑い出した。三十年前といえばぼくは生まれていなかったし、自慢できるような兄など持ったこともなかったのだ。
(いきなり入れ替わるのではなく、記憶がだんだん入れ替わっていくようだ)
ぼくはもらった薬品をグラスに投げ入れるようにして飲みほした。
頬に枕が触れるのがわかったが、そのまま眠りにおちたにちがいない。
p136から
ぼくがこのように閉じこめられているのに、彼の方はのうのうとぼくの肉体、ぼくの力、ぼくの未来を所有しているのだ。考えるほどに、信じがたいことに思われ、ぼくの心はぐらついた。
ぼくは思想生活においてこれまでずっと物質主義者であった。しかし、突然、人間が物質から分離する明白な体験をしたのである。
[
本作は、オカルト的な現象(中身の入れ替わり)を科学的に実現する話。
今現在も赤組が受け継いでいる「オカルトの科学的実現」はウェルズがすでに書いているということだ
]
白い粉末の入った小さな緑色のガラス瓶だけであった。瓶の首にあるラベルには一語「解放」とだけ書いてあった。これは――ほぼまちがいなく――毒だろう。エルヴィシャムがぼくの手に届くところに毒を置くのはありそうなことだ。
彼は事実上、不死の問題を解決したのである。思いがけない災難にでも出遇うことがなければ、彼はぼくの肉体で生き続け、年老いたら再びそれを捨てて、別の犠牲者の青春と力を奪えばいいのである。
彼はどれくらい永く、肉体から肉体へ飛び移ってきたのだろう?……ぼくは書き疲れた。粉末は水に溶けるようだ。味は悪くない。
[
なるほど、初めての移動とは限らないんだな。本作は不老不死の実現方法を描いたともいえる。
]
エルヴィシャム氏の机の上に発見された物語はここで終わっている。彼の死体は机と椅子の間に横たわっていた。
エルヴィシャムが自殺したとき、奇妙なことに、イーデンはすでに死んでいたのである。エルヴィシャムの自殺より二十四時間前に彼は辻馬車に轢かれ、即死したのである。
[
元からイーデン(の肉体)は死ぬ運命だったのかは気になるな。もしそうなら、イーデン(中身)の方が老人の肉体に避難することで助かったと言える。自殺をもっと後回しにしていたら、自身の肉体の死亡を知ることで自殺しなかったかもしれない。
思ったよりもケツ社的な内容だったな。
]
『マハラジャの財宝』
The Rajah's Treasure (1896)
(本書では「Rajah's」は「h's」ではなくhsになっている)
インドの藩王国が舞台。
藩王国(はんおうこく) とは、植民地時代のインドにおいて、英国が間接支配した地域のこと。
(またインド強調かよ)
p144から
ヒマラヤの斜面にあるジェヒュンとビマブールの間、ジャングルと松やヒマラヤ杉の生い茂る高地の間にこれから私がお話しする財宝を持つラジャが支配する土地があった。
(ラジャは財宝を)なんと謁見の間の後ろにある小部屋の金庫の中に隠していた。
ラジャは英帝国の同意のもとに領土を東西に拡大した。
純粋に東洋風に、マホメットの教えにしたがってアラーの神の名において統治したことはいうまでもない。ラジャの統治は見事だった。
(イスラームなんだな。ヒンドゥー教ではない)
p149から
ラジャは宮殿の謁見の間の後ろの小部屋の壁に金庫を嵌め込んだ。彼は工事を注意深く監督した。完了すると、毎日、最低でも一日一回はそこで足を運んで、輝く目をして戻ってきた。
ラジャが変わり始めたのはその頃である。老練で狡猾であったのが、短気になって腹蔵なくものを言うようになった。物事に厳しくなり、やることなすことに貪欲の影が入り込んだ。
(
飲酒のせい。財宝とは酒のこと。ムスリムの飲酒ネタ。本当に欧米ケツ社はイスラームが嫌いなんだな。完全にイスラームへの嫌がらせじゃん。
今現在、多様性多様性うるさいが、イスラームの生活規則はそれには含まれないからな
)
技師が錠をカチリと解いた。謁見の間にいるすべての目が鋭く光った。副長官だけは大英帝国の威厳をできるだけ示そうとゆったり構えていた。
「グラスに割れた瓶が数百も!」
「スコッチのようです」
「隠れた飲酒さ。バーボン・ウイスキーだ。飲み方を教えたのは俺だ。かわいそうにラジャはそれを秘密にしてきたかった。ミンダポアは高原地帯の回教地域でももっとも戒律の厳格な土地のひとつだからな。ラジャは秘密好きで一人で何かに浸るのが習慣だった。そこで瓶を隠す金庫を手に入れたというわけさ。金庫が一杯になったとき、もっと詰め込もうとして瓶を割ったのだろう。
(略)
彼が金庫を開けるところを是非見たかったものだ!」
(で話は終わり)
『デイヴィドソンの不思議な目』
(その他の邦題は『ダヴィドソンの眼の異様な体験』)
The Remarkable Case of Davidson's Eyes (1895)
(本書では「The Case of Davidsons Eyes」表記)
p168から
(デイヴィドソンについて)
彼の注意は浜辺と船の幻覚によって散漫になっているようだった。時折、ボートや錨の吊り柱、風を孕んだ帆についての説明をするのだった。
「では何が見えるのだね?」とウエイド学長が聞いた。たくさんの砂とくだけた貝殻しか見えないとデイヴィドソンは答えた。
「船のマストだけが見える」と出し抜けにデイヴィドソンが言った。
「船のことは気にするな。デイヴィドソン、よく聞けよ。幻覚とはどういうものか知っているかい?」
「もちろんです」とデイヴィドソンは答えた。
「君の見ているものはすべて幻覚なのさ」
「バークリィ〔ジョージ・バークリィ(1685-1753)はアイルランドの聖職者、哲学者で、物質は知覚によってのみ存在し得るとする論を展開した〕の説ですね」
「勘違いするな。君は生きていて現にボイス教授の部屋にいるのだ。しかし君の目に何かが起きたに違いない。触覚も聴覚も働いているのに目が見えない。私の言っていることは分かるかね?」
p171から
デイヴィドソンの説明によれば、その島は概して荒涼とした所で、ビートのような物を除いて植物はほとんどなく、剥きだしの岩だらけだった。たくさんのペンギンが岩を糞で見苦しく白く染めていた。
p177から
(ファルマー号という船について)
「僕はこの船を見たことがある」
「そんなはずはない。この船は六年間も南海にいる。それ以前は……」
「しかし間違いなく僕が幻覚を見たのはこの船だ。ペンギンの住む島の沖に停泊して銃を撃っていた」
少しずつ分かってきたことは、デイヴィドソンが発作に襲われたまさにその日に、英国海軍のファルマー号はアンチィポディズ島の南方にある岩の小島の沖に停泊していた。前夜、ペンギンの卵をとるためにボートが上陸していた。しかし嵐が近づいたために予定が遅れて、乗組員たちは朝になってから船に戻ることにした。アトキンズもその中の一人だった。彼はデイヴィドソンの島とボートの説明を一語一語確認した。デイヴィドソンがその島を実際に見たことはだれの目にも明らかとなった。彼がロンドンをあちらこちらと移動している間に、視覚の方はそれに呼応する遠方の島を同じように移動していたのである。実に不思議な出来事である。
デイヴィドソンの目の不思議な物語は以上のとおりである。これは遠方が肉眼に見えるという【遠視】の実例である。その理論的根拠はウエイド学長の提出した仮説が現在のところ唯一のものである。彼の説明では純理論的な空間である四次元がこれに絡んでいるという。「空間のよじれ」が存在するという説明は数学者でない私にはナンセンスに思える。二つの場所は八千マイルも離れているという事実は変えられないではないかという私の指摘に対して、ウエイド学長は紙上の一フィート離れた二点は紙を折り曲げれば、合致するのであると答えた。読者は彼の説明を理解されるかもしれないが私には合点がいかない。デイヴィドソンが電磁石の極間に屈んでいたときに、雷電によって磁場に生じた変化が彼の網膜に特殊なねじれを生じさせたのだというのが、ウエイド学長の考えらしい。
その結果、デイヴィドソンは肉体の置かれた場所とは別の地球上の場所を見ることが可能になったと、ウエイド学長は推定している。これを証明するための実験もすでに何度か実行している。しかし結果は数匹の犬を盲目にしてしまっただけである。彼の研究の成果は正味そんなところであると思う。数週間、私はウエイド学長には会っていない。私は最近、セント・パンクラスの施設にかかわる仕事のことで忙しすぎて彼を訪問する暇がなかった。彼の理論は奇想天外なものにみえる。デイヴィドソンの実際の事件は全く別のレヴェルに属することである。以上の事件の細部の報告は誤りのないものであることを私は自ら証言しておく。
(
超能力ネタ。超能力を科学的に扱っている。本作は目と関連するからケツ社的に重要かもしれないと思い、ちゃんと記した。ケツ社度は高くなかったな。
今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』
)
『アリの帝国』
The Empire of the Ants (1905)
p194
それはこれまで彼が見たどんなアリよりも大きく、黒かった。ただ機械的にせわしなく動き回る普通のアリとはまったく異なって、落ち着きはらった慎重な動き方をしていたという。二十匹に一匹の割(原文ママ)で群を抜いて大きいアリがいて、その頭も驚くほど大きい。彼がすぐに思いついたのは葉切りアリを支配するという首領アリのことだった。ちょうど同じように全体の動きを指令し、統率しているように見えたからである。身体を独特な格好で後ろに傾け、まるで前足を使えるようにしているかのようだった。そして遠すぎて確かめようもなかったが、大部分のアリが装具を身につけ、金属の糸のような輝く白い紐で身体に何かを縛りつけているような気がした。
p.197
巨大なアリの群が――体長は数インチはあっただろう――何の役にも立ちそうにない奇妙な荷を運びながら、どことも知れぬある場所から別の場所へとせっせと動き回っていた。目につく場所では列を作らず、間隔をとってばらばらに動いており、戦闘中の歩兵隊が散開する様子を思わせた。
(
1インチ=25.4mm≒2.5㎝。5センチはあるアリは確かに大きいな。
人間より大きくはなかったな。でも5センチのアリがたくさんいるのは怖いな。
『モロー博士の島』と『アリの帝国』ってもしかして、ハンターハンターのキメラアントの元ネタ?
)
p204から
これまでに知らされているどんな種類のアリよりも、はるかに高い知能とすぐれた社会機構を具えていることは、まず疑う余地がない。拡散した社会形態ではなく事実上、単一国家のように組織されている。しかし、真におそるべき点は、自分たちより大きな敵に対して、アリたちが巧妙に毒を使用することだった。この毒は蛇の毒に極めて近いものらしかった。アリたちは実際にそれらを製造して、人間を攻撃する際には仲間の中で身体の大きなものが針状の結晶を運搬するらしい。
この小さい不思議な生物は、道具を使用し、火や金属の知識があり、我々北国の人間を仰天させるような組織だった技術的手腕をもっているばかりではない。なにしろ一八四一年にリオデジャネイロの毒アリがロンドン橋付近のテムズ川ほどの幅をもつパラヒバ川の下にトンネルを掘ったのだ。それに加えて、書物にも匹敵するような記録や情報伝達のための秩序だった綿密な方法を具えているとも言われている。これまでのところ、アリたちの作戦行動は着実な前進と定住であり、その際、新たに侵略した地域の人間はすべて追い払われるか殺された。
p206
「そうですね、今のところは。
(略)
アリたちがヨーロッパを発見するのは、遅くとも1950年か60年になることでしょう」
(でこの短編は終わり)
備忘録(メモ)は以上だ。
記事公開後に反応があればここに足すかも。
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTねここねこさんありがたや🙏モロー博士の島に関しては皆さんからの呟き以外はほとんど何も知らなかったが、記事を拝見し色々な作品が頭をよぎる。動物、改造、これだけでもいくつも作品が思い浮かぶ。人間に動物等何かしらの力を加える為に改造とか手術とか、逆にモロー博士のように動物等を
引用
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
午後7:48 · 2024年12月18日
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『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾンズ、ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』へ
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午前0:04 · 2024年12月19日
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改造して人間にするとか。いや、本当にたくさん作品を思いつく。本当にモロー博士の話は多くの人に影響を与えているとともに、なぜここまで広がらなければならなかったのかということも疑問として出てくる。モロー博士の前の、さらに前のと、影響を与えたであろうものと、
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午前0:08 · 2024年12月19日
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なぜそうしなければならなかったのかということを考えると何か見えてくるかもしれない。これだけ日常に溢れよく目にするものなのだから、しっかりと考えた方がいいと思う。
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午前0:09 · 2024年12月19日
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5
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個人的に共食い、改造、動物で思い出すのがちいかわでおなじみの作者が描くもぐらコロッケというキャラクターが出てくる話だ。ちいかわとは別の世界の話だったと思う。もぐらコロッケは名前の通りコロッケのもぐらなのだが、体がコロッケなので勿論コロッケの味がする。あるとき、出かけた
午前0:12 · 2024年12月19日
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もぐらコロッケがたまたまただのコロッケを食べ、コロッケの味を知ったことで、仲間を食べたい衝動に揺らぐという話。また、別のもぐらコロッケはコロッケゆえに水に弱く、そのため海に憧れるものの海には入れずに悩んでいると、この世界にいるユニコーンとバイコーンに
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午前0:14 · 2024年12月19日
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手術してもらい下半身が魚、つまり人魚に改造される話もある。このときもぐらコロッケは丁寧に契約書にサインし、自ら改造手術を望み改造される。ちいかわの世界も色々と凄い話はあるが、個人的にもぐらコロッケの世界も話の凄さは同等かその上を行っているように思う。
さらに表示
午前0:18 · 2024年12月19日
·
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狐の嫁入り前さんがリポスト
ケイン
@sinkaimaguro555
もぐらコロッケ、共食い衝動ある奴、下半身を魚に改造された奴、被り物を被ると敵味方関係なく襲う奴、プライドを破壊された兵士と色々あるけど誰が好きですか?
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午後0:37 · 2022年5月11日
狐の嫁入り前さんがリポスト
斉藤コウジ
@saitoukoji
二次元のカニバとか人体改造とか好きだけどもぐらコロッケはグロすぎて読むの怖いよ
午後10:02 · 2019年9月12日
狐の嫁入り前さんがリポスト
hatahata@部屋に籠って本を読め
@naruhata
もぐらコロッケをきちんと読んでなかったがやっと単行本を買い揃え、改造人魚編を読んでる途中であまりの邪悪さにマジでギャッて叫んで本を投げつけた
その直後にシンカメ見に行ったので、改造とか洗脳とか言われてもフーンって感じになってしまった
午前1:05 · 2023年3月27日
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狐の嫁入り前さんがリポスト
カズヒコ
@kzhkgrbl35000
煮付け食べたら機械化するんじゃなくて
あくまでも煮付け食べたら永遠の命になっただけでそこから機械に改造された可能性も残っている…
ナガノ作品はそういう事する奴らが居る世界観だから…
それで思い出したけどもぐらコロッケの時からナガセン世界の人魚って基本的に邪悪種だったわ
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午後8:57 · 2023年11月8日
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4,985
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(「煮付け食べたら機械化するんじゃなくて
あくまでも煮付け食べたら永遠の命になっただけでそこから機械に改造された可能性も残っている…」は『ちいかわ』のことだよ)
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTの数々🙏あともぐらコロッケが人魚コロッケになって本物の人魚に会ったとき、もぐらコロッケの世界で頂点に立つ通称ヌンくまだったかな、の像の前で骸骨の頭に赤いゼリーのようなものを食べさせられそうになり、人魚の仲間にされそうな描写もなかなか。
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午前0:28 · 2024年12月19日
·
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結局、人魚コロッケはかつて人魚だったが陸に住むためにケンタウロスになった医者の人魚とか、ケンタウロス人魚の住むところには変な生き物がいっぱいいたりとか。人魚コロッケの海での友人はいるかだったりする。今思えば色々考えてしまうような話でもなくはない。
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午前0:34 · 2024年12月19日
·
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(『ちいかわ』だけでは確信できないが、もぐらコロッケと合わせるとケツ社員の確率が上がる)
ーーー
ワクワクさんさんがリポスト
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾンズ、ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』へ
yomenainickname.blog.fc2.com
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ—の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』 (1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾン...
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい(この2つが『ブラウンローの新聞』よりも明らかに重要)。 今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』です。” 一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的な...
午後7:48 · 2024年12月18日
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https://x.com/uxskf/status/1869520775604236526
”ワクワクさん
@uxskf
https://khsu.repo.nii.ac.jp/record/84/files/KJ00004187121.pdf
この見方も面白くてモロー博士=大英帝国批判とか科学による優生学の失敗とか
だから神智学とか日本のイルミナティと連携して教育運動してたのが彼なわけだし
キリスト教による開花とか劣等人種扱いのメタファーとか
午前8:11 · 2024年12月19日
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(上記の続き)
https://x.com/uxskf/status/1869521192786555257
”当時の人種差別とか帝国主義とかのメタファーや皮肉も込めてるんだろうけど
キメラアントにしろケモノフレンズにしろ元ネタの1つだろうけどそこら辺さすがに強調はして無いかな
そもそもグラントリアン思想だし
午前8:12 · 2024年12月19日
·
182
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[
リンク先は
『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー : 大英帝国の衰退とその反動
『保健科学研究誌』 (2) 109-120 2005年
であり、以下しばらく備忘録。
(大英)帝国没落の根本原因は下層労働階級の「人種退化」("degeneration")にあるとされた。この問題を解決するための理論として, ダーウィンの従兄フランシス・ゴルトン(1822-1911)によって提唱されたのが優性学(原文ママ。以下同様)である。「科学的」な根拠に基づいて「健全なる人種」を生み出し, 人種退化を防ぐことが優性学の目的とされた。そしてこの理論により植民地の原住民だけでなく, 英国内の都市の貧民や犯罪者たちまでもが, 進化の時間軸のなかで下位に位置する劣等人種として優性学的に排除すべき対象とされていく。
[
『モロー博士の島』だと人工的に人間的存在を創造しようとして、結局失敗する話なので、優生学批判とも解釈できるんだよな。この論文に「劣等人種としての獣人」とある。科学技術で創造できるのは劣等人種って物語。優生学批判だと解釈しても、結局、思想の基盤が優生学。モロー博士が本音担当だろうから、素直に優生学批判だとは受け取ってはいけないだろうな。優生学を一部肯定、一部否定って意見だったのかもね。
失敗したとはいえ、モロー博士の基準での優れた存在を生み出そうとしていたので、超人創造思想なのは確かだ。
]
『モロー博士の島』には, 結局出版されなかった初稿が存在する(以下「初稿モロー」とする)。出版稿とは物語の方向性は異なるものの, モローが孤島で動物に生体解剖を施し人間を生み出そうとする点では同じである。ところがこの二つの版の獣人の描写を比較してみると, そこには顕著な相違がみられる。
[
「初稿モロー」は、"The First Moreau."を略してFMと本論文では記される。出版された方はDM表記
]
例えばモンゴメリが「この若い男の顔はややげっそりしており, 薄青い瞳, そして金髪の口鬚をぼさぼさに伸ばしていた。丈夫そうな亜麻布の白い服を着, 裸足であった」(FM110)と描写されるように, 髪の毛や瞳の色から始めるというヴィクトリア朝小説の常套的手法で描かれている。
[
初稿のモンゴメリは金髪で青い目の白人なんだ(笑)
いかにも青組好みの見た目のモンゴメリは、初稿でも死ぬんだろうな。
]
頭蓋骨の形は, T・H・ハクスリーが『自然界における人間の位置』でダーウィンの進化論を補強するために着目したものであった。そのなかでハクスリーは頭蓋骨の形や大脳などの構造から, 人類と類人猿の近似性を論証しようとする。
(略)
しかし動物と人間との進化上のつながりを述べるいっぽうで, ハクスリーはそれと矛盾しかねない主張を続けて展開させる。つまり西洋の「文明人」と非西洋の「未開人」との溝を強調するのである。
[
T・H・ハクスリーは進化論と人種差別をつなげていたってことね。
『モロー博士の島』では、人間社会に戻ってきた主人公が、「牧師の巫山戯(ふざけ)た説教はあの猿男の言葉と大差なく聞こえる」と表現しているように、「獣人(劣等人種)と人間(高等人種)にそんなに違いがあるか?」って批判と解釈できる。
主人公の設定に明らかにウェルズの経歴が混ざっていることが根拠だよ。
モロー博士はケツ社の邪悪な本音担当だが、主人公は邪悪ではない方の本音担当でもあるのだろうな。本音といっても、主人公の方はウェルズ個人の見解がかなり混じっているだろうな(ケツ社の思想を代弁させただけではないだろうな)。
]
(略)
このように,『自然界における人間の位置』は, 人類と他の動物との近似性を強調するいっぽうで, 非西洋の「未開人」を進化の途上にあり西洋人の下位に位置する存在とみなし, 両者の差異を「科学的」に立証しようとするものでもあった(次頁図1)。5)
とくに物語の後半になると, 人間とはかけ離れた存在に見えた獣人のなかに, 人間との類似点が仄めかされるようになる。プレンディックは言語を人間と動物とを弁別する指標と捉え, 自分に語りかけてくる猿男を人間であると考える。獣人がもともとは動物であるとモローから言われても, それをにわかには信じることができない。「わたしは笑い, 言った。『冗談はよしてくれ。やつらは言葉を話し, 家を建て, 料理もする。やつらは言葉を話し, 家を建て, 料理もする。やつらは人間だ』」(DM128)。彼らがもともとは動物であったことを理解したあとも, プレンディックは, 獣人の掟を犯してしまったために窮地に追いつめられた豹人間のなかに, 動物性とともに人間性をも垣間見る。
(略)
このように獣人と人間の類似性がたびたび強調されていき, 遂にはその両者の社会が重ね合わされる。撃ち殺された豹人間の死体に対し,
「獣人たちは極めて人間的な好奇心を示した。……奇妙な確信がわたしを襲った。その言葉はつたなく, 姿形も醜いが, 眼前のこの光景は人間社会の完全なる縮図なのだ」(DM167)。
二つの稿の描写の相違は, 物語の方向性の違いからくる。『モロー博士の島』はミステリーを意図したものではなく, 人間にも動物とあまり変わらない面があるということ, つまり人間のなかにある獣性がテーマの一つである(このことに関しては本稿第Ⅲ章で論じる)。しかしここで注目したいのは, 『モロー博士の島』の獣人の象徴的意味である。彼らには, 動物と人間両方の性質が付与されている。つまりこれら動物とも人間ともつかない存在は, 進化論的時間軸のなかで動物と人間の間に位置するとされ, 人間という高みには到達していないとされた劣等者たちを体現している。彼らは, 優性学(原文ママ。この論文はずっと誤字し続けているな)的に排除すべき英国内の下層階級, 非西洋社会の原住民といった存在と重なってくるのである。
『モロー博士の島』の獣人たちの背後にはこのような英国内の下層労働者たち, 植民地の被植民者たちの姿があるのである。
[
ウェルズは下層階級の家に生まれたのが重要だな。獣人(下層。ウェルズの出身)と人間(中・上流)の類似性を強調したのは、「下層階級を馬鹿にするな!」って言いたかったのもあるだろうな。
]
(PDFで6/12から)
Ⅱ. 植民地としてのモローの島
しかし『モロー博士の島』のなかで劣等者としての烙印を押されているのは実は獣人だけではない。白人の支配者であるモローやモンゴメリにもその印は深く刻まれているのだ。彼らがことごとく追放者であるということがそのことを象徴的に表わしている。
ここで追放の象徴的意味に注目するのは, 19世紀末から20世紀初頭にかけて, 多数の犯罪者や貧民が事実上の追放者として国外に移住していたという事実があるためである。
犯罪者や貧困層を国外に排除するということには, 優性学的なイデオロギーが結びついていたのである。
さらに登場人物たちの追放者としての存在は, その飲酒癖により強調される。飲酒とは, 人種退化の第一の原因でありまた結果でもあると考えられ, 怠惰や性的放埓といったものと結び付け考えられていた。
[
主人公が、モンゴメリと獣人らと酒を飲まなかったのはこういう理由もあるんだな
]
さらに興味深いのは, モンゴメリの描写である。それはすでに引用した初稿のそれと比較するとはっきりする。「初稿モロー」ではやつれた顔, 瞳, 口鬚, 服装が手短に述べられていただけだったのに対し, 『モロー博士の島』では前者に見られなかった特徴が列記されていく。
気がつくと, わたしはむさ苦しい小さな船室のなかにいた。若い男が座って, わたしの手首を握っていた。亜麻色の髪, 硬そうな麦わら色の口鬚, 垂れ下がった下唇。一瞬, われわれは無言で見つめあった。彼の潤んだ瞳は灰色で, そこには不思議と表情が欠けていた。(DM65)
[
初稿では金髪で青い目だったのに、亜麻色の髪と灰色の目に変更されているのが重要なのだろうな。
”例えばモンゴメリが「この若い男の顔はややげっそりしており, 薄青い瞳, そして金髪の口鬚をぼさぼさに伸ばしていた。丈夫そうな亜麻布の白い服を着, 裸足であった」(FM110)と描写されるように, 髪の毛や瞳の色から始めるというヴィクトリア朝小説の常套的手法で描かれている。”
]
これにモンゴメリの舌足らずな話し方も加えると, 最終稿になり付加されたこれらの思わせぶりな表現に, 同性愛の暗示を読み取ることができる。オスカー・ワイルドが同性愛の廉で投獄されるという英国社会を揺るがした「事件」が起こったのが1895年, 「初稿モロー」(1894)と『モロー博士の島』(1896)のちょうど狭間の出来事である。7)
[
え、この程度で同性愛の暗示になるの?
