【同人女の戯言】小説同人誌の過去を振り返る

 こんにちわ。女子高生から同人活動をはじめ、同人活動歴が15年を超える私です。なんとなく過去を振り返りたくなったから、過去を振り返ります。よろしくお願いします。

【おれのスペック】
同人活動歴 たぶん17年?18年?
ジャンル遍歴 洋画→文学→ヘタリア→流行りジャンルつまみ食い
作品形態 小説

 いやね、最近いろんなところで「小説同人誌を作ろうぜ!」とかいう素敵な声が盛り上がるのを見ていて、「私がJKの頃と全然違うなあ」って懐かしくなっちゃって。ときどき「小説同人誌なんて売れないよ」っていうネガティブな言葉も見るんだけど、15年前に比べたら全然そんなことはないと思う。現代は、小説にも市民権がある時代だ。

 17年前の小説同人誌の話をしたいと思う。

 私は洋画から海外文学に流れて腐女子になった。
 文学っていう媒体の関係上、小説で同人活動をする人は結構多かった。そういう意味では比較的小説同人に優しい土壌で育った。ちなみに年齢層の高いジャンルで、リアルJKなんてほとんどいなかった。むしろ親より年上くらいの年齢の人が沢山いて、平成20年ちかくまでピンクハウスを着たオタクがまだ生き残っていたくらいのジャンルだった。沢山優しくして貰ったと思う。あの頃の先輩たちありがとう。

 当時の小説同人誌はコピー本か、表紙単色刷りのA5サイズが主流。イラスト表紙の小説同人誌はほとんどなかったが、B5は漫画同人誌、A5は小説同人誌っていう棲み分けがなんとなく行われていたので、A5だったらイラスト表紙でも「小説かも?」という目で見られていたと思う。

 なぜ単色刷り表紙だったかというと、当時はイラスト表紙の小説というのは結構慎重でなければいけない空気感があったからだ。「漫画だ」と誤認されて読者の手に渡り、わくわくしながら開いたら文章だった、なんてことがあれば「表紙詐欺」と呼ばれ、個人サイトの掲示板やweb拍手からお叱りのメッセージが届いた。だから小説本は、色上質に単色刷りでタイトルだけ、みたいなのがほとんどだった。

 ちなみに、まだ、デジタル入稿(それもオンラインなどではなく CD-Rを使うのである) には追加料金がかかる印刷所が大半だった。紙原稿を印刷会社に持って行って、目の前でチェックして受領してもらう、なんていう感じだったと思う。私も最初は1円でも節約したかったので、マンガ用の原稿用紙にハサミでちょきちょき切った本文をノリで貼り、ノンブルを手書きして入稿していた。その後、後述の方法で活動資金を得て、インデザインを手に入れる機会があり、データ入稿派に切り替えたと思う。データ入稿も、pdf入稿とかじゃなかった。そんなもんはなかった。拡張子はindd一択だった。

 私がリアルJKで同人ひよこクラブ1年生だった頃は、まだオフセット印刷が主流だったが、オンデマンド印刷というものが少しずつ流行り出した頃でもある。確か私が最初に目にしたのはオレンジ工房だったと思う。少部数印刷が100部(たまに50部)とかいう時代に、なんと10部から刷ってくれる、画期的な印刷会社だった。印刷の質は、ちょっとテカテカしてると思った気もするけど、小説本ではあまり気にならなかった。

 これは今もそうだと思うけど、少部数の場合、オフセット印刷の方が単価が高くなる。当時は同人誌の価格設定はオフセット印刷を前提にしたものだったので、今よりも1冊の値段が高かった。そのため、オンデマンドで刷っても、市場価格にあわせてオフセット並の価格で頒布するので、少部数でも結構黒字が出る、という現象が起きた。当時わずかなバイト代とお年玉でサークル参加をやりくりしていた私は、それを利用して活動資金を稼いだ。つまり、オンデマンド印刷を使い、オフセットとの価格差を利用して、サークル参加費用や、遠征のための交通費、データ入稿の追加料金、インデザインのソフト代などに宛てていた。ずる賢いJKだった。

