期末テスト前になってみんなテスト勉強に集中し、殺気立ってきた。

 朱理と俺も朝と昼はカメと一緒に園芸部の部室で食事をしてのんびり過ごすものの、それ以外の時間は真剣に勉強をした。

「これが終われば紺との楽しい夏休みが待ってるからなー……そう思うと頑張れる」

 大学進学にも関わってくる大事な時期だ。みんながテストでも結果を残そうと躍起になるのは当然でもある。でも朱理はいつも明るく、朗らかに笑ってくれた。

 毎日、SNSの夜空の写真も途切れない。
 俺は雨の朝が続いて、朝焼けを撮れない日が増えた。それで困ると、朱いものを探して撮影し、投稿した。

 自分のTシャツや、マグカップや、学校の花壇で撮った花々。

 朱色っていうより赤っぽいのもあったけどそこは許してもらって、朱理の呼び声に応える。

 朝焼けが撮れないのは申しわけなくとも、でもそれも幸せな気持ちになれた。
 自分の周囲にある、朱理への想いを探しているみたいで。

「……俺も、夜空以外のものも探してみようかな」

 朱理も幸せそうに頬を赤らめて喜んでくれる。

「紺を想い出すものがたくさんあるよって、紺に言いたい」

 賢くて察しのいい朱理は、俺が言葉にしなくてもこの想いを必ずちゃんと酌みとってくれる。



 園芸部のこぢんまりとした部室は一階の裏庭横にあって、花壇の花々が眺められるガラス窓の手前にカメたちの水槽も設置されている。

 結構大きな水槽で、水場の横には石と煉瓦で陸地がつくられている。カメはこうら干しをするために、こうやって必ず陸地をつくってあげる必要があるんだよ、と朱理が教えてくれた。

