第18回東北大学男女共同参画シンポジウム備忘録
12月11日(土)13:00-16:00にオンラインにより第18回東北大学男女共同参画シンポジウムが開催され、200名を超える方々にご視聴いただきました。
今回のテーマは「男女共同参画:男性の立場から」ということにして、登壇者の男女比も男性が多くなる形になりました。
本学大野英男総長の開会挨拶後、ご来賓ご挨拶は内閣府男女共同参画局長の林 伴子様にいただき、日本のジェンダーギャップの現状やその改善の方向性についても言及頂きました。林様のパワフルさは、今年度、様々な同様のイベント総嘗め状態で、その折々のご発言の内容等からも推察することができます。
本学の男女共同参画の取り組みについては、田中真美教授(男女共同参画委員会副委員長)より全体的なアップデートの報告があり、その後、小川真理子先生(男女センター准教授)から令和2年度に行った本学の「研究環境アンケート」の分析として本学の研究者の働き方について報告されました。
上記のデータは追って、東北大d学男女共同参画推進センターのHPにも公開予定です。
基調講演はシカゴ大学の山口一男先生より「男女平等な社会の実現について:ジェンダー中立的立場からの実証的考察」というタイトルでお話しいただきました。種々のデータに基づく考察は目からウロコのものもあり、たいへん示唆に富むものでした。
例えば、以下のようなポイントが今後のポリシー策定において重要と思いました。
●女性の事務職賃金が男性ブルーカラーよりも少ない
●種々の専門職が非正規化移行により行政サービスの低下
●Endowment effect「男性は男性割合が多い職業について、女性割合が多い職業より価値があると考えやすい」
●国民の豊かさをGDPで測る場合の問題(サービス料が低いと…)
●女性割合の大きい専門職を「軽く」みて賃金を低く設定したり非正規雇用者に置き換えることでヒューマンサービス、行政サービスの質の低下
●アンコンシャス・バイアスは個人の問題ではなく、社会構造、とくに男女賃金格差の再生産のメカニズムにまで深く浸透した問題である。
山口先生は数々のご著書等をお持ちですが、本講演には以下の書籍がもっとも参考になると思います。
休憩をはさんで第二部はパネルディスカッション。金属材料研究所の梅津理恵教授をコーディネータとし、山口先生の他に、教育学研究科の神谷哲司教授、附属図書館農学分館の田名部晃平氏、工学研究科の朱 慧娥先生に短いポジショントークしていただいた後、パネリストへの質問や、視聴者からのQ&Aの拾い上げ含め、種々の意見交換が為されました。
神谷先生は発達心理学がご専門ですが、子育てにおける「父親」の関与や役割について、種々の文献を取り上げて「母性愛神話」のルーツなどご説明頂きました。
田名部さんは、現在、長期育児休業取得中で、初めてのお子さんを育てるのに奮闘する現場の様子を伝えて頂きました。
朱先生も二人のお子さんを本学の学内保育園で育てつつ、研究を推進する中、科学研究費が途絶えたときに、TUMUG支援事業としての研究費支援がありがたかったことなどを話されました。
私は最後に閉会挨拶をさせていただいたのですが、その際に、本男女共同参画シンポジウムの18年の歴史の中で、男性の基調講演者は過去に第7回(2008年)にノルウェー駐日大使のオーゲ・B・グルットレ氏がいらしたことを話しました。
また、本学で長期育児休業を取得した男性のおそらく第一号は、理学研究科准教授の坂野井 健先生であることに触れておきました。下記スライドPDFのリンク先はこちら。
坂野井先生と奥様の坂野井和代先生はともに南極越冬隊員でもありました。
さて、今回、オンラインイベントで工夫したこととしては、基地局の人数を減らして、すべて有線で繋ぎ、登壇者の多くはそれぞれの端末からログオンしたことでしょうか。バリアフリーに関して、日英同時通訳については数年前から行っており、zoomのセッティングでそれぞれのチャネルを選べるようにしていました。今年は聴覚困難の方のための文字保証は事前にお申し越しが無かったためにセットしませんでした。
東北大学からの発信が全国、海外含めてインターネット経由で届くということは、オンラインの最大のメリットだと思いますし、休日の午後に、ご家庭から視聴頂けることも利便性があると思います。登壇者の山口先生がご来仙叶えば、スタジオをセッティングしてハイブリッド配信というやり方もありえたと思います。
直近で12月15日は私自身が基調講演(・・・といっても10分なのですが・・・)を行うイベントが予定されています。
【追記(2012.12.14)】
ちょうど今月の日経新聞『私の履歴書』は赤松良子氏がご担当。本日14日のタイトルは「男女平等 女性の結婚退職制に「ノー」 筆名「青杉優子」で評論発表も」。1960年代、女性だけ若くして退職する制度を取る企業が多くあった頃に、労働省の係長であった赤松氏が「25歳定年制は公序良俗に反して無効」との見解の原案を作ったものの、最終的に「無効」ではなく「好ましくない」と書き換えられたというエピソード。徐々に変わってきたとはいえ、日本が世界から取り残されている現状は、DXで遅れを取ったことと私は相関しているように感じます。
【追記(2021.12.23)】
報告記事がアップされました! 発表者の資料PDFおよび山口一男先生のご講演については、動画へのリンクも付けています。



コメント