]
モローの島は, まさしく当時の英国植民地の縮図なのである。
Ⅲ. 人間の動物化―理性の喪失
人間の動物化というこのモチーフは, 物語の冒頭ですでに暗示されている。難破したレディ・ヴェイン号から小型救命艇に乗り移ることのできたプレンディックを含めた三人は, 空腹という欲求に耐えきれなくなると理性を逸し, 相手を殺してその肉を食べようとする(ここで, 頑強な二人が取っ組み合っているうちに海に落ち, 一番弱いプレンディックが生き残るというのは, 「適者生存」に対する皮肉でもある)。
[
『モロー博士の島』に人肉食(カニバリズム)ネタがあるのを忘れていた。本作のケツ社度は高い。完全に仮面ガブの元ネタ。モロー博士が3人も登場するしな!
この論文や、岩波文庫の解説を読むと、『モロー博士の島』が、ケツ社要素を抜きにしても優れた小説だとわかる。
]
白人の登場人物たちは人間と動物との境界を行き来するようになるのである。
そんなとき, わたしは周囲の人間を見まわし, そして恐怖にふるえる。……彼らのなかから獣性が吹き出してくるのではないかと, そして島の住人たちに起こった退行が, もっと大きな規模で再現されるのではないかと感じてしまうのである。……そして教会にでも逃げこむと, そこですら, 牧師があの猿男のように「大きな考え」をまくしたてているように思え, わたしは気が滅入ってしまう。図書館に入れば, 熱心に読書をしている顔が, 獲物を辛抱強く待つ動物の顔に見えてしまうのである。(DM205-06)
ハクスリーと有名な論争を演じた英国国教会牧師ウィルバーフォースへの当て擦りを含め, ここにスイフト的な人間への嫌悪を読み取るのは, ある意味で当然といえる。
[
猿男でたとえられた牧師に元ネタがあることに驚いた
]
しかしそれで止まってしまってはいけない。このことが書かれた当時, つまり19世紀末において, このことがどのような意味を持ちえたのか考察する必要がある。ひとつには, この文章から, 獣人たちの退化が, 当時盛んに議論されていたイギリス人の人種退化, そして大英帝国衰退のメタファとして機能することが分かる。
さらにもう一点, 帝国主義の負の側面である。
Ⅳ. 大英帝国の未来図としての『モロー博士の島』
動物から人間を造っていくモローの実験は, 「人種退化」していく国民と国家を再生させるため, 「科学的」に「健全な人種」を生み出していくことを提唱していた優性学のメタファとなる。モローの実験は失敗に終る。モローの知識と技術と執念を持ってしても獣人たちの「退化」を止めることはできない。結果として優性思想が排除しようとしていた劣等者たちを生み出してしまう――
(略)
モローの島は, 没落へ向かいながらも, 優性学により「健全な人種」を生み出そうとしていた大英帝国のペシミスティックな未来図となる。
[
素晴らしい論文だよ。紹介してくれたワクワクさんと、論文の書き手に感謝!
]
『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー - CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001201684001024
”H・G・ウェルズの『モロー博士の島』(1896年)は、ダーウィンやT・H・ハクスリーの進化論思想を用いて分析されたり、またスウィフト的寓意として解釈されてきた。しかしこれらの批評には、このテクストが産み出された当時の歴史的状況に対する考察が欠けている。本稿では、『モロー博士の島』を社会的、政治的文脈のなかに位置づけ、当時の社会情勢がこのテクストのなかにどのように表れているかを分析した。ロンブローゾ、ウィリアム・ブース『暗黒のイングランドとその出口』、ノルダウ『退化』といったテクストを参照しながら、初稿と出版稿との比較、白人の登場人物の象徴的意味、物語の寓意的意味といった点を中心に分析し、『モロー博士の島』が、大英帝国の衰退に対する恐怖心から生まれたイデオロギー-世紀末大英帝国の人種退化、植民地主義、優生学をめぐる言説-の交錯し重なり合った重層的なテクストであることを論じた。
収録刊行物
保健科学研究誌
保健科学研究誌 (2), 109-120, 2005-03-15
熊本保健科学大学
” ※着色は引用者
]
https://x.com/uxskf/status/1869522135515013443
”ワクワクさん
@uxskf
ロシアはそもそもあのエレナさんの国だからねぇ
オカルト大国としてシャルダンの友達のヴェルナツキーの記念硬貨とか発行してるくらいだし
さらに表示
午前8:16 · 2024年12月19日
·
334
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ワクワクさん
@uxskf
解放された世界と新世界秩序とタイムマシンに世界の頭脳とかくらいかあとは
宇宙戦争はメジャーになりすぎたけど
フリメの教科書
午前10:02 · 2024年12月19日
·
88
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https://x.com/uxskf/status/1869530810560520201
”ワクワクさん
@uxskf
グラントリアンによる歴史本だと世界史概観がおすすめだよ
世界史教科書の原型みたいなもん
欧州メーソン教育では間違いなく読まれてる エルサレムの話とか普通に笑える
午前8:50 · 2024年12月19日
·
354
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”
ウェルズ含めて当時の大東社の歴史観がよく分かる
午前10:05 · 2024年12月19日·91 件の表示
ーーーー
ワクワクさん
@uxskf
グラントリアンによる歴史本だと世界史概観がおすすめだよ
世界史教科書の原型みたいなもん
欧州メーソン教育では間違いなく読まれてる エルサレムの話とか普通に笑える
午前8:50 · 2024年12月19日
·
1,029
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農家で自給自足してる整体師
@NOUKA999666333
コメント失礼致します
コレでしょうか。
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午後1:01 · 2024年12月19日
·
79
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知りませんでしたので調べました
グラントリアンとは
フランスフリーメイソンの事なのですね
イルミナティの事も書いてありそう
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午後1:07 · 2024年12月19日
·
48
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ワクワクさん
@uxskf
あぁこれですね
フランス系フリーメーソンですね
この本の著者はロンドン出身ですけど
イルミナティの事は確か無いですよ
よくある世界史本
午後8:08 · 2024年12月19日
·
81
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農家で自給自足してる整体師
@NOUKA999666333
お返事ありがとうございます。
學びに読んでみます。
午後9:53 · 2024年12月19日
·
20 件の表示
ーーーー
(『モロー博士の島』論文について加筆中に発見:)
https://x.com/uxskf/status/1869748861646065775
”ワクワクさん
@uxskf
多くの人は獣人キャラ=有色人種、被植民地の人間、劣等扱いの人種
みたいなメタファーだった事をそもそも知らないで多分使ってる
ま、知ってるのもいるだろうけど
メーソンとか
午後11:17 · 2024年12月19日
·
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”
https://x.com/kitsuchitsuchi/status/1870134563252645913
”子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
論文のリンク↓
https://x.com/uxskf/status/1869520775604236526
『ブラウンローの新聞』は1932年の作品。
1971年11月10日の未来の新聞の内容が書かれている。
1931年11月10日が作中の時間。ちょうど40年後の赤組の予定表の一部であり、1971年までに世界連邦が実現。40を強調。書き手(作中人物)の名前がH・G・ウエルズ(笑)
引用
ワクワクさん
@uxskf
·
12月19日
https://khsu.repo.nii.ac.jp/record/84/files/KJ00004187121.pdf
この見方も面白くてモロー博士=大英帝国批判とか科学による優生学の失敗とか
だから神智学とか日本のイルミナティと連携して教育運動してたのが彼なわけだし
キリスト教による開花とか劣等人種扱いのメタファーとか
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午前0:49 · 2024年12月21日
”
[2024年12月23日に追加:
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTねここねこさんありがたや🙏今回の記事も大変参考になり🙏また、お返事ありがとうございます🙏もぐらコロッケのRTの中にちいかわの話が入っていたものは、画像がもぐらコロッケだったのでRTしていました。紛らわしくすみませんでした。
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引用
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
·
12月21日
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代…ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
に論文「『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー」等について加筆完了。
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このスレッドを表示
午前10:05 · 2024年12月22日
·
4
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改めてモロー博士を考えた時、多分打ち切りのような形になってしまったが、ジャンプで連載していたDear Anemoneとか、ジャンププラスの読みきりだったと思うがヒトナーとか、ヤングアニマルの動物人間とかもそうなのかなと思った。他にも人が手術など何かしらで動物になるみたいな感じのものだと
午前10:09 · 2024年12月22日
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呪術の夜蛾が使う傀儡操術も思い浮かぶ。夜蛾が作った呪骸なるものに、核、と言いつつ実は人の魂なのだが、それを入れて呪骸を動かす。呪骸は全部動物。人の魂を持った動物だ。呪骸の中でも成功し傑作となったものがパンダ。パンダの中には夜蛾のなくなった子どもの魂が三つ入っている
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午前10:13 · 2024年12月22日
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10
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兄と姉と弟。三つの魂がそれぞれを観測することで魂が安定し、自立型の呪骸が完成する。パンダの設定が出てきたときに、三位一体とかエヴァっぽいとか言われていたのを思い出す。パンダの兄はゴリラ、姉はトリケラトプス。弟はパンダ。今思えばヒト科のゴリラ、恐竜のトリケラトプス、
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午前10:21 · 2024年12月22日
·
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パンダと何かあるのかなと思ってしまう。今では珍しくないモロー博士設定。ワンピもだいたい研究所にいるものって喋る動物が多かったような。人が動物にもなるし、動物が人にもなるし。ヒロアカも動物モチーフのヒーローやヴィランも多いし。作者が好きなスパイダーマンもそうだ。
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午前10:24 · 2024年12月22日
·
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動物が可愛く歌って踊るみたいな、子ども向けのものは世界中にあったと思うが、漫画の設定みたいな大人向けみたいなものはあったにしろ、ネットの影響で本当にここ最近は凄い広がりを見せているように思わなくもない。
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午前10:26 · 2024年12月22日
·
10
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追加ここまで]
お読み下さり感謝!
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい(この2つが『ブラウンローの新聞』よりも明らかに重要)。
今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』です。
”
一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的なものを嗅ぎつけた批評家たちは、この作品を一種の煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。
”
(橋本槙矩「解説」、橋本槙矩、鈴木万里訳、H・G・ウエルズ原作『モロー博士の島 他九篇』に収録、岩波書店、1993年、岩波文庫 赤 二七六-三、 p.334)
(「煽情小説」のルビが「シヨツカー」であり、「ヨツ」は小さくないが、ショッカーと表記した。ルビは括弧で囲んだ)
(大きな文字と太字と赤字は引用者によるもの)
橋本槙矩, 鈴木万里訳『モロー博士の島 他九篇』岩波書店 (1993 岩波文庫)の備忘録(メモ)。
私以外の人の読書メモ記事に「解説によるとこの作品が発表された当時、批評家たちはこの作品を一種の「ショッカー(扇情小説)」として批判したらしい。」(後述)という旨が本当に書いてあるか確認のために読んだ。
『モロー博士の島』がショッカーだと批判されたって旨の箇所は実際に書かれているよ。
需要がありそうなので、収録順ではなく、解説とモロー博士の島の備忘録(メモ)を先に書く。
『モロー博士の島』は、動物(非人間)を人間化させて動物人間を作る狂気科学者(マッドサイエンティスト)というケツ社の本音担当の研究者が登場する。
人間に動物の要素を加える改造ではないのだが、『モロー博士の島』は初代仮面ライダー(と以降の作品)の元ネタだな。ショッカー博士の島(笑)
『モロー博士の島』って当時、煽情小説(ショッカー)だと批判されたから、元ネタ「だろう」ではなく「これ元ネタじゃん!」だよ。
モロー博士が狂気科学者(マッドサイエンティスト)なので、ショッカーに勧誘されそう(笑)
ただし、『モロー博士の島』には昆虫超人は登場しないので、昆虫超人は別の元ネタがあるだろうな。おそらくBEM(bug-eyed monster=昆虫の目を持つ怪物)が元ネタ。
昆虫型エイリアンが元ネタだろう。
ケツ社員が海外の作品を読んでいるのはおかしくないし、外国語ができる人に聞く手もある。それに、絵なら作品の言語がわからなくても造形(デザイン)に取り入れることは難しくないだろうな。
それと仮面ライダーシリーズの「悪こそ救世主(悪の力を使う。敵の力を使う。敵に似た力を使う)」思想の元ネタは、クラークの『幼年期の終わり』(1952年刊行)かもしれないな。このSFのオーバーロードの姿が悪魔そっくり。
なお、仮面シリーズの『鎧武』ではオーバーロードという名前の超人が登場する。
『鎧武』では主人公と、好敵手(赤属性)がオーバーロード化する。『鎧武』は、モロ幼年期の終わりだな。
https://x.com/kentaro666/status/1553896105414635520
”竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
画像
午前9:11 · 2022年8月1日
”
(上記の続き)
https://x.com/kentaro666/status/1553897174387560449
”「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
”
では目次だ。
目次
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい
・解説(煽情小説[ショッカー]だと『モロー博士の島』が批判されたと分かる箇所あり)
・『モロー博士の島』(その他の邦題『改造人間の島』)
The Island of Doctor Moreau (1896)
・『モロー博士の島』関連資料
・エピオルニス島
Aepyornis Island (1894)
(『イーピヨルスの島』『怪鳥イーピヨルニスの島』『怪鳥エピオルニス』など邦題が複数ある)
・『蛾』
The Moth (1895)
・『紫色のキノコ』
The Purple Pileus (1896)
(『赤むらさきのキノコ』って邦題もある)
・『パイクラフトの真実』
(他の邦題は『パイクラフトの真相』『パイクラフトの話』)
The Truth About Pyecraft (1903)
・ 『ブラウンローの新聞』
(その他の邦題が『未来新聞』)
The Queer Story of Brownlow's Newspaper (1932)
(1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』。赤組の予定表じゃん(笑))
・『故エルヴィシャム氏の物語』
(その他の邦題は『故エルヴシャム氏の話』『亡きエルヴシャム氏の物語』)
The Story of the Late Mr. Elvesham (1896)
・『マハラジャの財宝』
The Rajah's Treasure (1896)
・『デイヴィドソンの不思議な目』
(その他の邦題は『ダヴィドソンの眼の異様な体験』)
The Remarkable Case of Davidson's Eyes (1895)
・『アリの帝国』
The Empire of the Ants (1905)
解説
(最重要。煽情小説[ショッカー]だと『モロー博士の島』が批判されたと分かる箇所あり)
※【 】はルビの代役
p.333から
解説
(本書は、1993年11月16日 第1刷発行であることに注意して読んだ方がいいよ)
絶海の孤島は常に神秘的な謎を秘めて人間の想像力に訴えかけてきた。ギリシャ時代のアトランティス、中世のユートピアなどこれら蓬莱の島々は豊かな理想郷の夢を養ってきたのである。十八世紀という散文の時代に入ってもデフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719年)、スイフトの『ガリヴァー旅行記』(1726年)という代表的なユートピア文学が生み出されている。
しかし、冒険ユートピアの伝統の流れに位置する『モロー博士の島』はそれらの諸作品とは決定的に異なる特色を持っている。それはこの作品の主人公が科学者であり、物語が科学研究と進化論の妥当性をめぐって展開するところにある。H・G・ウエルズは『現代のユートピア』(1905年)の中で次のように言っている。「現代のユートピアはダーウィン以前のユートピアとはある根本的な点で区別される。従来のユートピアが完璧で静的なものであるのに対し、現代のそれは動的でなければならない」
ここには科学の発達と進化論が大きな影響を与えた【進歩】の時代の予言者ウエルズが顔を出している。キリスト教思想は動物と人間と神との間に一線を画す。ところが、進化論は動物から進化した人間がさらに進歩して神に近い完全な存在になる可能性を夢みさせるのである。人間が動物から進化したのなら、科学の力で疑似的神になった人間が、動物から人間を造り出すことだって可能ではないのだろうか……ここにモロー博士の島がひとつの実験室として登場するのである。
進化論を生体解剖学的に実証しようと研究の鬼となった博士は他のことは省みず「芸術品としての人間」を造ることに没頭する。節度と倫理を忘れた科学研究はやがて恐ろしい結果を生むのである。
(略。既にp.334)
”
一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的なものを嗅ぎつけた批評家たちは、この作品を一種の煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。
”
(橋本槙矩「解説」、橋本槙矩、鈴木万里訳、H・G・ウエルズ原作『モロー博士の島 他九篇』に収録、岩波書店、1993年、岩波文庫 赤 二七六-三、 p.334)
(「煽情小説」のルビが「シヨツカー」であり、「ヨツ」は小さくないが、ショッカーと表記した。ルビは括弧で囲んだ)
ショッカーの綴りはShockerか、shockerだろう。「衝撃的な、ショッキングな小説」という意味だろう。
大衆小説 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A1%86%E5%B0%8F%E8%AA%AC
”大衆小説(たいしゅうしょうせつ)、大衆文学(たいしゅうぶんがく)は、純文学に対して「芸術性」よりも通俗的で「娯楽性」に重きを置いている小説の総称で、時代物(現代物は通俗小説という)を指す。ただし、時代や論者によって、便宜上その語が意味するものが異なり、双方の区別なく「大衆文学」「大衆小説」と呼ばれることも多い。さらに今日では推理小説(探偵小説)やSF小説などを含めることも多く、その意味では「娯楽小説」「エンターテインメント小説」も同義語である。なお、純文学と大衆文学は必ずしも対極に位置するものと定義されているわけではなく、両立可能であるとする説もある。
(中略)
第一次世界大戦後のヨーロッパではミステリ小説、ピカレスク小説、「外套と短剣(Cloak and Dagger)」や恋愛小説がマスコミの発達とともに量産された。ホール・ケインなどによる、恋愛や家庭的事件を扱った問題小説(problem story)という分野は女性に人気を持ち、Sugar coated problem storyとも呼ばれた。エドガー・ウォレスの探偵小説は非常な人気を得たが、その多作ぶりのためバーナード・ショーには"Cheap Literature"、共産党の新聞からは"Shocker"といった悪評も受けた。
(中略)
最終更新 2024年7月25日 (木) 11:46 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
” ※着色は引用者
「煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。」の直後から開始。
煽情小説(ショッカー)だと批判したのである。次にこの作品の出版直後に『サタディ・レヴュー』に載ったP・C・ミッチェルというウエルズの知人でもあった動物学者の書評の一部を引用しよう。
「最後にモロー博士の実験の科学的妥当性にについて一言述べよう。私は物語の筋としてはこの作品に盛り込まれている科学的説明で十分だと思う。しかしウエルズ氏が注の中で次のように書いているのは少しやり過ぎだと思う。すなわち氏は「この作品にどれほど科学的信憑性が与えられているかが問題になるにせよ、動物人間が生体解剖学上可能であることは明白だ」と言うのである。ハイネマンから出版の予定されているオスカー・ハートヴィッヒの論文はこの移植と輸血の最近の学説を紹介しているが、それによれば、最近ではあの有名なハンターの移植の実験は不可能だとのことである。人間同士の皮膚の移植や輸血は可能だが、異なった動物間の移植は不可能だということだ」
真面目に移植や動物人間の可能性が論じられているところが現代の我々には少し滑稽でもある。我々はこの作品を読んで、むしろメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)を思い浮かべるのである。怪奇小説の古典のひとつであるこの小説のあらすじでは、モロー博士が自分の作品である動物人間に殺されるように、主人公フランケンシュタインも自分の造った怪物に殺されるという点で類似がある。事実、ウエルズは『モロー博士の島』を書く前に『フランケンシュタイン』を読んでその影響を受けているのである。しかし、それだけでは十九世紀末のフランケンシュタインたるモロー博士はできあがらない。ウエルズは博士の実験とその学説に現実性を持たせるために、十八世紀の解剖学者、ジョン・ハンターなどの諸説も取り入れているわけである。したがってモロー博士は当代の学者を論争に巻き込むほどの生理学上の知識を身に付けた新しいタイプの魔術師あるいは錬金術師なのである。
p.336から
進化論によれば、宇宙を支配しているのは神の摂理ではなく、盲目の【偶然】である。【進化】はこの盲目の【偶然】に左右される結果にすぎない。動物も人間もこの【偶然】に振り回されながら生存競争を生き延びなければならない。
英国に還った(原文ママ)プレンディックは思う…あらゆる人間は仮面の下に獣性を隠しているのではないか。否、人間はもしかしたら猫であり、豹そのものではないのか。「彼らの顔に獣性が現れて、モロー博士の島の堕落が英国全土で繰り返されるのではないか」と彼は考えるのである。ここに痛切な皮肉があるのではないか! 動物の人間への改造が企てられている島で、人間の動物への退化が予見されているのである。となるとウエルズは単なる進歩主義者ではなく、進化と同時に退化を深刻に危惧した複眼的作家ということになろう。
(退化って進化の一種だから、進化の対義語じゃないんだけどな。
進化ではなく進歩だな。
理学エッセイ 第50回 退化も進化 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
土松 隆志(生物科学専攻 准教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/7213
”初学者向けの進化生物学の講義の初回では,いつも「進化とは何か」というテーマをあつかうのだが,そこで触れるのが「退化も進化」という話である。
一般に進化というと,能力や性能が向上したり進歩したりといったニュアンスがある。一方,生物学的な進化は,「世代を通じて生物集団の性質が変化していくこと」とだけ定義されており,そこに進歩的な意味合いはまったくない。たとえば,暗い洞窟に生きる魚では視力が失われているなど,器官の欠損や消失のような「退化」的現象は生物の世界ではよく知られている。これらも世代を経る過程で徐々に生じてきたものであり,定義上は進化の一種ということになる。
(略)
花粉を減らすことも花が小さくなることも,一見「退化」のようにも見えるが,実は植物の賢い生存戦略である。 冒頭で触れた洞窟魚が視力を失う話も,眼の神経組織をつくるためにはかなりのエネルギーが必要であることが明ら かになってきた。洞窟魚の眼は,なくてもよいから錆びついていったというよりは,むしろなくなることにメリットがあったのである。退化とみなすかどうかは,あくまで人間の恣意的な印象に過ぎないことが分かる。進化というレンズを通してみることで,はじめて浮かび上がる生物の巧みな生き様があるように思う。
” ※着色は引用者
)
最後に再度強調したいのは『モロー博士の島』はダーウィンの『種の起源』(1859年)や『人類の起源』(1871年)の影響を強く受けている点である。人間の起源が狭鼻猿類にあるというダーウィンの説がなぜこれほどの衝撃を与えたのか仏教に慣れ親しんだ我々には理解しがたいが、その最大の理由はキリスト教が神と人間と動物の間に越えられない断絶を措定してきたからである。
西洋のキリスト教思想では神との断絶が信仰を、動物との断絶が人間の矜持を支えてきた。しかし世紀末には神の死が宣告され、動物と人間の断絶の垣根が取り払われたのである。その狼狽と恐怖の影が世紀末の文学に深い影を落としており、語り手のプレンディックのペシミズムも以上の歴史的文脈で理解すべきものである。
p.338から
『マハラジャの財宝』と『ブラウンローの新聞』は日本に初紹介の作品である。前者はインドの藩王国を舞台にした権力と財宝を巡る骨肉の争いと滑稽で意外な結末のコントラストが魅力である。後者は不思議な現象が起きて、未来の新聞を読めるようになった男の物語である。1932年の作品で、新聞は1971年のものという設定なので、ウエルズが我々の時代をどのように予想していたかが分かって興味深い。
『蛾』『紫色のキノコ』『アリの帝国』の三篇は鈴木が分担し、他の作品は橋本が分担したが、文体の統一は橋本が行なった。
本文庫の『タイム・マシン』『透明人間』に続いて、この度もいろいろと御尽力いただいた岩波書店の平田賢一氏に御礼申し上げる。
1993年10月
橋本槙矩
(本書は数字が漢数字なのだが、横書きだと読みにくい気がするのでアラビア数字に変えている)
[橋本槙矩(まきのり)と鈴木万里(まり)。『モロー博士の島』の担当は橋本槙矩(まきのり)]
(『モロー博士の島』は、1989年の旺文社文庫版だと『改造人間の島』という題名。
「仮面ライダーの影響を受けたのか?」って思える題名だな(笑)
日本語訳はウィキだと最初の和訳は、『モロー博士の島』 木村信次訳、大正13年。
つまり大正時代には和訳がすでにある。この時点で『モロー博士の島』という題名。
『改造人間の島』という題名なのは、 橋本槙矩訳、旺文社〈旺文社文庫〉、1977年のみ。
他はすべて『モロー博士の島』 だ。
ということは、初代仮面ライダーの改造人間という単語は『モロー博士の島』の邦題の1つ『改造人間の島』由来ではないな。
『仮面ライダー』の放送期間は、1971年4月3日から1973年2月10日までなので、1977年の『改造人間の島』より先だ。もしかしたら、仮面ライダーの元ネタが『モロー博士の島』だと気づいた翻訳者が『改造人間の島』と名付けたのかもしれない。
「改造人間」だと人間主体だと思ってしまうのは仮面ライダーの影響かもな。
人間主体っていうのは、人間を改造して、他の生物の性質を加えるって意味ね)
モロー博士の島 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E3%81%AE%E5%B3%B6
”『モロー博士の島』(モローはかせのしま、The Island of Dr. Moreau)は、イギリスの小説家ハーバート・ジョージ・ウェルズが1896年に発表した小説。
ウェルズの人気を高めた小説のひとつであり、『タイム・マシン』や『透明人間』と同じく1890年代に発表された。他の生物を人間のように改造するという設定が話題を呼び、発表当時はアーサー・マッケンの『パンの大神』(1894年)と比較された[1]。何度か映画化もされている。
(略)
日本語訳
• 『モロー博士の島』 木村信次訳、大正13年。
• 『モロー博士の島』 土屋光司訳、三邦出版社、昭和16年。
• 『モロー博士の島 H.G.ウエルズ傑作集 1』 宇野利泰訳、早川書房〈ハヤカワ文庫SF〉、1977年
• 『モロー博士の島』 能島武文訳、岩波書店〈岩波文庫〉、昭和42年。
• 『改造人間の島』 橋本槙矩訳、旺文社〈旺文社文庫〉、1977年。 - ウェルズ年譜あり
• 『モロー博士の島 他九篇』 橋本槙矩・鈴木万里訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1993年11月、ISBN 4-00-322763-8
• 『モロー博士の島』 中村融訳、東京創元社〈創元SF文庫〉、1996年9月、ISBN 4-488-60707-1
• 『モロー博士の島』 雨沢泰訳、偕成社〈偕成社文庫〉、1996年。 - 児童向け版、ISBN 4-03-652140-3
本作品には、プレンディックの甥で遺産相続人であるチャールズによる前書きがついているが、この前書きが訳されていない版がある。
映画化
• Island of Lost Souls (1933) 邦題『獣人島』 - 主演はチャールズ・ロートン、ベラ・ルゴシ。
• The Island of Dr. Moreau (1977) 邦題『ドクター・モローの島』 - 主演はバート・ランカスター、マイケル・ヨーク.
