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| 京都景観賞 |
| at 2014-02-23 23:05 |
| 仁丹町名看板「下椹木町通千本.. |
| at 2014-02-21 19:58 |
| レプリカ仁丹 |
| at 2014-02-19 14:18 |
| 曾根崎心中・道行き(通釈) |
| at 2014-02-15 01:07 |
| 曾根崎心中・道行き |
| at 2014-02-13 05:15 |
| 漢字の読み方 |
| at 2014-02-11 06:03 |
| 鬼めぐり |
| at 2014-02-08 14:26 |
| 鬼の話 |
| at 2014-02-05 23:22 |
| 献灯の刻名 ~山国隊(6) |
| at 2014-01-31 23:29 |
| 葵公園 |
| at 2014-01-29 02:24 |
| 山国隊スタイル ~山国隊(5) |
| at 2014-01-22 21:34 |
| 鏡ヶ原 ~山国隊(4) |
| at 2014-01-20 23:17 |
| 桜色? |
| at 2014-01-18 23:39 |
| 戊宸行進曲 ~山国隊(3) |
| at 2014-01-16 20:50 |
| 雪の木の根道 |
| at 2014-01-12 16:55 |
| 山国隊灯籠 ~山国隊(2) |
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| 山国隊(1) |
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| 祇園閣・京都タワー・時代祭 .. |
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| 時代祭、大いなる仮装行列 ~.. |
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殺生石伝説・補遺
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時は南北朝のころ、石屋大徳という聖がいた。廻国修行の中で下野国那須野の地に到った石屋は、その地に伝わる殺生石の話を耳にする。そこで石屋は己れの力でその霊を成仏させようと考え、一人那須野の殺生石までやってきた。しかし、そこにあったのは漆を塗ったように黒々とした怪石と、その周囲に散乱する骸骨の山。その景色を目の当たりにした石屋は、「これはとても自分の手に負えるものではない、命あるうちに人里へ帰ろう」と考える。そこで殺生石に背を向け、来た方向を振り返ると・・・・目に前に身の丈三〇メートルほどもある真っ黒な仏が立っている。しかも目をランランと輝かせ、真っ赤な口を開けてはニタニタ笑っているのである。
あまりのことに腰もぬけんばかりだったが、這々の態で、石屋はその場を逃げ出した。しばらく走ると、同じ方向に逃げていく女がいる。きっと同じ黒仏を目撃して逃げていく者なのだろうと思い、その後を追った。ほどなく息が切れたのか、女はその場に倒れこんでしまう。石屋があわてて駆け寄り、助け起こしてみると、思いの外の美女である。
「気を確かに持ちなされ、こんな所で倒れては妖怪の餌食になってしまうぞよ」と語りかけると、女のほうも気が付いたようで、石屋にすがりついてくる。
「私は近くに暮らす寡婦です、亡夫の墓参りに出掛けたところ、道に迷ってしまいました。すると、どこからともなく小さな子供が現れて道案内をしようと言うのです。案内されるまま、歩いていたのですが、私を導いてくれた場所は殺生石の近くだったのです。きっとあの子供も化生のものだったのでしょう。そして恐ろしくなって早く家に帰ろうとすると、黒仏が現れたものだから・・・」。
さめざめと涙を流して美女に抱きつかれると、石屋のほうもまんざらではない。
「さあ早く立ちなされ、拙僧がお宅までお送りいたしましょう」と言い、手を取り合って二人で那須野を駆け抜けていった。
二人はようやくのことで野原を抜け出して、一軒に庵にやってきた。
「ここが私の庵です。こうして助けていただいたのも何かのご縁でしょう。粗末な場所ですが、一晩泊まっていかれてはどうしょうか」。
石屋は少なからずの下心はあったものの、女のほうから誘ってくるとは思ってもいなかった。それが予想外の成り行きとなったものだから、はやる心を抑えながらも「それでは今宵はこちらでご主人の菩提を弔わせていただきましょう」と応える。そして案内された室内はどこか由緒ありげな雰囲気が漂い、野婦の仮住まいとも思えない。詳しくはいずれ分かることだろうと考えて、とりあえずその部屋でくつろぐことにした。
「今日はあまりのことだったので、くたびれてしまいました。急いで夕餉の用意をしてもらえないでしょうか」
「寡婦の一人暮らしゆえ、たいそうなことはできませんが、しばらくお待ちくださいませ」。
女はそう言い残し、襖を立てて台所のほうへと入っていった。ところが、それからいくら待っても料理は出てこない。そればかりか、襖の向こうでは調理をしている気配も感じられない。不審に思って、そっと襖を開けてみると、そこで目に飛びこんできたのは・・・・象のように膨れあがった女が素っ裸で横たわってゴウゴウと鼾をかいている姿。さらに何を食らったものやら、口の周りには血がねっとりとこびりつき、あたりには異臭までも漂っている。
今度ばかりは石屋も手足が動かなくなり、その場に座り込んでしまった。すると、それまで由緒ありげな雰囲気を醸し出していた建具が、その色を薄めていったかと思えば、あたりは草野原、よく見れば、他ならぬ殺生石の前である。しかも石屋自身がしゃがみ込んでいるその場所は、命を落とした者たちの骸骨の山、まさにその上に座っていたのである。
その時、殺生石の中から声が響いてきた。「石屋よ、この俺を何者だと思っておるのだ。金毛九尾の狐が亡魂なるぞ。貴様ごときに祈り上げられるものではないわ。石屋よ、貴様もここで命を失うことになるのだが、しばらくは貸しておいてやろう。急ぎ都に上り、当代第一の聖を呼んでこい。そうして俺の魂を祭らせよ。俺の怨恨を漱がせるのだ。それができれば、貴様には天寿を全うさせてやる。だが、しくじればその命はたちどころに尽きてしまうぞ」。
その大音声が消えると今度は一陣の風が吹き寄せてきた。そして石屋の身体を巻き上げ、そのまま人里へと吹き飛ばしたのであった。石屋は、取るものも取りあえず都へと上っていったのである。
(上・黒仏、下・象女)
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