 投げ込み式のフィルターも水場の隅でぷくぷく空気を浮かばせていて綺麗だった。

「そういえば俺も夏期講習申し込んでおいたよ」

 昼ご飯を食べ終えた朱理が、またラムネを口に入れながら言う。

「紺と塾に通うのも楽しみだな……」

 朱理は長い足を組んで椅子に座り、カメが水のなかで泳いでいる姿を眺めている。

「ありがと、俺も楽しみ。訊いてなかったけど、朱理の家って塾からどれぐらい距離があるの?」

 塾は俺が住んでいる町の、隣町の駅前にある。結構大きくて有名な進学塾だ。

「電車で三駅かな」

「そっか……ごめんね、微妙に遠いよね」

「そんなことないよ。兄貴が暇なら送り迎えしてくれるって言うし」

「そうなの、お兄さんが?」

「あと運転手も、タクシーもあるから」

 う……運転手。
 ごく、と喉を鳴らしてカツ丼を食べてしまった。

 朱理は可愛らしく幼げに苦笑いする。

「うちは父方の曾お祖父ちゃんがストームiグループの創業者なんだよ。それで父さんや兄貴たちもグループ会社のトップをまかされてる。だから一応、身の安全も兼ねてね」

 ストームi……って、朱理から初めて家のことを聞いた。知らない人はいないほど有名な、スーパーとかコンビニも経営している大きな会社だ。

「身の安全って……誘拐とか?」

「まあ、そういういろいろだろうね」

 腕がぶつかりそうなほど傍にいるのに、朱理が急に遠い人に感じられて寂しくなった。

 噂も聞いていたし、五十嵐って名前もあってストームiの関係者だっていう予感はしていたのに、実際に本人の口から教えられると衝撃が大きかった。

「紺、最近俺に、なにか話したそうにしてるよね」

 身体をこちらに向けて、朱理が姿勢を正した。
 朱理の薄茶色の瞳が優しく、強く光る。

 俺もカツ丼を膝の上におろしてうつむいた。一口だけ残ったカツの切れ端と、ご飯を見おろす。
 いまのしぐさは、うなずきに見えてしまっただろうか。

「期末が終わってからって考えてた? いつでも、なんでも話してくれていいよ」

「……。うん」

「俺は紺を不安にさせるようなこと絶対にしないから。それだけは信じてて」

 朱理の右手が伸びてきて、俺のカツでふくらんだ左頬を覆う。

「……紺はなにを不安に思ってくれているんだろう。みんなどんな噂してるんだろうね。俺の耳に入ってこないのが面白いな、いかにも噂って感じで」

 すこし悔しげに微笑みながら、朱理の手がさらと、俺の左耳の上の髪も流す。

「うちは上の兄貴が男の子をふたり、下の兄貴が男の子と女の子をひとりずつ産んで、跡継ぎ問題みたいなのは解決してるよ。俺もいずれグループの子会社をまかせてもらえるだろうけど、変な縛りみたいなものはない。親にも兄貴たちにも、自由に生きろって言ってもらってる」

 朱理の手が離れて、にっこりと無垢でいながらも怯えたような、複雑な微苦笑がひろがった。

「……面倒な家の奴でごめんね。そこは紺にも背負わせちゃうかもしれない。だけど俺は紺を守るし、家の事情で紺と別れるつもりはないよ」

 俺も口のなかのカツを咀嚼して飲みこみ、持っていた残りも横の机に置いて、朱理をきちんと見返した。

「……ありがとう。朱理を好きになったときから、そこは覚悟していたよ。全然、なにがどこまで自分の家と違うのか、まだ全部は理解できていないかもしれないけど……朱理が俺の好きになった朱理から変わらない限り、なにも怖くない。ついていくだけだよ」

 身を寄せて、ゆっくりと背中を引き寄せられ、抱き竦められた。

「……ついていくってなに? 隣にいて。ずっと横にいてほしいよ」

 うしろじゃなくて、隣に。

「……。うん。そうだよね、わかった」

 さらに強く、朱理の両腕が俺の背中を引き寄せてくる。

「怖いんだ。……兄貴たちほど親の期待の圧がなくても、やっぱり怖いよ。祖父ちゃんたちが支え続けてきたものや、そこで働く人たちの生活を守っていくって、結構なプレッシャーで、自分にできるかどうかわからない。逃げたくなるときもある。でも、紺がいてくれれば向きあっていこうと思える。……思えたんだ」

 俺にいつも笑顔を見せてくれる朱理の声が、苦しげに掠れていた。

 俺に対しても無理してくれていたのかな。それとも俺の前だから、無邪気な歳相応の笑顔でいられるよって……ことなのかな。

「……ごめん。紺に安心してほしくて話したのに、俺の弱音を聞かせちゃったね」

 俺の右肩に顎をのせている朱理の笑い声が、右耳の傍で大きく響く。

「……朱理、」

 自分も両手を朱理の背中にまわして抱き寄せた。

 身長も高くて男前なのに、抱きしめると朱理の身体の細さや、初々しさも感じられた。俺の腕でもしっかりと抱きしめて、包めてしまう。

 薄いワイシャツ越しの背骨や、左腕で引き寄せられる腰。

 まだ成長途中のこの稚い身体で、朱理は大人たちが繋いできた意志や信念や責任の重圧すべてを、受けとめようとしている。

「……俺も朱理のこと守る。守れる人になりたい」

 胸に、朱理の心臓の鼓動が響いている。



 期末テストが終わると、うちの学校は終業式の日までテスト休みに入る。

 それに伴い、テスト最終日には全校集会が行われ、体育館で養護教論からバース性に関する訓話を聞かされた。

 みなさんはいまバース性が定まっていく大事な時期です。長期休暇中に、予想外の発情期に襲われてしまうΩの生徒もいるでしょう。そういうとき、αの子は事前に気づいたなら声をかけて助けてあげること。βの子もそういう場に出会したらΩの子を支えてあげてください――毎年くり返される内容だ。