• The Island of Dr. Moreau (1996) 邦題『D.N.A./ドクター・モローの島』 - 主演はマーロン・ブランド、ヴァル・キルマー
(略)
関連項目
• マッド・サイエンティスト
• リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン - モロー博士が、アルフォンス・モローという名で登場する。なお、同作者の『タイム・マシン』のキャラクターも登場する。
• 獣人
• おぼっちゃまくん - モロー博士と007シリーズ第1作『007 ドクター・ノオ』のジュリアス・ノオ博士のパロディキャラクーであるBCG(ブラック・チューシャ・グンダン)首領ドクター・モオが登場する。
• ブラジルから来た少年 (映画) - ヒトラーのクローンを問題化した映画。
• ドラえもん のび太の南海大冒険 - モロー博士をモデルにしたDr.クロンが登場する。
• 星のカービィ (アニメ) - 第75話「夢の恐竜天国!(前編)」と第76話「夢の恐竜天国!(後編)」に、モロー博士のパロディキャラクターであるドクター・モロが登場する。
(略)
最終更新 2021年12月25日 (土) 22:10 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
” ※着色は引用者
(上記に仮面ライダーシリーズや『けものフレンズ』が無いな)
『モロー博士の島』(その他の邦題『改造人間の島』)
The Island of Doctor Moreau (1896)
『モロー博士の島』については、朗読動画や全文和訳がネットにあるから『モロー博士の島』だけを内容確認したいなら本書を読む必要はない。
だが、私が読んだ岩波文庫版は解説が優れている。優れた解説は以下では読めない。
【朗読/小説/SF】モロー博士の島1(H.G.ウェルズ)【リマスター版】
https://www.youtube.com/watch?v=rPP6qUECuXI
文章版(和訳)はこちら
モロー博士の島
https://open-shelf.appspot.com/TheIslandOfDoctorMoreau/index.html
これより、『モロー博士の島』の箇所に入る。
p.208から
まえがき
レディ・ヴェイン号が(略)で漂流船と衝突し沈没したのは、1887年2月1日だった。南米、ペルーのカヤオでこの帆船に乗りこんだ私の叔父、エドワード・プレンディックは、溺死したと思われていた。ところが1888年1月5日、すなわち遭難から十一ヵ月と五日後、彼は(略)で無事救助されたのである。
(年代特定のために記した)
p.215
「君は死にかけていたんだ。危ういところだったが注射をしたのがよかったんだろう。腕が痛くないか? なにしろ二日ちかく意識不明だったのだからな」
私の思考力は、まだ回復していなかった。
(略)
「なにか固形物を食べてもいいだろうか」
「いいとも。いま羊肉(マトン)が煮えているところだ」
「羊肉なら食べられると思う…」
[
「私」とは本作の語り手にして主人公のエドワード・プレンディック (Edward Prendick)のことだ。
二日ちかくか。三日ならキリストが元ネタかもしれなかったのにな。
考えすぎだって? だって、直後に羊肉だぞ? 羊。
後述するが、この主人公の設定にウェルズが自身の経歴を混ぜているから、三日は避けたのかもな(笑) さすがに自分がキリストなのは傲慢すぎるもんな
]
p234
[モロー博士 (Doctor Moreau)の見た目の描写が登場]
(白髪の男=)彼は秀でた額をした重々しい目鼻立ちのがっしりした体格の男だった。年配の人によく見られるようなうわまぶたの皮膚が垂れた男で、きつく結んだ口の端(は)がへの字に曲がっているところは頑固な性格を思わせた。彼がモントゴメリに語りかける声は低すぎて私には聞き取れなかった。
[
モンゴメリー (Montgomery)はモロー博士の助手
]
p236
彼は私の目をじっと見た。
「プレンディックさん。君が教養のある紳士であることは聞きましたよ」
そう言われて私は科学師範学校で何年間か勉強したこと、T・H・ハクスリーのもとで生物学の研究をしたことなどを話した。彼は驚いたようだった。
「そうですか、それなら話は違ってきますな。プレンディックさん」
そこで彼は少しもったいをつけてから先を続けた。
「実はわしも生物学者でね。この島にはわしの実験室があるのだよ」
[
科学師範学校で学んだことや、T・H・ハクスリーのもとで生物学の研究をした設定の元ネタはおそらく、ウェルズが科学師範学校でT・H・ハクスリーの講義で学んだことだろうな。
つまり、主人公にはウェルズが混ざっている。
トマス・ヘンリー・ハクスリー(Thomas Henry Huxley。1825年5月4日~1895年6月29日)は生物学者。ダーウィンの進化論の賛同者。
トマス・ヘンリー・ハクスリーの息子の1人がレナード・ハクスリー。
レナードの息子の1人がオルダス・ハクスリーだ。
レナードの息子は他にもいて、例えば、ジュリアンはユネスコの初代事務局長であり世界自然保護基金の創設メンバーだ。
同じくレナードの息子アンドリューはノーベル生理学・医学賞を1963年に受賞した。
ケツ社員の家だな(笑)
ハーバート ジョージ ウェルズ | 糖尿病サイト
https://www.club-dm.jp/novocare_all_in/novocare-circle/celebrity/celebrity13.html
”ハーバート ジョージ ウェルズ (1866~1946)
NO.13
ウェルズはケント州ブロムリー(現在のブロムリー・ロンドン特別区)の下層階級の商人の家に生まれました。貧しかったため、十分な教育も受けられず、父の死後は反物商や薬局などに働きに出ますが、どれも長続きしませんでした。その後、奨学金でサウス・ケンジントンの科学師範学校(現インペリアル・カレッジ)に入学しました。そこでトマス・ヘンリー・ハクスリーの下、生物学などを学び、特に進化論はウェルズに大きな影響を与えました。進化論と当時の最新科学を学んだことが、「タイム・マシン」、「モロー博士の島」、「透明人間」、「宇宙戦争」などのSF小説を生み出すことに繋がりました。
作家活動だけでなく、社会活動にも熱心だったウェルズは、第一次世界大戦中に「戦争を根絶する戦争」という論文で、大戦後に戦争と主権国家の根絶を考え、国際連盟を樹立すべく尽力しました。
ウェルズは生涯を通して気管支炎や神経炎など、様々な病気を患いましたが、1930年代初頭に60歳代で糖尿病と診断されます。そして1934年、ウェルズは糖尿病協会の設立をタイムズ紙上で市民に呼びかけます。「糖尿病協会とは、豊かな人も貧しい人も隔たりなく、全ての糖尿病のある方の相互支援を助け、糖尿病の研究や広報活動を支援する…… 」そしてその結果、英国では糖尿病協会が設立されました。
19世紀後半に人目を驚かす斬新なSF小説を発表したウェルズは、1946年8月、ロンドンの邸宅で肝臓がんのために、静かに息を引き取りました。その遺灰は彼の子どもたちの手で大海原にまかれました。
” ※着色は引用者
ウェルズ(うぇるず)とは? 意味や使い方 - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E3%81%86%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%9A-1507504
”
日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェルズ」の意味・わかりやすい解説
ウェルズ(Herbert George Wells)
うぇるず
Herbert George Wells
(1866―1946)
イギリスの小説家、文明批評家。20世紀初頭の思想界に大きな影響を与えた。9月21日、ケント州ブロムリー(現、ロンドンの一部)の貧しい商家に生まれ、8歳から13歳まで商業学校に通ったのち、徒弟奉公に出され、服地屋の丁稚(でっち)、薬剤師助手など職を転々とした。1884年奨学金を得てサウス・ケンジントンの理科師範学校(現、ロンドン大学理学部)に入学、T・H・ハクスリーなどの講義を聞き、科学万能の世界に浸った。1888年優等で同校を卒業、理科教師の生活に入ったが、まもなくジャーナリズムの世界に転じた。このころから小説を書き始め、1895年に発表した処女作『タイム・マシン』は好評を博し、いまでもSFの古典となっている。その後も『驚くべき来訪』(1895)、『モロウ博士の島』(1896)、『透明人間』(1897)、『宇宙戦争』(1898)などの科学小説を精力的に発表した。これらの作品すべてに、日常生活の不安定さと未来の人類の位置とその没落が暗示されていることは注目に値する。
20世紀に入ると文明批評的な関心が深まる。世相に対する風刺とユーモアを特徴とし、彼の貧しい少年時代を詳しく描いた普通の小説『キップス』(1905)、『ポリー氏』(1910)や自伝的傾向の強い『トノ・バンゲイ』(1909)などはすべて彼の社会思想の告白でもある。1903年フェビアン協会に参加、この協会の穏健な社会主義綱領に飽き足らず、G・B・ショーなどと対立しながら、彼独自の合理主義的社会観を表明し続けた。これらを小説の形で示したものが、人類の理想と進歩に関する一群の思想小説『予想』(1901)、『完成中の人類』(1903)、『近代的理想郷』(1905)、『新マキアベリ』(1911)であるが、この時期にすでに原爆を使用した科学小説『解放された世界』(1914)を書いている。その後、彼の社会的関心はますます強まり、知的国際連盟とも称すべき彼の理想を、『世界文化史大系』20巻(1920)や続編『生命の科学』(1929)などの形で精力的に表現。1946年8月13日、ロンドンで没。著書100冊を超える彼の生涯をひとことでいうならば、後期のペシミスティックな傾向にもかかわらずビクトリア朝の上昇階級であった下層中産階級の一員として、普通教育の普及の波のなかで科学と知性による迷信の排除と人類の合理的進歩という信念を語り続けたものということができる。
[鈴木建三 2015年7月21日]
『阿部知二訳『ウェルズSF傑作集』全3冊(創元推理文庫)』▽『マッケンジー著、村松仙太郎訳『時の旅人』(1978・早川書房/上下・ハヤカワ文庫)』
” ※着色は引用者
ウェルズは上流階級出身ではない。
]
p241から
私はモントゴメリの手下の醜い男の目を思い出していた。
ちょうどそのとき黒ずんだ顔の男が入ってきた。コーヒーとゆでた野菜を載せた皿を運んできたのである。彼は愛想よく頭を下げ、食卓に持ってきたものを並べてくれた。おじぎをしたとき、私は彼の剛い頭髪の下の耳が異常に尖って、黄色い毛が生えているのを見た。
「ダンナ、朝食デス」
と彼は言って、おどおどした落ち着きのない目で私を見てそれから出て行った。そのときふとあることが記憶によみがえった。モローいやホローだったかな? いや確かにモローだ。私の記憶は十年前に遡った。「モロー博士の恐怖」という言葉が脳裏に鮮明に浮かんできた。あれは確か薄黄色の小冊子に印刷された赤い文字だった。そうだ! 思い出したぞ。あの当時、私はまだ若かった。モロー博士は五十歳くらいだったはずだ。彼は傑出した生理学者でそのすばらしい想像力と弁舌によって科学者の間でも名を知られていた。
[
モロー博士は現時点で60歳くらいなのだろう
]
同一人物だろうか? 同じモロー博士なら輸血と腫瘍についての貴重な研究でも有名だったはずである。しかしある事件によってモロー博士のロンドンでの華々しい人生は突然閉ざされたのだった。あるジャーナリストが実験助手に化けて博士の研究室に入りこんだ。むろん博士の研究の秘密を暴露しようという腹づもりであった。しかしこの男が何もしないうちに偶然が博士の秘密をもらしてしまった。例の小冊子が発表されたのと同じ日に、皮を剝がれ、身体の一部を切断された犬が博士の研究室から逃げだして来たのだった。それはちょうど運悪く人々が醜聞(スキャンダル)に飢えていた時節だった。このジャーナリストの従兄(いとこ)で名を知られた編集者がこれを大袈裟に書きたてた。人々は待ってましたとばかりにモロー博士を非難しはじめ、博士は英国から出奔してしまったのだった。博士を弁護する科学者はひとりもいなかったのだ。
ここまで思い出して私は白髪の男がモロー博士であることを確信した。
[
輸血はケツ社で重要分野なのだろうな
]
p249から
私の目の前の茸のはえた倒木の上に三人のグロテスクな人影が座っている。私には気づいていないようだ。そのうちの一人は明らかに女である。腰に巻いた紅色の腰巻を除いて裸である。肌はくすんだピンクである。こんな色の肌をしている未開人は初めて見た。顎のない丸い顔、後退している額、頭のわずかな剛毛。こんなに動物的な人間を見るのは初めてだ。
(略)
彼らは円を描いて踊りながら足を踏み鳴らし、腕を振った。彼らの唱和にリズムが生まれた。
(略)
これらのなぞの儀式に熱中している連中は、姿は人間だがどこか見慣れた動物の雰囲気を持っているのだ。彼らはその装いにもかかわらずまごうかたなく豚を思わせるところがあった。
p260から
一本の椰子の木に猿がぶら下がっている。いやよく見ると猿ではなくて、先日浜辺で見かけた男である。彼はさかんに話しかけてくるが「ユー、ユー」としか聞こえない。この猿男にはどことなく愛敬(あいきょう)があった。(略)
「いち、にい、さん、しい、ごう」私の指の数と自分の指の数が同じだとわかるとにっこり笑った。後に判明したことだが、動物人間の大多数は変形した手をしていて指さえもないことがあった。私は聞いた。
(略)
ほとんど白痴に近い知能しかないらしかった。
[
猿男は西洋思想では重大な意味を持つ。人間が科学技術で人工的に猿を人間化した。
猿から人間になったという進化論が元の話だから、猿男を登場させたのだろうな。
]
p262から
第十二章 動物人間の掟
[
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html
によると、動物人間の原語はthe Beast Folk。
]
まるで生皮を剥がれた子供のような小さい桃色の生き物がいた。それはナマケモノに似た低い額を持ち、ゆっくりした動作で動いていた。その生き物は立ち上がって私を見た。
桃色の生き物は入口に立っていた。他にくすんだ茶色の顔をして目が光る生き物が私を肩越しに見ていた。
向かいの暗がりにいる者が「おい!」と声をかけた。
「人間! おいらと同じ人間だよ」私を案内した男が行った。
「黙れ!」暗闇の男が言った。私はココナツを齧った。目を凝らしたが何も見えない。
「四本足で歩くなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「水を啜るなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「肉、魚を食うなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
「木の幹をひっ掻くなかれ、これ掟なり。我らはニンゲンならずや――」
これらの愚行の戒めの掟の後に常識では考えられないような、そして口にするのは憚られるような戒律が続いた。
(
食人や共食いを防止するために肉食禁止の戒律があるのだろう。
単なる菜食主義ではない。
四本足で歩くなかれって、オーウェルの、1945年8月17日に刊行された『動物農場』の「よつあしいい、ふたつあしだめ」に影響してそうだな。『動物農場』だと「二足で歩くものはすべて敵である」なので、『モロー博士の島』の戒律と真逆だ。あくまで発想元なのだろう。
『動物農場』のナポレオンって豚は最終的に2本足で立つ。『モロー博士の島』には豚人が登場する。これはモロモロー博士だな。
『動物農場 おとぎばなし』 『1984年』。新語法の実例
Posted on 2024.05.24 Fri 22:14:27
http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-325.html
中出 佳範
@NEOSBREAK
動物農場読みました。
ナポレオンと名乗るブタ達が農場から人間を追い出し、徐々に平等をなくしていき、最後は二本足で歩き、太った人間と見分けがつかなくなってしまう。馬はその名の通り馬鹿、馬車馬の様に働き、犬は忠犬で、羊は叫ぶ奴隷。動物なのでブタ以外は考えること自体が苦手な描写が切ない
午後9:53 · 2019年2月13日
星野真志
@masasihosino
気晴らしにH.G.ウェルズのThe History of Mr. Pollyを読み始めた。ウェルズの下層中産階級小説はオーウェルに多大な影響を与えているらしいですが、読んでなるほど、Coming Up for Airにそっくり。読みやすい、短い、笑えるという三拍子揃った作品です。
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午前1:50 · 2012年7月30日
https://x.com/uxskf/status/1751639860874805432
”ワクワクさん
@uxskf
結局 未来予告、計画表として露骨にディストピアを小説をやり出したのウェルズだからね 新百科全書運動
オーウェルもハクスリーも影響されてるのは間違いないし
タイムマシンとかループみたいな設定入ったディストピアものとか要注意
午前1:14 · 2024年1月29日·2,308 件の表示”
https://x.com/uxskf/status/1829593381171081367
”ワクワクさん
@uxskf
後世への影響なら間違いなくその基盤、赤の聖典を書いたウェルズだろうけど
ハクスリーなんかも凄い
オーウェルは重要だけど実はここら辺の人たちの後の人だからね
タイムマシン、解放された世界にモダンユートピア、すばらしい新世界あたりを超える影響を持つSFはあるかな
午前3:53 · 2024年8月31日
·
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”
https://x.com/uxskf/status/1727969067674615879
”ワクワクさん
@uxskf
オーウェルが思いっきり影響受けました、彼が居なかったら私達の世界はなかったと言ってる
ウェルズのモダンユートピアや公然たる陰謀という今の陰謀及び陰謀論の基盤を読んでほしいのだがどっちも和訳されてないはずなんだよなぁ
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午後5:35 · 2023年11月24日
·
5,186
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”
https://x.com/uxskf/status/1727969631066063039
”アレが未来の予定表であり今の陰謀論と多くのその後の創作物の基盤であり
当時の赤の最重要クラスの本だったはずなので
紐付き陰謀論者の本なんかより1番に手に取って欲しいのだけどね
なんせこの国の戦後の基盤の1つでもあるので
午後5:37 · 2023年11月24日
·
3,510 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1727969067674615879
”ワクワクさん
@uxskf
オーウェルが思いっきり影響受けました、彼が居なかったら私達の世界はなかったと言ってる
ウェルズのモダンユートピアや公然たる陰謀という今の陰謀及び陰謀論の基盤を読んでほしいのだがどっちも和訳されてないはずなんだよなぁ
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午後5:35 · 2023年11月24日
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”
[上記から始まる会話]
鯵水 葉一郎
@wanderingmemes
調べたら、「未だ和訳のない問題作」とありました。Kindleで英語版が無料でした😂
午後5:38 · 2023年11月24日
·
473
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ワクワクさん
@uxskf
和訳のない問題作ですか笑
アレが意図的に書かれた今のエリートによる世界統一やら完全管理社会だかNWOだかの陰謀論の元祖だと思うんですけどね
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午後5:40 · 2023年11月24日
·
515
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鯵水 葉一郎
@wanderingmemes
作家自身にそのような理念、もしくは先見の明があったのは、ほぼ間違いないように想像します。
まだ一冊も読んでいないので、早く読みたいと思っています。
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午後5:46 · 2023年11月24日
·
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)
p265から
ついに歌が終わった。猿男の顔に汗が光っている。暗闇に慣れたせいか私は奥の片隅にいる人物の姿をもっとはっきりと見ることができた。それは人間の大きさだったが、スカイ島のテリア犬に似た灰色の毛で覆われていた。
「彼は五本指だ。おいらみたいに」と猿男が言った。
私は指を突き出してみせた。灰色の男が身を乗り出した。「四本足で歩くなかれ。我らはニンゲンならずや」と彼は言って奇妙に歪んだ自分の鉤爪で私の手をつかんだ。それは鹿のひづめのような手だった。
ぞっとしたことには、彼は人間とも獣ともつかぬ顔をしていた。全体を灰色の手が覆っていて、目と口の位置に影のような弓なりの穴が開いているだけなのだ。
入り口に立っていた斑の動物人間が言った。
「歯で嚙みきるなかれ、地面を嗅ぐなかれ」
p272から
第十四章 モロー博士の告白
「さて、プレンディック、よく聞いてくれ」
家に戻って食事が終わるとモロー博士が口をきった。
「君の気が強いのには、わしも参ったよ。今度、同じことが起きても助けてやらんぞ」
彼は椅子に座って煙草を吸っていたが、煙草を持つ手は博士のずんぐりした身体つきに似合わず、非常に器用そうに見えた。揺れるランプの灯が彼の白髪を照らしていた。
「わしが生体解剖したのはピューマだということは認めてくれるね」
彼はすでに実験室を私に見せてくれていた。
彼らは動物から改造された人間だったのだ。生体解剖学上の奇蹟的成果だとモロー博士は語った。
「君は腕のたつ解剖学者の業績のことを忘れているようだ。しかしわしはこんなことはとうの昔にやられていても不思議ではなかったと思っている。手足の切断や舌の切除などは今までも行なわれてきたし、斜視が手術で治ることは周知のとおりだ。切除の場合、色素が変化したり、情緒に変異が見られることは君も知っているだろう。ときには脂肪組織が変化するような合併症も見られる」
「もちろん知ってますとも。しかしあなたの動物人間は醜い……」
「まあそうあせらずに聞きたまえ。外科手術は切除だけでなく、移植もやる。たとえば鼻の整形手術を知っているだろう? 顔の皮膚を鼻に移すやつだ。わしのやっているのもこれと同じで動物の移植手術なんだよ。種類の異なる動物の間の移植も可能だ。皮膚と骨の移植を同時にやると治癒が早い。外科医は時に怪我の個所に動物の皮膚を移植したりしている。牛の首に雄鶏のけづめを移植して成功した例もある。ああそうだ。君はアルジェリアの犀鼠(さいねずみ)のことを知らないか。あれは尾を鼻に移植して作られた改造動物なのだ」
「すると私が見たのは…」
「そう、君が見たのはわしが作った動物人間なんだよ。動物を生かしたままどこまで改造できるか――これがわしの生涯をかけた研究課題なのだ。永年の研究でいろいろの新しい発見があった。君は驚いたような顔をしてるな。しかしわしのやっていることは新しいことではないのだ。もう何年も前から論じられたことを実行してみる勇気のある解剖学者がいなかっただけのことだよ。整形だけじゃない。生理的にも改造し、身体の化学的リズムを変えることだって可能だ。ワクチンその他の予防接種があるだろう。あれに似た方法だと思えばいい。
わしが最初に手がけたのは輸血だった。現在では忘れられてしまったが、中世には汎(ひろ)く行なわれていた手術がある。
(略)
そろそろ君にもわかってきたかな、動物の身体の組織の移植はもちろん、化学的反応能力や成長過程までも変えられるのさ、手足の関節を変形させるくらい朝めしまえだよ。
しかしこの分野を一貫して組織的に研究した者は現代医学者の中ではわしひとりだ! 昔、暴君や犯罪者の中には偶然に初歩的な生体実験を行なった者もいただろう。馬や犬の育種家(ブリーダー)、実利を求める未熟な職人たちもいただろう。だがわしのように生理学と衛生学の両方の知識を武器として取り組んだ者はいなかったのだ。
(略)
生体解剖の可能性は肉体的なものだけではない。精神構造を変えることも可能なのだ。豚だって教育できないわけではない。わしは催眠術を利用して動物の本能を取り去り、代わりに別の思考能力を植えつけることに成功したのだ。いわゆる道徳教育というものも人工的に本能を抑えて訓導するところに意味がある。たとえば闘争性を自己犠牲の精神に、性欲を宗教感情へと昇華させるようにね。人間と猿の最も大きな相違は実は喉頭(こうとう)にあるのだ。つまり人間の喉頭は思想を表すために微妙な音を出せるのに猿にはそれができないところに違いがあるのだよ」
私は彼が一息ついたところで聞いた。
「あなたはなぜ動物を人間に変えることを思いついたのですか?」
「わしは羊をラマに、ラマを羊に改造することもできたろう。しかし人間を造ること以上に芸術的なことがあろうか。実は人間以外のものを一度試みたのだが。一、二度……」
彼はしばらく物思いに耽(ふけ)っていた。
[
ウェルズも催眠術に注目していたようだな。
]
p276から
私は口をはさんだ。
「動物を虐待してよいものでしょうか? 生体解剖は治療に利用されるときだけ許されるべきだと思うのですが」
「そのとおり。しかしわしの考え方は他の人たちと違うのだ。君は物質主義者だろうが」
「私は物質主義者なんかではありません」
「いや、わしの目からみればほとんどの人間は物質主義者だ。物質主義者は苦痛を虐待と結びつけて考える。あるいは罪と結びつけて考える。そこに誤解があるのだ」
私は彼の詭弁に腹が立った。
「プレンディック、科学者にとって苦痛などというものは意味がない。苦痛なんてこの宇宙の塵の如き地球上で問題になるだけさ……。それにいったい苦痛とは何か真剣に考えたことはあるかね」
[
この箇所あたりは、倫理皆無科学者(マッドサイエンティスト)であることが分かる場面だ
]
「(略)
人間は知性的だからそれだけ危険を予防する能力も備わっており、痛みのような本能的防禦装置は必要としない。無用なものは遅かれ早かれ消滅するというのが進化の論理だ。
(略)
苦痛と快楽は天国とか地獄とは無関係なのさ。神学者の言う法悦なんて回教の楽園の美女と大差ない。苦痛も快楽も進化論によれば人間の中の動物性の名残にすぎない。
わしは研究の命ずるままに研究を続けてきた。
(略)
目の前の対象はもはや生き物ではなく課題であるということが。実験材料に同情して心をいためるなどということは、もう過去の思い出となってしまった。私は生物における可塑性の限界を極めたかったのだ」
「しかし」と私は言った「残酷な実験ですね」
「今日まで、わしは研究の倫理について頭を悩ませたことはない。自然を研究していると、自然と同じように冷淡になるものさ。わしらがこの島に来て十一年になる。わしらとはわしとモントゴメリと六人のカナカ原住民だ。最初のうちは失敗の連続だった。羊から手がけたが一匹目は執刀のミスで殺してしまったっけ。二匹目でやっと人間に近いものを完成したので包帯でぐるぐる巻いて治癒を待った。しかしそいつはもとの羊ほどの知恵もないしろものだったよ。臆病な動物は適当でないらしいので次にゴリラでやってみた。苦心惨憺、やっと動物人間第一号が完成した。大変だったのは頭脳の整形手術だった。
[
動物人間第一号は類人猿(ゴリラ)を改造して人間化させた改造人間。ダーウィンの進化論の影響だろうな。人工的に類人猿(霊長目ヒト上科に属するサル)を人間にできたら、進化論の科学的な証明になるだろうからだ。
人為的に、つまり強制的に人にするのと、進化は違うけどね
]
わしはゴリラ人間の教育には時間をかけた。まず英語の初歩、それから数の数え方というふうに教えこんでいった。彼の脳は白紙と同じだった。傷が癒ると(原文ママ)、会話も少しながらできるようになったので、わしは渓谷に住みついたカナカ原住民たちのところへ連れてゆき、密航者だといって紹介した。
カナカ原住民たちははじめゴリラ人間を恐れていたが、おとなしい性質だとわかると仲間に入れてくれ、教育も引き受けてくれた。やがてゴリラ人間はカナカ原住民よりも上手に小屋をつくるまでになった。わしは数日実験を休んでゴリラ人間について論文を書きあげ、英国の生理学会の迷妄を覚ますつもりでいた。ところがわしはたまたまゴリラ人間が木に登って、下にいる二人のカナカ原住民を罵っているところを目撃したのだ。彼はわしの理想とする動物人間にはほど遠かったのだ。英国へ連れ帰るにはもっと優れた動物人間を造る必要があった。どういうわけかゴリラ人間はもとのゴリラへ戻りつつあった。胸部の筋肉が再び異常にもりあがって、日ましに……。今度はピューマで実験することにしたのだ。
カナカ原住民は全員死んでしまったよ。ひとりはボートから海に落ちて、もうひとりは傷口が毒草に触れてね。ヨットで逃げた三人はおそらく溺死してしまったろう。残るもうひとりも殺された!」
(ここからp.280)
私は殺されたと聞いて不吉な予感がした。
「殺されたんですか!」
「実はわしは動物人間の他にあるものを造ったのだ。そいつが最後のカナカ原住民を殺してしまったのさ。そいつは手術がまだ完成しないうちに逃げ出したのだ。手足のない恐ろしい形相の生物で、蛇のように地面を這って進むのだ。もの凄い力を持ち、まるでイルカのように身体をくねらせて前進することもある。思い出しても恐ろしい奴だった。奴はジャングルに潜行して、生物を待ち伏せして襲った。わしらが捕獲に出かけると、奴は島の北部に逃げこんでしまった。わしらは二手に分かれて追いつけて行った。モントゴメリはわしと一緒に行動した。カナカ原住民はライフルを持っていた。しかし彼の死体が発見されたとき、ライフルの銃身は嚙み砕かれていた。そいつはモントゴメリが撃ち殺した。わしはあの事件以来、小さな動物を除いては人間だけを造ることにしたのだよ」
彼は溜息をついた。私は黙って彼の顔を見ていた。
[
蛇? レプティリアン(蛇人)かと思い、原文も確認。
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html
” “The fact is, after I had made a number of human creatures I made a Thing—” He hesitated.
