貸金庫から十数億円を盗み出し…三菱UFJ元行員の調査が難航している「意外なワケ」

週刊現代 プロフィール

原則として契約者本人しか開けられない

「貸金庫」といえば、サスペンスドラマやスパイ映画などに登場し、札束や宝石などの貴重品が収められていたり、ストーリーのカギとなるヒントが隠されていたりといったイメージを抱く人もいるだろう。一般庶民にはなかなか縁遠いことから、その仕組みはあまりよく知られていない。

まず、貸金庫は原則として契約者本人しか開けられない。

 

「貸金庫自体、秘匿性があるサービスなんです。家族であっても名義人以外に対して、銀行は貸金庫の存在すら明かすことができません。三菱UFJ銀行のある支店行員によると、今回の事件の確認作業で当該銀行の貸金庫契約者に連絡した際、息子や娘が電話口に出てしまい、説明に困ったと話していました。

親世代の中には子どもに内緒で利用している人もいるから、迂闊に詳細を伝えることができません。とくに親子関係が悪い家庭では『貸金庫をこっそり借りていること』がバレたら最悪、いきなり“争族”が勃発するなど、大問題に発展しかねないのです。

そのため、ある支店行員は『貸金庫の話は安易に切り出せない』とボヤいています」(金融事情に詳しいジャーナリスト)

現在、貸金庫の契約者に連絡し、元行員が盗んだものと、本人の保管物のすり合わせをするなどして被害調査が続いているが、これが難航しているという。というのも、自身が保管した具体的な金品について記憶があやふやになっている高齢の契約者もいるからだ。

「貸金庫の内容は預けた本人しか知りません。預け入れた金品などの明細書は存在しないんです。あくまでも、名義人である顧客が把握しているだけの仕組みです」(前出の金融事情に詳しいジャーナリスト)

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