沖縄県豊見城市に位置する友愛医療センターは、沖縄県南部地域における急性期医療の中心的な役割を担っている。同センターでは酸素ボンベを備えるのみの旧式搬送車を保有していたが、人工呼吸器や複数のシリンジポンプがつながったり、持続的なモニター管理が必要だったりする重症傷病者の転院搬送は難しく、消防へ搬送依頼をせざるを得ない現状だった。そこで、患者搬送や災害医療といった様々な場面に対応できる救急車型ドクターカーとして、C-CABINが導入された。

高度な医療機器を搭載した同車の導入により、ECMOを装着した重症患者なども自らで安全に搬送できるようになり、患者室の座席も座面跳ね上げや方向変換が可能なため広いスペースを確保することができ、患者ケアをスムーズに行える。また、現場にて胸腔ドレーン挿入や現場開胸といった緊急外科的処置が必要になった場合も、C-CABINは従来とは比較にならない広いスペースが左右に確保できるため活動しやすく、医療機器を収容するラックの配置も自在にレイアウトが変えられるので、自分たちが納得いく使い心地になるまでじっくり調整することができた。

さらに、電動ストレッチャーも好評だ。患者搬送業務の強化をふまえて同センターでは院内救急救命士を増員した。その中には女性もいるが、ごくわずかな力で驚くほどスムーズに車内収容等ができるため安心して活動できる。また、昇降のみならず走行も滑らかなので、患者へのストレス回避にも役立っている。

C-CABIN運用者の声

友愛医療センター 救急科 部長 山内素直先生
他の高次医療機関への重症患者搬送はもちろん、地域の連携病院等からの患者受け入れや後方支援病院への下り搬送、プレホスピタルでの現場活動などに積極的にC-CABINを利用し「持続可能な救急医療体制の構築」に役立てていきたいと思います。また、患者搬送業務の拡大が院内救急救命士の仕事のやりがいや自信につながることも期待しています。