EVへの逆風の“象徴”となったサイバートラック:『WIRED』日本版が振り返る2024年(モビリティ編)

モビリティ関連の2024年の動きを振り返ると、EVのネガティブな側面や存在感を強める中国メーカー製EVに関する記事が注目された。これらを含むモビリティ関連のよく読まれた記事をピックアップし、『WIRED』日本版が振り返る2024年(モビリティ編)としてお届けしよう。
ニューヨーク市内を走るテスラの電動ピックアップトラック「サイバートラック」。Photograph: Jakub Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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電気自動車(EV)の販売が米国や欧州で鈍化し、ハイブリッド車が注目された2024年。WIRED.jpで読まれたモビリティ関連の記事を振り返ると、EVのネガティブな側面を取り上げた記事が注目されたことがわかる。

図らずもそうした逆風の“象徴”になってしまったEVが、テスラの電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」だった。2023年11月に購入者への納車が始まったサイバートラックだが、重大な欠陥によって約4,000台がリコールされたほか、ステンレス合金によるボディの表面に「さび」が発生する可能性まで浮上したのだ。

現時点で多くの一般的な消費者は、EVは高額でありながら航続距離に不安が残る“不完全”な乗り物であると受け止めている。実際のところバッテリーのコストが高いがゆえにエンジン車と比べて割高なことは事実で、充電ステーションのインフラ整備は決して十分とはいえない。

また、国や地域によっては補助金が縮小されたこともあり、統計上も販売数は鈍化している。EV化を加速させていた米国のフォードがハイブリッドとエンジン重視へと“方向転換”する動きがあったのも、2024年のことだった。

EV生産でも強みを発揮し始めた中国

こうしたなか、中国メーカー製のEVに関する記事が読まれたことは注目していい。iPhoneに代表されるデジタルガジェットの生産において“世界の工場”となった中国は、実際のところ国家主導の戦略や補助金などにも後押しされ、EVの生産でも強みを発揮し始めている(実は日本で販売されているテスラ車ボルボ「EX30」も中国工場製だ)。ノルウェー自動車協会が夏と冬に実施しているEVの“航続距離レース”で中国メーカーが好成績を残したことも、ひとつの証明といえるだろう。

低価格な小型EVが中国市場で存在感を放っている状況も、かつてデジタルガジェットの世界で起きたことを彷彿とさせる。日本円にして約70万円からという低価格EV「知豆彩虹」が中国で発売されて人気を博したほか、新規参入したシャオミ(小米科技)がコストパフォーマンスに優れた高性能EVで注目されるなど、こと中国においては「EVは高価である」という“常識”が覆されつつあると言っていい。

以下に、2024年に『WIRED』日本版が公開したモビリティ関連の記事のなかで最も読まれた10本の記事を紹介していこう。


01 テスラのサイバートラックは、ステンレス製ボディに「さび」が発生する? そのもっともな理由

Photograph: SUZANNE CORDEIRO/Getty Images

テスラの電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」はステンレス合金による直線基調のデザインが異彩を放つが、そのボディの表面に「さび」が発生する可能性が浮上した。実際のところ、さびてしまうもっともな理由があるようだ。>>記事全文を読む


02 極寒の“EV航続距離レース”でテスラ車に圧勝、首位を奪ったのは知られざる中国メーカーだった

Photograph: HiPhi

ノルウェー自動車協会が夏と冬に実施しているEVの“航続距離レース”。2020年以降はテスラの独壇場だったが、この冬に極寒環境で最も好成績を残したのは知られざる中国メーカーだった。>>記事全文を読む


03 テスラが「サイバートラック」をリコール、あまりに危険な不具合の中身

Photograph: Kyle Grillot/Getty Images

テスラが電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」について約4,000台のリコールを発表した。アクセルペダルの不具合で車両が加速してしまう危険性があるといい、逆風に晒されているテスラにとって新たな“黒星”となっている。>>記事全文を読む


04 米国で燃料電池車に逆風? 水素ステーションが次々に閉鎖されたカリフォルニアの現在

カリフォルニア州ミルバレーにあるTrueZeroが運営する水素ステーション。カリフォルニア州で燃料電池車を所有する人は、燃料を補給するために都市をまたいだドライブが必要になることもある。Photograph: David Paul Morris/Getty Images

米国のカリフォルニア州で、燃料電池車に水素を充填する水素ステーションが相次いで閉鎖された。水素価格の高騰なども相まって、米西海岸では燃料電池車にとって逆風が吹きつつある。>>記事全文を読む


05 EVのリセールバリューは1年で半減、その実態と構造

Photo-illustration: WIRED Staff; Getty Image; Polestar Press; Audi Press; Tesla Press

中古の電気自動車(EV)の価値が最初の1年で急激に下がることが英米での査定サービスから明らかになっている。そこで、注視すべきモデル、価値が大きく下落する理由、市場動向をうまく利用する方法を、『WIRED』が調査した。>>記事全文を読む


06 飛行機で“最も安全な席”とはどこなのか?

Photograph: Santiago Urquijo/Getty Images

日本に限らず米国でも最近の相次ぐ航空事故によって、飛行機に乗ることへの不安が拡がっている。飛行機は非常に安全な乗り物だとは言われるが、ほかに比べて安全な席というのはあるのだろうか。専門家に知っておくべきことを訊いた。>>記事全文を読む


07 中国がメキシコ自動車市場を席巻、高まる米国の懸念

Photograph: NurPhoto/Getty Images

中国がメキシコの自動車市場で影響力を強めている。対中EV関税を課している米国は、この動きが米国市場への“裏口”からのアクセスにつながるのではないかと危惧している。>>記事全文を読む


08 テスラの「サイバートラック」が日本上陸、その異質なデザインと巨大なボディの衝撃

Photograph: Tesla

近未来的なデザインで衝撃を与えたテスラの電動ピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」が日本に上陸した。その異質なEVのデザインをこの目で確かめた印象を、いち早くお届けしよう。>>記事全文を読む


09 EVのバッテリー火災が発生したら。万が一のために知っておきたい正しい対処法

Photograph: Krisztian Bocsi; Getty Images

電気自動車(EV)のバッテリーが発火してしまった場合には、何をすればいいのか。リチウムイオン電池の火災が起きる原因と対処法について解説する。>>記事全文を読む


10 中国から新たな超低価格EV、約70万円のカラフルな小型車「知豆彩虹」が秘めた可能性

COURTESY OF ZHIDOU

日本円にして約70万円からという低価格EV「知豆彩虹」が中国で発売された。テスラが“手ごろな価格”の新モデル投入から遠のくなか、この通勤にも十分に使える航続距離をもつコンパクトカーの登場は示唆に富んでいる。>>記事全文を読む


『WIRED』日本版が振り返る2024年の記事はこちら


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