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芸人の生き様は多種多様。お笑い劇場に通ってナマの漫才やコントを見ることが大好きなフリーライター・若林理央が、今後に期待の高まる若手芸人にインタビューをする連載です。生い立ちや知られざる裏話、お笑いに対する思いをたくさん語っていただきます。
読めば必ず気になる芸人ができるはず。ときに熱く、ときに笑いにあふれたエピソードが満載です!

バラエティ

関西2大賞レースを制覇した『カベポスター』、互いに「うまくいかなそうやな」と思うも漫才コンビを組んだワケ

SNSでの感想
『カベポスター』の永見大吾さん(写真左)と浜田順平さん(同右)。永見さんのゆる〜い笑顔と浜田さんのキリっとキメた表情がナイスマッチ! 撮影/合田慎二
目次
  • お笑いで生活するためにも、賞レースでの優勝は大切だった
  • 人を笑わせるのが大好きな永見さん×正義感の強かった浜田さん
  • NSC在学中に話したことはないものの、“気になる存在”だった
  • お互いの個性を生かして組み合わせれば、きっと売れる
  • “マンゲキ”の先輩方は、みな想像以上に優しかった

 関西の若手漫才師が漫才で勝負するコンクール『ytvお笑い漫才新人賞』(読売テレビ系。以下「ytv」)と、全国の若手芸人を対象とし、漫才やコントなどの面白さを競う『ABCお笑いグランプリ』(朝日放送テレビ系。以下「ABC」)。それぞれの歴代優勝者の顔ぶれを見ると、ytvは『銀シャリ』(2013年)、ABCは『かまいたち』('12年)、そして'17年にABC、'18年にytvを制した『霜降り明星』と、そうそうたる顔ぶれです。

 '22年、あるコンビが同じ年にW優勝を成し遂げ、漫才の歴史を変えました。その名も『カベポスター』。ボケとネタ作り担当の永見大吾さんと、ツッコミ担当の浜田順平さんからなる、芸歴9年目のコンビです。漫才頂上決戦とも言われる『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)にも一昨年、昨年と準決勝に進出しており、勢いを増している彼らは、なぜ漫才師を目指したのでしょうか。話を聞くと、意外な過去がありました──。

◇   ◇   ◇

お笑いで生活するためにも、賞レースでの優勝は大切だった

──ytvとABCのW優勝、おめでとうございます! 今は全国で関西の賞レースが配信されるので、私も東京で見ていました。

永見さん(以下、永見):ありがとうございます! どちらも何度か決勝まで進んでは悔しい思いをしてきた賞で、ytvで優勝して、やっと肩書きがもらえました肩書きがあるかないかで、お笑い芸人の人生って変わるんです。

浜田さん(以下、浜田):ytvで優勝したときは、“これで4、5年はお笑いでごはんが食べられるぞ”と安心しました。

 ABCは'19年、'21年と準優勝だったんですよ。そのときの悔しさを晴らしたくて。優勝の喜びを最初に伝えたいって思った相手も、ytvは親やったけど、ABCは昨年、決勝で僕らに勝った『オズワルド』さんと(笑)、応援してくださったファンのみなさんでしたね。

永見僕の場合、ytvで優勝したとき、すごくはしゃいで、視聴者のみなさんからも“いつもクールな永見さんとは思えない”って言われるくらい、うれしかった。でも、ABCもいちばん最初に出た賞レースだったし、こちらでも優勝したいって思ってました。

優勝した日のことをしみじみと語ってくれたおふたり 撮影/合田慎二

人を笑わせるのが大好きな永見さん×正義感の強かった浜田さん

──おふたりがW優勝を成し遂げるまでの道のりを聞きたいのですが、子どものころは、どんな性格だったのですか?

