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【同人女の戯言】赤豚に飼い慣らされた二次創作オタクが文フリに憧れて行ってきた

 こんにちは!毎日元気な同人女です。
 14歳のとき、インターネットで知り合った綺麗な絵を描くお姉さんがコミケというものに出ると聞き、同人について何も知らず、友達と東京ビッグサイトに行きました。
 あれから20年。
 私は元気な二次創作BL小説書きになりました。

 普段の私の活動については他記事等もご参照ください。ざっとスペックを書くと
・流行りの女性向けジャンルのそこそこ大手CP
・4年くらい同じカップリングで活動
・部数は全盛期で150部程度、今は50部くらい
・主に赤ブーブー通信社のプチオンリーに年5回くらいのペースで参加
 みたいな感じです。

 当記事は、二次創作同人界隈にそれなりに慣れていて、文フリ(一次創作イベント)に興味を持っている方向けを意識した、サークル参加のレポ記事となります。比較表現等が多くありますが、「どちらが優れている」という主張をしたいわけではないので、その点は念頭に入れて読んでいただければと思います。

↓ちなみに、コミケと赤豚の比較の話をした記事↓

 さて、そんな私が何故文フリに参加したかというと、あるX(Twitter)のpostがきっかけでした。
 当該postは流れてしまったのですが、ざっくり要約すると「二次創作で学術系の本を出していて、集客に行き詰まっている人は文フリにおいで」という内容でした。そして、私の友人でまさに、二次創作で学術系本を出しており、イベント顧客とニーズが合わないことに悩んでいる友人がいたのです。
 都内在住で暇があったこと、文フリは子連れ参加可能であったことから、私は情報収集のため、その時期に開催されていた東京文フリに一般参加者として来場します。

 そして、カルチャーショックを受けました。
 このカルチャーショック、拙い三流文字書きでは表現がなかなか困難というか、誤解を招きそうで言いづらいのですが、とにかく、それはもう、横面を叩かれたような衝撃でした。

 いやだって、当たり前なんですけど、文フリってあまりにも「文字もの」に特化したイベントだったんですよ。
 コミケも赤豚も漫画小説混合のイベントで、どちらかというと漫画が多数派です。一昔前の同人小説に人権ゼロの時代に比べれば平等になりましたが、かつては漫画が覇権を握っていたイベント。今でも壁サークルなどの大手を覗き込むと、比率はかなり偏っています。
 そして、おそらく伝統的に漫画が主体であったイベントであるため、コミケ・赤豚では無配をティッシュ配りのように配ったり、積極的な呼び込みをしたりはしない傾向にあります。NGと明記されていない、ローカルルールだったような気がするのですが、もしかすると既にイベントルールになっているかもしれません。ちょっと曖昧で申し訳ないです。
 このため、大きなポスターを掲示して「ひと目でわかる作家の画風」を見せることによって宣伝を行うのが一般的です。
 しかし、この宣伝手法、あるいは暗黙のマナーは、文字ものサークルにとってはベストではありません。なぜなら、文字ものを一目見た時の印象なんて、小説もエッセイも詩も俳句もぜんぶ明朝体の塊です。読まないと内容がわかりませんし、説明がないと概要は掴めません。
 文フリは文字ものが中心のイベントなので、その部分が非常に…非常に最適化されている、と感じました。ひとが通った時に「こんにちわ〜〇〇を置いてまーす」と声がかかり、「よかったらどうぞー」とペーパーを手渡される。また、見本誌エリアがあり、各サークルの見本誌を手にとってゆっくり吟味してからサークルに向かって購入が可能です。

