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 今やどこに出かけても、何らかの手段でパソコンが利用できる時代。ほぼ手ぶらで出かけ、知人宅やホテルなどのパソコンで自宅と同じ環境が利用できたらどんなに便利だろう。有料アプリを使えばこれが可能だ。外付けストレージに自宅のWindows環境を丸ごとコピーして、別のパソコンを起動できる(図1)。まさに夢のような話だ。

図1 有料アプリを使うと、Windowsが入った自宅のパソコン環境をSSDにコピーし、外出先のパソコンで利用できる。デスクトップパソコンの環境でも外に持ち出せるので便利だ
図1 有料アプリを使うと、Windowsが入った自宅のパソコン環境をSSDにコピーし、外出先のパソコンで利用できる。デスクトップパソコンの環境でも外に持ち出せるので便利だ
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USBメモリーは全然ダメ SSDならサクサク動く

 利用する外付けストレージとしては、持ち運びが楽なスティックSSDかUSBメモリーが思い浮かぶ。しかし、実際に試してみると、まともに使えたのはSSDだけだった(図2)。SSDは起動用ディスクの作成も短時間で済み、別のパソコンでの起動も45秒と高速。動作も快適で、EdgeやChromeなどは瞬時に起動した。通常のパソコンと何ら変わりなかった。

図2 この用途に使えるのは、実質的にSSDだけと思ってよいだろう。SSDなら5分以内で作成できた(コピー元は約40GB)。別のパソコンにSSDを挿すとわずか45秒で起動し、起動後の動作も快適だった。USBメモリーは高速タイプでも問題があった[注1]
図2 この用途に使えるのは、実質的にSSDだけと思ってよいだろう。SSDなら5分以内で作成できた(コピー元は約40GB)。別のパソコンにSSDを挿すとわずか45秒で起動し、起動後の動作も快適だった。USBメモリーは高速タイプでも問題があった[注1]
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[注1]ほか2種類の高速タイプのUSBメモリーでも試した。一方は最初、作成不能。だがNTFSで完全フォーマットしたら成功し(所要時間33分)、起動時間は1分2秒だった。もう一方はトラブルなく作成でき(所要時間9分26秒)、起動時間は52秒だった。ばらつきが大きいのでUSBメモリーはお薦めしない

 一方、USBメモリーは作成に時間がかかるだけでなく、別パソコンでは起動不能、もしくは起動しても遅くて使いものにならなかった。SSD並みの読み出し速度を持つ高速タイプのUSBメモリーでも同様。これは製品によっては極端にランダム読み書きが遅いためと考えられる。

 それでは、具体的なやり方を見ていこう。使用するアプリは「EaseUS OS2Go」(図3)。無料体験版をインストールし、1カ月、1年、永続のいずれかのライセンスを購入してアプリに登録する(図4)。

図3 この用途には「EaseUS OS2Go」という有料アプリを使う。まずは「無料体験」をクリックし、実行ファイルを入手して起動する
図3 この用途には「EaseUS OS2Go」という有料アプリを使う。まずは「無料体験」をクリックし、実行ファイルを入手して起動する
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図4 1カ月、1年、永続のうち、いずれかのライセンスを選択する(1)。開く画面でユーザーの情報や決済方法を入力し、届いたライセンスコードを入力する(2)~(4)。2024年3月9日現在、1カ月は2629円、1年は3949円、永続は9229円。期限付きのライセンスは自動継続される
図4 1カ月、1年、永続のうち、いずれかのライセンスを選択する(1)。開く画面でユーザーの情報や決済方法を入力し、届いたライセンスコードを入力する(2)~(4)。2024年3月9日現在、1カ月は2629円、1年は3949円、永続は9229円。期限付きのライセンスは自動継続される
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 OSをコピーする前に、WindowsのPINをいったん削除しておく(図5)。そうしないと、SSDから起動するときにPINの再設定を求められて面倒だからだ。

図5 パソコンに設定されているPINは削除しておく。そうしないと、SSDから起動する際に、PINの再設定を要求されるからだ。「サインインオプション」の設定画面を開き、「… Windows Helloサインインのみを許可する」をオフにしたら、「PIN(Windows Hello)」欄の「削除」をクリック(1)~(3)[注2]
図5 パソコンに設定されているPINは削除しておく。そうしないと、SSDから起動する際に、PINの再設定を要求されるからだ。「サインインオプション」の設定画面を開き、「… Windows Helloサインインのみを許可する」をオフにしたら、「PIN(Windows Hello)」欄の「削除」をクリック(1)~(3)[注2]
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[注2]「削除」がグレーアウトして選べないときは、「グループポリシーエディター」で「便利なPINを使用したサインインを有効にする」を有効にすることで「削除」が選択できるようになる。なお、図6~図8の作業が終わったら、PINを再設定する