“Yes?” said I.
“It was killed.”
“I don’t understand,” said I; “do you mean to say—”
“It killed the Kanaka—yes. It killed several other things that it caught. We chased it for a couple of days. It only got loose by accident—I never meant it to get away. It wasn’t finished. It was purely an experiment. It was a limbless thing, with a horrible face, that writhed along the ground in a serpentine fashion. It was immensely strong, and in infuriating pain. It lurked in the woods for some days, until we hunted it; and then it wriggled into the northern part of the island, and we divided the party to close in upon it. Montgomery insisted upon coming with me. The man had a rifle; and when his body was found, one of the barrels was curved into the shape of an S and very nearly bitten through. Montgomery shot the thing. After that I stuck to the ideal of humanity—except for little things.”
”
上記をDeepL和訳したものを私がさらに修正したのが以下:
『「事実、私は多くの人間の形の生物を作った後、”そいつ”を作ったんだ」彼はためらった。
「はい?」と私は言った。
「それは殺された」
「理解できない」と私は言った。「つまり……」
「それはカナカを殺した。他にも何匹か捕まえたものを殺した。私たちは2、3日それを追いかけた。たまたま逃げただけだ。逃がすつもりはなかった。あれは未完成だった。純粋に実験だったんだ。それは手足のない、恐ろしい顔をしたもので、蛇のように地面を這っていた。その力は絶大で、腹立たしいほどの痛みに苦しんでいた。私たちが狩りをするまで、それは何日も森の中に潜んでいた。その後、それは島の北部に蠢き出したので、私たちはパーティを分けてそれに迫った。モンゴメリーは私と一緒に行くと言い張った。その男はライフル銃を持っていたが、死体が発見されたとき、銃身の1つがS字型に曲がっていて、ほとんど噛み切られていた。モンゴメリはそれを撃ち殺した。それ以来、小さな動物を除いては、私は人間性の理想に忠実になった。』
serpentine:形や動きが蛇のような、蛇に似た。
蛇に似ているだけであるようだ。蛇属性ありだが蛇自体を改造したのではなさそうだ。
動物人間が何の動物が元なのかわかる箇所を、この記事で記しているのは、爬虫類人(レプティリアン)がいないか確かめるためだ。
本作には、爬虫類を改造したという意味での爬虫類人はいない。
が、蛇属性の動物人間はいる。蛇属性なら爬虫類人とみなせるので、爬虫類人(蛇属性。だが蛇を改造していないだろう)ならいる。
哺乳類しか改造しなかったのだろうな。
へー、蛇属性の動物人間(四肢無し)は登場するけど、爬虫類を直接改造した爬虫類人は登場しないんだ。意外だな。動物人間ではない存在として造ったってことは、最初から四肢が無かったのだろうな。最終的に四肢をつけて人型にする前に逃げ出したってことは無いだろうってことね。
改造手術が完了する前に脱走って初代仮面ライダーを想起させるな(笑) 元ネタの1つだな。
後に、手術完了前に脱走する動物人間が登場するよ。こちらは人型だろうから、モロに仮面ライダー1号の元ネタだな。
爬虫類人ってのは、人間を基礎に爬虫類の性質を合わせて強化された改造人間や、最初からホモ・サピエンスではない爬虫類系の人型生物のことだよ。場合によっては、ただのホモ・サピエンスであっても、爬虫類の属性持ちってだけで爬虫類人だとみなすよ。
それと、龍は爬虫類とみなすよ。
爬虫類「属性」だけでもそうみなすようにしないと、『仮面ライダー龍騎』みたいな仮面ライダーへの変身方法が武装型(肉体はホモ・サピエンスのまま)の作品に爬虫類人が登場しないことになるからだよ。
主人公が龍属性で、強敵が蛇属性で、明らかなケツ社系作品なのに、「本作に爬虫類人の仮面ライダーはいません」ってのはさすがにおかしいからね。
訳文にあるイルカは訳者が付け加えた表現だ。
]
「英国での九年の研究も数えると足かけ二十年になる。しかしまだすべての研究に必ず欠点があって不満だ。さらに努力しなくてはならない。予想以上のときと以下のときがある。しかしいつもわしが夢見る水準には届かないのだ。人間の形は簡単に造れるようになった。しなやかに、優雅にもできる。無骨で強くもできる。しかし手と指先が難しい。手間がかかって思うようには造れない。しかし最大の問題は脳の移植と再形成だ。予測できない空白や隙間ができて知能が低くなってしまう。どこか私の手の届かないところに脳の感情を司る部分があってうまくいかないのだ。欲望、本能、人間性を損う情欲、突然はじけて怒りや憎悪や恐怖で人間を包んでしまう不思議な貯水池のようなものだ。
よく観察すると君には不気味に見えるかもしれない(原文ママ。句点なし)私の作品は造った直後には紛れもない人間なのさ。しかししばらくして眺めると確信は揺らいでくる。次々と動物の特徴が表面に出てきて、私を睨むような気がする。しかし克服するつもりだ。私は動物を苦痛の実験にかけるたびに自分に向かって言っている。よし、今度こそ、動物性を消滅させて、理性的生き物を造るのだと。十年がどうだというのだ。人類はここまで来るのに十万年はかかっているのだ」
彼は暗い顔をして考え込んだ。
「しかし彼らは元に戻ってしまう。私の手を離れると動物性がいつのまにか戻ってくる……」
「それであなたは彼らをあの住処(すみか)に連れていくのですね?」
「いや、勝手に行ったのだ。彼らに獣性が認められるとわしはここを追い出す。やがて彼らはあそこに集まるようになった。彼らはわしたちとこの家を怖がっている。あそこには人間生活の真似事のようなものがある。モントゴメリが彼らを管轄しているのでよく知っている。彼は彼らのひとりふたりを私らの召使として訓練したのだ。彼は恥ずかしいと思っているらしいが、彼らのいく人かを好きらしい。わしは彼らを見ると自分の失敗を思い出して胸がむかつくんだ。わしは奴らに何の関心もない。奴らはカナカに来た伝道士(原文ママ)のおしえにしたがっているらしい……合理的生活の真似事のようなものがあるらしい。掟とやらがある。「すべて汝の」という讃美歌もな。住処を作り、果物を採取して、結婚もする。しかし私はすべてを見通す。彼らの魂を見ると、そこには滅ぶべき獣の心しか見えない。怒り、情欲、貪欲そんなものだけだ。しかし奇妙だ。彼らはすべての生物と同じように複雑だ。向上心というものが見られる。虚栄心、性欲、好奇心、そんなものから成り立っているのだが。彼らを見ると馬鹿にされたような気になる。しかしピューマには希望を持っている。頭部と頭脳に力を注いだのだから……」
[
じゃああの掟って博士が自分やモントゴメリが食い殺されないために作ったのではなさそうだな。
]
p283から
第十五章 動物人間
モントゴメリの部下ムリングのもつれたような声がした。
その日、ピューマの手術は完了したらしかったがモロー博士は姿を見せなかった。私はモントゴメリから動物人間たちの生活についていろいろ聞かされた。私が特に知りたかったのは、動物人間が博士たちを襲わない理由と彼らが共食いをしない理由だった。モントゴメリは次のように説明してくれた。
「博士と俺が安心していられるのはだね、彼らが低能で、物の考え方が限定されているおかげなんだよ。彼らは博士が植えつけたいくつかの固定観念に縛られているのさ。手術中に催眠術をかけられ、禁忌(タブー)を教えこまれたからね。しかし彼らの獣性が払拭されたわけではないので、掟を与えてそれから外れないように教育しているわけだ」
私は動物人間たちがこの掟を朗誦しているのを一度聞いていた。彼らはこの掟を厳格に守っているわけでもないらしいかった。博士とモントゴメリが特に気を遣っているのは彼らに血の味を覚えさせないということだった。彼らが一度血の味を覚えたらどんなことになるか、考えるだけでも身の毛がよだった。
モントゴメリの話ではネコ科の動物人間は夜になると掟を無視するという。動物性が強くなり、冒険心が目覚める。昼間は思いもかけないようなことをする。私が到着した晩に私のそばに忍び寄った豹人間はその例である。初期の頃は掟は秘かに夜だけ破られた。昼間はいろいろなタブーに対して遵守の精神があった。
[
ピューマは哺乳綱食肉目ネコ科ピューマ属。ネコ科。だから逃げ出したのかもね。
モントゴメリと書いているのでその通りに記しているのだが、Montgomery で調べるとモンゴメリーというtは発音しない読み方が出てくる。発音は「mən(t)gˈʌm(ə)ri 」なので、
モン(ト)ゴメリー。なのでモントゴメリでも間違いではないらしい。
]
p285から
ここで私は島の概略を書いておく。不規則な海岸線のこの島は周囲が七ないし八マイルの孤島である。(原注――これによるとこの島はノーブル島ではないかと思われる。)海底火山の噴火によってできたらしいが、今では三方を珊瑚礁に囲まれている。北のほうに火山の噴火口が残っている。その名残が温泉である。時々地震がある。噴煙が蒸気と共に噴き上がるのが見られる。島の人口はモントゴメリによればモローの作品だけでも六十人以上を数える。下草の中にいる人間になり損ねた小型の怪物は数えていない。
モローは全部で百二十人以上を造ったが、多くは死んだ。いつかの足のない化け物のように非業の死を遂げたものが多い。子孫が生まれても死亡率が高いそうだ。後天的な人間の特性は遺伝しないという。子供たちが生きのびたらモローは人間に改造する。女性は男性より数が少ないが、一夫一婦制にもかかわらず、女性はこっそり掟を犯す傾向があるらしい。
動物人間の特徴を詳細に説明することは容易ではない。また不幸なことに私はスケッチが苦手である。彼らに共通する顕著な特色は長い胴体に続く脚部が異常に短いことである。彼らは常に頭を前に傾けているが、これはおそらく背部が湾曲しているせいだろう。もちろん顔にも共通した点があった。突き出した下顎、尖った耳、巨大な突起物のような鼻、顔全体に生える毛などである。
猿男がクスクスと笑うのは例外だが、動物人間は笑うことができない。またモロー博士がいかに巧みに整形しようとも豹や牛や豚の原型をすべて隠しおおせるわけではなかった。声の質にはそれぞれ動物の特徴が残っていた。
最も醜く、見ただけで総毛だつのは豹人間とハイエナ男だった。身体がずばぬけて大きいのは牛人間で、ヨットに乗っていた三人がそうだった。それから掟の暗誦を指導している灰色の毛の動物人間がいたが、彼の原型が何であったかわからない。次に類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間、豚男と豚女、馬と犀の合成人間、猿男、熊と牛の合成人間、セント・バーナード人間などがいた。鼻をつまみたくなるような匂いの雌狐(めぎつね)人間もいたが、彼女は掟の熱烈な信奉者だと言われていた。
[
1国際マイル = 1760 ヤード = 1609.344 メートル。だいたい1.6km。
7マイルで11㎞ぐらい
]
p.287
モントゴメリと最も親しいムリングは他の動物人間と違ってモロー博士の家の裏手にある小屋に棲んでいた。この男の知能は低かったがモントゴメリの訓練のおかげで、食事の仕度の他に雑務を果たすことができた。
島に永くいるにつれて、人間とはそもそも何であるかということについての私の概念も変化してきたらしい。
(中略)
雌たちは自分たちの外見の見苦しさを本能的に気づくせいなのかどうかわからないが、結果として人間以上に身だしなみに気を遣っていた。
[そして直後に
第十六章 血の味
に続く。15章の「モントゴメリと最も親しいムリングは他の動物人間と違ってモロー博士の家の裏手にある小屋に棲んでいた 」あたりにあたる原文にはムリングが熊と犬と雄牛の合成生物であることが記述されているのだが、この訳文にはない。
意図的に訳者が省いたか、翻訳元の原文自体に省略があるかだろうな。なので岩波文庫版は、解説以外はお勧めできないな。
英語版ウィキに、本作に登場する動物人間の一覧があるので便利だ。何の動物が元かわかる場合は書いてくれているのでありがたい。
The Island of Doctor Moreau - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Island_of_Doctor_Moreau#Beast_Folk
15章の終わりかけの箇所↓
The Project Gutenberg eBook of The island of Doctor Moreau
https://www.gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html#chap15
“M’ling, the black-faced man, Montgomery’s attendant, the first of the Beast Folk I had encountered, did not live with the others across the island, but in a small kennel at the back of the enclosure. The creature was scarcely so intelligent as the Ape-man, but far more docile, and the most human-looking of all the Beast Folk; and Montgomery had trained it to prepare food, and indeed to discharge all the trivial domestic offices that were required. It was a complex trophy of Moreau’s horrible skill,—a bear, tainted with dog and ox, and one of the most elaborately made of all his creatures.
”
私の和訳(最初はDeepLを使ったのだが、おかしな箇所が複数あるので結局、私が修正しないと使い物にならない):
モンゴメリの従者である黒い顔の男、ムリングは、私が出会った最初の動物人間(ビースト・フォーク)だったが、島の向こうの他の動物人間とは一緒に住んでいない。だが、ムリングは囲いの奥にある小さな犬小屋で暮らしていた。この生き物は猿男(Ape-man)ほど知能は高くない。だが、はるかに従順で、動物人間の中で最も人間らしい顔をしていた。モンゴメリはこの生き物を調教し、食事の支度をさせたり、実際に、必要な些細な家事全般をさせるようにした。ムリングはモローの恐ろしい技術の複雑な戦利品であり、犬と雄牛に汚染された熊であり、モロー博士が造った全ての生き物(クリーチャーズ)の中で最も精巧に作られたものの一つであった。
(訳文は終わり。ムリングは熊が主体であるようだ。犬と牛を混ぜるのが悪いことであるかのような表現だな。
oxは雄牛なのだが、通例は去勢された雄牛だ。が、彼[ムリング]は熊が主体なので去勢はされていないだろな)
]
第十六章 血の味
ものを書くことに慣れていないのでどうも脱線してしまったらしい。
モントゴメリが指さすほうを見ると草むらの中を小さな桃色の生物がぴょんぴょんと跳めていく。それはモロー博士が食肉用に造った生物だったが、産んだ子を食べてしまうのが欠点だということだった。偶然、一匹が倒れた木の根元の穴に飛び込んだ。私たちはそれを急いで捕まえた。それはネコのように唸り、後脚で跳ねたり、引っ掻いたりした。私は手を嚙まれたが、痛くはなかった。モントゴメリによれば、清潔好きな生物だそうで、普通の兎の代用として庭園で飼うのに適しているのではないかと思われた。
(
食用の新生物まで造っているモロー博士。嚙む力が弱くなるように改造したのかもね
)
p288から
しばらくして私たちはサチュロスと猿男に出遇った(原文ママ)。サチュロスはギリシャ神話の半獣半人にヒントを得てモロー博士が造ったものだった。表情や鳴き声は山羊にそっくりだった。四肢は悪魔のそれを思わせた。彼は莢(さや)のついた果実を食べていた。彼は私たちに気づくと敬礼した。
「鞭を持つ第二の人、コンニチハ」
モントゴメリは私を指さして、
「ここに鞭をもつ第三の人がいるぞ」
と言った。猿男が言った。
「このヒトはオレたちのナカマ」
サチュロスが珍しいものでも凝視(みつ)めるように私を見た。
「このヒトは泣きながら海に入った。キノウは血を出した」
[
先述の「類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間」と、
「四肢は悪魔のそれを思わせた」を合わせると、元ネタはサチュロスだけでなくバフォメットも元ネタなのだろうな。ウェルズは、少なくともレヴィのバフォメットは悪魔ではないことは知っていただろうけどね。レヴィのバフォメットの見た目は山羊と人間を含む合成生物だから、「類人猿と山羊から合成されたサチュロスのような動物人間」にバフォメットの意味も込めていると判断した。
Satyr-Man(サテュロス男)については原文にもしっかりと、 "Satanic" と書かれているから、訳者が付加した箇所ではない。
先述の原文サイトより:
https://www.gutenberg.org/cache/epub/159/pg159-images.html#chap16
”It was after this, I think, that we met the Satyr and the Ape-man. The Satyr was a gleam of classical memory on the part of Moreau,—his face ovine in expression, like the coarser Hebrew type; his voice a harsh bleat, his nether extremities Satanic. He was gnawing the husk of a pod-like fruit as he passed us. Both of them saluted Montgomery.