 そしてバース性検査で一度でもΩの結果がでたことのある生徒は、自ら保健室へ行って抑制剤をもらわなければいけない。仮のものだけど多少の効果はあるから、休み中は必ず持ち歩くこと、と指示されて。

 俺が検査でΩになったのは中学二年生のときと、去年の高校一年生のときだ。

 教室で担任が大っぴらに配布するのではなく、生徒のほうからもらいに行くのはプライバシーに配慮してのこととはいえ、中二で初めてΩになって保健室に出向いたとき、すごく辛かった。

 Ωの結果がでた瞬間、地面が崩れ落ちていくような衝撃的な絶望を味わったのに、そのうえ抑制剤を自らもらいに行かなければいけないなんて。こんな身体になってしまったなんて。

 死刑台に送られる道程を、無気力に進んでいる気分だ。

 どうやってひとりで保健室へ行こうか、と悩んでいたら、放課後朱理が「カメたちの世話のことで、園芸部の顧問のところに行ってくる」と席をはずしたから、急いで保健室へ向かった。

 ――前も言ったけど、五十嵐の家はαしか認めないんだよ。五十嵐って、そこらへんどう考えて広瀬とつきあってるんだ。

 ――俺は紺を不安にさせるようなこと絶対にしないから。それだけは信じてて。

 頭をふって、保健室へ入る。

「あ、いらっしゃい。お薬の子?」

「……はい」

「広瀬君だっけ。二年の……」

「一組です」

「あ、うん。あったあった」

 保健の先生が書類にチェックを入れて、抑制剤の包みをくれる。薄桃色の錠剤が十粒。

「広瀬君はβだったこともあるんだよね。不安定な子はΩだとしても発症するのが遅かったりするけど、薬はちゃんと常備しておいてね。広瀬君のためにも、まわりの人のためにもね」

「……。はい」

 先生は爽やかな笑顔で優しくうながしてくれるのに、うしろめたいような、逃げだしたいような気持ちになるのはどうしてだろう。

 誰にも会わないうちに朱理のところへ帰ろう、と頭をさげて身を翻したときだった。

「……あ、広瀬君」

 下倉さんが保健室に入ってくるところだった。



「わたしはもう自分にあう抑制剤あるから、一応それ報告にきただけなんだ」

「うん……そうなんだね」

「でもそっか……広瀬君も〝そう〟かもしれないんだ」

 下倉さんとふたりで、雨上がりの裏庭に来た。
 誘ったのは俺だ。

「ベンチ座れないね」と下倉さんが笑って花壇の前にしゃがみ、雫を被った花を眺める。

「……どうしたの。広瀬君、怖いの?」

 下倉さんの声が凜々しく、頼もしく心に響いて、素直に「……うん」とこたえ、俺も隣にしゃがんだ。

「わかるよ、怖いよね。ごめんねだけど、わたしも広瀬君に仲間かもって教えてもらって、心強くなっちゃった」

 怖いよね、と言いながらも笑顔を絶やさない下倉さんは、やっぱり逞しく凜然として見える。

「発情期がきたとき、本当はね、すぐに気がついたよ。この体調の悪さは生理とかじゃない、って。でも受け容れられなくて、蹲ってたら五十嵐君がきてくれて……もう諦めるしかないんだー、って思ったら友だちも支えてくれてね。みんなが優しくしてくれたから、覚悟できたんだよ」

 ……Ωを認める、覚悟。

「三ヶ月おきに自分の感情をコントロールできなくなるって怖すぎるよね。でも保健室でもらった抑制剤もちゃんと効いたよ。わたしが早退したのは、身体の検査と、自分にあう抑制剤をきちんと調べるためだから。抑制剤ってすごいんだよ、種類も豊富で、漢方みたいに心の状態とあわせて細かく調合できるの。だから安心して。広瀬君がもし本当にΩでも、いまはそんなに辛いこと起こらないから」