 赤豚の少数派、つまり小説サークルであった私には、文フリの構造が全て、楽園のように見えました。
 抑圧、という言葉が適切かどうかわかりませんが、抑圧から解放されたような感覚です。そんな風に積極的に文字ものの創作物を頒布する場があることを、私は想像だにしませんでした。オーバーな表現をすると、差別を受けていることを自覚したことすらなかった人間が、自由な社会を見て「自分がこれまで生きていた社会で自分は被差別側の人間だった」と自覚した瞬間に似ています。特に私は15年前から二次創作小説を書いてきた古い人間なので、「表紙詐欺」と誹られたサークルを見たことも、鮨詰めの会場で小説サークルの並びだけ列がなくて皆「ここらへんは小説だね」と素通りしていくところに座っていたことも、或いは「小説ですけど大丈夫ですか」と買い手さんに確認したことも、全部経験があるわけです。
 そして、小説を書いている以上それは普通のことだと思っていました。何故か。わからない。でも、「コミック」マーケットはコミックの名を冠しているし、それほどオタクではない人が同人誌という言葉で連想するのは何故かよくわからないけどFANZAやDLsiteのエロ漫画で、小説ではないんですよね。
 ……と、いう認識が真か偽か、ただのお前の被害妄想だよバーカと言われればそれまでなのですが、しかし、そう思い込んで生きてきた二次創作小説畑の人間にとって、文学フリマという文字ものに最適化された即売会は、あまりにも、あまりにもカルチャーショックだったのです。

 出てみたーい!
 と思ったのは、別ジャンルとはいえイベント慣れしているせいでしょうか。
 二次創作BLしか書かないオタクなのに文学を名乗るのは片腹痛い気もしますが、私の目的は「あの素晴らしい場に参加者として机を並べること」でした。

で 、参加申し込みをして、原稿を書き、印刷会社に依頼を出す……みたいな過程は普段の活動で至極慣れ親しんだものだったので、サクサクっと友人を誘い、2024年9月8日に開催される大阪文フリにサークル参加をしました。

↓告知のnoteはこのへん↓

 成果としては、「新参だし、ほぼ宣伝も打ってないから誰にも見向きされず0冊だと思うけど、夢はでっかく2冊売る!」と大言豪語しながら出て行って、「ななななんと3冊売れた!!」とスキップしながら帰ってきた感じです。
 同人活動ベテランなので、新参・実績なし・アカウントなしのサークルの厳しさは骨身に染みて知っているつもりで、かなり覚悟して出て行ったのですが、思ったより優しかったです(考察は後述)
 非常に、満足でした。
 だって私は、文学フリマに出たのです。初見さん相手に自分の書いた本を指さして「これはこういう本です」と人に説明して、「なるほど〜」とパラ見してもらえた、もうそれだけで、それだけで、胸がいっぱいでした。

 二次創作で、そういう機会は少ないです。いや二次創作というか、赤豚のイベントで、というか。

 これは文字ものがどうこうというより、赤豚のイベント構造の問題かもしれないのですが。
 まず、pixivとかX(Twitter)があって。
 webで活動し、フォローしてもらって、サンプルアップして、事前チェックで読んでもらって当日会場で……が、大半です。もしくは「いつもの人だから作家買い」か、「〇〇×△△だから買う」か、たまーに「装丁がいいので」と言われたことがありますが、原則自分のスペースに来る人は自分の新刊の内容を知っている状態であることがほとんどです。
 これは豚のイベントが「カップリング」で分類されていたり、そのカップリングが「プチオンリー」という形でまとめて開催されているので、そもそも興味のないカップリングのプチオンリーには足を運ばなかったりする影響が大きいと思います。
 最近の赤豚のイベントは、おそらく、小説だけではなく漫画にとっても「未知の本との出会いの場」ではなくなってきていて、「既知の本を買いに行く場所」なんですよね。
 なので、新参・実績なし・アカウントなし、漫画とは異なって画風や画力もわからない文字ものサークルが、足を止めてもらうのはかなり、相当、ものすごく、困難です。その点、たぶん文フリはそこまで厳しくない。なぜならくる人がそもそもみんな文字に興味があって、新しいものとの出会いを求めているから。
 今回文フリに出て、薄ぼんやりと感じていた赤豚のイベントに対するマンネリ感とか、刺激のなさ……みたいなものが、言語化できた気がします。

