オウム真理教事件で命を狙われた弁護士が「女性用トイレ制限」の議論に取り組む理由

「異論を封じる正義」の危うさ
伊藤 博敏 プロフィール

不可解な行政措置

――最高裁判決をどう予想しますか。

「最高裁で弁論を開き、双方の意見を聞いたのですから東京高裁判決を見直す可能性が高いと見られます。事案が特定人の特定トイレ(使用する人が限定されるトイレ)についてなのだ、ということがとても重要です」

――「女性スペースを守る会」としてはスペースを侵されることになるのでは?

「我々が問題にしているのは、不特定多数の人が利用するトイレについてです。経産省の方の場合は、職場でカミングアウトして女性として働くようになってかなりの年月が経っており、職場内でも知られていましょう。不特定多数のためのトイレとはワケが違います」

(編集部注:報道によると、当人は性的適合手術は受けていないものの、2010年より女性の身なりで働いている)

 

――職員が求めたのは、「勤務フロアから2階以上離れた女性トイレを使うように」という行政措置要求の取り消しです。取り消してもいい、ということですね?

「当人が働いている階と、上下の階以外の階のトイレを使用するように、という人事院の行政措置は、その趣旨が確かによくわかりません。職場内で自身がトランスジェンダーであるという説明はしたうえで、女性として出勤しているので、むしろ同じフロアや上下の階の方が、職員間の理解は浸透しています」

――経産省は巨大組織で出入りする人の数も多い。性被害が発生する危険性はありませんか。

「女性トイレでの被害は、刑事事件での被害者側の弁護人としても経験してきました。女装しての事件もありました。職場のトイレでは特定の人について許否を定めるのですから事情が違うということです」

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