 抑制剤。検査。薬の調合――。

 下倉さんの言葉を頭のなかでくり返しながら咀嚼して、うつむいていたら、こつんと右横から肩をぶつけられた。

「誘ったの広瀬君でしょ、話があるなら言ってみなよ」と下倉さんが苦笑している。

 下倉さんも朱理とおなじで、笑顔ばかり見せてくれる。
 笑って他人を思いやれる強さが、すごく眩しい。

「……。子ども、産まなくちゃいけないのかな」

「え?」

「俺……いやだ。子ども産むの怖い」

 恐怖を声にしたら、ぼろと左目から涙が溢れてこぼれていった。

「出産が怖いの……?」

「……発情期も怖いよ。感情より繁殖本能が増幅して、自分で自分を抑えられなくなるって聞くし……それに、いちばん嫌なのは……朱理を、……巻きこむことだよ」

「広瀬君……」

「俺が、おかしくなったら……傍にいる朱理まで〝自分〟を失くしちゃうでしょう……? それが嫌だよ、すごく怖い……朱理に迷惑かけたくないっ……」

 Ωの抑制剤はある。でもαには個々に薬など用意されていないうえに、Ωが抑制剤で安定しても、傍にいれば洩れるフェロモンを感じとってひとりで発情してしまう。

 一応フェロモンにあてられてしまったときに本能を抑えるための薬は開発されているもののΩの抑制剤ほど万全ではないし、αは自分自身でその乱れた本能や感情を抑えてこそ、という価値観が蔓延っていて放置されている。αのほうが損で、酷い苦しみと戦わされてばかりだ。

「五十嵐君と結婚して、夫夫になるのも嫌なの……?」

 下倉さんが俺の背中を撫でて、なだめてくれる。

「……嫌じゃないよ。朱理とずっと一緒にいたいよ。だけど結婚してもほかのΩに発情しなくなるだけで、朱理の生活に支障をきたすのはかわりない。三ヶ月に一度、俺が発情するたびに、朱理も一週間近くセックスすることしか考えられなくなる」

「ン……」

「朱理の家はαしか入れない、って噂聞いて……まだそれ本人に確認してないけど、でもたぶん、それってさ、……仕事や、生活のためなんじゃないかな。α同士なら計画的に子どもをつくって、発情期に人生を乱される心配もなく平和に生きていけるでしょう? ……だから、」

 不安を吐きだしたら、涙もまた溢れた。

 まだ勝手な想像だけど、当たっている気がしている。

 頭のいいαが、しかもあんな大手のグループ会社を経営している一族が、Ωの発情期にふりまわされながら生きていこうとするわけがない。計画的に、建設的に、幸福に生きるために、Ωと関わらないようにしているんだ。

 事実、そういう生きかたをしているαの家系は存在している。

 運命のつがいであるΩにまで出会ってしまったら愛人として囲っておくとか、遠ざけるとか。

 世間にとってΩは子どもを産める神と崇めるべき存在だとしても、αにとっては本能を乱され、生活ごと狂わされるのに労らなければいけない、厄介な生きものでしかない。

「朱理はきっと我慢するって言ってくれる。でも……そんな関係、本当にずっと続くのかな」

「うん……」

「子どもだって俺嫌だよ。痛い思いしたくない。子どもが産める身体になんてなりたくなかった。怖いよ。Ωになったら絶対に子ども産まなくちゃ駄目なのかな。子どもが産める身体に〝なれた〟んだから、幸せだって思わなくちゃいけないのかな……?」

 自分の望みとは裏腹に、大人に近づくにつれ身体の奥で〝自分〟がつくりかえられていく。

 子どもを産む覚悟などしてこなかった。
 そんな覚悟せずに、いままで生きてきた。

 なのにΩになってしまったから、下半身の……こんなデリケートな部分から、人間を出さないといけないの?

 十ヶ月も我慢して、猛烈に痛い思いをして、命がけで……?