”
私による、上記の一部の和訳(最初はDeepLを使ったのだが、私が修正しないと使い物にならない):
サテュロス男はモロー(博士)の古典的な記憶の輝きだった。サテュロス男の顔の表情は卵のようであり、ヘブライ人の粗野なタイプに似ている。サテュロス男の声は耳障りなメーって鳴き声であり、下肢は悪魔的だ。
和訳は以上。
extremitiesは「複数の先端」すなわち「四肢」。
netherは「下の」。よって下肢。岩波文庫の和訳の「四肢」は駄目でしょ。これだと上半身も「悪魔的」になってしまう。
そういえば、けものフレンズも元ネタの1つがモロー博士の島かもね
]
p289から
噴火口を見物した帰路、私たちは兎の死体を見つけた。
「肉食獣から造られた奴がかつての性質を取りもどしたのだろう。この骨は嚙みくだかれている」と私が言った。
モントゴメリは「けしからん」と言ったが、その顔は蒼ざめている。
「私は小川でじかに水を啜っている奴も見ましたよ」
「それは肉食獣の特徴だ。獲物を殺した後で水を飲む習性があるのだ。血の味を知ったな。これはまずい」
モロー博士の角笛が高らかに鳴った。
(動物人間らが集まってくる描写が登場)
最初に到着したのはサチュロスだった。その背後から藁を嚙みながら出てきたのは馬犀人間である。次には赫(あか)ら顔に赤い目の魔女のような狐女…彼らは私たちに近づくとモロー博士に向かってペコペコと頭を下げ、それぞれ勝手に掟の朗誦を始めた。
彼らはモローから三十ヤードのところに来ると、膝と肘をついてお辞儀をして、頭に白い土を振りかける。
(1ヤード=3フート=0.9144m。
10ヤードで9mぐらい。30ヤードで27mぐらい)
モローは数え続けていた。
「六十二、六十三」
「あと四人だ」
とモントゴメリが言った。
「豹人間がいない」
と私が言った。博士が再び角笛を吹くと、それを合図に彼らは腹這いになった。頭に硫黄の粉末をふりかける者もいる。何かの呪いだろうか。竹藪からこっそり豹人間が出てきた。彼の額には深い傷があった。
「掟の暗誦者はどこか?」
と博士が尋ねた。例の【灰色の毛】が地面に頭をこすりつけた。
(【 】は傍点の代役)
「掟を逃れる者はいない」
と【灰色の毛】が言った。
「犯人は誰か?」
と言いながら、博士は鞭を鳴らし、ひとりひとりの顔をながめわたした。ハイエナ男と豹人間は下を向いて身をすくめていた。
p.294から
「掟を破る者は苦しみの家に戻される」
モローに睨みつけられていた豹人間は立ち上がり、目を爛々と輝かせて牙を剝いた。彼はモローに飛びかかった。
狼人間が舌を垂らし、ハアハア喘ぎながら走る。豚人間たちがブーブー鳴きながらそれに続く。ハイエナ男は並んで走る私をときどき盗み見しながら走る。帽子をなくしたモロー博士は白髪を風になびかせて走っている。豹人間は四本足で疾駆している。
(主人公が豹人間の眉間に狙いを定めて撃った。豹人間は死亡)
モントゴメリは肉食獣の素性を持つ興奮した者たち、特にムリングを、まだひくひくと動いている死体から遠ざけるのに必死だった。【灰色の毛】が私の腕に抱かれた死体を嗅いでいた。
p298から
第十七章 破局
島へ来て一カ月半経った。私はモロー博士の研究と実験に対し嫌悪感以外何の感情も抱くことができなくなった。
私は日付を数えていなかったので正確には覚えていないが、島へ来て二カ月も経ったころ破局が訪れた。朝食後、私はモロー博士の家の前に立ち、煙草(タバコ)を吸いながら朝の爽やかな空気を愉(たの)しんでいた。そのうちモロー博士がやってきて「おはよう」と私に挨拶した。そのまま彼は実験室に入って行った。ピューマの苦しそうな悲鳴が聞こえてきたが、私は何とも思わなくなっていた。それはヒステリーを起こしている口喧しい女の金切り声に似ていた。
その時、何が起きたのか今もってわからないが、背後で鋭い叫び声がした。振り返ると恐ろしい形相の顔が私めがけて突進してきた。それは人間のとも動物のともつかぬ奇怪な顔で、地獄の使者のもののようだった。いちめんに赤い傷痕が走り、まぶたのない目がカッと見開かれていた。血のにじむ包帯で身体をぐるぐる巻きにされているこの怪物は、腕を上げて身をかばっていた私に一撃を加えてからジャングルのほうへ走って行った。私は浜辺に倒れた。腕の骨が折れたらしく激痛のためしばらく起き上がることもできなかった。モロー博士が拳銃を片手に現れた。額から滴る血のせいで彼の顔は凄味(すごみ)をおびていた。彼は倒れている私に一瞥を与えただけで、ピューマの後を追って行った。
ピューマはモロー博士を見ると速度を上げて茂みに向かって走った。たちまち距離ができた。ピューマが茂みに飛び込むのを見て、後を追っていたモロー博士は拳銃を射った(原文ママ)が弾は外れた。モロー博士も続いて茂みに飛び込んだ。
私は腕の痛みに堪えて(原文ママ)、よろよろと立ち上がった。モントゴメリが拳銃を片手に持って戸口に現れた。
「大変だ! プレンディック。奴が逃げた。鉄枷を壁から引き抜いたんだ」
彼は私が腕を押さえているのを見た。
[
手術完了前に脱走したピューマの動物人間。初代仮面ライダーの元ネタになったんだろうな。手術完了前と判断したのは、手術が完了していたら拘束は解くだろうからだ。
英語版ウィキの登場人物と動物人間一覧の箇所によると、「Half-Finished Puma-Woman」なので女性である。このピューマ人が、モロー博士が造った最後の改造動物人間だ
]
p301から
遠くの浜辺にちいさな灰色の動物人間が現れた。
モントゴメリは動揺しながらも鞭を鳴らした。二人の豚人間は飛びかかってきた。こんなことは初めてだった。モントゴメリはもう一匹の頭を撃った。もう一匹はムリングと取っ組み合いになった。ムリングは相手を組み敷いて喉を嚙んだ。モントゴメリは拳銃を放った。
ムリングを説得して彼は一緒に戻ってきた。途中ムリングは突然藪に飛び込んで、山猫人間を追い出した。そいつも血だらけで、足には傷を負っていた。モントゴメリは追いつめて打ち(原文ママ)殺した。
「どうなっているのだろう?」私が聞いた。
モントゴメリは首をひねってブランディに手を延ばした。
第十八章 モロー博士の死
「オレたちは見た」
と合掌するような声。懐かしい人にでも会ったようにモントゴメリが「やあ!」と言った。すると、どうだろう、数人の動物人間たちの顔が茂みの間からのぞいたのである。猿男、斑(まだら)の奴、【灰色の男】、馬犀人間などであった。
p306から
「ピューマはどうした」
と私が聞くと【灰色の毛】は答えた。
「血を出し鳴きながら駆けて行った。そして死んだ」
「それはよかった」
とモントゴメリが言った。彼は私の考えを察したのか続けて言った。
「主は死んではいない。この俺と同じように生きている」
すかさず私も言った。
「おまえたちのなかに掟を破った者がいる。彼らは死ぬ。いや殺されるだろう。さあ、博士の身体はどこだ。主は空に昇る前に身体をどこかへ置いていったはずだ」
[
本郷じゃなくて、ピューマ改造人間は脱走しても生き残れなかった
]
私たちはようやく島の西端にたどり着いた。ピューマの死体はすぐ見つかった。肩に銃弾が貫通した痕があった。ピューマから約二十ヤードほど離れたところにモロー博士は俯(うつぶ)せに倒れていた。片方の手首が咬みちぎられ、白髪は血溜りに浸っていた。ピューマの鉄枷で殴られたらしい頭蓋骨はめちゃくちゃだった。彼の拳銃はどこにも見当たらなかった。
私たちはモロー博士の亡骸を動物人間たちに担がせて家に帰った。私とモントゴメリはその亡骸を枯枝(原文ママ)の束の上に安置した。それから私たちは実験室に入り、博士が実験中だったすべての動物を殺したのだった。
[
1ヤード=3フート=0.9144m。
10ヤードで9mぐらい。20ヤードで18mぐらい
]
第十九章 モントゴメリの”公休日”
p309から
「おい、モントゴメリ、動物人間に酒なぞ飲ますなよ」
[
この後の悲劇はモントゴメリのせい。酒を飲ませたら理性を失うのは当然なのにな
]
彼は月光の青白く照らす浜辺へ出て行った。私は戸口に立ってモントゴメリと動物人間たちが酒をくみかわすのを見ていた。
モントゴメリの上に例の【灰色の毛】が馬乗りになっていた。近づいてみるとそいつは鉤爪でモントゴメリの喉をつかんだままの格好で死んでいた。近くに首を咬み切られたムリングの死体も転がっていた。
顔が脹(は)れあがったモントゴメリは虫の息だった。
「すまなかった。この愚かな世界ともおさらばだ。なんという……」
私は次の言葉を待った。しかし彼の頭はがくりと垂れた。
私は屈み込んで彼のシャツの隙間から手を入れた。死んでいた。
[
とんでもない勢いで死んでいく。名前がある主要キャラが主人公だけになってしまった。
]
p313から
第二十章 動物人間との生活
私は文字どおり片腕ひとつで彼らと運命をかけた対決をしなければならなかった。
振り返るとハイエナ男が立っていた。
[
ハイエナと豚の合成男 (Hyena-Swine)なんだけどな。ハイエナ豚男
]
狼女が振り向いた。
「食べ物を欲しい」(原文ママ)私は申し訳なさそうに言った。
「小屋の中にある」と牛男が眠たそうに言った。
p319から
第二十一章 退化
このようにして私はモロー博士の島の動物人間の仲間入りをした。
「ご主人のおっしゃるとおりにします」犬らしい本性を発揮して彼が答えた。
「しかしひとりだけすでに罪を犯しているものがいる。私がそいつを見つけて、かかれと合図をしたら飛びかかるのだ、いいか。よし向こうに集まっている連中の所にいこう(原文ママ)」
一瞬、戸口を出る犬人間の影で暗くなった。
「そうだ、そうだ」と犬人間が相槌を打った。
彼らはうろたえた。動物は獰猛でずるがしこい。しかし嘘をつけるのは人間だけだ。
[
確かに、動物人間が嘘をついた場面はなかったな
]
サチュロスが疑問を投げかけた。私が答えた。すると今度は斑(まだら)の動物が反対意見を言った。
セント・バーナードから造られた犬人間は私に忠実そのものだった。
例の桃色の生き物は特になついて、私のそばから離れなかった。猿男は自分の指も五本あるから私と同等だと考えたのか、私に途方もなく馬鹿げたことを話すのだった。彼は物の名を羅列することがすばらしい会話だと思い込んでいて、それを「偉大な思考」と呼んでいた。彼は意味もわからない私の言葉を丸暗記して他の者に聞かせることがよくあった。
私が可愛がっていた犬人間はいつの間にかセント・バーナード犬へと退化していった。だんだんに無口になり、全身に毛が生え、四本足で歩くようになった。
セント・バーナードが殺され、その死体をハイエナ男が咬んだり、引っ掻いたりしていたのである。私が近づくとハイエナ男は唸ったがその歯は血で真っ赤であった。それはすでに一匹のハイエナそのものであった。私は拳銃をかまえた。相手は怯むようすもみせず、毛を逆立てて、飛びかかってきた。しかしそれよりも一瞬早く私の拳銃が火を噴いて、ハイエナは苦悶の咆哮をあげて倒れた。
p.328から
獣たちのうち二匹は狼、残りは熊と牛の合の子のようだった。
その夜は岩礁と島の間に停泊し、翌朝、小川の流れ込んでいるところで空の小樽に水を詰めると次にたくさんの果物を集めた。最後の三発の弾で兎をしとめた。その間、私は獣たちの襲来を恐れて岩礁の内側に船を繋いでおいた。
第二十二章 孤独な男
夕方になって私は南西の穏やかな風を受けて船に乗り出した。
(以下、帰還後)
脇に逸れて教会に入ってみると、牧師の巫山戯(ふざけ)た説教はあの猿男の言葉と大差なく聞こえる。
[
ウェルズは牧師が嫌いなのかもな
]
私は都会と群衆から離れて、書物と明るい窓の光に包まれて静かに暮らしている。他人にはめったに会わないでささやかな家庭を楽しんでいる。読書と化学の実験に日々を費やし、夜は天文学に打ち込んでいる。
[ケツ社的にも物語的にも面白かった。謀議追及的にも重要なSF小説だ。
『モロー博士の島』の備忘録は以上だ]
『モロー博士の島』関連資料
読書メモ(怪奇系多め/ネタバレあり)
2013-12-11
H・G・ウエルズ『モロー博士の島』
http://serpentsea.blog.fc2.com/blog-entry-217.html
”
H・G・ウエルズ(Herbert George Wells)著, 橋本槙矩訳『モロー博士の島』("The Island of Dr. Moreau" 橋本槙矩, 鈴木万里訳『モロー博士の島 他九篇』岩波書店 1993 岩波文庫 所収)
超有名な作品。色々な翻訳で各社から出ているし、『獣人島』(1933)『ドクター・モローの島』(1977)『D.N.A./ドクター・モローの島』(1996)と、三度も映画化されている。最初の『獣人島』は見たことがないんだけど、『ドクター・モローの島』と『D.N.A./ドクター・モローの島』はしっかり見た。映画の出来はさて置き、獣人のメイクがなぁ……って印象だった。決して不出来なわけじゃないんだけど、なんかピンとこない。やっぱ『ハウリング』(1981)や『狼男アメリカン』(1981)みたいに、メリメリメリって変形しないと燃えられないのかもしれない。あと『ドクター・モリスの島/フィッシュマン』(1979)ってイタリアの亜流映画もあったけど、こっちは本家を凌ぐほどの良作だったように記憶している。
……そんな獣人が原作ではどんな風に描かれているのかというと、まずはごく簡単にストーリーから↓
漂流していた主人公「プレンディック」は、多くの動物を乗せた船に救助される。船の目的地は「名もない無人島」だという。その島に上陸した主人公は、希代のマッド・サイエンティスト「モロー博士」による、動物を人間に改造する実験を目の当たりにする。島には多くの「獣人」が人間社会をモデルに生活を営んでいたが、彼らの畏怖の対象としていたモロー博士の殺害をきっかけに、人間らしさを失い暴走をはじめる……。
古典中の古典の古典的なストーリーだが、この恐ろしい物語のD.N.A.は現在もなお様々な作品に受け継がれている。劇中、色々なタイプの獣人が登場するが、どれも生々しく奇怪で、「獣人」と聞いて連想される「体形はほぼ人間で頭部や体表が獣」(『ストライク・ザ・ブラッド』の「獣人」とか)という形態ではなく、より病的に怪物チックに描写されている。博士の角笛に呼ばれて島中の獣人が集まってくるシーンなんて、まさに地獄の魔物の群れって感じ。
シンプルな「馬→人間」という改造にとどまらず、「馬+犀→人間」なんて実験をしているあたりに、博士の狂いっぷりがよく表れていると思う。また博士は過去に「動物人間の他にあるものを造った」こともあるらしく、完成前に逃げ出したそいつ(本郷ライダーみたいだ)は「手足のない恐ろしい形相の生物で、蛇のように地面を這って進む」(p.280)という。なんだかものすごい怪物のようで、回想で語られるだけなのが惜しい。
この作品には寝る前にぼけーっと読んでいても分かるくらいはっきりと、進化論や文明論、科学研究をめぐる思想的な要素が散りばめられている。物語の最後でロンドンに戻ったプレンディックは、目にする人々がみな「いつかは退化して獣性を露にするのではないか」(p.330)という不安を抱いている。このあたりがどうやら主要テーマらしいのだけれど、そこはあまり注意を払わずに怪物がわらわら出てくるモンスター小説として読んだ。解説によるとこの作品が発表された当時、批評家たちはこの作品を一種の「ショッカー(扇情小説)」として批判したらしい。今となっては、え、ショッカーで悪いの? って感じだけど……。そういったジャンルのことはさて置き、一世紀以上前に書かれたとは思えないほど、色褪せない楽しさの詰まった作品だと思う。
” ※着色は引用者
(ショッカーって実際に書かれているのか確認したら書いてあった)
シーア兄貴(イラソのアレ来世触手と良呟きや記事の保管庫)2022/11/18~12/2。原ネ申。すず目イシス戸締り。デンノコ男。ジャンケッ卜。ハイパーインフレ-ショタ。魔術カード。昆虫型宇宙人の元ネタはBEM。時計じかけ●オレンジ。DS陰謀論は浅すぎる
Posted on 2022.11.25 Fri 23:21:08
http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-502.html
”(
https://twitter.com/kentaro666/status/1553888746856394752 と続き
”竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
舞台演出家で映画監督のピーター・ブルック死去。この人20世紀最大のオカルティストと言われるグルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」も作っているんだよな。
引用ツイート
シネフィルDVD
@cinefilDVD
·
7月3日
演劇界の巨人にして、『蝿の王』(83)など監督した映画もある演出家ピーター・ブルック、97歳で死去。
https://lemonde.fr/disparitions/article/2022/07/03/le-metteur-en-scene-britannique-peter-brook-est-mort_6133145_3382.html?fbclid=IwAR0CeCcAZZi6PUP9WCUfdTfmigTmeiyQxRYc7Pa7f9MYskUPbF60p_qr-rc
午前8:42 · 2022年8月1日
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グルジェフの自伝を映画化した「注目すべき人々との出会い」。ロシアと中東の二つの文明に挟まれたアルメニアに生まれたグルジェフは、西洋と中東の神秘主義を吸収した独自の神秘思想とワークと呼ばれる実践テクニックを編み出し、その普及活動に入る。
画像
午前8:50 · 2022年8月1日
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グルジェフの人生は謎に包まれており、各地の宗教者・神秘思想を求めて放浪の旅をしてチベットまで赴くが、ロシアのスパイだった説もある。私は明治時代に日本人として初めて鎖国をしていたチベットに潜入した仏教者・河口慧海の「チベット旅行記」を読んでいて、
午前8:54 · 2022年8月1日
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国王に取り入ったロシアのスパイ・ドルジェという怪しい人物がいるという記述を見て仰天したことがある。間違いなくグルジェフのことだろう。「注目すべき人々との出会い」は、冒険に明け暮れたグルジェフの前半生を描き、最後に独自のダンスで宇宙の神秘を現す中東の秘密教団と出会う場面で終わる。
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午前9:00 · 2022年8月1日
·Twitter for iPhone
ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
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午前9:11 · 2022年8月1日
·Twitter for iPhone
「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
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クラークが「幼年期の終わり」を書くにあたって「ベルゼバブ」に影響されたことは大いにあり得ると思った。ロシア亡命後、グルジェフは著作を通してヨーロッパの知識人にかなり影響を与えている。コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」ではグルジェフ思想の紹介にかなりページを割いているし。
午前9:19 · 2022年8月1日
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ピーター・ブルックも、たぶんアーサー・C・クラークもその一人ではないかと思う。
午前9:20 · 2022年8月1日
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別リンクになるのでここにリンクします。「グルジェフの残影」の著者である小森健太朗氏から「チベット王室に取り入ったロシア人スパイのドルジェフはグルジェフとは別人」だと言われました。ドルジェフの写真があって、グルジェフとは明らかに別人だそうです。
午前10:02 · 2022年8月1日
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ただ、ドルジェフが組織したチベット調査団の中にグルジェフも入っていたそうなので、ここからドルジェフとの混同が生まれたとのこと。紛らわしいですね。
午前10:02 · 2022年8月1日
·Twitter Web App
”
グルジェフ『ベルゼバブの孫への話』のベルゼバブが地球で言う悪魔とそっくりな姿で、地球人の進化を促すために地球に来たという設定。これがクラーク『地球幼年期の終わり』におけるオーバーロード(見た目が悪魔)の設定に採用されたのだろう。
「悪(魔)こそ救世主」思想(の流れの1つ)はグルジェフ→クラーク。
グノーシス主義の偽の劣悪神思想の影響もあるだろう。
上記を書いてから以下を書いたというかコピペした。
なかだち⛰️ネット難民📡
@madaraiguana
昆虫型宇宙人の元ネタグルジェフだったでござるの巻き。
↓
午後7:55 · 2022年11月23日
·Twitter for Android
[「悪こそ救世主」の元ネタの1つだろうけど、昆虫型の根拠ではなさそう。
昆虫型の元ネタはエイリアンのデザインで昆虫型があったのを取り入れたのだろう。前になかだちさんがRTしてたやつね]
なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
「ベルゼバブ」の最初の方を読んでいて、仰天したのはベルゼバブとは地球で言う悪魔とそっくりな姿をしていて、地球人の進化を促すために地球に来たという設定が出てくることで、これってアーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」じゃないかと思ったこと。グルジェフは1949年に死去しているので
午前9:15 · 2022年8月1日
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なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
竹熊健太郎《Aタイプ》
@kentaro666
ロシア革命が勃発し、グルジェフは自分で生み出した神秘思想を実践する「ワーク」の弟子たちを連れてフランスに亡命するが、そこで自伝の他に「ベルゼバブの孫への話」というSF小説を執筆する。邦訳があるが、余りの大著であり、難解な神秘哲学が続出するので最初のあたりしか読めていない。
画像
午前9:11 · 2022年8月1日
·Twitter for iPhone
なかだち⛰️ネット難民📡さんがリツイートしました
小野 満麿
@onomaro
■4■グルジェフが欧米に紹介したスーフィズムは「ナクシュバンディー教団」の教えの一部であり、その教義は用語に違いがあるだけで、ブラバッキーやアリス・ベイリーの教義と本質・定式化・組織化手法などはみな同じである。ブラバッキーの教義もスーフィズムも、共に「東方神智学」と呼ばれている。
午後3:26 · 2014年2月25日
·Twitter Web Client
[なかだちさんがRTしていないので、昆虫型宇宙人の元ネタ紹介を見つけた。
https://twitter.com/jyunsuiisiki/status/1560641280861884417
”001 (am001)薄い月明かり
@jyunsuiisiki
BUG EYED MONSTERS
=BEM
妖怪人間ベムのBEMのモデルとも言われています。
昆虫型エイリアン
画像
午後11:54 · 2022年8月19日
·Twitter for Android”
(上記の続き)
https://twitter.com/jyunsuiisiki/status/1560887620221423618
”001 (am001)薄い月明かり
@jyunsuiisiki
ベム(BEM)は、bug-eyed monsterの略語で、初期のサイエンス・フィクションに登場する宇宙人あるいは宇宙怪物の総称である。
BEMは直訳すれば「昆虫の目玉を持った怪物」であり、その名の通り、昆虫の複眼のような目や、飛び出した目を備えたグロテスクな怪物として描かれる。
ベムーWikipedia
画像
午後4:13 · 2022年8月20日
·Twitter for Android”
以上をまとめなおす。
グルジェフ『ベルゼバブの孫への話』のベルゼバブが地球でいう悪魔とそっくりな姿で、地球人の進化を促すために地球に来たという設定。これがクラーク『幼年期の終わり』(1952年に刊行)におけるオーバーロード(見た目が悪魔)の設定に採用されたのだろう。
「悪(魔)こそ[霊性]進化を促す善なる存在、または救世主」思想(の流れの1つ)はグルジェフ→クラーク。
グノーシス主義の偽の劣悪神思想の影響もあるだろう。
昆虫超人の元ネタはエイリアンのデザインで昆虫型があったのを取り入れたのだろう。
BEM=bug-eyed monster=昆虫の目を持つ怪物(うちゅうじん)。
上記のグルジェフとクラーク思想と合わせて仮面ラ亻ダ―。
仮面ラ亻ダ―は昆虫型宇宙人教の子孫。私が考察した通りだ(BEMを知るより前。
ご支援用⑨(無料公開は危険な『税リブ』考察)
https://yomenainickname.booth.pm/items/4054454
における、『初代仮面ラ亻ダ-』の特撮と漫画版の第1話と昆虫超人、
『税リブ』が元ネタの『食量人類』と昆虫型宇宙人の個所で扱った)。
しかも、上記のウィキであろう画像ではBEMは
「20世紀前半に粗製濫造されたスペースオペラ作品においてはしばしば敵役として登場する。その類型は、主人公たるヒーローに襲いかかり、ヒロインを拉致しては裸に剥く、いかにも非人道的な、あまり知性の見られない怪物というものである。ベムの呼称は、類人猿やトカゲなど地球に見られる動物に昆虫の複眼をくっつけた、安直なアイデアによる造形から来ている。」
悪役なのでますます仮免ラ亻ダ―だ。トカゲはレプティリアン教の影響だろう。
https://twitter.com/SENGPIE/status/734793628120285184
”𝑺𝑬𝑵𝑮𝑷𝑰𝑬(先輩)@COMITIA/G45b
@SENGPIE
これが幼年期の終わりのオーバーロード
こんな見た目やけどSF小説に出てくる、
地球よりずっと高度な文明を持った宇宙人
地球で言う「悪魔」のような見た目をしておるけど
とても思慮深く人類を次の段階へ進化させようとする存在やねんで
画像
午前2:10 · 2016年5月24日
·Twitter Web Client”
” ※着色は引用者
https://x.com/toyo_ue/status/1595259713746522112
”上田豊太
@toyo_ue
大元はウェルズの「モロー博士の島」だと思うんだけど(村山槐多の「悪魔の舌」もある)、乱歩の「人間豹」や横溝の「怪獣男爵」「獣人魔島」は、「仮面ライダー」などに先行する獣人タイプの怪人小説として、特記する必要がある。
#江戸川乱歩
#横溝正史
#仮面ライダー
#hgウェルズ
#ミステリ
#ホラー
画像
午後0:35 · 2022年11月23日”
https://x.com/uxskf/status/1720339225030308332
”ワクワクさん
@uxskf
https://youtu.be/ArV2BAsvg-8?si=z7XRa_WKY03esI3G
そういや仮面乗り手を私は1話から少し見たけど思ったよりもモロモロー博士で笑った
昔見たことはあってほぼ忘れてたけど今見ると面白いですね
youtube.com
仮面ライダー 第01話[公式]
昭和・平成・令和…時代とともに歩んできた仮面ライダーシリーズの歴史、ここに在り!仮面ライダーシリーズ第1~2話を無料配信!仮面ライダーの歴史を紐解けば、どの世代にとっても共感できるテーマが必ずあるはず。ぜひこの機会をお見逃しなく。ご家族揃ってお楽しみください!仮面ライダー 第1話「怪奇蜘蛛男」若き科学者で天才レー...
午後4:16 · 2023年11月3日
·
5,132
件の表示”
仮面ライダーX 第01話[公式]
https://www.youtube.com/watch?v=MppXLOpw5Z4
”2023/11/08に公開済み #昭和仮面ライダー #東映特撮 #石ノ森章太郎
仮面ライダーX 第1話「X.X.Xライダー誕生!!」
日本消滅を図る謎の組織・GODの手によって瀕死の重傷を負わされた大学生・神敬介は、父である海洋科学者・神啓太郎博士が命と引き換えに行った改造手術により、深海開発用改造人間(カイゾーグ)として蘇る。神敬介は父の命を奪い、日本殲滅を企むGODに仮面ライダーXとして敢然と立ち向かう。
”
(私が今度、V3が終わったからXの第1話を公式がようつべ配信する内容の呟きをRTした後:)
https://twitter.com/uxskf/status/1721491581180756387
”ワクワクさん
@uxskf
xのあらすじザッと見たけどまたモロモロー博士っぽい
島で不気味そうな研究してる博士w
まぁそもそも改造人間というのがアレだけど
午後8:35 · 2023年11月6日·436 件の表示
”
(この「モロモロー博士」って表現の響きが好き笑
モロにモロー博士って意味だよ。
仮面ガブはモロー博士への原点回帰でもある)
https://x.com/uxskf/status/1809555573626867818
”ワクワクさん
@uxskf
仮面ライダーって初期はどことなく赤の匂いがするんだよなぁ
ショッカー=ナチスかつモロー博士なのは見てれば分かるけど
とは言え石ノ森は青らしいからやっぱ赤に育てられた後に転向したんだろうか
午後8:50 · 2024年7月6日·1,040 件の表示”
https://x.com/uxskf/status/1722331166567780698
”ワクワクさん
@uxskf
http://toei.co.jp/tv/amazons/story/1207969_2582.html
仮面ライダーアマゾンズとかだと普通に裏テーマとかで言っとるんだね
野性テイストって、何の味がするんでしょう? 「野性」と「野生」は何がちがう?