永見活発で、カメラを向けられたら変顔をするような、人を笑かす気持ち満々の子だったみたいです。姉と妹がいて、自分だけ男だったんで、成長するとひとりでゲームをするようになりました。

浜田:僕は午前3時25分生まれです。3180グラムだったらしいです。

永見:ああ、生まれたときの。

浜田:そうそう。1週間前に甥っ子が生後8か月になって、そんな話してん。

──あの、浜田さん、できればもうちょっと後のことも……(笑)。

浜田幼少期は悪さをしている子を注意したり、保育園を抜け出そうとしている赤ちゃんを先生に報告したりするような、正義感の強い子どもだったらしいです。弟と妹がいて、今はふたりが安定した仕事をしてるおかげで自分は好きなことをできているから、感謝してますね。

──おふたりとも妹さんがいるのは、先輩で同じ『よしもと漫才劇場』(以下、マンゲキ)所属(※)のコンビ『マユリカ』さんと一緒ですね。

永見マユリカさんのコンビ名の由来が、妹の名前であるマユとユリカやから、僕らの妹はカベとポスター。

──(笑)。それ、舞台でマユリカさんの次にカベポスターさんが漫才をするときに聞きました! とっさに思いつく永見さんのワードセンス、すごいですね。

永見:僕というよりも、親が名前をつけるときのワードセンスがすごいですよね。

浜田いや、それ嘘やん。お前の妹の名前、俺、知らへんし。

《※ よしもと漫才劇場……カベポスターも所属する、お笑い界の未来を担う若手芸人のための劇場で、毎年スターが生まれている。『なんばグランド花月』に面したYES・NAMBAビル5階にあり、同ビルの地下1階には『NMB48劇場』もある。芸人になるためにお笑いの訓練を受ける『NSC吉本総合芸能学院』(以下、NSC)の大阪校を卒業した芸人の多くが、劇場メンバーになるためにお笑いライブでバトルを繰り広げるが、実際に所属するのは非常に狭き門で、別の事務所で芸人になる人や、ほかの仕事に就く人も多い。略称はマンゲキ》

──浜田さんは35歳で永見さんは32歳('22年10月時点)。年齢は違いますが、大阪NSCでは同期(36期)なんですね。

永見:大学を1年留年して卒業したあと、すぐNSCに入ったんです。同期には『8.6秒バズーカー』とか『ダブルヒガシ』、女性コンビの『オダウエダ』がいます。

浜田:僕は大学卒業後に1年ほど、自動車の会社で働いていて、NSCに入ったのは『キングオブコント』(TBS系)で『バイきんぐ』さんが優勝した'12年でした。ツッコミの言葉のセンスとか、ボケに対してツッコんだあとにちゃんと笑いがくるような彼らのコントが好きで、そんな感じのネタをよく書いてました。漫才でツッコミ担当になったのも、その影響があります。

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NSC在学中に話したことはないものの、“気になる存在”だった

──おふたりは、NSCで同じクラスだったとか?

永見:いいえ。違うクラスで、すれ違ったらあいさつするくらいでした。

浜田:え、あいさつしたことあったっけ?

永見:あるで。

浜田:そうなんや。僕が永見を知ったのは、各クラスで木村祐一さんが講師をする大喜利の授業があって、ほかのクラスの点数が回ってきたときです。永見が高得点で、大喜利うまいヤツと組みたかったから、印象に残ってました。

永見僕はネタ見せのライブで、“浜田のツッコミおもろいな”と思って見てました。お互い共通の知り合いに、『8.6秒バズーカー』の田中シングルがいたんですよ。

──田中シングルさんが浜田さんを紹介してくれたんですか?

永見:いや、紹介してほしいとは言ってないです。僕が田中シングルに「最近、浜田くんは誰かと組んだりしてるのかな?」みたいな探りを入れたら、すぐ連絡先が送られてきて。

浜田いや、それ「紹介してほしい」やろ!

永見:その1歩手前で止めてたんで。

浜田:その先にあるのは「紹介してほしい」やん。プライド高すぎるやろ。

永見:まあそやねんけど、田中シングルが「今、浜田は相方いるかわからん」って言ってたら「じゃあいい」ってやめてたけど、連絡先を送られたんで「ああ、はい」って感じでしたね。

永見さんは少し照れた様子で、浜田さんへのアプローチを語ってくれた 撮影/合田慎二

お互いの個性を生かして組み合わせれば、きっと売れる

──なるほど(笑)。その後、実際に会って作ったネタを見せ合って「いいな」と思ったんですか?