 同時期に、B5、A5以外の判型が台頭してきた。文庫と新書である。といっても今のようにカバー付き文庫の気が利いたセットなどはなく、正方形などの変形断裁本と同じような扱いだったと思う。要は追加料金を払って本を小さくカットしてもらうのだ。紙原稿での入稿がまだ主流に近かった当時、変形断裁はちょっとめんどくさかったのでやりづらかったように記憶している。あと、オンデマンド印刷かつ文庫、みたいなのはまだなかった気がする。安価な印刷所は少なく、仕様も限られていた。
 しかしながら、新書・文庫サイズには、イラスト表紙だろうが何だろうが「表紙詐欺」呼ばわりされにくいというメリットがあった。どう見ても小説だもんね。
 この、文庫・新書サイズの台頭は小説同人文化における一つのターニングポイントだったと思う。とにかく表紙詐欺という蔑視から逃れるわかりやすい方法だった。綺麗なイラスト表紙の小説同人誌というものは、ここから市民権を得るようになった……んじゃないかな~~~??? 知らんけど。

 ちなみに、変形断裁もそうだけど、同人誌印刷会社のメニューは全体的に、今ほど豊富じゃなかった。印象深く覚えているのが「型押し」だ。当時は「型押し」というサービスをやっている印刷会社はほぼ存在しなかった。少なくとも私が印象懸命サーチした限りでは見つからなかった。
 だから、印刷会社の店頭まで行って「箔押しから箔を抜くことはできませんか」と直談判した。「凹凸だけでタイトルを表現したいんです」と訴えるJKの客に、印刷会社の方は真摯に対応してくださり、結果的に素敵な型押し本ができた。対応してくださったのは、しまや出版さんだ。ありがとう。あの時のJKはまだ元気に同人活動やってます。

 私がヘタリアにジャンル移動したのは大学生になってからだが、大学生の頃には既に文庫やオンデマンドが珍しくなくなっていたような印象だ。私もこの頃から文庫同人誌を出しはじめた。だから多分、平成20年頃にはそんな空気感になってたんじゃないかな。

 で、ここ数年くらいになると、逆に「小説の表紙絵をどうするか、神絵師に依頼するのか」みたいな悩みを目にするようになった。小説に表紙絵が当たり前の時代になったんだなあ、なんて思う。

 今でも私は色上質に単色刷りタイトルだけの地味なA5サイズの小説本のことを覚えている。それが誕席とか大手サークルの小説本だった時代だ。当時は印刷会社を通す(つまりオフセット印刷の最小ロット程度……100部ならまだしも、会社によっては300部くらいだったかもしれない)だけで選ばれし小説サークルだった。

 「立派な文庫本を出す」というのは最近の小説同人のひとつの目標になっているようだ。できれば1センチくらい厚みがあって、フルカラーのカバーがついていて……。みたいな感じだ。最初の1冊からそういう装丁を目指す人も多いと聞く。私は同人活動歴がだいぶ長いので、最初の一冊は、当然ながらコピー本だ。オフセット印刷しかなかった時代なんだからそれしか選択肢はなかった。
 そのあとオンデマンド印刷でA5サイズを刷るようになり、それからやっと、文庫オンデマンドという印刷メニューが現れて、文庫になった。

 なので、最初の一冊はコピー本、というのは何となく、私みたいな古の小説同人の発想ではないかな、なんて思う。今この時代に最初の一冊はコピー本なんて発想になるだろうか? いっぱい素敵な装丁が世に溢れていて、刷ってくれる印刷所があるのに?
 いやしかし、私が同人誌をかきはじめたJK の頃、文庫を一冊埋めれるだけの長文を書き上げる能力が あっただろうか。多分なかった……ような気がするんだよなあ。そういう意味では、環境が整った分だけハードルが上がったっていうことでもあるような気がする。

 昔話でした。オチはない。

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コメント

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