オウム真理教事件で命を狙われた弁護士が「女性用トイレ制限」の議論に取り組む理由

「異論を封じる正義」の危うさ

「使用制限」は「差別」になりえるか

LGBT(性的マイノリティー)理解増進法の成立(6月15日)、施行(同月23日)を経ても、LGBTに関する論争が絶えない。保守系メディアでは自民党への批判が続いており、作家の百田尚樹氏は「日本社会を内部から崩壊させるLGBT法を通した自民党を保守とは認めない」として「新党結党」を宣言した。リベラル系では罰則規定のない「理解増進法」では不十分だとして、「差別禁止法」の制定を求める声が高まっている。

法的整備によって双方が融和するのではなく、むしろ分断が進み対立が深まっている印象だが、その最中の7月11日(火)、最高裁が注目の判決を下す。

戸籍上は男性だが女性として経済産業省で働く性同一性障害の50代の職員が、’15年、女性トイレの使用を制限されたのは違法だとして国を訴えた。経産省は「女性職員とのトラブルを避けるため」として、職員が勤務するフロアから2階以上離れたトイレを使用するように要求。人事院に改善を求めたが、聞き入れられなかったため提訴に至った。

一審判決は使用制限を違法と認めたものの、二審ではこれを覆し適法と判断した。最高裁は6月16日に原告(職員)と被告(国)双方の意見を聞く弁論を開き、結審した。

LGBTのなかでもT(トランスジェンダー)は、性自認をどこまで認めるかという問題をはらむだけに論議が沸騰する。なかでも「女性トイレの使用制限」はわかりやすい対立概念だけに、最高裁が違法と判断すれば「(男女を分ける)使用制限は差別」という論拠が定着しかねない

判決をどう受け止めれば良いのか。

女性の安全安心の観点からLGBTのうちのTの性自認の法令化に反対してきた滝本太郎弁護士は、「女子トイレの利用公認となれば危うい」として’21年9月に立ち上がった「女性スペースを守る会」の事務局長に就いた。

「女性スペースを守る会」滝本太郎弁護士/筆者撮影
 

滝本弁護士はオウム真理教の被害対策弁護団に加わり、自身も命を狙われた経験がある。カルト問題がライフワークとなり、「異論を封じる正義」にはカルト思想ともいうべき危うさを感じている。

性自認によって「女性と認識する男性は男性器があっても女性と遇し、女性トイレの使用を認めるべし」とする論者が、疑義を言えば差別だ、議論は拒否するという姿勢だからだ。

神奈川県大和市の「女性スペースを守る会」の事務局も置かれた滝本弁護士の事務所で話を聞いた。

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