第3回助けてが言えずOD、私も経験したよ だから言いたい「連絡してね」

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 気温は6度ほど。3月の東京・池袋駅近くのホテル街を、中年男性と歩くあどけない顔の女の子がいた。ダウンコート姿の女性たちが駆け寄り、声をかける。

 「連絡してね」

 コスメと一緒に相談先のカードを渡す。女性たちはNPO法人「BONDプロジェクト」のスタッフだ。繁華街をパトロールしながら、死にたい気持ちを抱えたり、深刻な性被害を受けたりといった若年女性からの相談にのり、シェルターで一時保護を行うなど、医療機関や警察などと連携して支援を続ける。

 声をかけていた女性たち自身も、苦しい日々からBONDに救われた経験がある。その1人、いろはさん(仮名、28)は市販薬の過剰摂取(オーバードーズ=OD)の経験者だ。

自分で何とかしなきゃ

 幼いころから、親は仕事が終わるとどこかに出かけてしまう。きょうだいの面倒を見るのは、いろはさんだった。冷蔵庫には南京錠がかけられ、食べものを探し回った。親からは暴力もふるわれた。

 中学生のころ、リストカットを始めた。通っていた私立中学の同級生は裕福な子ばかり。一緒に遊びに行けなくて、仲間はずれにされないだろうか。不安だった。

 高校生になると、援助交際を始めた。誰にも相談しようとは思わなかった。頭の中にいつもあったのは、「自分で何とかしなきゃ」と「きょうだいを守らなきゃ」。

 ODを始めたきっかけは、短大の授業だった。親から食事を与えてもらえないのは「虐待」だと知った。自分が受けていたのは虐待なんだ。「消えたい」「苦しい」という気持ちが一気にわいてきた。

「虐待」と知って始めたOD

 ツイッター(現X)で知った、せき止め薬のODを試した。「ふわふわできて、脳がすごい快感だなって。ごほうびみたいな感じ」

 「今週金曜」などと予定を立ててODをするようになった。苦しいときには、数十錠ずつ追加しながら飲む「追いだき」もした。

 短大を卒業すると、「地下ア…

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この記事を書いた人
川野由起
くらし報道部
専門・関心分野
こどもの虐待、社会的養育、ケア、依存症、生活保護