データが語る

能登のいま

 元日に起きた能登半島地震。最大震度7の激しい揺れが襲い、災害関連死も含め多くの犠牲者が出ている。少子高齢化が顕著な石川県能登地方で人口減少が加速している。9月には記録的豪雨にも見舞われ、復旧が遅れる影響も。

発生から1年をデータとともに振り返り、被災地の今に迫った。

石川県内10万棟 被害

 日本建築学会が被害の大きかった9地区を調べたところ、1981年以前に建てられた旧耐震基準の家屋は全壊が4割超だったのに対し、2000年以降の新基準の家屋は6割以上が無被害だった。

 輪島市河井町では、漆器製造老舗「五島屋」の7階建てビルが倒壊。隣の飲食店が下敷きになり2人が犠牲になった。コンクリート製などの長い杭を地面下に打ち込み建物を固定する工法「杭基礎」の建物が地震で倒壊したのは国内で初めてという。

津波4m

 国土交通省によると、石川県の珠洲市と能登町、志賀町で計約190ヘクタールの津波浸水を確認。珠洲市の浸水深は約4メートルに達した。津波が襲い、火災も発生して大きな被害が出た能登町白丸地区では集団移転の検討が続く。

隆起4m 漁業に打撃

 国土交通省によると、輪島市付近で南西方向に約2メートルの地殻変動、輪島市西部で最大約4メートルの隆起が確認された。輪島市門前町の鹿磯漁港は約4メートル隆起し、海岸線が沖まで100メートル以上後退。黒島漁港は干上がった状態になった。

 能登の漁業拠点港の輪島港も、水深3~4メートルあった部分が1~2メートルほどになり漁船が出られなくなった。国が海底掘削など修復を急ぎ、11月から漁業を再開。壊れた施設の影響で水揚げ量が少ないなど課題は多い。

液状化などで
内灘687棟が全半壊

 石川、富山、新潟、福井県の広い範囲で被害。内灘町やかほく市では、住宅や道路が大きく傾いたり、建物や電柱が地面に沈み込んだりする被害が目立ち、より震源に近い宝達志水町より家屋被害が多い。
 土地の境界が分からなくなり、住宅や道路再建の課題となっている。

死者498人に

 12月27日時点で石川県内の死者は498人で、このうち災害関連死が半数超の270人。関連死は日を追うごとに増え、能登半島地震より建物被害が2倍多かった2016年の熊本地震を上回り、今後も増える見通し。

避難3万人超 → 28人

 石川県の資料によると、県内の避難者数は発生2日後の3日の3万3530人がピーク。12月27日までに28人になった。

孤立49カ所

 少なくとも49カ所が孤立した。1月19日に実質的に解消、2月13日にすべて解消されたという。

土砂崩れ 400件余
道路 鉄道の復旧は

 国土交通省によると、土砂崩れなどの災害が石川県で400件余り発生。奥能登地方では、海岸沿いの国道249号など幹線道路が各地で寸断された。
 のと鉄道は4月6日に全線で運行を再開した。

主な大災害との比較

 津波被害が甚大だった東日本大震災の被害規模が突出し、大都市直下型の阪神・淡路大震災も死者や家屋などの被害が多かった。能登半島地震は、熊本地震より家屋被害は少ないが、災害関連死を含む死者数が多い。寒い冬に起き、道路寸断などが相次ぎ避難生活が過酷だったことも影響したとみられる。

断水「ほぼ解消」に5カ月

 道路事情の悪さなどは復旧に遅れをもたらした。石川県内の約11万戸が断水し、県が復旧困難地域を除き解消したと発表したのは発生約5カ月後。東日本大震災と同程度の期間がかかった。12月23日時点で輪島382戸、珠洲市309戸の断水が続いている。

停電9割超 復旧に1カ月

 石川県内で約4万戸が停電。約1カ月で9割超が復旧したが、阪神大震災と東日本大震災は1週間前後で同程度の復旧を果たしていた。

遅れる復旧

 石川県内の公費解体の進捗率は12月22日時点の速報値で4割ほど。発生から同期間の熊本地震より低い。申請は見込みを上回る3万4482棟に上り、雪で解体が遅れる可能性もある。

加速する人口減少 

 人口減少にも拍車がかかる。2023年の1年間で1947人減少した輪島、珠洲、穴水、能登の奥能登4市町の人口は、地震から3カ月で2000人以上減った。

地域を維持できるか

 奥能登の人口は前年同月を上回る減少率が続いており、地域コミュニティーの維持が課題になっている。

取材・執筆・編集

室木泰彦

谷口大河

角雄記

植木創太

藤嶋崇