企画時のそんな話から、生き物としてのアマゾン、という、ひそかな裏テーマが浮上しました。
toei.co.jpから
午前4:12 · 2023年11月9日·4,009 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1722331404774879285
”『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに『モロー博士の島』という小説があります。野生動物を改造して人間にというお話。改造人間みたいなコンセプトが仮面ライダー等でおなじみになる何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが改造の先輩だったりするのかも。
午前4:13 · 2023年11月9日·3,126 件の表示
”
https://x.com/uxskf/status/1720339225030308332
”ワクワクさん
@uxskf
https://youtu.be/ArV2BAsvg-8?si=z7XRa_WKY03esI3G
そういや仮面乗り手を私は1話から少し見たけど思ったよりもモロモロー博士で笑った
昔見たことはあってほぼ忘れてたけど今見ると面白いですね
youtube.com
仮面ライダー 第01話[公式]
昭和・平成・令和…時代とともに歩んできた仮面ライダーシリーズの歴史、ここに在り!仮面ライダーシリーズ第1~2話を無料配信!仮面ライダーの歴史を紐解けば、どの世代にとっても共感できるテーマが必ずあるはず。ぜひこの機会をお見逃しなく。ご家族揃ってお楽しみください!仮面ライダー 第1話「怪奇蜘蛛男」若き科学者で天才レー...
午後4:16 · 2023年11月3日
·
5,130
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”
https://x.com/EpisodeNeo/status/1771539731035140319
”Deep Forest
@EpisodeNeo
映画も良いよ、ドクター・モローの島。
引用
ワクワクさん
@uxskf
·
2023年11月9日
返信先: @uxskfさん
『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに『モロー博士の島』という小説があります。野生動物を改造して人間にというお話。改造人間みたいなコンセプトが仮面ライダー等でおなじみになる何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが改造の先輩だったりするのかも。
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午後11:09 · 2024年3月23日·1,891 件の表示
”
(上記のリンク先はリンク切れ。
保存しておいてよかったよ↓
上記のリンク先:
仮面ライダーアマゾンズ Episode7 GAME OF THE BUTCHERS | 東映[テレビ]
https://www.toei.co.jp/tv/amazons/story/1207969_2582.html
”アマゾンライダーの特徴といえば、野性味。
野性テイストって、何の味がするんでしょう? 「野性」と「野生」は何がちがう?
企画時のそんな話から、生き物としてのアマゾン、という、ひそかな裏テーマが浮上しました。
『タイムマシン』『宇宙戦争』等で知られるH・G・ウェルズに、『モロー博士の島』という小説があります。
野生動物を改造して人間に……というお話。
改造人間みたいなコンセプトが、仮面ライダー等でおなじみになる、何十年も前。19世紀末の作品です。人間より野生動物のほうが、改造の先輩だったりするのかも。
てことで、アマゾンさんたちの生態もひとつの軸。
幼虫→サナギ→成虫と華麗に変態した、Episode 6 の蝶さんも目を引きましたが、今度の敵・モズさんも本能覚醒・野性解放!
オトナの事情的に、メジャーどころの動物さんが出てきづらい敵アマゾンさん。貴重な鳥類です。
1・2話以来の石田演出カムバック、悠(はるか)×仁の対決、ゆげっちこと弓削智久さんの出演と、お盆も盛りだくさんな Episode 7。ぜひ敵さんにもご注目!
(文責・白倉伸一郎)
” ※着色は引用者
白い倉だ! この人がわざわざ言及しているってことは初代もモロー博士の島が元ネタだと考えているんだろうな。
公式がマジで言っている。少なくとも尼ゾンズはモロー博士が元ネタで確定だろう。尼ゾンズのショッカー枠は製薬会社。
主人公の1人(緑のキリスト)は、尼ゾン細胞に人間の遺伝子を組み込んで生まれたからもろモロー博士が元ネタだろう。モロー博士は非人間を人間化させていたからだ。
)
https://x.com/kakure_365_elvo/status/1722507739291889879
”見lvo
@kakure_365_elvo
アマゾンズ面白いですよ
マックを食べて凌いでたモグラのフレンズが、空腹でうっかりハンバーグを食べて人の味を覚えちゃったり
ウォーターサーバーにアマゾン細胞が混ぜられてて、気付かずに飲んだら人間じゃ無くなったり
どっかで聞いたような話満載です🍖
午後3:53 · 2023年11月9日
·
779
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”
https://x.com/uncle_dagon/status/1704977231146278929
”朝松健ニュース
@uncle_dagon
「獣人島」はご覧になりましたか?ドクター・モローの最初の映画化です。チャールズ・ロートンのモロー博士が太って怪しげで良い味を出してます。獣人たちもカーニバルのフリークス芸人をメイクされた俳優に混ぜてて不気味でhorrorしてますよ。
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午前6:53 · 2023年9月22日·44 件の表示
”
(へー、この人がウェルズ原作の映画をお勧めしているんだ(笑))
仮面ライダーガヴ 第14話[公式]
https://www.youtube.com/watch?v=s_0QF5GBxmI
"2024/12/08 #ガヴ #令和仮面ライダー #見逃し配信
DX変身ベルトガヴ大ヒット&DXガヴホイッピア発売記念!
ガヴが初めて仮面ライダーガヴ ケーキングフォームに変身した第14話「奇跡の覚醒!ケーキング」を2024年12月31日(火)23:59まで期間限定無料配信!
"
[
王冠を描いたのも母親だと確定。
ケーキングフォームのゴチゾウの形がいちごのショートケーキが元ネタなので△一つ目の変形だな。
△一つ目の力はそりゃ強いよな(笑) 王冠を強調しているのは、キング(強い)かつキングの王冠(ケテル)だろうな。
生贄(ゴチゾウ)を食べないと変身できない、王の形態。
他の形態でも変身に必要なのが生贄。
双子の内、女性の方だけを撃破。男性の方は生存。両性具有属性持ちの方が生き残った。
]
そめちめ🍑サブアカ
@Sametime1209
ニエルブと酸賀とデンテで闇の改造手術博士が3人もいるの、確かにすごい状況
午前9:34 · 2024年12月8日·1,640 件の表示
(今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』への原点回帰。モロー博士が3人もいる(笑) その内2人は非人間を改造するからモロモロー博士。)
https://x.com/latina_sama/status/1863183687510278625
”なたねさんがリポスト
ラテン語さん 2025年1月『座右のラテン語』『ラテン語でわかる英単語』発売
@latina_sama
「キリスト」は古代のギリシャ語で「聖油を注がれた者 (khrīstós)」という意味です。khrīstósは「聖油を注ぐ」という意味の動詞khríōの派生語で、他にもkhríōの派生語には英語creamの語源になっているkhrîsma「塗られた物」があります。
つまり、「キリスト」と「クリーム」は同じ語源に遡れるのです。
画像
午後8:29 · 2024年12月1日·6.8万 件の表示”
[
仮面ガヴのクリームを使う形態(ケーキングフォーム)にキリストの意味を込めているかもしれないってことだな
]
https://x.com/yomooog/status/1868084643985256612
”ジスロマック
@yomooog
仮面ライダー2に対してマッドサイエンティスト3、冷静に考えたらマッドサイエンティストの過剰供給だ
午前9:04 · 2024年12月15日·1.6万 件の表示”
(動物人間[人以外を改造]限定のライダーだと1人のみ。
人以外を改造したのは2人。モロー博士の方が多いな(笑)
名前は諸田みたいな名前ではないよ。諸田みたいなモロがつく名前なら爆笑してたと思う(笑)
実際は、酸賀研造[すが・けんぞう。人間]、
ニエルブ・ストマック[非人間]、
デンテ・ストマック[非人間]の、
魔ッドサイエンティ酢トマック三人衆だ!)
https://x.com/kawa_batayoshi/status/1868084074939846900
”カワバタヨシヒロ
@kawa_batayoshi
マッドサイエンティスト枠が3人いることが確定した仮面ライダーガヴ
マッドサイエンティストが仮面ライダーより多いのなんなんだよ!
さらに表示
午前9:02 · 2024年12月15日·9.2万 件の表示
”
https://x.com/waki_siri_suki/status/1865596977481908265
”こくり子
@waki_siri_suki
デンテ→人間とグラニュートのハーフを改造及び人間をスパイスにする技術の開発
ニエルブ→グラニュートを強化
酸賀→人間にグラニュート器官を移植
人体改造と一言に言ってもなぜか三者三様で差別化できているのなんなんだよ
午後0:19 · 2024年12月8日
·
222
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”
(グラニュートは『ガヴ』の怪人枠。グラニュー糖)
エピオルニス島
Aepyornis Island (1894)
(『イーピヨルスの島』『怪鳥イーピヨルニスの島』『怪鳥エピオルニス』など邦題が複数ある)
特に無し。
『蛾』
The Moth (1895)
特に無し。
『紫色のキノコ』(その他の邦題『赤むらさきのキノコ』)
The Purple Pileus (1896)
p48から
運命が、森に通じる小道に悪臭を放つキノコを植えつけていたのだ。
紫色のキノコが彼の目を捉えたのは、溺死を思い描いている時のことであった。
このキノコは本当に素晴らしいとクームズ氏は思った。父親がかつて言ったところによれば、このキノコは猛毒だそうだ。猛毒!
思い切った決心をするとしたら、今以上の好機はない。この場で死んでも構わないとクームズ氏は思った。彼は少し、本当に少し食べてみた。
脈が速くなった。耳の中では血液が水車のような轟音をたてた。「もうちょっと食べてみよう」クームズ氏は言った。周りを見回すと足元がふらついた。
今ではもう気持が沈んではいなかった――晴れやかで快活な気分だった。喉が燃えるようだった。
p54から
(クームズ氏の)
顔は蒼白、目は大きく見開いて不自然なほど輝き、青ざめた唇は引きつって陰気な笑いをたたえていた。「楽しくやろう」彼は言った。
(家で暴れ回る描写がある)
五年の歳月が流れた。
想像もつかんだろうが、家内はひどい浪費家で、いつも私につらく当たっていた。私も少々甘くて、優しくしすぎたんだ。そんなわけで、あいつは何でも自分中心に動いていると思い込んだのさ。
もしあの午後がなかったら、私は今頃、重い足取りで歩き、家内は不平を言い続け、家内の実家は私が貧乏暮らしをさせていると文句を言っているところだろうよ――奴らのやり口はわかっている。
「女は断固たる態度を望むものなのさ」クームズ氏が言った。
「このあたりにはなんてたくさんキノコが生えているんだろう」まもなくトムが言った。
「一体、何の役に立っているんだろうか」
クームズ氏は目をやって、こう言った。「きっと何か深遠な意図があってこの世に遣わされているんだろうよ」
この愚かな小男を逆上させて決定的な行動をとらせ、その結果、彼の人生を一変させてくれたことに対して、紫色のキノコが受けた感謝とは、結局この程度のものだったのである。
(毒キノコで異常な状態になり、主人公の問題が解決する話(笑) ケツ社ってキノコが好きっぽいんだよな)
『パイクラフトの真実』
(他の邦題は『パイクラフトの真相』『パイクラフトの話』)
The Truth About Pyecraft (1903)
p64から
可哀想なパイクラフト! ぶよぶよとして大きな図体。ロンドンで一番肥ったクラブ会員。
(語り手↓)
私は確かにスマートだ。痩せていると言えるかもしれない。肌はかなり黒い。私はヒンズー教徒の曾祖母を持つことを恥じてはいない。
(
インド大好き思想と有色容認思想に影響された設定だろうな。
インド属性の怪しいお薬でお悩み解決の話なので、
「インド=なんだか怪しい神秘的な何か」って通念があったのかもな
)
「是が非でも体重を減らしたい」パイクラフトは丸々として頬から息を吐き出しながら「なんとしても」とつけ加えた。
ある日彼は本題を持ち出した。「西洋の薬剤処方は決して完璧な医学ではない。私の聞くところによれば、東洋では……」
「いいか。一体誰が私の曾祖母の処方について君に教えたのだ?」
私の家系は代々、インドの官吏であったのでヒンズー語の知識を伝えていたが、私にはそのいくつかはまったく解読不能であった。
私の理解するかぎりこれは減量の処方だ。
(要は、パイクラフトが薬で自身の体重を軽くする話だ。体重が軽くなるどころか、ゼロになり、浮いてしまうほどだ)
p76から
「体重がなくなった。ほとんどゼロだ」
「薬膳を摂った」
「鉛の下着にすればいい」
鉛底の靴を履き、鉛のバッグを持て。
(これで解決した)
『ブラウンローの新聞』
(その他の邦題が『未来新聞』)
The Queer Story of Brownlow's Newspaper (1932)
(1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』。
赤組の予定表じゃん(笑))
(本記事の岩波文庫版だと「ロー」がlowでなくlaw表記なので、
The Queer Story of Brownlaw's Newspaperになっているが誤り)
p.86
「未来やアインシュタインやJ・W・ダン〔英国初の戦闘機を制作した軍人〕が話題に出たかい? 真面目な話題が?」と私はギフォードに聞いた。
(アインシュタイン登場)
p89から
それは見るからに普通の新聞とは異なっていた。しかし新聞であることは間違いなかった。それまでの存在に気がつかなかったのが不思議だった。淡い緑の包み紙に入っていたが、スタンプは押されていなかった。したがって郵便として配達されたのではないらしい。(包み紙は残っていて、私も見たことがある。)彼は包み紙を破ってしまった後で自分が宛名人でないことに気がついた。
しばらく彼は住所を見ていた。少し変だ。変わった活字である。『ミスタ―・エヴァン・オハラ・サセックス・コート四九』。名前が違う。住所は正しい。変だ。サセックス・コート四九。彼の『イヴニング・スタンダード』はこの人のほうに配達されてしまったのか。交換なら窃盗罪にはならない。
それは『イヴニング・スタンダード』であった。いや、正確には『イーヴン・スタンダード』であった。「馬鹿な! アイルランドの新聞じゃないか。あいつらときたら正しい綴りも書けないんだ……」
緑の包み紙、緑のインク〔緑はアイルランドを象徴する色である〕を見て、ブラウンローはふとそれがダブリンの宝籤(たからくじ)の宣伝紙ではないかと思った。
ともあれ読んでみた。第一面を眺めた。全段抜きの見出しがある。『ウイルトンのボーリング、七マイルに到達。成功確実』
「油田のことに違いない。文字を知らないやつらめ。成功(サクセス)のSを落とすなんて!」
(
アイルランドを馬鹿にしすぎだろ。当時はこういう露骨なアイルランド差別があったんだろうな
)
記事は石油のことではなかった。石油より珍しい物についてであることが次第に分かってきた。それは本物の夕刊紙であるが、一読したかぎりでは別世界の出来事を扱っていた。
手にしているものは疑いもなく印刷された新聞だ。活字が少しおかしい。普通の新聞紙とは感触が違う。しかし新聞であることは間違いない。三段か四段組であった……どうしても正確なところは思い出せない……。大見出しの下には段ごとに小見出しがついている。一つの段の下にはアール・ヌーヴォー風の挿絵がある。とてつもなく大きな帽子を被った女が描かれている。広告だろうか。左手の上部には明らかに西ヨーロッパのものとわかる天気図がある。カラーの等圧線、等温線などと一緒に『明日の天気』と書かれている。
彼は次に日付を見た。一九七一年十一月十日だ!
卓上カレンダーは今日が一九三一年十一月十日であることを証明している。
[
本作は 1932年の作品。
1971年11月10日の未来の新聞。
1931年11月10日が作中の時間。
ちょうど40年後だな。
赤組の重鎮の作品なのでケツ社の予定表が一部に含まれているだろうから、詳しく記すことことにする。
ちょうど40年後なのはケツ社が好む数字だからだろう。
それと、少なくとも40年後ぐらいまではすでにケツ社の計画が出来上がっていたのもあるだろうな。
カトリック河原町教会 - カトリックまめ知識~聖書における「数」のはなし~
http://catholickawaramachi.kyoto/000800-201506.shtml
”◆「1」
「1」は、唯一の神を指します。また、すべてのものは1つであり、一致を表しています。
◆「3」
「3」は、三位一体の神、神の世界を表しています。イエスは荒れ野で3回誘惑を受けられました。また、十字架で亡くなられた後、墓の中におられたのも3日間です。
◆「4」
「4」は、自然、神が造られた全世界を表す数とされています。四季、四方、四大元素などの自然があります。また、4福音書は世界の四方にイエスの福音を伝える書であり、救いのシンボルとなっています。
◆「6」
「6」は、完成を意味している「7」に1つ足りないので、不完全を表します。あまりよい数とはされていません。ヨハネ黙示録に獣の数字え666が出てきますが、これはキリスト教徒の敵を指していると言われています。
◆「7」
「7」は、聖書の中で最も大切な数で、完成、完全を意味しています。3は神の世界、4は自然を意味していますので、神の世界と自然の世界を合わせた完成が7ということです。7日目に神は天地創造の仕事を完成され、第7の日を祝福し、聖別され、1週間が7日となりました。聖書には7つのパン、7つの賜物など数多くの「7」という数字が出てきます。また秘蹟の数も7つです。
◆「8」
「8」は、新しいスタートを意味します。
洪水によって人類を滅ぼした神はノアを含む8人だけを助けて新しい人類を始めました。
また、ダビデ王は8人目の末っ子です。
主は週の初めの日、すなわち8日目の朝に復活され、その日こそが新しい時代の始まりとなりました。
◆「12」
「12」は、7と同じくらい重要な数です。ヤコブの12人の息子がイスラエルの12部族の祖となりました。
1年が12か月である、毎月神殿に奉仕する祭司も12グループに分けられていました。
イエスは12人を選び12使徒としました。
ヨハネの黙示録には新しいイスラエルを12の数で表しています。
◆「40」
「40」は、聖書の中であ一世代を表す数です。また、苦難、試練期間を表すとも言われています。
出エジプトの後の約40年間、シナイ半島を放浪したイスラエルの民は、たびたび神に背いたので、誰一人として約束されたカナンの地に入れませんでした。40年間は1つの世代が交代する期間だったのです。
ノアの洪水は40日間続き、モーセは40日間シナイ山上に留まり、イエスの荒れ野での断食は40日間でした。ですから40日間の四旬節があるのです。
2015年6月
” ※着色は引用者
]
(未来の新聞の詳細が語られていく)
p92から
あらゆる種類の色彩が使われていた。突然、イラストが目に飛び込んできた。現実の色そのものだ。このようなカラー・プリントは今まで見たこともない。写真の中の建物、風景、人々の服装、すべてが奇妙だ。しかし信じざるをえない。四十年後の現実のカラー写真である。他のものは信じることができなかったが、この写真だけは疑うわけにはいかなかった。
[
実は、カラー写真は本作が発表された頃よりも前に可能になっている。だが、「現実の色そのもの」ではなかっただろうな。
カラー写真技法伝−前編:フィルム以前(1839〜1930)
https://kashacamera.com/history/color-photography-technique-before-film/
”色再現の原理
年代:1861
人物:マクスウェル
キーワード:三原色
写真術が発明されてまもないころは、色を写真でどう記録するか、原理的にわかられていませんでした。ニュートンの時代は太陽の「白い」光を各色の光に分解できることまではわかりましたが、任意の色をどう生成するかはまだ知られていませんでした。
トマス・ヤングの研究結果を受け、1855年から、ジェームズ・クラーク・マクスウェル(マクスウェルの方程式を提出した人)が任意の色は三元色、赤、青、緑によって合成されることを提唱しました。色盲に対する研究から、「人間の目には3種類の特定波長(つまり、色)に敏感な視細胞が存在する」ことを支持する結果が得られました。さらに、三原色の加法混色の実験も行った上、三原色を波長と紐づいた厳密な定義を考案しました。
理論の土台ができたので、マクスウェルはさらなる挑戦に挑みました。1861年、イギリス王立学会を前に、マクスウェルは世界最初のカラー写真を披露します。
” ※着色は引用者
]
これは人をかつぐ冗談ではないと思い始めた。
現在の技術では、今手にしているような新聞を生み出すことは不可能だ。
p95から
私には七マイルに達したウイルトンのボーリングについての見出しが一番重要な記事に思えた。そのことについてはかなりよく理解できた。ブラウンローの言うには地熱を汲み出す試行掘削(原文ママ)らしい。私はいろいろと質問した。彼は笑って手をつきだし指をもぞもぞさせながら答えた。
「説明によれば、昔の方法は数百フィート掘って石炭を取り出すだけだった。もう少し深く掘削すると石炭ではなくそのまま地熱を取り出せるというのだ。自然の蒸気の圧力で地熱が吹き出て来るらしい。簡単なことなんだ。
彼らはそのことで大騒ぎしている。全段抜きの見出しだけじゃない。大きな活字の社説があった。どんな見出しだったっけな? そうだ。内燃エンジン時代の終焉というタイトルだった」
それはまさに人類にとっての大事件が1971年11月10日に起きていることを示している。
[
内燃エンジン。内燃機関は internal combustion engineの訳語。
内燃: 重油やガソリンなどを気筒(シリンダー)の「内」部で爆発「燃」焼させること。
内燃機関は、内燃で得た熱エネルギーを機械的エネルギーに変える装置。
(確かに内燃機関が無くなるなら大事件だな。今現在もよく使われているからね。
車や航空機や船などに内燃機関が使われている。
ケツ社の予定では、内燃機関ではない、新たなエネルギー変換装置が完成する予定だったのだろうな。内燃機関の時代が終焉するほどのものをね)
]
その記事の扱い方を見るとその時代の世界は今日より経済問題にこころを砕いているようだった。スケールの大きい、大胆な試みが経済問題に見られる。
ブラウンローが明確にしたところでは、地熱利用は実利的経済知識の増大を示しているだけではない。現代の新聞より、科学研究、発明に多くのスペースが与えられている。図表や数式がたくさん見られたが、どうせ理解できないと思ってブラウンローは詳細には見なかった。「ものすごく高踏なものだった。そのいくつかはね」と彼は言った。
私たちの孫の時代は明らかにもっと知的時代であり、写真によれば、より健康で幸せな世界であるらしい。
「ファッションはカラー時代だ」ブラウンローは急に話題を変えた。
「手の込んだものかね?」
「いいや」
衣服についての彼の説明は曖昧だった。社会面のイラストと広告に見られる人々は身につける衣服――チョッキ、パンツ、ソックスなど――を最小限にしているようだ。胸には何もつけていない。非常に大きな袖口バンドが左腕の肘まで伸びていて、ポケットの代わりの工夫がしてあるように見える。これらの腕飾りは小型の楯のように装飾が施してある。たいていの人は大きな帽子を巻いたものを手にしている。美しい色の、見るからに柔らかな生地でできた長いマントを身体に巻きつけていたり、バンドで留めて肩に流している。
世界各地の人々の写真がたくさん掲載されていた。「だれもが素晴らしい身なりで、豊かなようだ。きりっとしていた。女性たちは美しい」とブラウンローは言った。
私はインドを思い出した。
「インドはどうなっていた?」
「よく覚えていない。アンコールはインドだったかな? 太陽のそそぐアンコールの建物でカーニバルが行なわれていたよ。褐色の肌の人々だが、服装は他の国の人々とたいして変わりはなかった」
[
アンコール朝はカンボジア王国の王朝。
アンコール・ワットは、カンボジアにある。
インドではない。別のアンコールかもしれないけどね
]
私は中で政治への関心が蠢き出した。
「インドについて本当に何の記事もなかったのかい? 間違いなく?」
ブラウンローの記憶に残るようなことはなかったらしい。
「ソヴィエト・ロシアは?」
「ソヴィエト・ロシアという名は使われていなかった」
ソヴィエト連邦はとうに日常の関心事ではなくなっているらしい。
「フランスとドイツの関係は?」
この二つの大国についての言及はないと言う。大英帝国、アメリカについての記事もなかった。彼の記憶ではこれらの諸国間の交流、大使の交換、会議、優劣の比較、緊迫した関係についてなにも触れられていなかった。
彼が断固として主張したのは、選挙とか議会とか政治家とかジュネーヴとか軍備とか戦争というものについての言及は皆無であるということだ。現在のジャーナリズムの主たる関心事の多くは過去のこととなっている。ブラウンローが見過ごしたのではない。その点は確かだと彼は言う。
これは素晴らしいことだ。思うに今から四十年後には主権国家という大袈裟なものは消滅しているらしい。また議会もなくなっているらしい。それに代わって何か新しい方法で社会問題を処理しているようだ。愛国心、民族主義、政党という言葉はあとかたもない。たった四十年で! その時代には今生きている人間の半分はまだ存命しているというのに! 信じがたいことだった。私にも信じられなかったろう。もし二つの紙切れが存在しなかったら。
[
主権国家が消えて、戦争が無くなる予定だったのかもな。統一世界政府を創る予定はずっとこの頃からあるのだろうな。
第二次世界大戦を起こす予定はもともとはなかったのかもな(少なくとも赤組は、戦争は統一世界政府を創る手段として考えているだろうな)。
第二次世界大戦の開始は、1939年9月の英独戦争から。1945年8月日本の降伏で終わり。
本作の発表は1932年。
]
p99から
1831年に人々は鉄道や汽船による旅行など思いもしなかった。1871年には汽船で八十日で世界一周ができるようになった。またほんの数分で世界の各地に電報を打てるようになった。1831年には考えられないことだった。生活の革新はいったんスタートすると猛烈なスピードで進む。思想も技術も予測を超えて変化する。
しかもわずか四十年で!
