夏からの値上げが真綿で首を締めるようにきいてきて、年末年始はより厳しさを増す──。クリスマスと正月に特別なイベントができない家庭の人々は多く、支援する団体が開いたクリスマス会は盛況となった。参加した人々から話を聞き、課題を探った。
無料の学習会を開催 “体験”のためのクリスマス会

12月に東京都内で行われた、NPO法人が運営する学習会の「クリスマス会」。
オーケストラの演奏に加え、参加者全員でホールケーキをデコレーションして食べるなどといったイベントがあり、参加した小中学生の子どもたちは無邪気な笑顔をみせた。
中には初めてケーキをデコレーションしたという子どももいて、「ケーキを作るのが楽しかった。最高!」「いちごまみれにできておいしかった」といった声があがった。
「本を読む体験を大切にしてほしい」というボランティアからの寄付により、1人2冊の本のプレゼントも。
都内に住む小5の女の子
「本が大好きなので、めっちゃうれしいです!」
千葉県に住む中1の男の子
「ゲームとかおもちゃが欲しいと思うこともあるけど、この時期になるとなんかぼんやりしちゃうというか…。今は欲しいもの全部手元にあるから、欲しいものはないですね。親にクリスマスプレゼントはリクエストしてないです」
欲しいものはない、でもその一方で“なんかぼんやりする”と少し小さな声で、そう話してくれた。
参加した小学生の50代の母親Aは「実際に楽器を間近で見たり、ケーキを作る体験はあまりできないので本当にありがたい」と話す。
学習会の担当者 四本知子さん
「物価高で、プレゼントやクリスマスケーキを用意することがかなり難しく、(参加しているのは)クリスマスの経験が少ないお子さんたちなのかなと…」
子育て家庭の支援などを行う認定NPO法人「キッズドア」が運営する無料の学習会には、小4~中3までの26人が在籍する。主にひとり親家庭や、両親がいる多子家庭の子どもが通っているという。
クリスマス会では、一般の家庭であれば、当たり前のように経験する「ホールケーキを切り分けて食べる」ということにこだわっているという。
参加した子どもたちは、冬休みをどのように過ごすのだろうか。
参加した小学生の母親B(50代)
「クリスマスは、中学生のお姉ちゃんがケーキを買ってきて食べるかもしれないですが、それ以外に冬休みの予定はないですね。
他県にある実家に帰省したい気持ちはありますが、交通費もかかりますし、実家で甘えてしまうと、子どもも私もこっち(東京)に帰ってくるのがつらくなっちゃうので…」