「うぅ、う……」

 情けなくぼろぼろ涙をこぼして泣く俺を、下倉さんが撫でて慰めてくれる。

「そうだよね……βでも女なら子どもを産む人生を考えながら成長するけど、男の子はΩになったらいきなり突きつけられるんだもんね……」

「ごめ、こんな、失礼な話……」

「失礼じゃないよ。え、それって世間でΩが偉いって言われてるから?」

「ン、ぅ……」

「偉くても怖いのは変じゃないよ。うちのお母さん、わたしが産まれるときハサミでここのところちょっと切られたんだって」

「えぇっ⁉ ハサミ⁉」

「うん。でも切られたことも気づかないぐらい下半身全部が痛かったって」

「なんでそんな話するの……もっと嫌になったよ……」

「ふふふ」

 信じられない。ハサミを使ってこんな大事なところに乱暴なことまでするのありえないよ。

「大丈夫だよ。いまは痛くない出産方法だってたっくさんあるんだから。それにね、わたしも怯えながらお母さんに訊いたの。『なんでそこまでして子どもを産めたの』って。そうしたら、『好きな人とのあいだに生まれる命なんだから幸せしかなかったのよ』って言ってくれたよ」

 涙ににじむ花壇の花が風に揺れて、雨粒が弾けて落ちていった。

「広瀬君も、これから親になるためにいろんな感情を教えてもらいながら成長していけるよ。でもべつにΩだからって、子どもを産まなきゃいけないわけでもないと思う。それも義務だと思う必要ないよ。親にもさまざまな事情があるだろうし、望まれない子を産むほうが罪だからね。そういうことは将来のパートナーと考えていけばいいんだよ」

 下倉さんの笑顔も、綺麗な花みたいに優しく温かく揺れている。

 かけてもらう言葉の全部が大人で、すでに愛しているパートナーや育てている子どもがいるような逞しさに満ちていて、安堵感がこみあげてきたらまた涙が迫りあがって流れていった。

「……ありがとう下倉さん」

「ううん。五十嵐君の家のことはわたしも詳しく知らないけど……でも大丈夫だと思うな。だって五十嵐君だし」

 しれっと強引な結論をだしたあと、下倉さんがため息をひとつこぼした。

「広瀬君が大事な悩みを聞かせてくれたから、わたしも言うけど……じつはね、わたし、山田君に告白されたの」

「えっ」

「五十嵐君に叱られて反省したあと、真剣にわたしへの気持ちに向きあうことにしたとか言って、断ってもめちゃくちゃしつこいんだよ」

 山田、本当に下倉さんが好きだったんだ……ていうか、どさくさに紛れてあいつ告白までして、朱理のおかげじゃんかよ。

「それで困ってるの? どうしても嫌なら、俺、それとなく言っておこうか……?」

「ううん。山田君っていままではβだったんだけど、去年のバース性検査でαになったらしいの。困ってるのはそこかな……」

「山田がα……?」

 じゃあ山田も俺とおなじで、バース性が不安定な体質なんだ。

「え、下倉さんは山田がαなら絶対につきあいたくない、って考えてるってこと……?」

「んー……どうだろ。悩むよね、αとΩで結婚をするのが幸せなのか、やめたほうが幸せなのか。心か本能か……バース性のことまで考えなくちゃいけなくて、恋愛もめちゃくちゃだよ」

「わかる」

 ふたりしてため息をついて、「はは」と力なく苦笑いをこぼしたのも同時だった。

 それから「休みのあいだもなにかあったら相談しあおっか」と下倉さんが誘ってくれて、「うん、嬉しい」とスマホの連絡先も交換した。

 すると下倉さんが内緒話みたいに身を寄せてきた。

「……わたしが発情したとき、五十嵐君なんて言ったと思う?」

「え、〝なんて〟……?」

 肩を竦めて、いたずらっぽく、可愛らしく微笑んで続ける。


「『怖がる必要ないよ。神さまなんだから堂々としていればいい』って笑ってくれたんだよ」






















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