[
40を非常に強調する作品だな。重要な数字なんだろうな、40って
]
各国の政治は夕刊から消えた。さらに根本的な変化がある。ビジネスも、主として、金融であるが、まったく現在とは様相を変えている。断定はできないが、どうもそういう印象を受けるのである。株式市場が見られず、シティ〔ロンドンの金融街〕のページもない。それにとって代わるものの記事もない。ページを繰ったブラウンローが現在と同じ経済関係を記事を読みとばしてしまったのではないかという可能性もあるので、確かめたが、そんなことはないという返事であった。世の常に漏れず、投資に神経を遣っている彼はシティの記事を探してみたが見つからなかった。
(ここからp.100)
1971年11月10日は月曜日かもしれない。カレンダーも大幅に改正されている可能性がある。しかし今はそのことに触れないでおこう。ともあれそのこととシティの記事がないこととは無関係だろう。金融も今から四十年後には一掃されてしまったのだ。
とすれば、大変革、大破局があったのだろうか? 投資、投機の息の根を止めるような? 世界はボルシェヴィキ(過激共産主義)に走ったのか? しかしそのようなことを示唆する記事は皆無だった。共産主義世界革命がなかった証拠にこのような大衆紙が何の妨害もされず個人のポストに配達されている。大変革の徴候は見られないのだ。日々の変化が少しずつ積み重なって、朝や春がやってくるように、革命の動乱なしに大きな変革が生じたらしい。
[
金融が存在しない。もしかしたら、貨幣制度すら無いのかもな
]
ヴェンティミグリア〔ニースに近いイタリアの町〕の地滑りの写真、ザルツブルクの新しい化学工場の写真、イルクーツク近郊の騒動の写真(後で説明するが、その色褪せた一部が残っている)がある。最後の写真についてブラウンローは考え込んだ末に指を鳴らして言った。「連邦警察による山賊の一斉検挙と書かれていた」
「連邦警察だって?」
「それは何のことか分からない。争っている両陣にいるのはほとんど中国人だが、アメリカ人か、イギリス人、あるいはスカンジナヴィア人らしい背の高い人種も混じっていた」
彼は話を続けた。
「かなり紙面を大きく占めていたのはゴリラの記事だった。大変な取り上げようだ。地熱の記事よりは小さかったが、写真と地図入りの特集記事だった」
それは地球最後のゴリラの死についてだった。アフリカのゴリラ保護区のできごとに対しての憤慨が示されている。世界のゴリラの数は長年の間に減少し、1931年には九百頭くらいと推定されていたものが、連邦議会が保護を引き継いだときは三百に減少していた。
「連邦議会とはなんだい?」
ブラウンローも知らなかった。連邦議会という言葉を読んだときは彼は違和感を覚えなかった。連邦議会は一度に様々なことを手がけているらしい。組織力や資金力が欠けているようだ。一見すると、絶滅の危機にある貴重種を保護するために応急に造られた保護機構のように思える。ゴリラは十分な保護の手が伸びなかったので、変種のインフルエンザによって絶滅した。気づいたときは遅かった。新聞は機構の調査と組織の根本的改組が必要だと書き立てて(原文ママ)いた。
連邦議会は1971年には非常に重要な働きをしているらしい。森林の回復についての記事にもその名前が出て来る。ブラウンローは木材会社の株を持っているのでこのことに関心があった。連邦議会は野生ゴリラの病気だけでなく、カナダ、ニューヨーク州、シベリア、アルジェリア、英国東部の植林にも関わっている。また害虫の駆除、植物の病気に対する処置を怠ったことで非難を浴びていた。その機能は驚くほど広範囲で現代の私たちが持っている既成の区分を超えた仕事をしている。世界に跨る組織であるらしい。
「建築、家具の大きな木材の使用制限条約が追加されたにもかかわらず、一九八五年以降、木材の不足が明白である。また、森林地帯の降雨量の不足も見込まれている。緊急の処置が必要であったにもかかわらず、連邦議会は措置を怠った。ジェイムズ調査委員会の報告によれば、議会の対応の後れ(原文ママ)と予測の甘さは弁解の余地がないと言う」
この記事が引用できるのは目の前に実物があるからである。後に説明するように、残ったのはこの記事だけだった。新聞の他の部分は存在しない。私たちの知り得るすべてはブラウンローの不確かなところがある記憶によるしかないのである。
p.102
5
日が経つにつれて連邦議会のことがますます気になってきた。連邦議会とはひょっとして世界連邦のことなのか?
(
ここを読んだ直後に笑ってしまった(笑)
)
わずか四十年後に科学的に世界を統制する科学的組織が生まれるのか? 私は思わずうろたえた。世界はやがて統一されるはずだと私は信じてきた。詩人のテニソンの言葉をかりれば、「人類の議会と世界の連邦」が生まれるはずだと。しかしそれには数百年かかるだろうと考えていた。しかし私の未来予想は間違っていた。変化の速さを読み誤っていた。1900年に私は「五十年後には」飛行機の時代がくると書いた。しかし実際は1920年にすでに飛行機は爆音を響かせて至る所で乗客を運んでいた。
〔
1971年までに世界連邦が実現する『ブラウンローの新聞』
赤組の予定表じゃん(笑)
本作の書き手(作中人物)の名前がH・G・ウエルズなので、作中人物だけでなく作者としてのウェルズも、さすがに40年後には科学的に世界を統制する科学的組織は生まれないと考えていたのかもね。
〕
夕刊紙の他の部分について簡潔に説明したい。スポーツとファッション関係の記事が多かった。「スペクタクル」と呼ばれているものの正体は分からないが、たくさんの写真が出ている。装飾芸術と建築についてイラスト入りの批評が多い。ブラウンローが見た写真の建築は「高層の壮麗な建物で、摩天楼のようだ。ニューヨークに似ているが、さらに規模が大きい」そうである。不幸にして彼は絵がだめだ。彼にはよく理解できなかったが、ラジオ番組らしいものもあった。
すべてを総合すると現代と似ているようだが、おそらくもっと明るく快適な生活のようだ。
しかし別の問題がある。
「出生率が千人に七人だった」とブラウンローが言った。
私は声を上げた。ヨーロッパでは現在の出生率は低くても千人につき十六人以上である。ロシアでは四十人であるがゆっくりと低くなってきている。
「確かに七という数字を見た」
「しかしどこの出生率なんだ? 英国か? ヨーロッパ?」
「単に出生率とだけ出ていた」
私たちの孫の世代の世界について瞥見したところでは、一番奇妙なのは出生率だった。千人に七人というのは一定した人口の維持ではなく、もし死亡率がさらに下回るのでなければ急速な減少を意味する。おそらく寿命が伸びたのである。ブラウンローはよく分からない、写真で見たかぎりでは「老いぼれ」はいなかったという。子供と若者だけだったという。
〔
老い自体がない社会か、老いた者はどんどん死ぬ社会かだろうな
〕
「犯罪は?」
「あったとも。毒殺事件がでていた。でもどんな事件か分からない。この手の犯罪は初めから追わないと状況を理解するのが難しい。今だって新聞は毎日刻々と犯罪の解説を載せているわけじゃない。四十年後にもなかった。いや、ないだろうと未来形で言ったほうがいいかな。
いくつかの犯罪記事とジャーナリズムで言うところの【ねた】があった。現代の新聞記者より彼らは人間的で同情的だ。犯人探しよりは、動機に関心を寄せている。もっと心理学的といってもいい」
「書籍についてはどうだった?」
「なにも覚えていない」
それだけだった。一年に十三カ月目が加えられたらしいという些細なこと以外、他になにも分からなかった。私は苛立たしかった。以上がブラウンローの記憶のすべてである。
p108から
「それではこれは?」彼は震える手で切抜きを渡した。
「変だな」そう言って私は黒緑のインク、珍しい活字、変わったところのある綴りをじっと見ていた。裏返してみた。そこには写真の一部が載っていた。例の「連邦警察による山賊の一斉検挙」の写真だろう。
その時は写真はまだ色褪せていなかった。遠くに見える禿山(はげやま)を背景に、砂漠のなかに壊れた煉瓦の建物が写っている。冷たく澄んだ空気と雲一つなく照りつける午後の陽射しが完全に捉えられている。前景では褐色の制服を着て、マスクをした四人の男が車輪つきの小型機械を操作している。機械のチューブのノズルからは何かが噴き出していて建物の左手を壊している。何をしているのだろうか? ブラウンローが言うには建物の中の男たちをガス攻めにしているのだという。これほどリアルなカラー写真は初めて見た。
「一体これはなんだ?」
「例のものさ。僕は気が狂っていないだろう? これは本当に例のものなんだ」
包み紙は私が初めて見たとき以来今日まで少しも変わっていない。しかし森林回復についての記事は細かな粉のような物に分解し始めている。裏面の写真も色褪せ始めた。色彩の多くが消え、輪郭がぼやけてきた。私は紙の粉をロイヤル・コレッジにいる友人のライダーのところに持ち込んだ。彼は微粒分子化学の研究で知られている。彼によれば、それは紙ではなく、人工樹脂によって強化されたアルミだという。
ブラウンローが四十年先の新聞を入手して二時間もそれを読んだという事実はこれを書いている私の名前がH・G・ウエルズであるということと同じくらい確かだ。これ以上の確信がありえようか。
[
わざわざ語り手の名前をH・G・ウエルズにしたということは、本作がケツ社的な内容だということだな(笑)
]
『故エルヴィシャム氏の物語』
(その他の邦題は『故エルヴシャム氏の話』『亡きエルヴシャム氏の物語』)
The Story of the Late Mr. Elvesham (1896)
(薬品による精神と肉体の交換の話。薬によって肉体の中身が交換される話だ。
「肉体は魂(記憶を含む)の器にすぎないから入れ替えても良い」思想)
p114から
ぼくがこの物語を書きとめるのは、信じてもらえるだろうと考えるからではなくて、できることなら第二の犠牲者を出したくないからである。
ぼくはエドワード・イーデンという。
(黄色の顔の小柄な老人の名前がエルヴィシャム)
老人の声は感激でふるえていた。
「すべてけっこうじゃ、イーデン君。何から何まで満足じゃ。今夜こそ一緒に食事をして、君の相続を祝わなければ」
p121から
老人はエグバート・エルヴィシャムといった。偉大な哲学者で、その名前は学校通いの少年の頃から知っていた。
「君がわしの名前、地位を引きつぐのはかまわんだろう。しかしほんとうに、よろこんでわしの年齢も引きついでくれるかね?」
[
年齢も引きつぐから肉体交換だな
]
「あなたの輝かしい業績と一緒に」
ぼくは慇懃に答えた。相手は再び微笑した。
「キュンメル酒――二人にだ」
彼はポケットから取り出しておいた小さな紙包みに視線を移した。
「夕食後のこの時間はいろいろ飲むものがあってね。ほら、これはまだ未発表の発明なんだが」
彼は黄色い震える指で包みを開き、中のピンクがかった粉末を見せてくれた。
「これが何であるかは、想像にまかせよう。だがこれをほんの少し混ぜるとキュンメル酒は天国(ヒンメル)になるぞ」
彼は小さな二つのグラスに粉末を入れて、ふいに妙な威厳(もったい)をつけて立ち上がると片手をぼくの方へつき出した。ぼくも同じようにし、二人のグラスがカチンと合った。
ぼくたちは互いに瞳を見つめ合ってグラスを傾けた。彼の視線はぼくの目をまっすぐにのぞきこんでいた。ぼくは飲みほすときに奇妙な激しい感覚をおぼえた。飲みこむとすぐに効き目があらわれて、頭が激しくうずきだした。文字どおり頭蓋骨の中で脳がうごめくように感じられたし、何かたぎるような耳鳴りがした。
突然、大きな溜息をついてから彼はグラスを下に置いた。
「どうかね?」
「すばらしい味です」
(まだ入れ替わりは完了していない)
(老人いわく)
「11時7分じゃ! 今夜は二十五分までにウォタールー駅へ行かにゃあならん。すぐに行かねば」
「あの薬は」と言って、彼は自分の額に手を当てた。「君に飲ませないほうがよかったな。明日は頭が割れるように痛むじゃろう。ちょっと待て。ほら、ここに」
彼はぼくにセドリッツ沸騰散に似た平らなものをくれた。
「寝るときこれを水で飲みなされ。さっきのは薬の一種だよ。いいかね。寝るときまで飲んじゃいかんぞ。これを飲めば頭がすっきりするじゃろう。さあ、これでしまいだ。もう一度握手しよう。未来のために!」
心理的ダブリとでも言うのだろう。リージェント街を歩いているのに、ここはウォタールー駅だという奇妙な気がしてくるのだった。
(老人はウォタールー駅へ行ったから、この時点で入れ替わり始めている)
三十年前、兄と喧嘩したのはここだったな、と思った。しかしそれからぼくが大声で笑い出すと近くで夜の散策をしていた人々がびっくりし、一緒に笑い出した。三十年前といえばぼくは生まれていなかったし、自慢できるような兄など持ったこともなかったのだ。
(いきなり入れ替わるのではなく、記憶がだんだん入れ替わっていくようだ)
ぼくはもらった薬品をグラスに投げ入れるようにして飲みほした。
頬に枕が触れるのがわかったが、そのまま眠りにおちたにちがいない。
p136から
ぼくがこのように閉じこめられているのに、彼の方はのうのうとぼくの肉体、ぼくの力、ぼくの未来を所有しているのだ。考えるほどに、信じがたいことに思われ、ぼくの心はぐらついた。
ぼくは思想生活においてこれまでずっと物質主義者であった。しかし、突然、人間が物質から分離する明白な体験をしたのである。
[
本作は、オカルト的な現象(中身の入れ替わり)を科学的に実現する話。
今現在も赤組が受け継いでいる「オカルトの科学的実現」はウェルズがすでに書いているということだ
]
白い粉末の入った小さな緑色のガラス瓶だけであった。瓶の首にあるラベルには一語「解放」とだけ書いてあった。これは――ほぼまちがいなく――毒だろう。エルヴィシャムがぼくの手に届くところに毒を置くのはありそうなことだ。
彼は事実上、不死の問題を解決したのである。思いがけない災難にでも出遇うことがなければ、彼はぼくの肉体で生き続け、年老いたら再びそれを捨てて、別の犠牲者の青春と力を奪えばいいのである。
彼はどれくらい永く、肉体から肉体へ飛び移ってきたのだろう?……ぼくは書き疲れた。粉末は水に溶けるようだ。味は悪くない。
[
なるほど、初めての移動とは限らないんだな。本作は不老不死の実現方法を描いたともいえる。
]
エルヴィシャム氏の机の上に発見された物語はここで終わっている。彼の死体は机と椅子の間に横たわっていた。
エルヴィシャムが自殺したとき、奇妙なことに、イーデンはすでに死んでいたのである。エルヴィシャムの自殺より二十四時間前に彼は辻馬車に轢かれ、即死したのである。
[
元からイーデン(の肉体)は死ぬ運命だったのかは気になるな。もしそうなら、イーデン(中身)の方が老人の肉体に避難することで助かったと言える。自殺をもっと後回しにしていたら、自身の肉体の死亡を知ることで自殺しなかったかもしれない。
思ったよりもケツ社的な内容だったな。
]
『マハラジャの財宝』
The Rajah's Treasure (1896)
(本書では「Rajah's」は「h's」ではなくhsになっている)
インドの藩王国が舞台。
藩王国(はんおうこく) とは、植民地時代のインドにおいて、英国が間接支配した地域のこと。
(またインド強調かよ)
p144から
ヒマラヤの斜面にあるジェヒュンとビマブールの間、ジャングルと松やヒマラヤ杉の生い茂る高地の間にこれから私がお話しする財宝を持つラジャが支配する土地があった。
(ラジャは財宝を)なんと謁見の間の後ろにある小部屋の金庫の中に隠していた。
ラジャは英帝国の同意のもとに領土を東西に拡大した。
純粋に東洋風に、マホメットの教えにしたがってアラーの神の名において統治したことはいうまでもない。ラジャの統治は見事だった。
(イスラームなんだな。ヒンドゥー教ではない)
p149から
ラジャは宮殿の謁見の間の後ろの小部屋の壁に金庫を嵌め込んだ。彼は工事を注意深く監督した。完了すると、毎日、最低でも一日一回はそこで足を運んで、輝く目をして戻ってきた。
ラジャが変わり始めたのはその頃である。老練で狡猾であったのが、短気になって腹蔵なくものを言うようになった。物事に厳しくなり、やることなすことに貪欲の影が入り込んだ。
(
飲酒のせい。財宝とは酒のこと。ムスリムの飲酒ネタ。本当に欧米ケツ社はイスラームが嫌いなんだな。完全にイスラームへの嫌がらせじゃん。
今現在、多様性多様性うるさいが、イスラームの生活規則はそれには含まれないからな
)
技師が錠をカチリと解いた。謁見の間にいるすべての目が鋭く光った。副長官だけは大英帝国の威厳をできるだけ示そうとゆったり構えていた。
「グラスに割れた瓶が数百も!」
「スコッチのようです」
「隠れた飲酒さ。バーボン・ウイスキーだ。飲み方を教えたのは俺だ。かわいそうにラジャはそれを秘密にしてきたかった。ミンダポアは高原地帯の回教地域でももっとも戒律の厳格な土地のひとつだからな。ラジャは秘密好きで一人で何かに浸るのが習慣だった。そこで瓶を隠す金庫を手に入れたというわけさ。金庫が一杯になったとき、もっと詰め込もうとして瓶を割ったのだろう。
(略)
彼が金庫を開けるところを是非見たかったものだ!」
(で話は終わり)
『デイヴィドソンの不思議な目』
(その他の邦題は『ダヴィドソンの眼の異様な体験』)
The Remarkable Case of Davidson's Eyes (1895)
(本書では「The Case of Davidsons Eyes」表記)
p168から
(デイヴィドソンについて)
彼の注意は浜辺と船の幻覚によって散漫になっているようだった。時折、ボートや錨の吊り柱、風を孕んだ帆についての説明をするのだった。
「では何が見えるのだね?」とウエイド学長が聞いた。たくさんの砂とくだけた貝殻しか見えないとデイヴィドソンは答えた。
「船のマストだけが見える」と出し抜けにデイヴィドソンが言った。
「船のことは気にするな。デイヴィドソン、よく聞けよ。幻覚とはどういうものか知っているかい?」
「もちろんです」とデイヴィドソンは答えた。
「君の見ているものはすべて幻覚なのさ」
「バークリィ〔ジョージ・バークリィ(1685-1753)はアイルランドの聖職者、哲学者で、物質は知覚によってのみ存在し得るとする論を展開した〕の説ですね」
「勘違いするな。君は生きていて現にボイス教授の部屋にいるのだ。しかし君の目に何かが起きたに違いない。触覚も聴覚も働いているのに目が見えない。私の言っていることは分かるかね?」
p171から
デイヴィドソンの説明によれば、その島は概して荒涼とした所で、ビートのような物を除いて植物はほとんどなく、剥きだしの岩だらけだった。たくさんのペンギンが岩を糞で見苦しく白く染めていた。
p177から
(ファルマー号という船について)
「僕はこの船を見たことがある」
「そんなはずはない。この船は六年間も南海にいる。それ以前は……」
「しかし間違いなく僕が幻覚を見たのはこの船だ。ペンギンの住む島の沖に停泊して銃を撃っていた」
少しずつ分かってきたことは、デイヴィドソンが発作に襲われたまさにその日に、英国海軍のファルマー号はアンチィポディズ島の南方にある岩の小島の沖に停泊していた。前夜、ペンギンの卵をとるためにボートが上陸していた。しかし嵐が近づいたために予定が遅れて、乗組員たちは朝になってから船に戻ることにした。アトキンズもその中の一人だった。彼はデイヴィドソンの島とボートの説明を一語一語確認した。デイヴィドソンがその島を実際に見たことはだれの目にも明らかとなった。彼がロンドンをあちらこちらと移動している間に、視覚の方はそれに呼応する遠方の島を同じように移動していたのである。実に不思議な出来事である。
デイヴィドソンの目の不思議な物語は以上のとおりである。これは遠方が肉眼に見えるという【遠視】の実例である。その理論的根拠はウエイド学長の提出した仮説が現在のところ唯一のものである。彼の説明では純理論的な空間である四次元がこれに絡んでいるという。「空間のよじれ」が存在するという説明は数学者でない私にはナンセンスに思える。二つの場所は八千マイルも離れているという事実は変えられないではないかという私の指摘に対して、ウエイド学長は紙上の一フィート離れた二点は紙を折り曲げれば、合致するのであると答えた。読者は彼の説明を理解されるかもしれないが私には合点がいかない。デイヴィドソンが電磁石の極間に屈んでいたときに、雷電によって磁場に生じた変化が彼の網膜に特殊なねじれを生じさせたのだというのが、ウエイド学長の考えらしい。
その結果、デイヴィドソンは肉体の置かれた場所とは別の地球上の場所を見ることが可能になったと、ウエイド学長は推定している。これを証明するための実験もすでに何度か実行している。しかし結果は数匹の犬を盲目にしてしまっただけである。彼の研究の成果は正味そんなところであると思う。数週間、私はウエイド学長には会っていない。私は最近、セント・パンクラスの施設にかかわる仕事のことで忙しすぎて彼を訪問する暇がなかった。彼の理論は奇想天外なものにみえる。デイヴィドソンの実際の事件は全く別のレヴェルに属することである。以上の事件の細部の報告は誤りのないものであることを私は自ら証言しておく。
(
超能力ネタ。超能力を科学的に扱っている。本作は目と関連するからケツ社的に重要かもしれないと思い、ちゃんと記した。ケツ社度は高くなかったな。
今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』
)
『アリの帝国』
The Empire of the Ants (1905)
p194
それはこれまで彼が見たどんなアリよりも大きく、黒かった。ただ機械的にせわしなく動き回る普通のアリとはまったく異なって、落ち着きはらった慎重な動き方をしていたという。二十匹に一匹の割(原文ママ)で群を抜いて大きいアリがいて、その頭も驚くほど大きい。彼がすぐに思いついたのは葉切りアリを支配するという首領アリのことだった。ちょうど同じように全体の動きを指令し、統率しているように見えたからである。身体を独特な格好で後ろに傾け、まるで前足を使えるようにしているかのようだった。そして遠すぎて確かめようもなかったが、大部分のアリが装具を身につけ、金属の糸のような輝く白い紐で身体に何かを縛りつけているような気がした。
p.197
巨大なアリの群が――体長は数インチはあっただろう――何の役にも立ちそうにない奇妙な荷を運びながら、どことも知れぬある場所から別の場所へとせっせと動き回っていた。目につく場所では列を作らず、間隔をとってばらばらに動いており、戦闘中の歩兵隊が散開する様子を思わせた。
(
1インチ=25.4mm≒2.5㎝。5センチはあるアリは確かに大きいな。
人間より大きくはなかったな。でも5センチのアリがたくさんいるのは怖いな。
『モロー博士の島』と『アリの帝国』ってもしかして、ハンターハンターのキメラアントの元ネタ?