 ここから反省点にも繋がるのですが、赤豚に慣れたオタクは「イベントは12時から17時までか〜じゃあ14時半に撤収しよう」みたいなことを考えると思います。
 だって赤豚のイベントは、ほとんど「未知の本との出会いの場」ではないので。みんな朝イチでやってきて、お目当ての本を買ったら撤収します。人が多いのは最初の2時間くらい。だから、その時間だけで撤収するサークルは普通にいます。

 しかし文フリは、そんなことなかった。
 むしろずーっと人が途切れない。総入場者数は赤ブーより少ないのかもしれないけど、文フリは人の滞留時間が圧倒的に長い気がします。結果、ずっと人が途切れない。
 当日色々あって体力を消耗していたのと、16時には帰って子供をお風呂に入れたりいろいろしなくちゃいけなかったので、早めに撤収するスケジュールを立ていたんですが、そんなことしてるサークルさん他にいらっしゃらなかったし、もしかすると撤収後にきてくださった方もおられるかもしれない……と心配になる感じでした。反省。
 そういう意味でも、文フリは赤豚が失ったものを持っているなあ……と思った次第です。

 同じように無配も「とりあえず貰ってみる」という人がかなり赤豚系イベントより多い印象を受けました。ティッシュ配りのように……と上記に少し書きましたが、無配が「チラシ」の側面を失っていませんでした。
 二次創作イベントとの比較になりますが、二次創作では推しではない(=訪れていないプチオンリーの)ジャンルの小説無配を、あまり積極的にはもらわない傾向があります。あと個人的には、無配だけもらってさようなら……というのは申し訳ない気がしてしまいます。なので、無配であっても基本的には、頒布数と同数程度用意するもので、ほぼイコール0円の新刊みたいなポジションだと思います。
 無配をもらっていく人が想定以上だった、言い換えれば「本を買うほどではないにが、興味はある(SNSとか見てみようかな、ということかも)」というような立ち位置の買い手さんの存在を、赤豚慣れした私はすっかり忘れていました。なので、無配やポスターにもうちょっと力を入れるべきだったなあと、後から反省しました。

 総括ですが文フリは、エネルギーが熱すぎて、圧倒されました。
 赤豚のぬるいイベント構造に飼い慣らされた、養豚場の二次創作BL小説のオタクは大火傷です。めちゃめちゃ疲れたし、イベント慣れしてるはずなのにど緊張してガチガチだったし。1冊の本の重みとか、足を止めてくれるだけで湧き上がってくる有り難さとか、無配を渡す時のソワソワ感とか、非常に、初心を思い出しました。
 初心というのはつまり20年前のコミケの頃の気持ちであり、SNS(pixivやtwitter)が台頭する前の即売会の気持ちです。
 「(ROM専さんも含めて)いつもの面識がある面子でのんびり」参加するイベントとは全く異なっており、エネルギーも時間も情熱もかなり注ぎ込む必要があります。文フリが赤豚のように毎月何度も開催されるイベントだったらオタクは死にます。年に1回でよかった。

 そういうアツいイベントが怖い……という意見もめっちゃわかるのですが、非常に良い経験になりますので、本当に、養豚場のオタクみんな文フリという〝場〟を見て欲しいな……と、思います。
 いいから…すごく、いいから……。
 赤豚の30冊より文フリの3冊の方が、消耗しました。次はないか、もしくはもうしばらく一般参加者として勉強して、ずっと後になるかと思います。
 一期一会の機会に、お立ち寄りくださった方ありがとうございました。

 最後に、boothに今回の本を置いておきます。
 送料をいただくのも申し訳ない拙い本なのですが、もしよかったらポチっていってください。

 ↓新刊:育児短歌集「椅子が一つのフルーツバスケット」↓


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コメント

1

はじめまして。
ぼくも二次赤豚慣れしてから文フリを知って、あの熱気にワーッとやられたので、思わずコメントしました。

そうなんです。文字ものを求めてる人しかいない空間。文字作品の書き手としては楽園です。分かります。
共感しまくりました。

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