不動産小口化投資商品「みんなで大家さん」の成田プロジェクトに関して、米ファンドへの売却交渉が難航している。12月19日、運営元の都市綜研インベストファンド(本社:大阪市)は主力商品「シリーズ成田」の投資家にメールを送付。交渉はいまだ継続中ながら、価格等の条件によっては取引が成立しない場合もあると通知した。こうした対応の背景には、行政からの圧力があることも判明した。

 親会社の共生バンク(本社:千代田区)は2024年9月、投資会社Lloyds Capital(ロイズ・キャピタル)の発表文の“日本語訳”とする文書を公表。共生バンクが成田空港近郊で進める大規模開発事業「GATEWAY NARITA」(ゲートウェイ成田)について、両社が拘束力のある契約を結んだ上で、売却交渉に着手したとしていた。工事の大幅な遅れが伝えられる中、ロイズとの交渉を元本償還につながる動きとして期待する向きもあったが、当初11月末としていた期限を過ぎても運営元からは具体的な進捗報告がなく、投資家の間で不安の声が挙がっていた。

 「みんなで大家さん」は、3万8000人の投資家から約2000億円を集めた個人投資家向けファンド。今回の文書はシリーズ成田の投資家に限定して送付されたもので、直近の行政指導を受けて改訂したと思われるリスク開示文書を含んでいる。成田シリーズのファンドの償還に関しては「複数の投資家と商談が進行中」と説明。ロイズとの間ではAIデータセンターを軸とするプロジェクトを検討しており、これは食品加工・販売施設などを軸に据えた、これまでの説明とは隔たりのある内容だ。現在のところ、2025年12月の建築確認申請、2026年4月の建築着工をめざしており、2027年冬には一部施設の開業を予定している。

 ただし、計画の変更やスケジュールの延期を繰り返してきたことを受けて、「進捗状況によっては、対象不動産(編注:成田プロジェクト用地)の資産価値及び将来的な収益性に影響を及ぼす可能性がある」と説明。「対象不動産の売却額が優先出資総額の半分になった場合、出資の価額の返還率は約50%となる」と繰り返し述べている。親会社の共生バンクは、本誌の問い合わせに対して「50%という数字が例示として分かりやすいとの観点から表記したものであり、この数値自体に根拠はない。当社としては毀損はしないと考えており、100%以上の価格での売却をめざす」と回答した。

 上記の告知は、大阪府が12月11日までに、ロイズとの交渉の進捗などについて都市綜研に送った一連の質問状に対する対応とみられる。不動産特定事業法の許可権者として同社を監督する府は、シリーズ成田の販売開始から間もない2021年2月以降、10回以上にわたり質問や資料請求を繰り返すなど、対応に苦慮してきた。2024年6月には、都市綜研に対して30日間の業務停止処分を発表。その後、運営元には同年9月末までに、約5300人の投資家から総額290億円超の解約請求が寄せられたことが明らかになっている。

■変更履歴
新たな情報に基づき、都市綜研インベストファンドによるリスク開示文書の公開経緯を修正しました。[2024/12/28 12:00]