)
p204から
これまでに知らされているどんな種類のアリよりも、はるかに高い知能とすぐれた社会機構を具えていることは、まず疑う余地がない。拡散した社会形態ではなく事実上、単一国家のように組織されている。しかし、真におそるべき点は、自分たちより大きな敵に対して、アリたちが巧妙に毒を使用することだった。この毒は蛇の毒に極めて近いものらしかった。アリたちは実際にそれらを製造して、人間を攻撃する際には仲間の中で身体の大きなものが針状の結晶を運搬するらしい。
この小さい不思議な生物は、道具を使用し、火や金属の知識があり、我々北国の人間を仰天させるような組織だった技術的手腕をもっているばかりではない。なにしろ一八四一年にリオデジャネイロの毒アリがロンドン橋付近のテムズ川ほどの幅をもつパラヒバ川の下にトンネルを掘ったのだ。それに加えて、書物にも匹敵するような記録や情報伝達のための秩序だった綿密な方法を具えているとも言われている。これまでのところ、アリたちの作戦行動は着実な前進と定住であり、その際、新たに侵略した地域の人間はすべて追い払われるか殺された。
p206
「そうですね、今のところは。
(略)
アリたちがヨーロッパを発見するのは、遅くとも1950年か60年になることでしょう」
(でこの短編は終わり)
備忘録(メモ)は以上だ。
記事公開後に反応があればここに足すかも。
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTねここねこさんありがたや🙏モロー博士の島に関しては皆さんからの呟き以外はほとんど何も知らなかったが、記事を拝見し色々な作品が頭をよぎる。動物、改造、これだけでもいくつも作品が思い浮かぶ。人間に動物等何かしらの力を加える為に改造とか手術とか、逆にモロー博士のように動物等を
引用
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
午後7:48 · 2024年12月18日
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『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾンズ、ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』へ
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このスレッドを表示
午前0:04 · 2024年12月19日
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2
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改造して人間にするとか。いや、本当にたくさん作品を思いつく。本当にモロー博士の話は多くの人に影響を与えているとともに、なぜここまで広がらなければならなかったのかということも疑問として出てくる。モロー博士の前の、さらに前のと、影響を与えたであろうものと、
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午前0:08 · 2024年12月19日
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3
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なぜそうしなければならなかったのかということを考えると何か見えてくるかもしれない。これだけ日常に溢れよく目にするものなのだから、しっかりと考えた方がいいと思う。
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午前0:09 · 2024年12月19日
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個人的に共食い、改造、動物で思い出すのがちいかわでおなじみの作者が描くもぐらコロッケというキャラクターが出てくる話だ。ちいかわとは別の世界の話だったと思う。もぐらコロッケは名前の通りコロッケのもぐらなのだが、体がコロッケなので勿論コロッケの味がする。あるとき、出かけた
午前0:12 · 2024年12月19日
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4
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もぐらコロッケがたまたまただのコロッケを食べ、コロッケの味を知ったことで、仲間を食べたい衝動に揺らぐという話。また、別のもぐらコロッケはコロッケゆえに水に弱く、そのため海に憧れるものの海には入れずに悩んでいると、この世界にいるユニコーンとバイコーンに
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午前0:14 · 2024年12月19日
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5
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手術してもらい下半身が魚、つまり人魚に改造される話もある。このときもぐらコロッケは丁寧に契約書にサインし、自ら改造手術を望み改造される。ちいかわの世界も色々と凄い話はあるが、個人的にもぐらコロッケの世界も話の凄さは同等かその上を行っているように思う。
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午前0:18 · 2024年12月19日
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狐の嫁入り前さんがリポスト
ケイン
@sinkaimaguro555
もぐらコロッケ、共食い衝動ある奴、下半身を魚に改造された奴、被り物を被ると敵味方関係なく襲う奴、プライドを破壊された兵士と色々あるけど誰が好きですか?
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午後0:37 · 2022年5月11日
狐の嫁入り前さんがリポスト
斉藤コウジ
@saitoukoji
二次元のカニバとか人体改造とか好きだけどもぐらコロッケはグロすぎて読むの怖いよ
午後10:02 · 2019年9月12日
狐の嫁入り前さんがリポスト
hatahata@部屋に籠って本を読め
@naruhata
もぐらコロッケをきちんと読んでなかったがやっと単行本を買い揃え、改造人魚編を読んでる途中であまりの邪悪さにマジでギャッて叫んで本を投げつけた
その直後にシンカメ見に行ったので、改造とか洗脳とか言われてもフーンって感じになってしまった
午前1:05 · 2023年3月27日
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狐の嫁入り前さんがリポスト
カズヒコ
@kzhkgrbl35000
煮付け食べたら機械化するんじゃなくて
あくまでも煮付け食べたら永遠の命になっただけでそこから機械に改造された可能性も残っている…
ナガノ作品はそういう事する奴らが居る世界観だから…
それで思い出したけどもぐらコロッケの時からナガセン世界の人魚って基本的に邪悪種だったわ
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午後8:57 · 2023年11月8日
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(「煮付け食べたら機械化するんじゃなくて
あくまでも煮付け食べたら永遠の命になっただけでそこから機械に改造された可能性も残っている…」は『ちいかわ』のことだよ)
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTの数々🙏あともぐらコロッケが人魚コロッケになって本物の人魚に会ったとき、もぐらコロッケの世界で頂点に立つ通称ヌンくまだったかな、の像の前で骸骨の頭に赤いゼリーのようなものを食べさせられそうになり、人魚の仲間にされそうな描写もなかなか。
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午前0:28 · 2024年12月19日
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5
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結局、人魚コロッケはかつて人魚だったが陸に住むためにケンタウロスになった医者の人魚とか、ケンタウロス人魚の住むところには変な生き物がいっぱいいたりとか。人魚コロッケの海での友人はいるかだったりする。今思えば色々考えてしまうような話でもなくはない。
さらに表示
午前0:34 · 2024年12月19日
·
7
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(『ちいかわ』だけでは確信できないが、もぐらコロッケと合わせるとケツ社員の確率が上がる)
ーーー
ワクワクさんさんがリポスト
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾンズ、ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
今放送中の『仮面ガブ』の主題は食人。ガブは『モロー博士の島』へ
yomenainickname.blog.fc2.com
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ—の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』 (1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代、尼ゾン...
※謀議追及的に重要なので、訳者による解説と『モロー博士の島』だけでもお読み下さい(この2つが『ブラウンローの新聞』よりも明らかに重要)。 今回の岩波文庫の本で一番ケツ社度が高いのは『モロー博士の島』。次が『ブラウンローの新聞』。その次が『故エルヴィシャム氏の物語』です。” 一八九六年に『モロー博士の島』が発表されたとき、当時の読者はある衝撃をうけた。動物の人間改造というテーマに血腥い瀆神的な...
午後7:48 · 2024年12月18日
·
693
件の表示
https://x.com/uxskf/status/1869520775604236526
”ワクワクさん
@uxskf
https://khsu.repo.nii.ac.jp/record/84/files/KJ00004187121.pdf
この見方も面白くてモロー博士=大英帝国批判とか科学による優生学の失敗とか
だから神智学とか日本のイルミナティと連携して教育運動してたのが彼なわけだし
キリスト教による開花とか劣等人種扱いのメタファーとか
午前8:11 · 2024年12月19日
·
363
件の表示”
(上記の続き)
https://x.com/uxskf/status/1869521192786555257
”当時の人種差別とか帝国主義とかのメタファーや皮肉も込めてるんだろうけど
キメラアントにしろケモノフレンズにしろ元ネタの1つだろうけどそこら辺さすがに強調はして無いかな
そもそもグラントリアン思想だし
午前8:12 · 2024年12月19日
·
182
件の表示”
[
リンク先は
『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー : 大英帝国の衰退とその反動
『保健科学研究誌』 (2) 109-120 2005年
であり、以下しばらく備忘録。
(大英)帝国没落の根本原因は下層労働階級の「人種退化」("degeneration")にあるとされた。この問題を解決するための理論として, ダーウィンの従兄フランシス・ゴルトン(1822-1911)によって提唱されたのが優性学(原文ママ。以下同様)である。「科学的」な根拠に基づいて「健全なる人種」を生み出し, 人種退化を防ぐことが優性学の目的とされた。そしてこの理論により植民地の原住民だけでなく, 英国内の都市の貧民や犯罪者たちまでもが, 進化の時間軸のなかで下位に位置する劣等人種として優性学的に排除すべき対象とされていく。
[
『モロー博士の島』だと人工的に人間的存在を創造しようとして、結局失敗する話なので、優生学批判とも解釈できるんだよな。この論文に「劣等人種としての獣人」とある。科学技術で創造できるのは劣等人種って物語。優生学批判だと解釈しても、結局、思想の基盤が優生学。モロー博士が本音担当だろうから、素直に優生学批判だとは受け取ってはいけないだろうな。優生学を一部肯定、一部否定って意見だったのかもね。
失敗したとはいえ、モロー博士の基準での優れた存在を生み出そうとしていたので、超人創造思想なのは確かだ。
]
『モロー博士の島』には, 結局出版されなかった初稿が存在する(以下「初稿モロー」とする)。出版稿とは物語の方向性は異なるものの, モローが孤島で動物に生体解剖を施し人間を生み出そうとする点では同じである。ところがこの二つの版の獣人の描写を比較してみると, そこには顕著な相違がみられる。
[
「初稿モロー」は、"The First Moreau."を略してFMと本論文では記される。出版された方はDM表記
]
例えばモンゴメリが「この若い男の顔はややげっそりしており, 薄青い瞳, そして金髪の口鬚をぼさぼさに伸ばしていた。丈夫そうな亜麻布の白い服を着, 裸足であった」(FM110)と描写されるように, 髪の毛や瞳の色から始めるというヴィクトリア朝小説の常套的手法で描かれている。
[
初稿のモンゴメリは金髪で青い目の白人なんだ(笑)
いかにも青組好みの見た目のモンゴメリは、初稿でも死ぬんだろうな。
]
頭蓋骨の形は, T・H・ハクスリーが『自然界における人間の位置』でダーウィンの進化論を補強するために着目したものであった。そのなかでハクスリーは頭蓋骨の形や大脳などの構造から, 人類と類人猿の近似性を論証しようとする。
(略)
しかし動物と人間との進化上のつながりを述べるいっぽうで, ハクスリーはそれと矛盾しかねない主張を続けて展開させる。つまり西洋の「文明人」と非西洋の「未開人」との溝を強調するのである。
[
T・H・ハクスリーは進化論と人種差別をつなげていたってことね。
『モロー博士の島』では、人間社会に戻ってきた主人公が、「牧師の巫山戯(ふざけ)た説教はあの猿男の言葉と大差なく聞こえる」と表現しているように、「獣人(劣等人種)と人間(高等人種)にそんなに違いがあるか?」って批判と解釈できる。
主人公の設定に明らかにウェルズの経歴が混ざっていることが根拠だよ。
モロー博士はケツ社の邪悪な本音担当だが、主人公は邪悪ではない方の本音担当でもあるのだろうな。本音といっても、主人公の方はウェルズ個人の見解がかなり混じっているだろうな(ケツ社の思想を代弁させただけではないだろうな)。
]
(略)
このように,『自然界における人間の位置』は, 人類と他の動物との近似性を強調するいっぽうで, 非西洋の「未開人」を進化の途上にあり西洋人の下位に位置する存在とみなし, 両者の差異を「科学的」に立証しようとするものでもあった(次頁図1)。5)
とくに物語の後半になると, 人間とはかけ離れた存在に見えた獣人のなかに, 人間との類似点が仄めかされるようになる。プレンディックは言語を人間と動物とを弁別する指標と捉え, 自分に語りかけてくる猿男を人間であると考える。獣人がもともとは動物であるとモローから言われても, それをにわかには信じることができない。「わたしは笑い, 言った。『冗談はよしてくれ。やつらは言葉を話し, 家を建て, 料理もする。やつらは言葉を話し, 家を建て, 料理もする。やつらは人間だ』」(DM128)。彼らがもともとは動物であったことを理解したあとも, プレンディックは, 獣人の掟を犯してしまったために窮地に追いつめられた豹人間のなかに, 動物性とともに人間性をも垣間見る。
(略)
このように獣人と人間の類似性がたびたび強調されていき, 遂にはその両者の社会が重ね合わされる。撃ち殺された豹人間の死体に対し,
「獣人たちは極めて人間的な好奇心を示した。……奇妙な確信がわたしを襲った。その言葉はつたなく, 姿形も醜いが, 眼前のこの光景は人間社会の完全なる縮図なのだ」(DM167)。
二つの稿の描写の相違は, 物語の方向性の違いからくる。『モロー博士の島』はミステリーを意図したものではなく, 人間にも動物とあまり変わらない面があるということ, つまり人間のなかにある獣性がテーマの一つである(このことに関しては本稿第Ⅲ章で論じる)。しかしここで注目したいのは, 『モロー博士の島』の獣人の象徴的意味である。彼らには, 動物と人間両方の性質が付与されている。つまりこれら動物とも人間ともつかない存在は, 進化論的時間軸のなかで動物と人間の間に位置するとされ, 人間という高みには到達していないとされた劣等者たちを体現している。彼らは, 優性学(原文ママ。この論文はずっと誤字し続けているな)的に排除すべき英国内の下層階級, 非西洋社会の原住民といった存在と重なってくるのである。
『モロー博士の島』の獣人たちの背後にはこのような英国内の下層労働者たち, 植民地の被植民者たちの姿があるのである。
[
ウェルズは下層階級の家に生まれたのが重要だな。獣人(下層。ウェルズの出身)と人間(中・上流)の類似性を強調したのは、「下層階級を馬鹿にするな!」って言いたかったのもあるだろうな。
]
(PDFで6/12から)
Ⅱ. 植民地としてのモローの島
しかし『モロー博士の島』のなかで劣等者としての烙印を押されているのは実は獣人だけではない。白人の支配者であるモローやモンゴメリにもその印は深く刻まれているのだ。彼らがことごとく追放者であるということがそのことを象徴的に表わしている。
ここで追放の象徴的意味に注目するのは, 19世紀末から20世紀初頭にかけて, 多数の犯罪者や貧民が事実上の追放者として国外に移住していたという事実があるためである。
犯罪者や貧困層を国外に排除するということには, 優性学的なイデオロギーが結びついていたのである。
さらに登場人物たちの追放者としての存在は, その飲酒癖により強調される。飲酒とは, 人種退化の第一の原因でありまた結果でもあると考えられ, 怠惰や性的放埓といったものと結び付け考えられていた。
[
主人公が、モンゴメリと獣人らと酒を飲まなかったのはこういう理由もあるんだな
]
さらに興味深いのは, モンゴメリの描写である。それはすでに引用した初稿のそれと比較するとはっきりする。「初稿モロー」ではやつれた顔, 瞳, 口鬚, 服装が手短に述べられていただけだったのに対し, 『モロー博士の島』では前者に見られなかった特徴が列記されていく。
気がつくと, わたしはむさ苦しい小さな船室のなかにいた。若い男が座って, わたしの手首を握っていた。亜麻色の髪, 硬そうな麦わら色の口鬚, 垂れ下がった下唇。一瞬, われわれは無言で見つめあった。彼の潤んだ瞳は灰色で, そこには不思議と表情が欠けていた。(DM65)
[
初稿では金髪で青い目だったのに、亜麻色の髪と灰色の目に変更されているのが重要なのだろうな。
”例えばモンゴメリが「この若い男の顔はややげっそりしており, 薄青い瞳, そして金髪の口鬚をぼさぼさに伸ばしていた。丈夫そうな亜麻布の白い服を着, 裸足であった」(FM110)と描写されるように, 髪の毛や瞳の色から始めるというヴィクトリア朝小説の常套的手法で描かれている。”
]
これにモンゴメリの舌足らずな話し方も加えると, 最終稿になり付加されたこれらの思わせぶりな表現に, 同性愛の暗示を読み取ることができる。オスカー・ワイルドが同性愛の廉で投獄されるという英国社会を揺るがした「事件」が起こったのが1895年, 「初稿モロー」(1894)と『モロー博士の島』(1896)のちょうど狭間の出来事である。7)
[
え、この程度で同性愛の暗示になるの?
]
モローの島は, まさしく当時の英国植民地の縮図なのである。
Ⅲ. 人間の動物化―理性の喪失
人間の動物化というこのモチーフは, 物語の冒頭ですでに暗示されている。難破したレディ・ヴェイン号から小型救命艇に乗り移ることのできたプレンディックを含めた三人は, 空腹という欲求に耐えきれなくなると理性を逸し, 相手を殺してその肉を食べようとする(ここで, 頑強な二人が取っ組み合っているうちに海に落ち, 一番弱いプレンディックが生き残るというのは, 「適者生存」に対する皮肉でもある)。
[
『モロー博士の島』に人肉食(カニバリズム)ネタがあるのを忘れていた。本作のケツ社度は高い。完全に仮面ガブの元ネタ。モロー博士が3人も登場するしな!
この論文や、岩波文庫の解説を読むと、『モロー博士の島』が、ケツ社要素を抜きにしても優れた小説だとわかる。
]
白人の登場人物たちは人間と動物との境界を行き来するようになるのである。
そんなとき, わたしは周囲の人間を見まわし, そして恐怖にふるえる。……彼らのなかから獣性が吹き出してくるのではないかと, そして島の住人たちに起こった退行が, もっと大きな規模で再現されるのではないかと感じてしまうのである。……そして教会にでも逃げこむと, そこですら, 牧師があの猿男のように「大きな考え」をまくしたてているように思え, わたしは気が滅入ってしまう。図書館に入れば, 熱心に読書をしている顔が, 獲物を辛抱強く待つ動物の顔に見えてしまうのである。(DM205-06)
ハクスリーと有名な論争を演じた英国国教会牧師ウィルバーフォースへの当て擦りを含め, ここにスイフト的な人間への嫌悪を読み取るのは, ある意味で当然といえる。
[
猿男でたとえられた牧師に元ネタがあることに驚いた
]
しかしそれで止まってしまってはいけない。このことが書かれた当時, つまり19世紀末において, このことがどのような意味を持ちえたのか考察する必要がある。ひとつには, この文章から, 獣人たちの退化が, 当時盛んに議論されていたイギリス人の人種退化, そして大英帝国衰退のメタファとして機能することが分かる。
さらにもう一点, 帝国主義の負の側面である。
Ⅳ. 大英帝国の未来図としての『モロー博士の島』
動物から人間を造っていくモローの実験は, 「人種退化」していく国民と国家を再生させるため, 「科学的」に「健全な人種」を生み出していくことを提唱していた優性学のメタファとなる。モローの実験は失敗に終る。モローの知識と技術と執念を持ってしても獣人たちの「退化」を止めることはできない。結果として優性思想が排除しようとしていた劣等者たちを生み出してしまう――
(略)
モローの島は, 没落へ向かいながらも, 優性学により「健全な人種」を生み出そうとしていた大英帝国のペシミスティックな未来図となる。
[
素晴らしい論文だよ。紹介してくれたワクワクさんと、論文の書き手に感謝!
]
『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー - CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001201684001024
”H・G・ウェルズの『モロー博士の島』(1896年)は、ダーウィンやT・H・ハクスリーの進化論思想を用いて分析されたり、またスウィフト的寓意として解釈されてきた。しかしこれらの批評には、このテクストが産み出された当時の歴史的状況に対する考察が欠けている。本稿では、『モロー博士の島』を社会的、政治的文脈のなかに位置づけ、当時の社会情勢がこのテクストのなかにどのように表れているかを分析した。ロンブローゾ、ウィリアム・ブース『暗黒のイングランドとその出口』、ノルダウ『退化』といったテクストを参照しながら、初稿と出版稿との比較、白人の登場人物の象徴的意味、物語の寓意的意味といった点を中心に分析し、『モロー博士の島』が、大英帝国の衰退に対する恐怖心から生まれたイデオロギー-世紀末大英帝国の人種退化、植民地主義、優生学をめぐる言説-の交錯し重なり合った重層的なテクストであることを論じた。
収録刊行物
保健科学研究誌
保健科学研究誌 (2), 109-120, 2005-03-15
熊本保健科学大学
” ※着色は引用者
]
https://x.com/uxskf/status/1869522135515013443
”ワクワクさん
@uxskf
ロシアはそもそもあのエレナさんの国だからねぇ
オカルト大国としてシャルダンの友達のヴェルナツキーの記念硬貨とか発行してるくらいだし
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午前8:16 · 2024年12月19日
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334
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ワクワクさん
@uxskf
解放された世界と新世界秩序とタイムマシンに世界の頭脳とかくらいかあとは
宇宙戦争はメジャーになりすぎたけど
フリメの教科書
午前10:02 · 2024年12月19日
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88
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https://x.com/uxskf/status/1869530810560520201
”ワクワクさん
@uxskf
グラントリアンによる歴史本だと世界史概観がおすすめだよ
世界史教科書の原型みたいなもん
欧州メーソン教育では間違いなく読まれてる エルサレムの話とか普通に笑える
午前8:50 · 2024年12月19日
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354
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”
ウェルズ含めて当時の大東社の歴史観がよく分かる
午前10:05 · 2024年12月19日·91 件の表示
ーーーー
ワクワクさん
@uxskf
グラントリアンによる歴史本だと世界史概観がおすすめだよ
世界史教科書の原型みたいなもん
欧州メーソン教育では間違いなく読まれてる エルサレムの話とか普通に笑える
午前8:50 · 2024年12月19日
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1,029
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農家で自給自足してる整体師
@NOUKA999666333
コメント失礼致します
コレでしょうか。
画像
午後1:01 · 2024年12月19日
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79
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知りませんでしたので調べました
グラントリアンとは
フランスフリーメイソンの事なのですね
イルミナティの事も書いてありそう
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午後1:07 · 2024年12月19日
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48
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ワクワクさん
@uxskf
あぁこれですね
フランス系フリーメーソンですね
この本の著者はロンドン出身ですけど
イルミナティの事は確か無いですよ
よくある世界史本
午後8:08 · 2024年12月19日
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81
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農家で自給自足してる整体師
@NOUKA999666333
お返事ありがとうございます。
學びに読んでみます。
午後9:53 · 2024年12月19日
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20 件の表示
ーーーー
(『モロー博士の島』論文について加筆中に発見:)
https://x.com/uxskf/status/1869748861646065775
”ワクワクさん
@uxskf
多くの人は獣人キャラ=有色人種、被植民地の人間、劣等扱いの人種
みたいなメタファーだった事をそもそも知らないで多分使ってる
ま、知ってるのもいるだろうけど
メーソンとか
午後11:17 · 2024年12月19日
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”
https://x.com/kitsuchitsuchi/status/1870134563252645913
”子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
論文のリンク↓
https://x.com/uxskf/status/1869520775604236526
『ブラウンローの新聞』は1932年の作品。
1971年11月10日の未来の新聞の内容が書かれている。
1931年11月10日が作中の時間。ちょうど40年後の赤組の予定表の一部であり、1971年までに世界連邦が実現。40を強調。書き手(作中人物)の名前がH・G・ウエルズ(笑)
引用
ワクワクさん
@uxskf
·
12月19日
https://khsu.repo.nii.ac.jp/record/84/files/KJ00004187121.pdf
この見方も面白くてモロー博士=大英帝国批判とか科学による優生学の失敗とか
だから神智学とか日本のイルミナティと連携して教育運動してたのが彼なわけだし
キリスト教による開花とか劣等人種扱いのメタファーとか
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午前0:49 · 2024年12月21日
”
[2024年12月23日に追加:
狐の嫁入り前
@kitsuyome
RTねここねこさんありがたや🙏今回の記事も大変参考になり🙏また、お返事ありがとうございます🙏もぐらコロッケのRTの中にちいかわの話が入っていたものは、画像がもぐらコロッケだったのでRTしていました。紛らわしくすみませんでした。
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引用
子×5(ねここねこ。子子子子子。五つ子)
@kitsuchitsuchi
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12月21日
『モロー博士の島 他九篇』。訳者解説、『モロー博士の島』(仮面ラ亻ダ-の元ネタ)、『ブラウンローの新聞』(1971年までに世界連邦が実現する赤組の予定表)だけでもお読み下さい。仮面初代…ガブhttp://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-584.html
に論文「『モロー博士の島』にみる帝国のイデオロギー」等について加筆完了。
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このスレッドを表示
午前10:05 · 2024年12月22日
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改めてモロー博士を考えた時、多分打ち切りのような形になってしまったが、ジャンプで連載していたDear Anemoneとか、ジャンププラスの読みきりだったと思うがヒトナーとか、ヤングアニマルの動物人間とかもそうなのかなと思った。他にも人が手術など何かしらで動物になるみたいな感じのものだと
午前10:09 · 2024年12月22日
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呪術の夜蛾が使う傀儡操術も思い浮かぶ。夜蛾が作った呪骸なるものに、核、と言いつつ実は人の魂なのだが、それを入れて呪骸を動かす。呪骸は全部動物。人の魂を持った動物だ。呪骸の中でも成功し傑作となったものがパンダ。パンダの中には夜蛾のなくなった子どもの魂が三つ入っている
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午前10:13 · 2024年12月22日
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兄と姉と弟。三つの魂がそれぞれを観測することで魂が安定し、自立型の呪骸が完成する。パンダの設定が出てきたときに、三位一体とかエヴァっぽいとか言われていたのを思い出す。パンダの兄はゴリラ、姉はトリケラトプス。弟はパンダ。今思えばヒト科のゴリラ、恐竜のトリケラトプス、
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午前10:21 · 2024年12月22日
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パンダと何かあるのかなと思ってしまう。今では珍しくないモロー博士設定。ワンピもだいたい研究所にいるものって喋る動物が多かったような。人が動物にもなるし、動物が人にもなるし。ヒロアカも動物モチーフのヒーローやヴィランも多いし。作者が好きなスパイダーマンもそうだ。
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午前10:24 · 2024年12月22日
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11
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動物が可愛く歌って踊るみたいな、子ども向けのものは世界中にあったと思うが、漫画の設定みたいな大人向けみたいなものはあったにしろ、ネットの影響で本当にここ最近は凄い広がりを見せているように思わなくもない。
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午前10:26 · 2024年12月22日
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10
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追加ここまで]
お読み下さり感謝!
« 随時追加シーア兄貴(来世触手)2024/12/13~2025/。あのフラワー(対応人物編)。50ジャー | シーア兄貴(来世触手)2024/11/26~12/12。選挙の目多ファー3。空飛ぶレイシズム。税リブ補足。聖アンデレの祝日のAKKIRA映画(ご支援用②AKKIRAの補足③)。ガソダム新作G斧。地電グリコ完結 »
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