ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

「幸」字 考 (3) 大野晋説<サチ>

2012-07-28 | Weblog
 古語<サチ>の意味は、ある程度わかってきました。まず、霊力をもった猟の矢と、漁の釣針すなわち鉤の意味であるということ。そして転じて、猟漁具で得た獲物のことにも拡大していきます。
 さらに深く追求すれば、サチの語源は何であろう? 大野晋説、日本語「t」と古代朝鮮語「l」の変化説があります。日本古代語の「t」が朝鮮語の「l」に対応するといいます。例をあげますと、

日本古代    朝鮮古代
pati   蜂   pol
kati   徒歩  kol
tati   複数  til
mitu    水   mil
kutu    口   kul
sati   矢   sal
(朝鮮語の発音記号 o と i には上に横点々がつきます)

 これだけ語例が集まると、「なるほどサチは朝鮮語のサルから来ているのか」と思います。しかしサルでは「矢」であって、釣針・鉤の意味がみえません。

 釣針の「鉤」は『古事記』の海サチ山サチにたびたび出て来ます。読みは常に「チ」です。古語では矢・箭は「サ」です。サルの末尾子音Lが落ちたのかもしれませんが、矢は「サ」で釣針の鉤は「チ」。ですから「矢鉤」が「サチ」と素直に考えるとわかりよいと思います。
 また「チ」は血です。赤い血は生命力の象徴であり、神秘的呪術的な力を「チ」ともよびました。カグツチやオロチのチです。鉤を「チ」というのには、そのような思いが込められているのではないか、そのように考えています。
 次回は『万葉集』から幸をみてみます。
<2012年7月28日>
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「幸」字 考 (2) <海サ... | トップ | 「幸」字考 4  <図書館... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事