浜田逆で、「うまくいかなそうやな」と思いました。

永見:僕も試しにネタを合わせてみて、「変な感じやな。お互い譲ってないところがある」って思いましたね。

──そうなんですか!? それでどうしてコンビを?

浜田:そのとき、お互い2分ネタを持ってきたんですけど、永見のネタから大喜利好きであることが、すごく伝わってきたんです。同じテーマで始めても、僕は永見みたいなボケは思いつかへんなって。

 うまくいかなさそうやと思ったのは、当時は僕もネタを書いていたから、“こうやったら面白くなるんじゃないか”というアイデアが、すでに自分の中にいっぱいあったからです。

 でも考えてみると、舞台では自分のネタだけでもやれそうやけど、売れるのはキツそう。永見の短いネタの中に光るものを1、2個見つけて、“これをふくらませたら売れるんじゃないかな”と考えました。

永見:僕は(自分に対して)どういうツッコミがいいか、まだわかっていない状態だったから変な感じやったんですよ。それでもネタを合わせながら、“僕ら両方の個性を生かせたらいいな、浜田となら、できるかな”と感じました。

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──お互いのよさを生かしたいと思ったんですね。1年目に同期の『8.6秒バズーカー』さんがリズムネタの“ラッスンゴレライ”で大ヒットしたときは、どんな気持ちでしたか?

永見:同期って、1組だけスターが出るみたいなジンクスがあるんですよね。36期はめっちゃ早い段階で、8.6秒バズーカーが勝者、その他全員が負けってなったんで、「もう、1回負けてるから、俺らはこっちで頑張るぞ」という気持ちにさせてもらいました。

浜田:僕は気にしてなかったです。例えば、22期(※)ならキングコングさんが推されていたけど、それからどんどん同期の芸人さんも活躍するようになったって知ってたんで。同期で先に活躍する組が1組はあるやろし、自分は別の笑いが提供できるかなと。

《※ キングコングの同期である大阪NSC22期は、M-1グランプリ決勝経験者だけでも『とろサーモン』(久保田かずのぶさん、M-1優勝)、『南海キャンディーズ』(山里亮太さん)、『ダイアン』、『スーパーマラドーナ』、『ギャロップ』(林健さん)、一般オーディションによる同年デビューに『NONSTYLE』(M-1優勝)がいる。多くのスターを輩出した期と言われている》

“マンゲキ”の先輩方は、みな想像以上に優しかった

──10年ほど前の若手劇場は厳しい雰囲気だったそうですが、マンゲキはどうでしたか?

永見:みんな思ったより優しいなと思いました。

浜田:それは俺も思ったな。

永見:マンゲキに所属するためのバトルライブの出場者は、気持ちがななめ下やったんですけど、マンゲキのメンバーは気持ちが上を向いてるし、「あの先輩が」とかじゃなくて、全体的に温かかったです。

浜田僕は劇場入りする前に、お笑いコンビ『ニッポンの社長』の辻皓平さんとお会いして、“こんなに優しいんや”って、びっくりしました。マンゲキは、先輩方が後輩も居心地がいい空間を作ってくださってるんです。

マンゲキが大好きなおふたり。「これからも大切にしていきたい場所です」と語気を強めた 撮影/合田慎二
◇   ◇   ◇

 紆余曲折をへてコンビを組み、次世代のホープになったカベポスター。インタビュー第2弾の記事では、情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)で初めて松本人志さんに会ったときのことや、ライバルや憧れの存在について、今年のM-1グランプリへの思いを聞きました。

(取材・文/若林理央)


【PROFILE】
カベポスター ◎NSC大阪36期生である、ボケ・ネタ作り担当の永見大吾と、ツッコミ担当の浜田順平によるお笑いコンビ。主にロジカルな構成を特徴としたしゃべくり漫才を行い、よしもと漫才劇場など大阪を中心に活動中。'22年には第11回「utv漫才新人賞」と第43回「ABCお笑いグランプリ」でともに優勝し、活躍の場をどんどん広げている。
永見大吾さんTwitter→@kp_nagami、浜田順平さんTwitter→@jumpei182

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